連載「広報の本質を求めて」
いま広報PRに求められる役割は、かつてないほど多様で、複雑なものになっています。会社を取り巻くステークホルダーの多様化、市場環境の複雑化。そうした変化に対応するためには、闇雲にプレスリリースを配信したり、人目を引く企画を立てたりするだけでは不十分です。一貫したブランド・ストーリーを紡ぎ、効果的なPR戦略を立案する。消費者だけでなく、社会全体の動向を深く理解し、コミュニケーションを図る。本連載では、そんな新しい広報の姿について、Story Design houseの新井がリアルな事例を紹介しながら考えていきます。
新井 達斗志(あらい・たつとし)
Story Design house株式会社 Senior PR Planner。早稲田大学商学部卒業後、大手人材サービス会社へ入社。営業、営業企画を経験。Story Design house へ転職後は、事業会社での経験を生かして、スタートアップや、大企業の新規事業を中心に、PRを核としたコミュニケーション戦略の策定〜実行およびメディアコミュニケーションを数多く担当。またスタートアップ、新規事業におけるPRについてのイベントや勉強会などの企画も行う。
「広報の成功」ってなんだろう
今では「広報の人」として活動している私ですが、広報の仕事に携わりはじめたのは、30代になってからのことでした。実はもともと、「営業/営業企画の人」でした。
営業や営業企画というのは、仕事における「成功」がわかりやすい職種です。たとえば「売上」のように、日々の取り組みの成果が数字の形ではっきりと現れるためです。シビアではありますが、ある意味「わかりやすい」ともいえるでしょう。
そういった営業の世界に慣れていたため、広報の仕事を重ねていくうちに、その「成功」の「わかりづらさ」に戸惑ってしまいました。
お客様と発信すべき情報について議論し、メディアの方々に興味を持っていただけるよう提案をし、取材してもらい、晴れてお客様の情報が記事として世の中に出る。ここまではわかりやすいのですが、その先にあるものはなにか。
売上が上がることなのか、株価が上がることなのか、採用がうまくいくことなのか……ほかの分野に比べて、広報における「成功」の定義は非常に困難です。しかもその定義は、ビジネスの成長フェーズやステークホルダーとの関係性に応じて、刻一刻と変わっていきます。
広報と似た性質をもつ領域として、マーケティングがあります。マーケティングは、情報を発信し顧客との接点をもつという意味では、広報と近い部分もありますが、目標を数値で設定することが普通です。
そのこともあって、マーケティング的な考え方で「広報の成功」が語られることもしばしば目にします。確かに、そういった考え方が役立つ場面もあるでしょう。しかしそういった「わかりやすい成功」だけにこだわると、広報の役割や意義を捉えきれないように思うのです。
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