株式会社森未来、新たに執行役員・社外取締役を迎え、経営体制を強化
株式会社森未来のプレスリリース(2025年4月28日 11時10分)株式会社森未来、新たに執行役員・社外取締役を迎え、経営体制を強化
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000020108.html
森未来は、新たに執行役員2名、社外取締役1名を迎え、経営体制を強化しました。
それにともない、役員メンバーのインタビューをお届けします。
今回は最高財務責任者 CFO 兼 最高管理責任者 CAOに就任した山北さんです。
経営体制強化の詳細はこちら
この記事はこんな方におすすめ
・今後の林業業界の可能性に興味がある方
・1→10(イチジュウ)が得意な方
・森未来がこれからどこを目指していくのか、ビジョンに共感したい方
山北 絵美さん プロフィール
農学部から銀行へ、農林業の現場を見たからこその選択
IPOを目指せる林業スタートアップに心が動いた
事業に集中するための土台を作りたい
時代が変わった──今こそ、森に向き合うとき
京都大学農学部卒業。
2013年から12年間三井住友銀行に在籍し、サステナビリティやフード&アグリ関連の事業開発を担当。2015年~2017年、経済産業省に出向。2022年、Circular Economy and Sustainability Strategies(Cambridge Judge Business School)修了。大学時代より山仕事に携わり、プライベートで山林整備のボランティアを継続。
2025年3月より株式会社森未来に在籍。
農学部で学んだ学生時代、サークル活動を通じて農業や林業の現場に触れる機会がありました。実際の現場を見ていく中で、産業としての農林業の厳しさを肌で感じ、当時は就職先として選ぶ決断には至りませんでした。
特に林業は、職業としての認知度がまだ低く、メディアで取り上げられることも少なかったため、自分の進路の選択肢としては現実味が薄く感じられました。
そうした中で、さまざまなビジネスモデルを学びたいという思いが強くなり、銀行業界に関心を持つようになりました。ちょうどその頃、農学部の先輩が三井住友銀行で農業や食に関わる融資制度の立ち上げに携わっていると知り、「銀行でも農や食の支援ができるのか」と驚き、それをきっかけに銀行への就職を決めました。
銀行では営業職としての経験を積み、その後は経済産業省へ出向。帰任後は新規事業開発を担う部署に異動となり、「社会的インパクト投資」をテーマとするチームに配属。
その頃から社会全体でもサステナビリティへの関心が高まり、三井住友銀行でもサステナビリティの部署が新設されるなど、組織としての動きが出てきました。
私自身、特別にサステナビリティを志していたわけではありませんが、農業分野を担当する中で自然とその流れに関わるようになり、気づけば森林関連のプロジェクトにも携わる機会を得ていました。
森未来を知ったきっかけは、友人から浅野さんを紹介してもらったからでした。その後、3人で飲みに行くような関係となり、ゆるやかな交流が続いていました。
そんな折、SMBCベンチャーキャピタル(以下、SMBCVC)が森未来への出資を検討しているという話を耳にし、本当に投資が決まるかもしれないと聞き、驚きました。
元々以前より浅野さんから、誘いの声をかけてくれていたため、気になるようになりました。
そして、ついにSMBCVCからの出資が正式に決まり、まさに「今しかない」と強く感じるようになりました。
私は銀行に10年間在籍し、銀行の役職員や取引先企業の方とも関係を築いてきました。SMBCVCが出資する森未来であれば、転職しても関係性を保ちつつ、将来的にこれまでお世話になった方や日本経済への貢献にもつながる可能性があると考えました。
林業については長年「やはり儲からない」と考えていましたが、浅野さんが林業業界のスタートアップとしてシリーズAで2.6億円の資金調達を実現したことには、本当に驚かされました。
これはすなわち、投資家が森未来に対して2.6億円以上の企業価値を見出したということ。
林業業界でIPOを目指せる会社をつくったという点で、私にはできなかったことを、浅野さんは実現した。
その姿に、純粋に「すごい」と思いました。
現時点では、森未来のガバナンス体制はこれから整えていく段階です。
私自身、会社経営の経験があるわけではありませんが、かねてより森未来の財務担当としてお声がけをいただいていたこともあり、「IPO実務検定(上級)」という資格試験に合格しました。
まずは、その検定で学んだ「ベーシックにやるべきこと」から着実に取り組んでいく必要があると感じています。
入社して改めて実感したのは、「何をするにもまず考える時間が必要だ」ということ。
そしてそのためには、資金的な余裕が不可欠だと感じました。まずはリスクの少ない手段として補助金の申請を行い、あわせて銀行からの融資での調達も進めています。
資金の心配をしない状態を整えることで、事業開発や営業活動といった本来注力すべき業務に集中できる環境をつくりたいですね。
人事制度の設計などにも、しっかり時間をかけられるようにしていきたいと思います。
時代の流れが、私たちにとって追い風になっていると感じています。
かつて農学部で学んでいた頃には、「この分野で食べていくのは難しいかもしれない」と思っていました。しかし今、その状況は大きく変わりつつあります。
人類全体がある程度の豊かさを手にしたことで、「サステナビリティ」という価値観が本気で語られるようになりました。
経済的に苦しい状況では、人権や環境にまで意識を向ける余裕はないかもしれません。でも今、社会が一定の成熟を迎えたからこそ、持続可能性や倫理性といったテーマが、真剣に考えられる時代になったのだと思います。
日本もまた、そうした転換期を迎えている最中です。
都市の人々が森林に癒しを求めるようになったように、森の存在価値が再び見直されてきています。
それでもなお、森林の本質的な価値は、依然として過小評価されているのが現実。
だからこそ、大企業にはできないかたちで、その価値を最大限に活かした新しいビジネスをつくっていく。それが、森未来が担うべき使命だと考えています。
人類は今後、100億人規模に達するかもしれません。しかし、森林の面積は増えるどころか、むしろ減少しています。
経済学的に見ても、限られた資源である森林の価値が今後ますます高まっていくのは必然です。
いま、世界の起業家たちは二つの方向に分かれつつあります。
ひとつは宇宙への移住を志向し、地球を保存すべき場所としてとらえる考え方。そしてもう一つが、
B Corpのように「地球と共に生きる」ことを前提にした、自然との共存を目指すビジネスのスタンスです。
私は、後者に近い考え方を持っています。
私たちが生きるこの時代には、自然と共にある社会でなければ、真のサステナビリティは実現できないと思っています。だからこそ、私たちの事業が、その解決策の一つになれることを心から願っています。