TAIANで婚礼領域のマーケティング・ブランディングを担っている平田さん。さまざまな施策を積み重ねながら、TAIANの取り組みを、社会へと広く届けています。そんな彼は、大手広告代理店の子会社出身。婚礼業界に来て「教科書通りのマーケティングが通用しない」と頭を悩ませながらも、試行錯誤を重ねてきました。難易度の高い領域に挑み続ける平田さんの仕事観と、TAIANにかける想いをひもときます。
PROFILE
平田さん
婚礼宴会DX事業部 マネージャー / ブランディング・マーケティング担当
(株)博報堂子会社SEEDATAにて、3年半日系大手企業向けの新規事業/マーケティング戦略立案コンサルティングに従事。コンシューマー向け消費財を中心に様々なプロジェクトを担当。その後、株式会社arcaにて、プロデューサーとして広告/PR案件の企画・PMを担当し、ブランディングを軸にクライアントの売り上げに貢献。 現在は株式会社TAIANにて、マーケティング/ブランディングを担当。組数減に対するアプローチとしてパブリックウェディングの企画運営も行う。早稲田大学教育学部卒。
マーケティング・ブランディングの枠を超え、営業やイベント運営も。アポ獲得の土台をつくる
──まずは、現在のお仕事について教えてください。
私は、TAIANの婚礼事業におけるマーケティング・ブランディングを担当しています。
一般的なSaaS企業では、マーケティング、インサイドセールス、セールスを分業する、所謂「THE MODEL型」を採用しているケースが多いと思いますが、当社では営業部門の中にマーケティングが位置づけられています。そのため、業務は一般的なマーケティングの枠に収まりません。一般的なB2Bマーケティング手法、例えばウェビナーやオフラインイベント、式場様へのDM送付やメルマガ配信などはもちろん、必要に応じて訪問営業や架電を実施することもあります。ミッションは、MRR(月間経常収益)を増やすこと。そのために、まずは営業が一つでも多くの式場様からアポイントをもらえるよう施策を実行しています。
ほかにもブランディングとして、TAIANが「どの場所で、何を、どう伝えるべきか」ということを常に考えています。ブランディング目線でクリエイティブに関わったり、PR領域に近い仕事や、営業資料づくりのサポートをしたり。マーケティング・ブランディングという肩書きでありながら、やっていることは事業推進にかなり近いと感じています。
──一緒に動いているメンバーはいますか?
基本的に私一人で担当しています。ただどんな仕事も、私だけで完結することはほとんどありません。何かを進める際は、いつも他部門と一緒に動きます。たとえばセールスと連携して営業資料をアップデートしたり、カスタマーサクセスと連携してWebサイトに載せるための事例をインタビューさせてもらったり。最近ではプロダクト部門と、AI系の新機能をどのようにお客さまへ伝えるかを相談したりしました。クリエイティブ制作では、デザイナーとの連携も欠かせません。TAIANのビジョン「アツさとあたたかさで溢れる社会を実現する」のもと、みんなで一丸となって動いています。
──仕事をしていて面白さを感じる点は?
教科書通りのマーケティングがほとんど通用しないところです。日本の婚礼事業者様は、約2500前後と言われています。これはBtoBの事業としては決して大きな市場ではなく、独特の難しさがあります。今年の3月から12月までで、大小合わせて30ほどの施策を実行、延べ1200人ほどの業界関係者とのご縁をいただきました。しかし、「これだ」と言える成功の黄金律にはまだ出会えていません。正解が見えない状況にしんどさを感じることもありますが、でもその分だけ、試行錯誤の余地がある。難しさこそが、この仕事の面白さだと感じています。
「何者かにならなきゃ」「置いていかれたくない」。
いつも焦っていた20代前半
──TAIANに入社するまでの変遷について聞かせてください。
大学3年のときに、大手広告代理店の子会社でインターンを始め、その後大学を休学して、その会社の正社員となりました。クライアントは大手企業が中心で、私は新規事業開発とマーケティング、コンサルティングを担当。新規事業のアイデア創出や実証実験、事業計画書の作成、消費財領域ではシャンプーや化粧品のコンセプト開発に関わったこともありました。朝から晩まで、毎日とにかくがむしゃらに働いていましたね。
──学生生活を早めに切り上げ、前倒しでキャリアをスタートした理由は?
当時の私は、常に「何者かにならなくては」という焦りを抱えていたんです。背景にあったのは、受験の頃にできた友人グループの存在です。みんなで同じ塾に通い、学歴も、アルバイトも同じ。足並みを揃えて歩いてきましたが、私から見ればみんなは自分よりずっとハイスペックで。社会人になったらきっと、彼らはすぐ「何者か」になってしまう。みんなに置いていかれないように、自分は2年ほど早く社会人になろうと決めて、就職したわけです。
ただ、3年働いた後に、やっぱりもう一度大学に通いたいと思うように。会社を辞めて学業に復帰しつつ、別の広告代理店で働き始めました。これが、自分のキャリアにとって大きなターニングポイントになりました。
──というと?
それまでBtoC領域でプロモーションやブランディングを担っていましたが、ここでBtoBへと舵を切ることになったんです。
釈迦に説法ですが、一般的にB2Bマーケティング/営業は論理の世界と言われています。しかし、2021-22年頃から、論理の世界の中でもクリエイティブの重要度が高まっている実感がありました。21年のSmartHRの交通広告グランプリ最優秀部門賞受賞、22年のクリエイティブB2B部門「Creative B2B Lions 2022」新設などがあったからです。この数年続いていたタクシー広告ブームも、B2Bマーケティングにおけるクリエイティブの重要度の高まりを感じる出来事でした。
自分の強みは、論理と感性のバランスが取れていることだと思っています。全部150点を作ることは難しいけど、クリエイティブ制作から、各種施策のオペレーション、数値管理まで含めてどれも85点くらいは出せる。
情報が溢れ機能がコモディティ化するこれからの市場感と自分の強みを踏まえると、B2Bマーケターとして経験を積んだ方がいいのではないか、と思い、より総合力が求められるBtoBマーケティングの道を選んだんです。その後別のSaaS企業で展示会への出展、ホワイトペーパーの企画・制作、リード獲得施策などを一通り経験し、マーケティングの基礎体力を身につけました。ここで培った感覚や視点は、いまのTAIANでの仕事にも確実に活かされています。
──横断的にさまざまな経験をしていますね。
振り返ってみると、スタンプラリーのように「経験」を集めていたと思います。ひとつの分野で金メダルを目指すというより、銀メダルレベルでいいから次へ進む。できるようになったら、また別の領域へ。そんなサイクルを繰り返してきました。
スキルを五角形で表すとしたら、理想はどれか一辺だけが突出している形ではなく、すべてが4.6くらいで整っている状態。尖ることよりも、できないことをなくしていくこと、バランスよく引き出しを増やすことを大切にしていました。
TAIANとの出会い。結婚式そのものではなく、
オフライン×データの可能性に惹かれた
──そんな平田さんが、TAIANへの転職を選んだ経緯が気になります。結婚式という領域に、もともと関心があったのでしょうか?
いいえ。結婚式そのものに強い関心があったわけではありません。私が惹かれたのは、結婚式という営みの過程で多様なデータが蓄積されていく、非常に稀有な事業領域である点です。そこに、データを起点とした新しいビジネスの可能性を感じました。
さらに背中を押したのが、結婚式が「熱量の高いオフラインの場」であるという事実です。
AIの台頭によって、最近のオンラインコンテンツはどこか既視感のあるものが増えてきました。そんな時代だからこそ、人の記憶や感情に深く残り続ける価値は、オフラインにしか存在しなくなるのではないか──。そう考え、婚礼事業の可能性を追いかけてみたくなったんです。
──マーケティング・ブランディングの部署に入った背景は?
もともとの希望としては、人事をやりたいと思っていました。これまで、個々は優秀なのに組織の仕組みのせいでうまく回らない場面を何度も見てきて、「人」や「組織」をつくる側に回ってたいと思っていたんです。その気持ちを率直にお伝えしたうえで、最終的にマーケティングで採用されました。
当初の希望とは異なる配属でしたが、不思議と迷いはありませんでした。面接を重ねる中で、婚礼業界におけるボトルネックの1つにマーケティングやブランディングがあると強く感じるようになっていたからです。自分がその領域で価値を出せれば、事業も、組織も、業界も前に進んでいくはず。「このポジションで挑戦したい」と自然に思えるようになりました。
──入社時、TAIANに期待していたことはありますか。
上場を経験することです。1社目で事業開発のコンサルティングをしていたのですが、上場などの当事者経験がないのにコンサルティングをすることに、違和感を感じていました。だから人生の中で一度は、上場のプロセス経験したいと思っているんです。TAIANには、それができる現実的な可能性がある。そう感じたことが入社の背中を押しました。上場を目指す気持ち、今も揺らいでいません。
想いを共有するメンバーがいるから、前に進める。
現場で実感したTAIANのカルチャー
──最近の業務で、心が強く動いたエピソードはありますか?
直近では、11月に日建設計の共創プラットフォーム「PYNT」と共同実施した、次世代型の屋外結婚式イベント「街じゅうが、乾杯する日」が忘れられません。お祝いされるカップルを目の前にして、結婚式の素晴らしさを改めて肌で感じました。気づけば、結婚式に興味が薄かった自分も「いつか挙式をしたい」とわくわくしていて、TAIANの事業価値を強く実感する時間になりました。

誰かを祝う幸せな気持ちが連鎖する新しい結婚の形。『街じゅうが、乾杯する日』レポート|TAIAN Stories
そして、この日のエピソードとして特に印象に残っているのが、トラブル対応です。イベントが始まり、司会が話し始める直前になって、私がマイクを用意できていなかったことに気づいたんです。どうしよう、と青ざめたのですが、その瞬間、周囲のメンバーやカップルが自然と声を張り上げて協力してくれました。誰かが指示を出すわけでもなく、それぞれが状況を判断し、コミュニケーションで乗り越えていく。その空気感に、強く心を打たれて。一人ではできないことも、チームならやり遂げられる。人と一緒に働くことの価値を、身をもって感じた瞬間でした。
──みんなが同じ方向を見て、ひとつになったんですね。
TAIANのメンバーと働いていると、こういう感動をよく味わいます。みんな「本気で業界を良くしたい」という想いを起点に動いているから、お客さまや業界にとって価値を届けるために、立場や役割を超えた協力が生まれる。「誰のための仕事なのか」という軸が共有されているから、判断に迷いがない。おかげで仕事を進めやすく、安心して物事に挑戦できます。
──いろいろなチャレンジを繰り返す中で、平田さんはどんなときに手応えを感じますか?
やはり、自分が考えた施策やイベントをきっかけに、受注や売上が生まれたときはうれしいですね。ただ最近は、アポや売上の数値が低い施策も大事にしたいと思っています。たとえイベントでリードを獲得できなくても、回数を重ねていけば、お客さまとの接点は確実に増えていく。短期的な結果に一喜一憂するのではなく、長い目で関係性を育てたいです。
「幸せの総量を底上げする会社」へ。
社会にポジティブな熱気を生み続けたい
──平田さんの中に「自分の名前で一旗揚げたい」という思いは今もありますか?
完全に、とまでは言いませんが、ほとんどなくなりました。むしろ今は、勝ち負けを競い続ける資本主義のど真ん中から、ほんの少し距離を取った場所に行きたいという気持ちがあります。競争を降りたいわけではないし、お金を稼いでいたい気持ちも強くあるのですが、いつでも資本主義から距離をとれる自分でいたいと思うようになったんです。
理想を言えば、30代後半あたりで本屋さんを始めるなどして、週に何日かは自由に働きたいと思っています。ただ、そのためにも今は、一度きちんと資本主義の中心でやり切る必要がある。せっかく、心からやりたいと思える仕事に出会えたのだから、しっかり結果を出してから落ち着きたいという気持ちがあります。
だから今は、TAIANの仕事に集中します。先ほど、経験を集めるスタンプラリーのような感覚で動いてきたと話しましたが、やはり、やったことの数と成果は別物。単に経験を積むだけではなく、結果にもしっかりこだわりたい。成果で評価してもらえるように今後も頑張ります。
──応援しています。そんな平田さんが一緒に働きたいのは、どんな人でしょうか?
営業経験が豊富にある人です。私自身は、営業の現場経験があるわけではありません。だからこそ、アポの感覚や現場で何が武器になるのかを身体感覚で知っている人がいれば、マーケティングの打ち手はもっと強くなると思っています。もしそういう人が入ってくれたら、私は、先日の日建設計との案件のように、価値は大きいけれどリソースがかかるプロジェクトに迷わず踏み込めるようになる。個人としても組織としても、次のフェーズに進める感覚があるので、ぜひ力を貸してほしいです。
──ありがとうございます。最後に、これから成し遂げたい目標を教えてください。
上場を実現し、社会に確かなインパクトを残したいと思っています。そしてTAIANを、業界のグロースドライバーとして、回復へと導くキーマンとして、真っ先に名前が挙がる存在にしていきたいです。そのために、イベントや対話の場を通して、TAIANが大切にしている思想やスタンスを世の中に示し続けていきます。
TAIANが「幸せの総量を底上げする会社」として、社会にポジティブな熱量を生み出し続けていけるように。熱い仲間とともに、笑顔あふれる未来をつくっていきたいと思っています。
文:安岡晴香 編集・写真:出川光(ノンブル社)
デザイン:Urara Hashimoto(TAIAN)