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大切なのは人の価値とITのバランス。起業への道のりとsincereedでのビジョン

2021年に代表の南雲と共にsincereed株式会社を設立した藤井。リクルートでエージェント事業の営業・マネジメントのキャリアを積んでいた藤井が退職・起業に至った背景や、今後のsincereedのエージェント事業戦略をどのように考えているかなどをインタビューしました。

ーはじめにご経歴を教えてください。

早稲田大学卒業後、2005年にみずほ銀行に入社しました。1年半ほど法人営業に従事したあと、株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社しています。最初の7年間はIT・インターネット領域の法人営業・マネージャーを努めていました。その後、営業領域・IT領域のキャリアアドバイザー・マネージャー・部長、東海エリアの部長・地方エリアの部長と様々な仕事を経験させてもらい、2021年に南雲とともにsincereed株式会社を創業しました。


ーリクルートで長年働かれている中で、退職・起業という決断に至った背景を教えてください。

実は起業ありきで退職は考えていなくて、先に退職するということを当時は決めたというのが正直なところです。

その理由ですが、まず1つ目はコロナ禍でした。ほぼ100%リモート勤務になり、一人で考える時間が多くなったということもそうなのですが、特に私は北海道から広島までの日本中の各支社地方の部署を管轄する組織の部長を担当していたので、私と部付スタッフだけ東京本社にいて、部下は全員地方にいるという状況でした。毎週のように日本全国を飛び回り、地方の企業に伺い経営者の方と商談をしたり、各地の支社のメンバーと何気ない会話をしていたので、それが急に無くなり、漠然と、なぜ一人で働いているんだろう、という思いが膨らんでいきました。

2つ目は、ちょうどそのタイミングで組織の再編を検討していたことです。法人担当・個人担当・スタッフでかなりの規模まで拡大していた地方担当組織を分割・再編成を自分がオーナーで検討し始めていました。仮に分割した後にどこか1つに自分が残るということも周囲はやりにくいだろうなと感じたり、かと言って再度特定の領域の部長に戻るのもそこに情熱を持ってやれるだろうかという思いがありました。

3つ目は、リクルートはグループ企業をひとつに統合することが決まっていたのと、40歳という人生の正午が徐々に近づいており、40代以降のキャリアで再度チャレンジするにはタイミング的にはちょうど良いかなと感じていたことです。

これが2020年の夏頃だった気がします。組織が変わるタイミングで退職しないと迷惑も掛かるので、結果的に退職までかなりの期間もあり、先のことは何も決めずに、辞めることだけ決めていました。

ただ次の挑戦にあたって軸2つは事前に決まっていました。1つ目はベンチャー企業で経営に近しい仕事にチャレンジすることと、2つ目は年下の人と仕事をすることです。みずほ銀行、リクルートでは、大企業の中で仕組が固まっている中で運用しながら事業を伸ばしていく、ということをたくさんやってきていたので、もっと手前の事業フェーズで、0→1、1→10をやるということや、会社創りそのものを残りの人生賭けてやるためにベンチャーに行きたいという思いがあったのが1つです。またリクルートでは上司や同僚の殆どが年上の方だったことや同質性の高い環境であったため、40歳を手前に次は年下の方が中心の組織であったり、色んな職種の人と働く環境だったり、多様性のある環境を捜そうと思っていたというのが2つ目です。




ーそこからどんな経緯で南雲さんと創業に至ったのですか?

実は南雲とはリクルート時代、あまり一緒に仕事をしたことはありませんでした。僕は2006年10月中途入社、南雲は2008年4月に新卒入社で、直接的に一度も同じ組織になったことはありません。たまたま2015年前後に私がCA(キャリアアドバイザー)部門のマネージャーをしていた際、南雲がエージェント事業のデジタル化のプロジェクトを推進していて、その一環で私にヒアリングに来たのが最初の出会いでした。そこから半年に1回くらい、企画の相談をするくらいの間柄でした。

その後、次世代経営者研修という、リクルートの5年後10年後を考えるという半年ほどのプログラムでグループが一緒になり、そのグループで夜遅くまで議論してそのまま飲みにいくようになり、徐々に仲良くなっていきました。なので、退職を考えているという話は実は上司以外では唯一南雲はじめその仲間たちにはしていたんです。その後2人で食事に行く機会があって、南雲が突然「僕も退職することになりました」と言い始め、「今後何をするの?」と聞いたら、「起業します。一緒にやりましょう」と誘ってくれ、その場で即決し、2人で起業することが決まりました。

ベンチャーって基本上手くいかないものですし、崖から飛び降りながら飛行機を創ると良く言うのですが、彼と2人であれば上手くいきそうだと感覚的に思いました。

少なくとも上手くいかなくても楽しそうだなとか、その後どうにでもなるだろうという根拠のない自信もあったように思います。南雲のことを信頼していたのだと思いますし、リクルートで経験させてもらったことで自信もある程度付いていたのだと思います。ベンチャーに行くという軸と、年下の方と働くという軸は決まっていたので、ベンチャーに行くよりベンチャーを作る方が面白そうだと思い、その場で返事をしました。何をやるかより誰と働くかが大事性格なので二つ返事でしたが、何をするかも全く決まっていなかったのが正直なところなので、今振り返ると、よく条件反射で決めたなと思います(笑)

それが2020年の秋~冬のことで、元々起業するなんてことは一切考えていなかったので、色んなベンチャー企業とカジュアル面談でお話を伺っている時期でもありました。そんな中、タレントマネジメント領域のNO.1SaaS企業の株式会社カオナビの社長とお話をする機会があり、先方の組織課題と藤井のリクルートでのマネジメント経験がマッチした為Joinが決まり、また起業を同時にするというアクロバティックなことをカオナビの両代表(カオナビ社も我々と同様に2人で創業された会社)は応援してくださり、起業+転職を同時にし、2社でパラレルで働くということになりました。

加えて実はカオナビ社と南雲はリクルート時代に別件で接点があったということや、カオナビで企画組織もテコ入れをしたいという背景もあり、藤井からカオナビ側に相談したところ、快く南雲のことも受け入れてくださり、昼はカオナビで、夜はsincereedでという、四六時中共に仕事をする生活がスタートしました。

実際南雲も私も家族がいますので、最低限の収入は勿論必要ということもそうなのですが、人材ビジネスの経験しかなく、プロダクトそのものでマネタイズをしていく経験はなかった為、その経験もさせてくださったカオナビ社には感謝してもし切れません。


ー現在はエージェント事業とプロダクト事業の2つですが、この2つの事業を行うに至った経緯を教えてください。

最初は事業として何をするかということは完全に0ベースで検討をしていたので、当初はHRをやるかどうかも決まっていませんでした。起業すること、リクルートをやめることは決まっている中で、シンプルにWill・Can・Mustを考え、自分たちのそれが重なったのがやはりHR事業でした。

ただ最初はエージェント事業をやるとは考えておらず、とあるHRtechのプロダクト事業の構想からスタートしました。ただこれってニーズあるんだっけ?お客様は使ってくれるんだっけ?と議論していく中で、事業化する前に撤退。そこから良いプロダクトを作るためにも、しっかり自分たちがユーザーと接点を持とう!ということから、有料職業紹介の免許を取得し、エージェント事業を2人で始めることにしました。

エージェント事業を開始し、我々2人で多くの企業様にヒアリングをしたり、転職希望者の方と面談をする中で、業界の解像度はどんどん上がっていきましたし、また競合のことも含めて今まで見えていなかったエージェント業界全体の課題も次々と分かってきました。

例えば、特定の企業しか取り扱いの無いエージェントも多い為、転職希望者の方は複数のエージェントを同時に使い、各エージェントからその他のエージェントから受けている企業に対してネガティブなことを言われていること。企業人事からすると検討違いの候補者のレジュメが大量に送られてくることで、書類選考や結果連絡に忙殺されていること。ある種、違法とも言える業務委託での人材紹介に携わるという行為が当たり前のように横行していること。そもそも職業紹介事業者の半数は成約(売上)が0なことなどです。

日本の中途採用の半分はエージェント経由とも言われているほどまでマーケット規模は拡大しているのですが、それとは反比例して業界全体のサービス品質レベルが下がっていき、地盤沈下していっているという実態がわかってきました。とある求人媒体には人材業界の求人は不人気だし、掲載できないと言われたこともあります。それくらい自分たちが好きで、お世話にもなったエージェント業界は危機的状況なのではないかと感じるようになりました。

その為、まずは自分たちが「ちゃんと良いエージェントになる」ということは大前提としながら、人がやらなくて良いことやITに頼った方がむしろ良いことはプロダクトに落とし込み、どんどん作っていくのが一番いいんじゃないかと考え今に繋がっています。我々にはエージェント事業とプロダクト事業の両輪があります。エージェント事業で顧客の声やマーケットの課題を直接的に捉え、それをプロダクト事業でプロダクトに落とし込み、それをまたユーザーとしてドッグフーディング出来るというのが我々の強みと独自性であり、自社向けでもあり業界向けでもあるプロダクトを展開していくという我々独自の戦略を進められるようになってきています。その第一弾がリリース済のResumeeで、今後も複数のプロダクト展開を予定しています。



ーここまで成長してきたエージェント事業ですが、責任者としてこれからの戦略をどう考えていますか?

エージェントビジネスのモデル自体は非常にシンプルで求職者と求人をどう結びつけるかということになります。それを大手のエージェントは多くの求人と多くの候補者をシステムでマッチングをしながら決定を積み重ねます。ブティック型のエージェントは基本的に求人起点で候補者を探すようなヘッドハンティング型のマッチングで決定を積み重ねます。

我々の戦略でいうと、その間のポジショニングを目指しています。質の高いニッチ領域トップのエージェントを一個一個立ち上げていって、最終的に大きな総合エージェントを作りたいと考えています。今IT業界が立ち上がってきたので、次は製造業界、エネルギー業界、、のように広げていき、同時に横串しで自社の業務をプロダクトに落とし込みながら、DX化・共通化していくという形です。あくまで「人の価値」を中心に置きながらも、しっかりITやデータを活用していくという「Talent with Technology」というのが大方針になります。

また候補者の方からもどの領域・業界から立上げて行くのですか?と良く聞かれるのですが、立上げ責任者の方が採用出来たところからとお伝えしています。勿論、この領域が白地だとかマーケット規模も大きく儲かりそうだとかのマーケティング観点で立上げ領域を決めるやり方もあるのですが、実際事業を立ち上げていくのは人ですし、スタート時のコアメンバーが品質を規定し、質を担保するということからスタートしないと順番を間違えるので、こだわりを持っている部分です。

ホリゾンタルな職種専門性を武器に業界横断的に決定を出していきながら、同時にバーティカルに特定業界に深くに入っていくという方向感のイメージですかね。一例ですが、大手企業に横断で発生するDXポジションからスタートしそこで実績を作りながら、金融であれば金融専門職、メーカーであれば技術職と入り込むことが出来始めています。


ー今後、sincereedをどんな会社にしていきたいですか?

対外的には、お客様に対して質も高く、十分な量的な価値も提供できる会社にしていきたいと思っています。具体的な場面だと、「sincereedにお願いしたら採用できるよね」「転職できるよね」「結果だけでは無く、体験やプロセスもストレスなくて良いよね」と言っていただけるようなHRカンパニーにしていきたいと思っています。繰り返しになるのですが、量と質はトレードオフなものではなく、どちらも提供できることが求められていると感じています。その為にはやはり、人が全部やればいいというものでもなく、人の価値とITの価値のバランスのいい会社でないと実現は難しいだろうなと思っています。

また対社内でいうと、リスクを取ってベンチャーのこのフェーズで色んなチャンスがある中でsincereedを選んでくれているメンバーばかりなので、そのみんながsincereedで働いてることが誇りになるような、家族や周囲に自慢できるような会社にしていきたいと思ってほしいです。顧客に貢献出来て仕事に誇りを持ちながら、その結果として成長もできるし、しっかり世の中水準以上の報酬を貰え、大好きな仲間と一緒に働く…青臭いですがそんなイメージのような会社を創っていきたいです。厳しさと楽しさが共存しながら共通の目的をみんなで目指しているプロスポーツのチームのような状態が理想ですね。


ー最後に、sincereedにこんな方に入社してほしい、こんな方と働きたい、という点を教えてください。

sincereedパーソンとして大事にしたいことはバリューにて言語化しているのですが、特に「四方良し」「協働共創」という言葉に集約されている通り、お客様や仲間、そして自分のことも欠けることなく大事にしていきたいという方や、1人では無くみんなで何かを成し遂げたい方、また本来組織で何かをやることは手段かもしれませんが、それ自体が目的の方もウェルカムです。自分だけが中心というよりは、やっぱり他者への貢献が大事だと思ってくださる方がカルチャー・バリューとはフィットすると思います。HRビジネス、エージェントビジネスは言い換えると黒子ビジネスということもありますが、弊社は特にその色が強いかなと思います。

あとはしっかり義務と権利を両立できる人ですね。お客様に貢献して成果を出しながら自分のキャリアや給料を得ていくというマインドの人と、一緒に事業をつくっていきたいと考えています。




■PROFILE

藤井 俊介 取締役副社長

1982年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業。
2005年メガバンクに新卒入社、その後2006年に株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社。
IT・インターネット領域の法人営業/営業マネジャー、営業領域・IT領域のキャリアアドバイザー組織のマネジャー/部長、東海エリアの部長・地方エリアの部長を歴任。
2021年にsincereed株式会社を共同創業。


藤井 俊介のプロフィール - Wantedly
sincereed株式会社, 取締役副社長 1982年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業。2005年メガバンクに新卒入社、その後2006年に株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社。 IT・インターネット領域の法人営業/営業マネジャー、営業領域・IT領域のキャリアアドバイザー組織のマネジャー/部長、東海エリアの部長・地方エリアの部長を歴任。 ...
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