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【Personal Interview】GO WILD!! 自分らしい起業のスタイルを追求する起業家|Peaske.Kawahara

18歳から起業し、起業家としてビジネスの世界をひたすら走り続けて10数年

そんなぴいすけさんが「Venture to Nature to Future」というスローガンを掲げるきっかけとなった人との出会いや、多様化する資金調達方法やスタートアップエコシステムについて色々語って頂きました。

(引用元:ChatCast「スタートアップな人をインタビューするチャネル」)


Hyuga 本日のゲストはTECHFUND Inc. Co-Founder, CEO&CCOの川原ぴいすけさんです。早速インタビューしていきたいと思います。ぴいすけさん、よろしくお願いします。

Peaske よろしくお願いします!

人生のスローガンは「Venture to Nature to Future」

Hyuga まずは簡単に自己紹介をお願い致します。

Peaske みなさんはじめまして!TECHFUND Inc. Co-Founder, CEO&CCOの川原ぴいすけと申します。
「起業家をメジャーな職業にする!」と言うビジョンを掲げて、TECHFUNDと言う会社でアクセラレーターとして活動しております。
平日は資本主義ど真ん中でビジネスをやっていますが、休日はトレイルランナーとして活動していて、都内を飛び出し鎌倉や箱根の山を走っています。
人生のスローガンとしては「Venture to Nature to Future」を掲げていまして、資本主義と脱資本主義の間に立ち、資本主義の本質とテクノロジーと人の営みの関係性、本質的なエコシステムの在り方について研究しています。

Hyuga 平日は資本主義、休日はトレイルラン。そしてエコシステムについて考えられているんですね。

Peaske はい。平日営業日は都内のコンクリートジャングルの中で働いていますが、休日はリアルジャングルの中でいろいろと活動しています。これが休日の僕の姿です。だいぶGO WILDしてます。平日とのギャップがすごいです。笑

Hyuga とても充実した生活ですね。まさに平日は資本主義、休日は脱資本主義といった印象で、冒頭の自己紹介でお話されていた事も納得できます。

Peaske 別にアスリート社長を目指しているわけではないんですが、ビジネスや経営においてオルタナティブ思考はとても大事だと思っていまして、自然と行き着いたライフスタイルが今の二拠点活動になります。

Hyuga なるほど。インタビュー前に頂いたSlideShareも拝見させて頂きましたが、とても興味深いです。

Peaske このスライドには僕の起業家としての資本主義ど真ん中の生き方と、とあるきっかけを元に新しく生まれた脱資本主義の生き方の移り変わりを軸に、ある3人との出会い、そしてVenture to Nature to Futureの向かう方向についてガイドしています。

Hyuga なるほど。とてもわかりやすい要約ありがとうございます。

Peaske これらの活動についてはこのInstagramアカウントにて発信していますので、興味ある方はぜひフォローしてみてください。テック系な投稿は皆無ですが、癒やし効果は高いと思います。笑

Hyuga 現在ベンチャー企業でゴリゴリのテック系スタートアップTECHFUNDを経営しながら、休日はいきなり自然と融合されてるイメージで、エネルギー有る方だなと思っていました。

Peaske そう言ってもらえると嬉しいです。


10年以上の起業家人生の先に行き着いた「自分らしい起業」とは?

Peaske (話は少し戻りますが)このスライドにもあるように、僕のように常に「マインドフル」でいる状態を心がけ、心身ともに健康でかつ実際にNatureに飛び込み自分の野生性や自分らしさと向き合うスタイルの起業のことを「自分らしい起業」と呼んでいます。

Hyuga なるほど、「自分らしい起業」ですね。

Peaske そしてこのメソッドは偶然にもシリコンバレーのスタイルと似ていて、日本のスタートアップにも広めていきたいと思っています。そんな画面に張り付いてPVやUUばかり追いかけてないで、自分ともっと向き合おうよと言った具合です。

Hyuga 「闘う起業」から「自分らしい起業」への変化とありますが、このあたりの心境の変化などを教えて下さい。

Peaske はい!もちろん今も闘う起業のど真ん中にいますが、
僕は今年で起業12年目になり、10年目の節目の時に今の「Venture to Nature to Future」と言うスローガンを掲げました。
10年の起業家キャリアを振り返ってみた時、ビジネスとして小さい成功はおさめたものの、自分の人生と言う気がしなかったんです。
よく社長は会社や事業、社会のことだけを考えろなんて言われたりしますけど、自分の自己犠牲の上に会社や事業が成り立っている気がして、漠然とそういう人生は悲しいな〜と思いました。
そして何よりそんなFounderについてくる社員にも申し訳ないなと。
「起業家をメジャーな職業にする!」にあたって、もっと健全で自分らしさを追求できるロールモデルを作らないと、起業したいと言う人も増えないよな…と考え、今の自分らしい起業を目指すようになりました。

Hyuga なるほど、ご自身の過去12年のキャリアを振り返った後、仕事や会社のことだけでなく、もっと自分の人生に向き合おうと思われたのですね。
それでVenture to Nature to Futureと言うスローガンを掲げるに至る。

Peaske そうです、自分の人生あってこその会社や社会ですから。また、自己犠牲の上に成り立つ資源には限界があると考えています。これは僕が考える持続可能な社会の在り方にも関係する話なのですが、それはまた別の機会にお話させてください。


「自分らしい起業」のきっかけ、ヒッピー文化との出会い。

Hyuga 大変興味深い話、ありがとうございます。これらの考え方に至るにあたって、何か具体的なきっかけがあったのでしょうか?

Peaske きっかけとして最も大きかったのはもちろん、先程話したように起業10年の節目に自分の人生を振り返ったと言う事もありますが、ひょんなきっかけからとある方と出会います。

Hyuga おお、それはどんな人でしょうか?気になります。

Peaske 山下悠一さんと言う方なのですが、当時悠一さんがこんなブログをエントリーされました。当時このブログがバズっていて、なんだよくあるいつもの退職エントリーか…と思ったんですが、なぜかすごい気になって…

Hyuga 元外資コンサルを辞め鎌倉で自給自足…

Peaske そうです、パーマカルチャーと言うヒッピーが実践している生き方です。当時の僕は10年の節目に自分の考え方を整理している時期で、このブログを読んで全てが整理された気がしました。

Hyuga なるほど、過去の振り返りにこの一つのブログが思考を整理してくれたんですね。

Peaske それで僕は、こんな感じの退職エントリーに対する書評ブログを書いて悠一さん本人に送ったんです。そしたらすぐに会おう!と言う感じになって…

Hyuga なるほど、ブログに共感してすぐその人に連絡。なかなか行動力ありますね。

Peaske お会いさせて頂いてからも衝撃の連続でした。オルタナティブと言うか、こういう考え方もあるんだと。僕ら界隈ではこれをB面と呼んでいます。
資本主義(A面)のど真ん中にいるとなかなかこのB面の考え方を吸収することができないんです。会社に行って仕事をしてお金を稼いでただただ消費をして生きる。

Hyuga それはぴいすけさんにとっても新しい考え方だったんでしょうか?

Peaske 新しすぎました。僕は18歳からベンチャーしか経験してないですから。

Hyuga 衝撃的な体験をされたんですね。

Peaske 良くも悪くも、仕事をしまくっていかにお金を稼ぐか?事業を伸ばすか?競合を倒すか?EXITするか?しか考えてなかったですから。
もちろんそれは今でも同じなんですけど昔の僕は「それしか知らない」状態だったわけですね。
でもB面の活動を知り、”生きると言う事の本質とシンプルさ”に気づきました。
哲学的ですけど、パーマカルチャーが目指す持続可能なエコシステムは当時の僕にとってはとても新鮮な考え方でした。

Hyuga 18歳と言う若さで起業し、ベンチャーをゴリゴリ経営しながら、実績を残すためにがむしゃらに働いていた。
そこで出会った一人のコンサルタントがB面の考え方を教えてくれた。と言う訳ですね。

Peaske そうです!


人生のB面的側面「パーマカルチャー」とは?

Hyuga 先程からお話に出ているパーマカルチャーについて詳しく教えて下さい。

Peaske パーマカルチャーは先程お話したように、「持続可能な建築や自己維持型の農業システムを取り入れ、社会や暮らしを変化させる総合的なデザイン科学概念(Wikipedia引用)」のことを指しますが、これは本来の考え方ではありますが、現在のパーマカルチャーはもっと時代に合ったものに進化してきています。
僕が知るパーマカルチャーを実践している人達は、SNSで情報を発信しますし、必要最低限の消費はします。
パーマカルチャーの舞台でもある”エコビレッジ”と呼ばれる場所では、単なるナチュラリストの枠を超え、農法の研究、人々の生活に最適化されたD.I.Yの研究、”トライブ(同族意識)”と呼ばれる民族的なコミュニティ形成の研究、スキルシェアード、ベーシックインカムの実践、など様々な実験が行われています。

Hyuga なるほど、個人的にパーマカルチャーの概念は「最小限の生産と最小限の消費」と言う風に捉えていたのですが、同じような概念のミニマリストとはやっぱり違うんでしょうか?

Peaske その質問は結構ありますね。ミニマリストは個人の考え方の話だと思うんですが、パーマカルチャーと言うのはコミュニティにおける倫理観そのものを指します。
3つほど倫理があって、①地球にやさしい行いであること ②人にやさしい行いであること ③余剰を分かち合う。
と言うこれら3つの倫理観はみんな意識しています。資本主義側の解釈にあるシェアリングエコノミーの考え方ととても近いと思います。

Hyuga コミュニティにおける倫理観ですね。シェアリングエコノミーに近い、なるほどわかりやすいです。

Peaske ただシェアリングエコノミーと決定的に違うのは、自分たちで農業をしたり、場所そのものも都会から離れたり(リトリートと呼ばれています。)、積極的にコミュニティを作ったりと、ただ遊休資産を有効活用するだけではなく、実験的にと言うか創造的にコミュニティを作ろうとする動きが強いです。
あとヒッピー側の文脈で言うと、ヒッピーカルチャーはベトナム戦争への反対運動として愛と平和を訴えた事が発祥ですので、愛と平和をシェアリングしている空気感が強いですね。大げさですかねw

Hyuga なるほど、自分たちで積極的にコミュニティを作っていくんですね。

Peaske 先程もお話した通り、こうしたパーマカルチャーの実践の場所はエコビレッジと呼ばれたりしますが、これはヒッピー側の言葉なので少しごちゃまぜになっているかもですね。

Hyuga パーマカルチャーの実践の場所はエコビレッジ。体験してみたいです。

Peaske 日本だとサイハテハコネエコビレッジが有名ですね。

Hyuga おお!実際に運営されている団体があるんですね。知りませんでした。

Peaske そうなんです。突然ですが、このパーマカルチャーの動きってスタートアップのエコシステムとも似てると思いませんか?

Hyuga 似ているかもしれないですね。スタートアップもそれぞれの思想や業界の人が集まってひとつのコミュニティができますから。

Peaske でも資本主義側で行われてるスタートアップのエコシステムって、どうも違和感があるんです。
パーマカルチャーが実践されているエコビレッジには、違う文化、違う言語、違うライフスタイル、違う肌の色、違うバックグラウンドを持った人達が集まります。
そんなコミュニティだからこそヒエラルキーは存在せず、全員が村のために何ができるかを考え、持続可能なエコシステムとは何か?を単なる構造としてではなく、精神的に、社会的に、環境的に考えます。
資本主義側のエコシステムは資金の流動性に合わせてコミュニティが発展する事もあり、そこには必ずヒエラルキーが存在します。シリアルアントレプレナー(エンジェル投資家)や機関投資家、大企業それらとスタートアップの間にはまだまだ溝があり、これが合理的なシステムの上に共存しているとは言えません。
またことスタートアップ同士においても、株式会社としてそれぞれの資本が独立している以上は、資本上・業務上の関係性がある以外に他人の会社を支援する理由は本来は無く、それなのに横で繋がろうとして、構造上は縦割りなのにコミュニティとしては横の繋がりを推進させようとする。と言った非合理的な状態になっています。
それでも資本主義側の人達はエコビレッジは汚いとか怪しいとかテクノロジーが進んでないとか揶揄するんですが、エコシステムデザイナーとして資本主義(スタートアップエコシステム)と脱資本主義(パーマカルチャー)のどちらも見ている僕からすると、両者は学び合うフェーズに来ていると考えています。

Hyuga 非常に”気づき”が多いです。僕も前職でイベントやカンファレンスをメディアとしてやっていて、どのようにして縦割りになってしまっているスタートアップ同士、またステークホルダー同士の横の繋がりを作っていくか?と言うことを意識していましたので。

多様化する資金調達方法、そしてスタートアップエコシステムの未来はどうなる?

Hyuga 改めてぴいすけさんは、日本のスタートアップエコシステムをどのように考えていますか?

Peaske 昔より起業家や投資家の数も増えてきていて、より大きなエコシステムになってきていると思います。そして僕達TECHFUNDが「技術」を投資しているように、投資の在り方は様々な形に変わって起業家を応援する手段になってきていると思います。
また投資家側の数が増えることでいい意味での競争意識が生まれて、ユニークな支援の形、投資の形(コンバーチブルエクイティ、J-KISSなど)が生まれてスタートアップの選択肢も増えたように思います。

Hyuga コンバーチブルエクイティ最近よく耳にしますね。

Peaske あとこれはだいぶ先の話をしているようですが、今後はブロックチェーン技術がどんどん進化して、ICOを実施するスタートアップも爆発的に増えると思いますので、エクイティ関係者(有価証券を取り扱う投資家、証券会社)はもっと「投資以外の価値」を迫られることになると思います。
最近ICO界隈の方と議論するんです、VCとICOはどう共存していくかってことを。

Hyuga VCとICOはどのように共存していくのでしょうか?

Peaske 正確にはエクイティとクリプトトークンはどう共存するかです。

Hyuga なるほど。

Peaske エクイティは有価証券なので、株主とスタートアップの関係性は強いです。
自分の会社の「血肉」でもある「株式」を第三者に引き受けてもらうわけですから、なので物理的なコミットメントやアセットを要求する関係性にもあると思います。同じ船に乗ってる感が強いと言うか。実際TECHFUNDの投資先にもDog Huggy(ドッグハギー)というスタートアップがいますが…

Hyuga こちらですね。

Peaske はい、Dog Huggyは毎月、株主定例会議をやっていて僕も参加しています。オフィスに行くとワンチャンが寄ってきて会議どころじゃないんです。笑
嘘です、会議の時はまじめにやってます。笑

Hyuga なるほど、それは大変ですね。笑

Peaske 話逸れましたが、とにかくエクイティはスタートアップと投資家の関係性を強くしている印象です、よく結婚と同じだとか言いますね。
実際結婚時と同じくらいの書類を取り交わし、その両者は結ばれるわけです。
一方でICOは資金調達の手段としては画期的で、エクイティも放出しないのでスタートアップにとってはこれほど合理的な資金調達手段はないと思われがちですが、ICO分野の投資家には投機的な方がまだまだ多く、またクリプトトークンは取引所で簡単に売買ができてしまう性質上、スタートアップと投資家の結びつきは非常に薄い印象です。

Hyuga なるほど。クリプトトークンの投資家はどのような事がリターンになるのでしょうか?

Peaske まず投資家ではなくトークンバイヤー(ICOトークンを購入する人)ですね。リターンはアセット型のトークンの場合はそのトークンでしか得られない優待があり、そこに「トークンエコノミー」と呼ばれる独自の経済圏が生まれます。
先程のセクションでお話しましたスタートアップエコシステムの観点でも、このトークンエコノミーには注目しています。
トークンエコノミーによってスタートアップとステークホルダーの間の溝や隔たりが無くなり、「それぞれの株式会社である以上構造上は縦割りなのにコミュニティとしては横の繋がりを推進すると言った非合理的な状態」が解消されると考えています。

Hyuga なるほど、ICOはスタートアップエコシステムを構築する可能性も秘めているんですね。初歩的な質問が続き恐縮ですが、ICO会社はクリプトトークンの投資家?に何をしなければならないのでしょうか?

Peaske これも厳密には定められてはいないのですが、やはり流動性を担保するためにイベントを作り続ける必要はあると思います。
ICOを実施する際、ソフトキャップを低く見積もりすぎるとプロジェクト自体が実現できず本末転倒な状態となりますが、逆にハードキャップを高く設定しすぎて仮にクラウドセールが成功したとすると、上場後の流動性が担保できずに暴落する恐れもあります。

Hyuga ソフト…ハード…、流動性…(混乱)なるほど、このあたりは次回に深掘りさせて頂きたいところですね。^^

Peaske マイニングだけに深掘り!うまいこと言いましたね!笑

Hyuga ありがとうございます!笑 ここでお時間になりました。次回はもっとクリプトカレンシーのお話などを聞いてみたいです。お忙しい中、本日はありがとうございました。
TECHFUND Inc. Co-Founder, CEO&CCOの川原ぴいすけさんでした。

Peaske こちらこそありがとうございました!





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