日常の買い物を究極に便利するために、日用品の通販支援サービス「スマートショッピング」サイトを運営し、昨年10月にサービスリリースした在庫管理・自動発注IoT「スマートマット」を展開する株式会社スマートショッピング(以下、スマショ)は、共同代表制を敷いています。
今回はスマショの起業について、一般的に難しいと言われている共同代表での運営に踏み切った経緯などをインタビューしました。(一部関西弁が混じるので読みにくい部分はお許しください。)
経歴:
2005年京都大学大学院情報学研究科修了後、UBS証券会社投資銀行本部に入社。テクノロジー・メディア・テレコムセクター及び不動産セクターにおいて国内外の事業会社の財務戦略立案、M&A、資金調達等アドバイザリー業務に従事し、過去史上最速でディレクターに昇進。
2011年に株式会社サイバーエージェントに入社し、日米を拠点にモバイル・アドテクノロジーをはじめとする広告事業・ソーシャルゲーム事業の立ち上げに携わる。CyberAgent America, Inc. Vice President及びAMoAd International, Inc. President & CEOを歴任。2014年11月、株式会社スマートショッピングを設立
経歴:
2005年京都大学大学院情報学研究科を修了後、株式会社ローランド・ベルガーに入社。電機・自動車・小売・ヘルスケア・メディア等幅広い業界に対して、成長戦略・マーケティング戦略の策定、経営体制の整備、海外進出支援などのプロジェクトを経験し、史上最速でシニアコンサルタントに昇進。
IE Business SchoolへMBA留学後、プロジェクトマネージャーに。2012年より、アマゾンジャパン株式会社に入社。プロダクトマネージャーとして、会員サービス(Amazonファミリー)と定期購入サービス(定期おトク便)の立ち上げ・マーケティング、プライシング戦略の策定、新規事業企画を担当し、日本のeコマース市場を開拓。最年少のシニアマネージャー。2014年11月、株式会社スマートショッピングを設立。
創業時のタイミング
--創業時より少し前の部分から聞いていこうと思います。
お二人は同じ大学を卒業後、志賀さんはUBSという外資系金融機関の後にサイバーエージェント、林さんはローランドベルガーという外資系コンサルタント、留学を経てアマゾンジャパン。
卒業後に別の道を選んだ2人はどうつながり続けていたのでしょうか。
志賀: 忙しかったけど、3~6カ月に一回は飲んでたよな。金曜日に。
林: なんか随所、随所でからんでるんだよなぁ。京都から東京に引っ越す時、俺金なくて引っ越せなくて困ってたんだよ。
そしたら、志賀さんが「俺がハイエースで荷物運んだるわ!」って運んでくれて、帰りは空のハイエース一人で運転して帰ってくれたんよ。
志賀: そんなことあったな。一人で運転して帰ってるとき、静岡の山道が凍結してて後輪滑らしたんよ。あの時は死ぬかと思ったの思い出したわ。
林: 転職、留学なんかの節目には必ず会って近況報告してたわ。
-- その後、スマショ創業には何か大きな転換点があったのでしょうか。
志賀: サイバーエージェントアメリカで2年働いて東京に帰ってくるって林に連絡したときに、ちょうど林がアメリカに行く話出てるって聞いたんだよ。
林: シアトルで働く話が出てたんだよ。
志賀: このタイミングしかないってことで学生時代に話していた起業をしようって話になったんだけど、まだやることも決まってなかったから1年後に起業するとスケジュールだけ決めた。
林: そこから週に1回の会議が始まったんだよ。半年くらいは続いたかな。
林: ネットに限らずに話は膨らませて色々と検討してたんだけど、最後はやっぱりネットをやりたいねって話になった。たまたまアマゾンで最後に携わっていた定期購入のサービス近くがマーケットも大きいしおもろいやろうって話になった。
創業から5年目を迎え、世の中に自分たちのサービスが受け入れられているという実感
--スマショを始めてよかったと感じていることはなんですか?
志賀:自分たちのサービスができるだけ多くの人に使ってもらいたいという想いは強い。そんな中、誰もが知ってるアスクルや全日空(ANA)でスマートマットが使われてるというのは、サービス自体が受け入れられてるという実感があるし、やりがいは感じている。
林:アマゾン勤務時代もサービス作ってリリース打って、、とやってきたので多くの人に使ってもらうサービスのリリースはやってきた。
そのときは自分のサービスというよりはアマゾンという大きなプラットフォームの上で定期購入や会員サービスで安くなるとかはやってきたんだけど、大元のアイディアはアメリカから来てる。気持ちよく自分の子供としては見られなかった。
そういうのもあってアメリカに行く希望をだしてたらシアトルの話が出てたんだよ。
スマショではコードの1行目から自分で書いて、ロゴも自分の作ったサービスがプレスリリースに載って行って身の回りで使ってくれてる人がいてくれる。それが活字で歴史に残っていくのはやりがいを感じている部分かな。
強烈なカルチャーを持った組織が産まれる瞬間を感じてる
林:まだまだ挑戦中だけど、ソニーはソニーらしさってあると思う。強烈なカルチャーを持った組織。今スマショではまさにカルチャーが産まれる瞬間に立ち会ってる。これから成長していくのが見られるというのが自分でやらないと感じられない楽しみ。
共同代表での運営と役割分担
--一般的には共同代表は否定的な意見が多いですが、その点はどのように考えていますか?
林:思ったより意思決定が多い中で、2人いることにより一個一個の決定の質を上げられた。ある程度雑に決める中で半分任せられるから自分が得意な部分に時間をかけられるので一段高い質の判断ができる。
志賀:もう5年目だけど事業はうまくいくときもうまくいかないときもある。うまくいかないときはやっぱりつらい。その時に同じ視点で相談できる人がいるのは全然違う。
先輩方は経営者は孤独というが、僕は孤独じゃない。マイナスの気分でも2人いたらプラスになれるのは大きい。
ベースの価値観が近いから喧嘩しない
--二人の付き合いは学生の頃から20年以上ですが喧嘩したことないのはなぜですか?
林:価値観が近いから事業の発想が近い。大きな方向性でぶつかること少ない。もしぶつかったら、俺が好き放題に言ってこっちが折れてんちゃうかな。
志賀:たぶんそうやとおもう(笑)
創業時も先輩経営者には迷ったらどっちが判断するか決めといたほうが良いよって言われたけど、最後までまではぶつかったことない。
林:価値観近いし、似た業界にいたのは大きいと思う。それこそ、鉄鋼業界から来た人とインターネット業界の人でやったらぶつかるやろうけどな。
ラリー・ペイジとゼルゲイ・プリンもそうだけど、大学・大学院と同じで価値観近く、そのあとの業界の興味が近いからスキルの違う2人でうまくいってる。
お互いへのゆるぎない信頼
--1年近くお二人の近くで仕事してきて、価値観が近いだけじゃなく信頼感がベースにあると感じていますがどこからうまれていると思いますか。
志賀:お互いに見てて、実績・結果をだしてるからこそ信頼が高まる。ちゃんと言ったことを実践していて、そのプロセスを見ているからやと思う。
林:プロ意識が高い相手やと思ってる。自分もプロ意識はすごく大事にしている。
これまでの経験の中で、プロ意識が高い人は難題に対して何とかしてくれるという経験が多いし、結果出してきてる人をたくさん見てきた。そういう経験がより信頼感を増してくれるのに役立っている。
言い訳したくなるのをこらえて何とかしてきてる。
台風来ても目黒まで歩かなあかん日は歩く。何とかする。台風来てるからいかれへんわというタイプじゃない。約束してる中で結果をだすために考えて、誰もやったことのないことでもなんでもやるのはプロ意識が高いから。
お互いの役割分担は自然と決まってきた
--2人いると役割分担という作業が発生すると思いますがどうやって分けてるんでしょうか?
志賀:意識してないな。1事業しかないときは、自分が営業・バックオフィス部分を見ていて、林がユーザー増やして使ってもらうサービス作るプロダクト完成にフォーカスしてた。話して分けたんじゃなくて自然と得意なところで分かれてた。
林はアマゾンでECやってたからプロダクトには感覚あるし、僕は営業で金融ににいたからバックオフィスが得意なので自分が見る。自然とそうなったかな。
林:林がバックオフィス一切できないかというとそうじゃなくて、数多くのコンサル業務でやってきたから全然やることはできる。お互いに両方やれる中で自分がより結果出せるところに自然とフォーカスしてたという感じ。
EC周りの知識経験が俺の方があった。その人が考えたほうが早いよな。それが自然と続いてる。イノーベーション(サービスに近い部分)とマネージメント(会社・組織を創る)。柔らかくこの2つに分かれてるイメージ。
(閑話休題)こないだの日曜日の話。
--スマートマットが誕生して2事業に分かれていく中でそれぞれが事業を管掌するように、横割りから縦割りにわれましたよね。そうなって飲みに行く回数は減りましたか?逆に増えましたか?
志賀:あんまり変わってない。
林:こないだの日曜日に夕食一緒に食べてそのあとに林家で2人でシャンパン飲んだときは痛み分けやったな。ワイン2、3本あけて話してたら、この人(志賀)が寝始めたんで写真撮って友達に送ってたんよ。そしたら途中で俺も寝てた。起きたらおらんようになってたわ。
志賀:30分経って起きたら携帯持ちながら寝てた。マジかよって感じ(笑)
林:こういうのは相変わらずあるな。
プライベートで会っててもやっぱり会社の話になる。
--メンバーとの関わり方はどうでしょうか。
BtoB(スマートマット)事業部は自立する組織へ
林:事業部長が既にいる中で関わっていくので、事業部長が想定していない新しいことや無理難題を投げる仕事に集中している。それを一緒になって解くのが良い。
今は自分が解いて解決策を押し付けてる。なるべく押し付けるのではなく気づいていない問題点についてみんなで考えていくような立ち位置でいたいとおもってる。
「こうやれ!」、ビシ!といった組織じゃなくて問いを投げかけてみんなで考えるところに横から助け船だすみたいな関わり方をしたい。
一段上から現場が頑張ってるのをみて、前を向きすぎて見えていない問いを見つけ出す仕事をやりたい。
BtoC(通販支援サービス)事業部は、事業部長が欲しい!
志賀:これ読んでる人で事業部長に興味ある人は下のボタンで話聞きに来てください!
3年前と比べるとこの1年は特に会社が成長して自分が果たす役割が変わってきた。直接手を動かすことから権限委譲が進む中で、俯瞰することから付加価値をいけない立場になった。同じ立場の人たちではできないことを探している。
特に、C事業部はライターが多いので多様な組織になってる。アルバイトの人が多くて、ほっとくと一言も発せずに帰っていく人もいるから、会社としてコミュニケーションとって帰ってもらうって考えてる。人数が多いからコミュニケーションあると、組織として強くなると思ってる。
男子校サッカー部と動物園
--それぞれの事業部を一言でお願いします。
林:BtoB事業部は男子校サッカー部。サブスクモデルだから機能が細かく分かれてる。マーケがリード(ボール)を取って、インサイドセールスが育て、営業に渡して最後に決める。全体が連動していてサッカーチームみたい。なぜか男子が多いんだよ!
--林さんは男子高出身?
林:ちゃんと共学でした。バレンタインデーはチョコもらってたで!
志賀:C事業部は動物園!
一風変わったデザイナーもいるし、肉食も草食も男も女もいる。カオスで人がいっぱいいる。
林:うちはまだ人で良かったわ(笑)
2人のインタビューを通じてスマートショッピングの強さの源泉は、お互いへのゆるぎない信頼を持つ代表2人であることが分かった。スマートショッピングという社名の決定やスマートマットの誕生秘話はまた後日。楽しみにしていてください。