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「真剣にホテルに向き合う仲間がいるって最高」東京の旅行代理店、直島でのホテルの立ち上げを経験した私が、金沢のブティックホテルで天職に巡り合うまでの話と、これから挑戦したいこと

L&Gには、多様なバックグラウンドを持つ若い人材が集まっている。

「呼ばれてる気がする!今しかない、行かなきゃと思って飛び込みました」

長崎萌音さんのキャリアは、そんな運命的な出会いと思い切った決断の積み重ねだった。生まれてから大学卒業まで首都圏で育ち、「就職活動の時は、地方で働くなんて想像もつかなかった」と語る彼女が、本当にやりたいことを真っ直ぐ追い続ける中で、今のホテルの仕事にたどり着くまでの道程とは?また、彼女が考えるホテルの仕事の魅力について話を聞いた。


プロフィール
長崎萌音1995年生まれ。千葉出身。学生時代から観光の仕事に憧れて新卒で、ネット系の旅行代理店に入社。その後、瀬戸内海の直島で働きたいという思いから移住を決意。地元の元漁師が営むゲストハウスの立ち上げに参加。4年間の島での生活を経て、2022年の1月にL&Gに入社。金沢のブティックホテル香林居のホスピタリティーチームの一員として日々最高のおもてなしを追求している。



観光の仕事に興味を持ったきっかけは中学校の職場体験

-今の仕事に興味をもった原体験について教えてください。

私は千葉県の成田市出身なんです。両親共に成田空港で働いていて、空港から車で10分くらいのところに住んでいました。中学からは東京に近い中高一貫校に通っていたのですが、中学生の時に職場体験がありました。当時の私は、他の女の子と同じく美容院とかケーキ屋さんとかを希望していたのですが、人気のところは倍率が高くて外れてしまって。それで、JTBに行くことになったんです。その頃は旅行代理店の仕事なんて知らなかったので、特に期待もしていなかったのですが(笑)実際に行ってみると、社員さんが子どものように目を輝かせながら楽しそうに働いている光景を見て衝撃を受けました。「大人がこんなに楽しそうに働いてるのって見たことないぞ」って。それから「私も観光業界で働いてみたい!」と思うようになりました。担任の先生に相談すると、「だったら、立教大学の観光学部がおすすめだよ」って言ってくれて。そのままの勢いで立教大学観光学部に進学しました。

-大学時代はどんなことに取り組んでいたんですか。

大学では、観光学部の交流文化学科で民族史や観光歴史学などを学んでいました。後に移住する直島のことは大学の授業ではじめて知ったんです。サークルの友達と一緒にはじめて旅行で行ってからは大好きになって、毎年行くようになりました。ちなみにサークルは、ホテル研究会に入っていました。立教大学のホテル研究会は長い歴史と伝統のあるサークルで、OB・OGには某ホテルのお偉いさんもいるようなところです。アルバイトは、池袋にある大きなホテルのレストランのホールで働いていました。こうして振り返ると観光とかホテル関連の話ばかりですね(笑)


「私にとって働くってわりきれないこと」
新卒2年目で本当にやりたいことを求めて直島への移住を決意

-ここまでは夢に向かって順風満帆な印象ですが、1社目ではキャリアに悩んでいたとか。

中学生の頃からの夢もあったので、就職活動では旅行代理店を中心に受けて、ネット系の旅行代理店に入社しました。入社後はオペレーターのような仕事をしていたのですが、はじめて間もなく、自分がやりたい仕事とは違うかもしれないと感じるようになりました。旅行に関わる仕事と言ってもいろいろな分野があるのにちゃんと考えられてなかったなと。就職活動の時も実はちょっと迷いがあったのですが、当時は東京で働くのが当たり前みたいな考えもあって、自ら選択肢を狭めてしまっていました。

まわりには「仕事はお金を稼ぐための手段で、プライベートで自分のやりたいことをやればいいんじゃない?」って考えの子が多かったのですが、私にとって働くってわりきれないことだと思いました。「仕事も自分が心から楽しいと思えることを全力で頑張りたい」そんなことを考えているうちに学生時代に何度も行った直島で働きたいという思いがどんどん強くなっていきました。求人を探していると、たまたま小さなホテルのオープニングスタッフの募集があって、「今、行くしかない」と思って、社会人2年目で思い切って直島に単身で移住をすることにしました。

-いきなり直島に移住するのは勇気がいると思うのですが、迷いはありませんでしたか?

誰にも相談しないで決めたので、親はびっくりしてました(笑)
学生の時は、「いい人生は、いい大学に行って東京の会社に入って結婚して退職して、パートで働きながら子育てすることだ」みたいな典型的なイメージが私の中にもあったんですけど、そんなのどうでもいいやって思ったんです。実際に働いてみて、そんなの私の幸せじゃないって気づきました。私がやりたいことは島にある、島に行きたい、島で働きたいという思いが勝ちました。「自分の人生を楽しくさせるのは自分しかいない。行っちゃおう」って思いました。


直島でいちからホテルをつくった4年間
コロナ禍の経験から芽生えた「もっと強くなりたい」という思い

-直島での仕事と生活はどうでしたか?

直島のことは今でも大好きです。第二の故郷というか、心の故郷だと思っています。

コンビニは21時で閉まるし、スーパーの値段も高いし、化粧品や服を買うには船に乗って岡山や香川まで行かないといけない。でも、ぎゅうぎゅうの満員電車で通勤していた頃より、休みの日に船に乗って出かける島の生活の方が断然いいなって思っていました。
就職したホテルは元々漁師さんだった島のお父さんお母さんと息子さん娘さんの4人家族が新しくはじめた宿で、最初は、社員も清掃の人をのぞけば私1人。空のホテルに突然立たされたみたいな状態でした。オーナーのお父さんは「島のことなら俺にまかせろ」みたいなタイプで、実の娘みたいに接してくださったのですが、ホテル業界のことは全く分からないという状況でした。ずっと島で暮らしておられるので、英語やITにも馴染みがない。「これは忙しくなりそうだぞ」と思いました(笑)

「うがいのコップなくない?」「ちょっと宇野港で買って来ます」みたいなところから、「ネッパン全然繋がってないけど大丈夫?」「このbooking.com、楽天と料金全然違うじゃん」等々。すべて自分でどうにかしないといけない状況だったのでオペレーションの力はそこで鍛えられました。毎日やることが山積みで大変でしたが、苦痛ではなかったです。ホテルをいちから創り上げていく感覚は楽しかったし、自分が考えたことでゲストが喜んでくれた時は、今思い出しても泣きそうになるくらい嬉しかったです。

-思い入れの強い直島での生活からL&Gへの転職を決めた経緯を教えてください。

手探りでホテルを運営していく中で、毎日業界の情報を調べていたのですが、そんな時に、たどり着いたのが代表の龍崎翔子さんの記事でした。同じ年の女性がこんな素敵なホテルをつくっているってことを知って、すぐにファンになって、それからホテルや働いているスタッフさんのSNSもチェックするようになりました。今働いてる香林居の上司の山野さんもはじめはTwitterで素敵な人がいるって思ってフォローしてたんです(笑)insta LiveやMEET UPなどにも参加していて。当時は翔子さんやL&Gのホテルで働いている人たちは憧れの存在でした。

本格的に転職を考えるようになったのは、コロナ禍の影響が大きかったかもしれません。
全国に緊急事態宣言がされていた時は島も全て閉鎖状態で、時が止まってしまったような感覚で、当時は、「もっと自分に力があれば、もっと強くなりたい、もっと挑戦したい」という思いを抱えたまま身動きが取れない状態でした。一方で、そんな逆境の中でも未来に泊まれる宿泊チケットやホテルシェルターなど、ずっと「今ホテルに出来ることってなんだろう?」と考えて行動し続けている翔子さんやL&Gのみなさんの姿に胸を打たれました。
これまでは、ずっとひとりで手探りでホテルをつくってきたけど、改めて、もう一度いちからホテルについて学び直してみたい、そんな思いでWantedlyに登録したら、たまたまL&Gの人事担当の人からメールをいただきました。それでまた、「これは呼ばれてる!今、行くしかない。」って思って転職を決めました。

私が地域に根をはって「金沢の人」になることで、             この街の魅力をゲストに伝えていきたい

-香林居で働いてみてどうですか?

今、結構やりたいことが出来ているかもしれないって思っています。
ホスピタリティーを強化していきたいって思いを社員全員が持っているので、入社して間もない私でも「ゲストのこの人にこういうことしてあげたいんです」って提案をすると、みなさん「いいじゃん、それ!」みたいな感じで聞いてくださるんですよ。そこから、「もっとこうしたらいいんじゃない」みたいに意見が飛び交うこともよくあって、真剣にホテルに向き合う仲間がいるって最高って思いました。

私はホスピタリティーチームのメンバーなので、毎日どうしたらもっと目の前のゲストに喜んでいただけるか、最高の宿泊体験を提供できるかを考えています。答えがない分野ですが、そこに面白さを見出せる人にとっては楽しくてやりがいのある仕事だと思います。私たちのホスピタリティーチームでは、ただのスタッフとゲストという役割に縛られた関係ではなくて、私長崎萌音と、ゲストの◯◯さんという顔が見えて名前のある個人同士の関係を大切したいと思っているので、ひとりひとりのゲストに対して、この人どんなことをしたら喜んでくれるだろうかということを考えています。

-今後挑戦していきたいことはありますか?

いろいろありますね。香林居がある金沢という地域と季節、そこに私たちのホテルが提供する蒸溜や瞑想といったコンテンツをうまく繋ぎ合わせるような宿泊体験を提供したいと考えています。支配人の笠井さんの考えでもあるんですけど、この地域の魅力を感じてもらえる空間にしていけたらいいなと思っています。直島にいた時は4年間滞在していたので、島のことなら何でも知っていて、島のことだ大好きだったので、どんなゲストの要望に対しても、自信を持って「あなただったら、ここ絶対に気にいると思います」お伝えすることが出来ました。
金沢はまだ住み始めて4ヶ月なので、まずは、私が金沢のいいところを発見して、「金沢の人」になることが大切だと思っています。香林居の魅力は地域の歴史や伝統に由来のあるコンテンツなので、自分が地域に根をはってそういうものを自分の中にしっかり落とし込んだ上で、グストにお伝えしていけたらと思います。

-最後にこんな人と一緒に働きたいという人はいますか?

入社間もない自分が言うのはおこがましいですが(笑)
「逆境を楽しめる人、未完成を楽しめる人」が向いてるんじゃないかなと思います!


編集後記
仕事の話をしている時はずっとはじけるような笑顔が印象的だった長崎萌音さん。まさに彼女が中学校の職場体験で出会った「子どものように目を輝かせながら楽しそうに働いている大人」の姿そのものだと思いました。働き方の選択肢は広がる一方で、慣れ親しんだ環境や価値観から一歩踏み出すのはまだまだハードルが高いように思える現代。社会人になってはじめて、世の中で漠然と信じられているいいキャリアやいい人生が「こんなの私の幸せじゃないと気づいた」という彼女の話や、その後自分だけのキャリアと人生を切り開いていく姿は、これから新しく挑戦したいと考えている人たちに勇気や希望と小さなきっかけを与えてくれるのではないかと思いました。4年間滞在した直島は「心の故郷、島のことが本当に大好きで知らないことはないくらい」と語る長崎さん。金沢での暮らしはまだまだはじまったばかりです。

執筆/写真:金井塚 悠生

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