「勝ちたい気持ちが昔からずっと根っこにあるんです」
そう語る三好さんは、Skyland Ventures(以下、SV)にて国内投資のフロントに立つベンチャーキャピタリスト(以下VC)でありながら、自らの原点を“起業家としての挑戦”に持っています。
起業家としての実感値を武器に、現在は「誰よりもいい起業家を見つけたい」と国内投資の最前線を走る三好さん。今回はその歩みと、投資家としてのスタンスに迫ります。
目次
“消去法”から始まった起業からVCになるまで
投資判断は最速。「勝ち」に本気で向き合う
いい起業家を見つけたい。だからこそできる価値提供を
<プロフィール>
三好宏明
・1998年生まれ、福岡出身。早稲田大学法学部卒。
・2019年5月に、サイト制作及びアプリ開発の受託を主要事業とする株式会社Revolteを創業。
・同年11月に、株式会社ホロックスを鷲尾と共に創業。 2020年12月に、株式会社RevolteをM&Aにより会社売却。
・スカイランドベンチャーズ入社
<Skyland Venturesとは>
Skyland Venturesは、起業したばかりのスタートアップに投資するベンチャーキャピタルです。 特に、まだ会社を立ち上げたばかりの「シード期」と呼ばれるタイミングで、将来大きな影響を与える可能性のあるスタートアップに資金を提供しています。
“消去法”から始まった起業からVCになるまで
ーー 三好さんは大学時代にすでに起業されていたそうですね。
司法試験のために早稲田大学法学部に進学しましたが、大学3年次に、急に会社を立ち上げようと思い起業しました。特に深い理由はないです。実家が自営業ということもあり起業に抵抗感はなく、稼ぐための一手段として始まったのが最初でした。
最初の起業では自社サービスを立ち上げてみましたが、1か月ほどで撤退し、すぐにWebサイト制作やアプリ開発の受託会社に転換しました。
それまでバイトやインターンなどしたことなかったですが、がむしゃらに営業し、売上が立つようになり、事業も安定して伸びていきました。その後、大学を卒業するタイミングで会社をM&Aで売却しました。
ーー なるほど。2社目の起業ではどんな道に?
売却した1社目を始めたときは自社サービスをやりたいという気持ちがまだ根底にあり、新しい挑戦を考えていました。そこでたまたまTwitterでVR事業をこれからはじめようとしていた鷲尾 圭登さん(ホロックス共同創業者。当時立教大学在学中に同社を起業)を見かけ、「なんか良さそう!」と思い、すぐ連絡し、カフェで話して、その日に一緒にやろう、と意気投合しました。
そして、ホロックスに共同創業者として参加し、すぐにVC3社より資金調達し、スタートアップ人生を歩みはじめて。そのタイミングでSkyland Venturesにもご出資いただきました。
そこからは自分はホロックスのCOOとして、事業の立ち上げや推進に深く関わっていくことになりました。
ーー 起業家からVCに転身されたきっかけは?
2024年夏に自分は、ホロックスのCOOを退任することになり、そのタイミングで、木下さん(Skyland Ventures)に挨拶に行きました。
そこで、「これから何するの?」と木下さんから聞かれ、「特に決めてないです」と私が言うと、「暇でしょ?うちで働くのはどうか?」と言われました。
木下さんのことだから、また冗談言ってるのかなと思い、スルーしていたのですが、次に会うときにも誘われて、やっと本気だと理解しました。
シンプルに木下さんから誘われて嬉しかったので、Skyland Venturesに参加することに特に迷いはなかったです。
木下さんとの出会いから5年、投資先COOから投資家だったVCへのジョインとなりました。
ーー 現在の業務内容について教えてください。
今は国内スタートアップへの投資をメインに担当しています。起業家と面談をして投資判断をしたり、テーマによっては伴走する支援もしていますね。
ーー 起業家としての経験は、現在の仕事に活きていますか?
間違いなく活きています。同世代でうまくいった方、伸び悩んでいる方をたくさん見てきましたし、これまでの出会いの蓄積が、自分の中にある嗅覚として磨かれてきた感覚があります。
投資判断は最速。「勝ち」に本気で向き合う
ーー VCとして活動されるなかで、どんなことを大事にされていますか?
一番意識しているのは、自分から連絡して出会いにいくことです。多くのVCは、紹介や問い合わせを待つスタンスの方が多いと思いますが、僕は自分で動いて良い起業家を探しにいく。そこにVCとしての介在価値が生まれると思っています。
ーー 具体的には、どうやって起業家を見つけているのでしょうか?
SNSもよく見ていますし、気になった人にはこちらから連絡を取ることが多いです。自分の投資仮説から起業家を探すこともあります。
ーー 判断のスピードも早いと伺いました。
最速レベルだと思います。多いときで月に3件くらい投資オファーを出すこともあります。この半年だと、国内投資の8割くらいは私が担当しています。「いい起業家だ」と思ったら、最速で投資判断をするようにしています。即日オファーでの投資もあります。
ーー 投資判断の際に、特に重視しているポイントは?
「人」と「領域」、この2軸がすごく重要だと思っています。特に重視しているのは「人」です。活力や熱量が感じられるか、「勝ちたい」と思っているか、などはとても大切だと思っています。
「領域」は自分の中で投資仮説を持っていて、たとえばAI、観光・インバウンドや人材領域などですね。「今だからこそ投資すべき」と思えるテーマに照らして判断しています。
両方の視点で見ますが、特に「人」の部分は、起業家としてやってきた自分だからこそ見える部分があると思っています。
ーー 投資先との関係性も重視されていると聞きました。
めちゃくちゃコミュニケーションを取ります(笑)。投資して終わりじゃなくて、その後の関わり方も大事にしています。1on1でじっくり話すことも多いです。
調子がいいときほど客観的に見るし、うまくいってないときはしっかり鼓舞する。もちろん、時にはそっとしておくことも大事な時もありますし、そこは臨機応変に対応してます。
ーー そこまで深く関わる理由は?
シンプルに投資先と一緒に勝ちたいからです。投資するからには勝ちたい。勝つ執着が起業家にあるかどうかは見てますし、自分もそれがあるから全力でやる。VCは100社投資して、数社がファンドリターンを返すのが現実です。ただ私は100社投資して100社成功して欲しいと本気で思っています。
ーー ご自身の中で、キャリアプランのようなものは意識されていますか?
正直、キャリアプランは全然考えたことがないですね(笑)。人生が外部要因で左右される感覚もあまりなくて、「自分がそのとき何を面白いと思うか」「どこに熱を持てるか」が一番の判断軸です。
あくまで「今やっていたいかどうか」が大事で、それが結果として続いているだけ。これから先も、同じように「今やりたいこと」に全力を注いでいくと思います。
いい起業家を見つけたい。だからこそできる価値提供を
ーー これから起業を目指す方やVCに向けて、メッセージをいただけますか。
「起業したい」と思う方は多くいますが、実際に起業するのは100人に1人いるかどうかです。
「起業という選択肢もあるよ」ということを伝えることはできますが、以降の意思決定は本人次第かと思います。私自身も誰かに相談して始めたわけではなく、自分で起業しようと思って始めました。
私は最速で優秀な起業家を見つけ、最速で投資オファーしたいと思っています。また、24時間365日、事業と向き合う起業家と本気で向き合っています。
起業家もVCも、これで失敗するなら仕方ない。圧倒的熱量で、やり切ることが大事だと思っています。