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クライアントワークの枠を超えて、イノベーションを起こし続ける事業モデルとは


船木 大郎
 都立新宿高校卒。スパイシーソフト株式会社では人気シリーズ「チャリ走」の開発に参加。その後、株式会社ユニコンを設立、COOに就任。マーケティングオートメーションサービス「Fello(現MAJIN)」の立ち上げに開発設計・事業オーナーとして関わり、株式会社ジーニーに事業売却を行う。2017年7月より現職に参画、現在はスタートアップや新規事業立ち上げを支援するLean Startup Unitのマネージメントを行う。

中野 崇
 早稲田大学教育学部教育心理学専修卒後、良品計画からキャリアをスタート。2005年にマクロミルへ入社し、マクロミル初の海外支社・上海支社の立ち上げに携わる。その後韓国へ渡り、取締役として韓国支社の経営再建を先導する。2018年、グループ会社である電通マクロミルインサイトの代表取締役に就任し、2年で経営改革を成し遂げた後代表の座を退き、2020年7月にSun* へ参画。


イノベーションを起こし続けるB-T-Cの三角形

--イノベーションを起こす組織の要素として、昨今B-T-C型のアプローチというのが注目されていますが、これってつまりはどういうものなんでしょうか?



船木:
そもそもビジネス(B)・テック(T)・クリエイティブ(C)とはプロダクトを作る上で必ず必要となる要素ですが、従来型のビジネスモデルではそれぞれのフェーズがウォーターフォール的に断絶されています。

ビジネスプロデューサーが狙うべきマーケットやビジネスモデルを固め、リサーチャーやマーケター、プランナーなどが具体的なコンセプトに落とし込み、それをデザイナーがプロダクトのデザインとしてアウトプットして、そこで初めて開発側にパスされると言う風に。

上流で決められたものは覆ることがないが故に、プロダクトの原点になった思いは伝言ゲームのように少しずつ変容していきます。

中野:
そこでどういう問題が発生するかというと、実はB・T・Cそれぞれの領域でアプローチの仕方や言葉選びなども含めた表現の仕方が全く違うので、意思疎通に断絶が起きやすいんですよね。

例えばビジネスサイドの人間は数字に強く、ロジックを積み重ねて勝ち筋を導くのに長けている一方、クリエイティブ領域の人たちはユーザーインサイトなどから本質を見抜く感性を持っている。その両者が対話するのは、日本語話者と英語話者同士でコミュニケーションを取るくらい大変な作業です。

さらにそれぞれの領域を担う会社が違うとなると、そこには絶望的なまでの溝ができてしまいます。

船木:
本当にそうですよね。なまじっか同じ日本語を使っているから、余計にお互いに伝わっていると思い込んでしまい齟齬が顕在化するまでなかなか気づけないパターンも多い気がします。

そうすると、結果として作ろうとしているプロダクトが全く違うものになったり、あるいはユーザーに使われないものが出来上がってしまう。

そこに対するカウンターとして重要視されるようになったのが、三要素がプロダクト作りの最初期段階から三位一体となるB-T-C型のアプローチです。

中野
クライアントやユーザーの課題を起点にしてビジネス領域がビジネスプランを立て、クリエイティブ領域がUXやデザインに落とし込み、テック領域でプロダクトを形作る。その三者連携がしっかり調和すると、プロダクトは必然的に良いものになります。

特にSun*は一つの会社の中にそれぞれの領域のスペシャリストが揃っていて、もちろん先述のような課題はありつつも、社員一人一人が本気でB-T-Cの三角形を実現しようとしているそこに大きな魅力を感じたからこそ、僕はSun*に入社を決めました



各領域のスペシャリストが本気で挑む、Sun*のB-T-C

--先ほどおっしゃっていたようなB-T-Cが連携する際の難しさについては、Sun*ではどのようなアプローチをされていますか?

中野
僕個人が意識していることとしては、B・T・Cそれぞれで使っている言語が違うという前提に立ちつつ、小さな溝を放置するとそれがコミュニケーションや関係性の断絶につながるので、しっかり繋ぐアプローチを意識しています。

これまで何度も事業やプロダクトを立ち上げて来ましたが、戦略や技術の問題よりも、断絶によって周囲の支援を適切に引き出せず、プロジェクトが円滑に進まないリスクの方が大きいとも感じています。

船木
組織としても、「B・T・Cそれぞれが自分の領域と違う言語も話せるようになろう」という働きかけは行っています。ぺらぺらに話せる必要はなくて、大枠さえ捉えられれば、少なくともお互いに思考回路とかが全然違うことは分かるので、意識して歩み寄っていくというマインドは共通で持っていると思います。

中野
結構その辺りは採用にも現れていると思っていて、Sun*にジョインする人に共通しているのは「自分の役割はここまでだ」と仕事の範囲を区切る人がいないことだなと感じています。

良いプロダクトを作ろうという共通の思いの下、それぞれがバリューチェーンを前後に伸ばすことで”のりしろ”が生まれる。例えるならバトンのリレーを渡すときのように、渡す側も渡される側も、スピードは維持しながらもお互いに配慮して、うまく繋がるように動こうという意識を持っている人が多い。

そこは採用においても大きなポイントだと思っています。



クライアントワークにおけるB-T-C型アプローチ、キーワードは「経営者目線」

--確かに。そこは人事として面談する中でも結構気をつけているポイントかもしれません。B-T-C型アプローチは事業会社の経営改革のような、イノベーションを生み出す文脈で語られることが多いですが、それをクライアントワークで行うにあたってなにが大切になってくるのでしょうか?

船木
最も大切なのは、B-T-Cそれぞれの要素がまだ固まり切る前から、クライアントも含めたワンチームでB-T-Cの三角形を作ることです。

例えばMeeTruck株式会社(ソフトバンクと日本通運が設立した合弁会社)とのプロジェクトでは、ビジネスサイドはクライアント側に立っており、Sun*は事業の構想段階からクリエイティブ領域を担っていました。構想段階から参画できたことで、クライアントの「この事業を成功させたい」「物流の現場で働く人々をサポートしたい」という熱意を直に受け取り、それに応える形でユーザーに本当に必要なUXはなにか、どのようなシステム設計に落とし込んでいけばいいのかなど、ビジネスの領域に対してクリエイティブ・テック両側面から積極的に提案をし、事業を立ち上げることができました。

もう一つ大切なこととして、B-T-Cの三角形の中に経営者や決裁者を巻き込むことが挙げられます。B-T-Cの三角形の中でいくら話し合いを持っても、その外側に決済者がいることで新たな齟齬が生まれてしまう。最初期段階からB-T-Cの三角形を作った上で、そこに経営陣を巻き込み、コンテクストやプロセスを共有することで、ステークホルダー間でプロダクトに対する共通の思いを持つことができます。

中野
そのために大切なのは、自分たちがまず「経営者目線」を持っていることですよね。

Sun*が提唱するDX(デジタルトランスフォーメーション)は、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」の2種類が存在していますよね。前者は”業務プロセスをデジタル化”することでクライアントの生産性を向上させる課題解決型のDX、後者は”事業をテクノロジーでアップデート”することで新しいビジネスを生み出す価値創造型のDX。


特に後者に関しては、クライアントの経営を改革する、つまりイノベーションを起こすほどのインパクトを与える意思決定がなされなければなりません。

そのためには、Sun*側がクライアントの経営陣の信頼を勝ち取り、近い距離でコミュニケーションを取る必要があります。その時に「経営者目線」で事業を語れるかどうか、ある意味その会社よりもその会社のことを考えられるかどうかが、説得力を持ってクライアントと対話できる重要なポイントだと思います。

今絶賛進行中のプロジェクトでは、ここでお話ししているピースが全てカチッとハマっていると思っていて、B-T-C全てのリソースをSun*側で担った上で、経営改革・事業改革であるデジタライゼーションプロジェクトを、クライアントと非常に近い距離感でご支援させてもらっています。

それだけの関係性が作れると、じゃあ一つのプロダクトを作って終わり、ではなく、包括的にSun*が支援できる幅が広がっていきます。クライアントからの信頼を得られる、ワンチームを作れていると感じられるのは純粋に楽しいですし、プロダクトが形になり世の中へ開示できる日が楽しみです。




クライアントワークだからこそ、クリティカルな部分へ切り込める

--なるほど、クライアントとワンチームを作れるかどうかが鍵になるんですね。クライアントとはどうしても受発注の関係で、その枠組みの中で動きづらくなるのでは、という印象を持っている就活生の方もたくさんいると思いますが、それはどう乗り越えていますか?

船木
クライアントワークに対する懸念として、例えば学生さんからすると「外にいる立場からでは、プロダクトにインパクトを与えられないのでは」とか、あるいはクライアントにとっても「結局外の人間だから無責任に口を出すだけなのでは」などが挙げられると思います。

前者に関してはむしろ逆で、クライアントワークだからこそ、事業責任者などプロダクトの核を担う立場の人と話ができるので、そもそも構造として最初からクリティカルな部分に入り込むことができます

さらに言えば、どちらの懸念にせよ自分の気持ち一つで変えられることだと思っています。クライアント以上にその会社のことを考える、事業の一員として振る舞うことで、クライアントワークの枠は超えられると思っています。

中野
もちろん、提案して終わりではなく実現に向けて一緒にやり通すことも重要で、Sun*という組織はクライアントの熱意に応えたいメンバーの背中を、全力で後押しするマインドを持っている組織だと思います。だからみんな忙しいんですけどね(笑)

クライアントワークの魅力を付け加えるとすれば、多種多様な業界に携われるので、知的好奇心を満たせることかなと思います。特にSun*に相談してくるお客様は、業界の中でも全く新しいことをしようとしている会社も多い。

まっさらな状態からスピーディかつ精緻に新しいものを作り上げていくのは、おそらく想像の何倍も大変ですが、だからこそSun*で三つの事業支援に携われば、三社で仕事したくらいの経験値が得られます。これだけ新規事業やDXのプロフェッショナルに早く近づける環境はないと思っています。




挑戦する人には機会を、新卒から活躍できるSun*という組織

--最後に、Sun*は、お2人のように十分な経験とそれに伴うスキルを身に着けた上で、各々の理想を現実にするためにSun*という場所を選んだメンバーが多いと思いますが、そのような環境でまだ何の経験も積んでいない新卒が活躍できる場はあると思いますか?

船木
お話ししてきた通り、私たちはクライアントが作りたい事業に対して自分ごととして捉えて、PLホルダーであるというくらいの自覚を持って接しています。

もちろん新卒の方に対してもその意識を持ってもらえることを期待していますし、挑戦できるタイミングや場所は用意できると思っています。

実際今まで入社してくれた新卒メンバーも、みんな渡したものに対してしっかり期待に応えて活躍してくれているので、正直年齢だとか経験だとかは関係がないんだなと感じています。

辛いことも振り切って、責任を持って突き進める人にとっては、必ず大きく成長できる環境があるのがSun*という組織です。

--船木さん、中野さん、ありがとうございました!

▼Sun*について
2012年創業、現在4ヵ国7都市に拠点を展開し、グループ全体で1500名を擁する「デジタル・クリエティブスタジオ」として、クライアントが抱える新規事業・DX領域の課題に対して、課題の整理・ビジネスデザインの立案・事業開発・デジタルプロダクトの開発までの、コンサルティング~エンジニアリングを一気通貫で支援しています。

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