「あ、またこの作業か……」 毎日、あるいは毎週、数分で終わるけれど地味に面倒な「手作業」に、精神的なエネルギーを削り取られていませんか?
フォームの回答をシートに転記し、条件を確認してメールを送り、進捗を更新してチャットで通知する。一つひとつは重くない作業でも、積み重なれば立派な「業務の足枷」になります。
この記事では、Claude(AI)とGoogle Apps Script(GAS)を組み合わせ、こうした“人力つなぎこみ”をスマートに自動化した実体験を公開します。
単にAIにコードを書かせるだけではありません。「業務の曖昧さ」を解消し、誰でも確実に動くシステムを作るための新常識をお伝えします。読み終える頃には、あなたの目の前にある面倒な作業をどう自動化すべきか、その道筋がハッキリと見えているはずです。
① 業務を蝕むのは「重い仕事」ではなく「小さな手作業」の連続
私たちが業務で一番消耗するのは、実は巨大なプロジェクトではありません。「名前もなき小さな手作業」の無限ループです。
- フォームの回答をスプレッドシートに整理する
- シートの特定の条件(ステータス)を見てメールを送る
- 進捗表を更新したら担当者へ通知する
- 毎朝決まった集計レポートを作成する
これらの作業には、常に「例外」や「現場独自のルール」が絡みます。そのため、エンジニアに頼もうとしても、背景を説明するコスト(翻訳コスト)が高すぎて、結局「自分でやったほうが早い」という諦めに繋がりがちでした。
② Claude × GAS:AIを「コーダー」ではなく「翻訳者」にする
そこで活用したのが、Google Apps Script(GAS)とClaudeの組み合わせです。
ここで重要なのは、Claudeにいきなり「コードを書いて」と頼まないことです。AIを、業務ルールをシステム仕様に落とし込むための「翻訳者」として位置づけました。
③ 失敗を防ぐ「二段階プロンプト」の実践
実際に「通知の自動化」を行った際、以下のプロセスを辿ることで、AI特有の「動かないコード」を回避できました。
ステップ1:コードの前に「仕様」を固める
いきなり実装せず、まずはClaudeに業務の整理を依頼します。
プロンプト例:以下の業務を自動化したいです。まずコードを書かずに、仕様(考慮すべき点やデータ構造)を箇条書きで整理してください。
・追加された申請のうち「要対応」だけ通知
・二重送信は避ける
・担当者メールアドレスは別シートで管理
・エラー時はログシートへ書く
ステップ2:具体的な実装へ
仕様に合意できたら、初めてGASの生成を依頼します。この際、Google公式のドキュメントに沿った設計(Mail ServiceやGmail Serviceの使い分けなど)を指示に盛り込むと精度が劇的に上がります。
JavaScript
// Claudeが生成したGASコードのイメージ
function onEdit(e) {
const sheet = e.source.getActiveSheet();
const range = e.range;
// 1. 対象列の変更だけを検知
if (range.getColumn() !== 5) return;
// 2. 条件一致(要対応)なら通知
if (range.getValue() === "要対応") {
// 3. 送信済みフラグを確認・書き込みして二重送信を防止
// 4. エラー時はログシートへ記録
}
}
// Claudeが生成したGASコードのイメージ
function onEdit(e) {
const sheet = e.source.getActiveSheet();
const range = e.range;
// 1. 対象列の変更だけを検知
if (range.getColumn() !== 5) return;
// 2. 条件一致(要対応)なら通知
if (range.getValue() === "要対応") {
// 3. 送信済みフラグを確認・書き込みして二重送信を防止
// 4. エラー時はログシートへ記録
}
}
④ 最大の成果は「会話が噛み合うようになったこと」
この手法を導入して、最も変わったのは「業務の透明化」です。
以前は「なんとなく」で依頼していた仕事が、AIを挟むことで「要件の箇条書き → 仕様の抜け漏れ確認 → 実装」という健全なステップを踏むようになりました。
「例外条件が後から見つかって修正が大変」というトラブルが激減し、エンジニアと現場担当者の会話のスピードが飛躍的に向上したのです。まさに、AIが共通言語になった瞬間でした。
まとめ:業務を「設計可能な形」へ
今回の取り組みを通じて、以下の3点が見えてきました。
- AIの本質は「翻訳」にあり: コード生成よりも、曖昧な業務を「言語化」させるプロセスに価値がある。
- GASは運用設計が命: 権限、エラーログ、二重送信防止など、実務で使える「守り」の設計をAIと共に固める。
- 仕組み化が文化を変える: 単発の自動化で終わらせず、業務そのものを「設計可能な形」へアップデートしていく。
「これ、自動化できるかも?」
そう思った瞬間が、あなたの働き方を変えるチャンスです。まずは身近なスプレッドシートの作業を、Claudeに相談してみることから始めてみませんか?