今回は植山社長に、AIの活用についての社内における各部署の取り組みや、AIがもたらす価値についてインタビューしています。
当社ならではの「AIの使いこなしかた」を、代表視点でお伝えできればと思います。
はじめに
私たちは、ただ“保険代理店“でいることを選びませんでした。金融とテクノロジーを使いこなす集団でありたい。そう考え、入社後8か月以内に「ITパスポート」と「FP技能検定3級」の取得を、部署を問わず全員に義務づけています。
「この歳で試験勉強するなんて思わなかった」
家庭や子育てと両立しながら、泣きながら勉強した社員もいました。難しい資格ではありませんが、全員が基礎的な共通言語を持ち、全ての社員が取得していることは私たちの大きな誇りです。
そして今、次の挑戦が始まっています。
それは「AIを空気のように使いこなすプロジェクト」。
私は2025年5月、マレーシアに1カ月滞在していたとき、コワーキングスペースで、AIによる業務改善のプロフェッショナルと出会いました。彼らと語り合う中で確信しました。専門家ではない“普通の人“の集まりである当社でも、AIエージェントを自分たちで作り、活用すれば、爆発的な発想と実行力を持つ組織に変われるのです。社会の変化は激しく、止まることを知りません。だからこそ私たちは、常に1.5歩から3歩先を見据えて進みます。
全社で動くAI革命:具体的な取り組みと、その先にある未来
このプロジェクトの目的は明確です。「AIを日常業務に溶け込ませ、全社的な業務効率化、コスト削減、そして売上アップを実現すること」。絵に描いた餅で終わらせないために、各部署が抱えるリアルな課題解決から着手しました。
◆管理部門:バックオフィスから生まれる、新たな価値
企業の土台を支える管理部門では、AIの活用によって定型業務を自動化し、スタッフがより創造的な業務へシフトするための挑戦を始めています。
例えば、請求書処理業務です。従来、毎月大量に届く請求書に対して、インボイス制度に対応しているかの確認や、社内システムとの突合作業は、目視に頼る大きな負担となっていました。そこには常に人的ミスのリスクが付きまとい、担当者の貴重な時間を奪っていました。
この課題に対し、私たちはGoogle Driveに保管された請求書をAIが自動で読み込み、「インボイス要件を満たしているか」「社内システムの申請内容と一致しているか」を瞬時にチェックする仕組みを構築し始めています。不備があるものだけを担当者に通知することで、チェック業務にかかる時間を大幅に削減し、人的ミスを撲滅します。これにより、支払遅延などのリスクを回避できるだけでなく、経理担当者は日々の作業から解放され、より高度な財務分析といった付加価値の高い業務に集中できる環境が生まれます。
また、社内の情報共有においても革新を進めています。研修やプレゼンに用いる動画資料の作成は、これまで多大な時間と手間を要する作業でした。さらに、機械的なナレーション音声では内容が伝わりにくく、学習効果が上がらないという問題も抱えていました。
そこで、テキストを入力するだけでAIがプレゼンテーションに適した動画を自動生成する仕組みをAIを活用して構築。音声も抑揚のある人間らしい声に変換することで、視聴者の理解度を格段に向上させます。資料作成時間を劇的に短縮し、コンテンツの質を高めるこのノウハウは全社に展開する予定です。
◆カスタマーサポート部門:”守り”から”攻め”のサポートへ
お客様との最も重要な接点であるカスタマーサポート部門では、AIを「もう一人のスーパーバイザー」として活用し、応対品質の飛躍的な向上を目指します。
オペレーターの通話音声は、AIによってリアルタイムで文字起こしされ、内容が解析されます。これにより、「トークスクリプトからの逸脱」や「規約違反・NGワード」を自動で検知し、応対品質のばらつきをなくします。
従来、管理者が一部の通話を抽出して行っていたモニタリングとは異なり、AIは全件を対象とすることが可能です。そのため、チームが抱える課題を網羅的に、かつデータに基づいて把握することができます。その分析結果から具体的な改善トークスクリプトを作成し、一人ひとりのオペレーターへ的確なフィードバックを行うことで、チーム全体のスキルアップを実現していきます。最終的には、顧客満足度の向上を通じて企業の売上に直接貢献する、”攻め”のカスタマーサポートへと進化を遂げます。
◆マーケティング部門:データドリブンな意思決定の高速化
感覚的な判断から脱却し、データに基づいた戦略を描くために、マーケティング部門では、AIを用いて複雑化したデータを整理・活用します。多くの企業が直面するように、私たちのBIツールも、その裏側で複雑に絡み合ったデータフローやデータセットが構造の把握を困難にし、分析担当者間の認識齟齬や、依存関係がブラックボックス化するという深刻な問題を抱えていました。
そこで私たちは、AIを用いて各種設定を解析し、データ構造やその流れを自動でドキュメント化・可視化するプロジェクトに取り組んでいます。これにより、これまで属人化していた知識がチームの共有財産となり、分析の透明性と再現性が飛躍的に向上します。誰もがデータ実行順を正確に把握し、リアルタイムデータを正しく理解できるようになることで、マーケティング施策の精度は高まり、ビジネス環境の変化に対応するための意思決定スピードを飛躍的に加速させることができるのです。
加速する進化、そして未来を共創する仲間へ
驚くべきことに、プロジェクト開始からわずか1ヶ月半で、すでに社員の半数以上が自作のAIエージェントをチームで活用し始めています。毎日のように新しいAIエージェントが生まれ、AI支援ツール「Cursor」を自在に操るメンバーも増えました。私たちは、まさに”楽しみながら”前進しているのです。
この変革の主役は、経営陣でも一部の専門家でもありません。アルバイトやパートナーも含めた、現場で働く一人ひとりです。誰もが「もっとこうしたら良くなるのでは?」というアイデアを形にできる。その一つひとつの挑戦が、会社を前へ、そして未来へと推し進める原動力となっています。
専門知識がなくても構いません。大切なのは「一緒に成長し、未来をつくろう」という気持ちです。
愛すべき全社員に「ありがとう」と伝えたい。
そして、これから共に未来をつくる仲間にも出会いたい。