テクノロジーと人をつなぐ「翻訳者」として、アジアNo.1をめざす|株式会社ストリートスマート 代表取締役 松林 大輔
2009年の創業から15年、「テクノロジーと『人』をつなぐ」をミッションに、Google WorkspaceTM を中心としたクラウドサービスの導入・活用支援を行ってきた株式会社ストリートスマート。当社は今、大きな変革期を迎えています。
今回は代表取締役の松林大輔に、ストリートスマートのこれまでの歩みや使命、ASEANへの事業拡大などについて詳しくインタビューしました。
なお記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。
「テックイネーブラー」としての立ち位置![]()
当社は創業当初より、Google Workspace を中心にクラウドツールの導入から定着まで一貫した支援を行ってきました。たとえ便利な優れたツールであっても、その価値を引き出せるかどうかは使う人次第。同じツールでも、使いこなせる人と使えないままの人との差は大きいのが現実です。
「Google Workspace という便利なツールを、皆さんに最大限使いこなしていただきたい」
そんな想いから、私たちは導入支援だけでなく、活用フェーズまで徹底的にサポートしてきました。
特にGoogle のツールは、仕様変更やロゴやUIの更新が頻繁に行われるため、マニュアルや研修内容もそのたびにアップデートが必要になります。ときには数百ページ単位で改訂が必要な場合もあります。ここまで細かく対応している会社はなかなかないので、私たちの強みだと自負しています。
当初は中小企業を中心に導入を進めてきましたが、実績を積み重ね、現在は大手企業や教育機関、自治体までにも支援が広がり、事業領域も拡大しています。
そのうえで今回は、今後の3つの事業展開についてお話ししたいと思います。
1. Google からCanva へ——「テックイネーブラー」としての役割の広がり
私たちの1つ目の事業の柱は「テックイネーブラー」としての役割。
テックイネーブラー(Tech Enabler)とは、「テクノロジーを活用し、他者のビジネスや業務変革を可能にする存在」を指します。単なる技術提供者ではなく、顧客や組織の課題に対してテクノロジーを橋渡しする役割を担い、変革・成長・競争力の向上を支援します。プロダクト提供者側に対してのカスタマーサクセス領域での支援や、ユーザー側に対してコンサルティングやトレーニングなどの伴走支援のサービスを提供します。
創業当初はリソースが限られていたため、選択と集中を図り、まずはGoogle Workspace に特化した支援から事業をスタートしました。
しかし昨今、スマートフォンをはじめとする新しいハードウェアの普及に加え、クラウドやSaaSの活用、さらにはフリーミアムなど無料で使えるサービスの増加と、使うほど便利になるサービスの進化するスピードはますます加速しています。
一方で、そのスピードについていけず、新しい技術をスムーズに取り入れられない人も増えており、これまで以上にリテラシーの差が大きく開いてきているのが現状です。その結果、生産性にも明確な差が生まれはじめています。
さらに、AIのように業務そのものを代替してくれるサービスが普及していくことで、このリテラシー格差による生産性の差は、今後さらに拡大していくのではないかと感じています。
だからこそ、私たちのような企業が、そのギャップを埋める「橋渡し」となり、この課題の解決に貢献していきたいと考えています。
そんな中、当社が現在注力している事業の1つが、デザインプラットフォーム「Canva」です。全世界で普及が進んでおり、昨年は大手企業がディストリビューターとして参入するなど、市場が活発化しています。
しかし、Canva のような優れたツールをメーカーが開発し、代理店が販売しても、実際にユーザーが使いこなせなければ、広く普及はしません。そういう意味で、当社のサービスとの相性が非常に良いと考えています。
Canvaは直感的でわかりやすいツールである一方、使いこなすには一定の知識や慣れが必要な多機能ツールです。Google Workspace と同様、「使えたら嬉しいけれど、実際は使いこなせていない」と感じている企業や団体に対して、私たちが丁寧に使い方をお伝えすることで、メーカー・代理店・ユーザーすべてにとって良い循環が生まれ始めています。
2.AI × 業務支援——「教える」から「変える」へ
次なる当社の事業の柱。それは「AIの活用」です。
あらゆる分野、業界でAIに注目が集まっているのは言うまでもなく、Google もAI事業に大きく舵を切っています。Google が注力するAI技術「Gemini」の開発は加速しており、Google Workspace 上でも活用の幅が広がり続けています。
たとえばドライブ上の資料検索や整理、AppSheet を使った業務アプリの構築、Salesforceとの連携による売上予測など、実務に直結する機能が次々と実装されてきています。クラウドとAIの親和性の高さもあり、Googleのツールはよりスマートに、より強力な業務インフラになりつつあります。
こうした流れの中で、私たち自身の役割ももう一段階、進化する必要があると感じています。これまではお客様に、研修やマニュアルの提供といった教育支援を行ってきました。
しかしこれからは、教育するだけでなく、実務の中でどのように活用し、どう業務を変えていくのかを一緒に考え、業務改善まで伴走していく支援が求められていると感じています。
AIは便利なツールですが、それをどう使い、どこまで業務に組み込めるかで成果の出方が大きく変わります。テクノロジーは目的ではなく手段。私たちはこれからも、人々がテクノロジーを使いこなすために、」安全に使用できる環境や土壌を整備し、リードする存在でありたいと思っています。
3.ASEANへの事業展開——アジアNo.1をめざす
3つ目の事業展開の柱は「ASEANを中心としたアジア諸国への進出」です。
私たちが取り扱っているGoogle Workspace やCanva は、もともとグローバルプロダクトです。実際、ASEAN全体のユーザー数は日本を上回っており、潜在的なニーズは非常に高いと感じています。
それにもかかわらず、当社のように「橋渡し役」の機能を果たす会社は、現地にはほとんどありません。したがって、ツールを使いこなせているユーザーもいれば、機能の一部しか使えていない人も多く、導入は進んでいても、定着や活用が追いついていない現状があります。
今後、新しいプロダクトを提供する企業が登場したときに、もし当社がASEAN各地に拠点を構えていれば、メーカーからの相談にワンストップで対応できます。販売体制づくり、代理店への販売サポート、ユーザーへの定着支援といった全体のオペレーションを担える存在として、私たちが機能できるはずです。
「ユーザーが使いこなせるようになる」まで支援できるパートナーがいれば、テクノロジーの普及は一気に進む。そうした未来を見据えて、私たちはASEANへの展開を進めています。最新のグローバルプロダクトを、各国の現場に合わせて届けるテックイネーブラーであり続けるために。
もちろん、海外ならではの課題もあります。ASEAN諸国と日本のITリテラシーに大きな差はないものの、組織構造や意思決定プロセス、環境要因には違いがあります。たとえば、正規ライセンスが普及していない国もあり、マイクロソフト製品の海賊版が広く使用されているケースなど、日本では考えにくい状況が存在しています。
こうした現地の事情に応じて、導入前の下準備や支援体制の設計を丁寧に行う必要がある。だからこそ、現地に根ざした実装のプロセス設計ができる、当社のようなパートナーの存在が不可欠なのです。
第二の創業期。ASEANへの展開に挑戦![]()
現在、ストリートスマートはすでにシンガポールとタイに拠点を構えています。これからはASEANのより広い範囲へ展開を目指しています。
その実現において、鍵を握るのがAIです。単にテクノロジーを導入するだけではなく、AIを活用し、業務や組織の在り方そのものを変えていく。その変革プロセスに深く関わる支援が、私たちの目指す姿です。
「AIを導入するなら、ストリートスマート」
そんな風に言っていただける存在を目指します。
いずれは省庁レベルの導入支援まで担い、日本全体のDXを後押しできるような企業へと成長していきたい。その知見と経験をもって、アジア各国にも展開していきたいと考えています。
そして、「テクノロジーと『人』をつなげる」というミッションを掲げる以上、私たち自身が新しいテクノロジーを使いこなし、変化していく存在でなければなりません。
だからこそ、AIの活用は社内においても必要不可欠だと考えています。実際、私たちは日々の業務の中でAIを積極的に取り入れており、提案資料の作成から議事録の自動生成、業務フローの最適化まで、あらゆる場面で活用を進めています。
「AIをどのように使うか」が問われる時代に、まずは自分たちがその実践者であること。
それが私たちの責任でもあります。
ミッションや展望を実現するために、組織も進化の過程にあります。最近では経営体制を大きく見直し、まるで第二の創業期のような感覚で、私はグローバル展開に向けたチャレンジの最前線に立っています。
新しい挑戦には当然リスクが伴います。そのリスクを最前線で引き受けるのは、創業者である私の役割。だからこそ私は、変革の先頭に立ち、ストリートスマートの未来に責任を持って進んでいきます。
未来の経営陣・幹部候補に求める2つの資質![]()
今、第二の創業期ともいえるタイミングの当社。共に挑戦を進める仲間としてこれからの経営や事業を担う幹部候補には、重要な資質があります。
1つ目は「まずはやってみる」という姿勢。当社のバリューのひとつに「チャレンジ」がありますが、これは「できるかできないか」ではなく、「やるかやらないか」で考える必要があります。
「やったことがないから不安」というのではなく、「とりあえずやってみよう」と一歩踏み出せるかどうか。新しいツールがリリースされたときに、まずは自分で触ってみる。そんな軽やかな初動力が大事です。
もちろん、チャレンジには失敗もつきものです。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。変化の中には苦しさもある。それでも途中で投げ出さず、粘り強くやりきる。
そのメンタリティがないと、当社で活躍するのは難しいでしょう。
もうひとつ大切なのが「構造理解力」です。当社の事業は、メーカー・販売パートナー・ユーザーの三者の間に立ち、それぞれの意図や立場を理解しながら動く仕事です。このとき、「誰が何を求めていて、どこに課題があるのか」を構造的に理解できていないと、判断や行動がずれてしまいます。
テクノロジーにおいても同じことが言えます。たとえばあるツールがあったとき、それがどのような思想で設計され、どんな業務に適していて、どう落とし込めば機能するのか。その全体像を把握したうえで、「この業務にはこのように使える」「こう進めれば現場に定着する」といった道筋を描ける力が求められます。
テクノロジーを「翻訳する」ためには、まず自分が深く理解し、構造的に整理できていることが必要なんです。ビジネスの仕組みやモデルを捉える力、技術を活かすための想像力、そして実行力。そうした力を持った人に、これからのストリートスマートを一緒につくってほしいですね。
期待にあふれるストリートスマートの未来![]()
私はこれからの未来について、楽しみしかありません。テクノロジーはますます普及し、私たちのような「橋渡し」の存在価値も、これからさらに高まっていくはずです。
そして、新しいテクノロジーを学び続けられるという環境は、働く人にとっても大きな財産になります。たとえ年齢を重ねたとしても、最先端の領域に身を置いていれば、別の業界へ活躍の場を変えても十分に応用が利きます。
私たちは、現状にとどまるつもりは全くありません。
チャレンジの幅を広げ、グローバルに展開していく。そんな変化の場に自分を置いてみたい、一緒に次のステージをつくっていきたい。そのように思う方には、当社はすごく面白い環境だと思います。
今このタイミングで参画してくださる方は、まさに「ストリートスマート」な生き方を体現していけるはず。
変わり続ける会社で、変わり続けるテクノロジーとともに。そんな環境を面白がれる方と、一緒に未来をつくっていきたいと思っています。