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こんにちは。サイエンスアーツです!
今回は、大規模地震時の医療活動における課題とBuddycomによる解決策について、ご紹介します。
大規模地震時の医療活動における課題
日本は地震大国であり、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害が懸念されています。内閣府の想定によれば、こうした大地震では多数の負傷者の発生が避けられず、被災地の医療体制には深刻な負荷がかかります[1]。主な課題は次のとおりです。
- 医療資源の逼迫と医療機能の低下: 病院自体が被災し設備やライフラインが損壊するうえ、医師・看護師など医療従事者の不足によって診療機能が低下する懸念があります[2]。限られた人員で多数の傷病者に対応せねばならず、医療提供体制が著しく制約されます。
- 救急搬送体制への打撃: 膨大な数の負傷者に対し救急車の台数が絶対的に不足し、道路の寸断や大渋滞も相まって患者の病院搬送が困難になります[2]。発災直後は特に搬送ニーズに追いつけず、救命の遅れによる犠牲者増大が懸念されます[3]。また、被災地域で多数の傷病者を受け入れきれない場合には他地域への広域搬送が必要になりますが、被害範囲が広域に及ぶとヘリポートの不足や搬送距離の長大化により搬送が追いつかなくなる恐れがあります[4]。
- 通信インフラの途絶と情報共有の断絶: 大地震発生時には電話回線や携帯通信網が輻輳・断絶しやすく、迅速で確実な情報共有が困難になると指摘されています[5]。実際、被災地内で通信が途絶すると緊急ヘリポートの設置や他機関との連絡調整にも時間を要し、救助・医療活動の初動に大きな遅延を招きます[6]。現場の状況把握や指示伝達が滞ることは、医療救護の効果を著しく低下させる要因です。
以上のように、大規模災害時には医療側の物的・人的資源の不足に加え、コミュニケーション断絶による組織連携の停滞が大きな課題となります[2][6]。このため内閣府は毎年「大規模地震時医療活動訓練」を実施し、DMAT(災害派遣医療チーム)を含む関係機関の協力体制強化に努めています[1]。では、こうした状況で病院は何を備えるべきでしょうか。鍵となるのは「災害に強い情報通信インフラ」と「現場を繋ぐ迅速な情報共有手段」です。
Buddycomが可能にする災害時コミュニケーション
上記の課題を解決し医療現場の連携力を高める手段として、インカム型コミュニケーションアプリ「Buddycom(バディコム)」に注目いただいています。
Buddycomはスマートフォンやタブレットにインストールするだけでトランシーバー(無線機)と同様に複数人が同時通話できるクラウドプラットフォームです[7]。音声通話だけでなくテキストチャット、画像・動画共有、位置情報共有など豊富な機能を備え、免許不要で誰でも利用できます[8]。災害時にBuddycomが発揮する主な効果は下記です。
- 通信インフラの維持(レジリエンス強化): Buddycomは4G/5Gのモバイル通信やWi-Fiを使ってクラウド経由で通信するため、携帯電話網が途絶しても利用可能な通信手段を柔軟に確保できます[7]。例えば2025年の内閣府主催大規模地震訓練では、電話・無線が不通になった想定下でBuddycomを人工衛星インターネット「Starlink(スターリンク)」に接続し、情報共有基盤として機能させる実証実験が行われました[9]。この試みでは、従来の無線機や電話では不可能な音声・映像・位置情報を含む多方向同時通信をBuddycomで確立し、現場~本部間の状況把握・指示伝達のスピードと正確さを飛躍的に向上できることが確認されています[9]。災害で通信インフラが寸断されても、衛星通信など代替ネットワークと組み合わせることでBuddycomは途絶えないライフラインとなり得るのです。内閣府主催「令和7年度大規模地震時医療活動訓練」における、青森県での「DMAT訓練」にて、災害医療現場の情報共有基盤として、Buddycomの実証試験を実施 | ニュース | Buddycom -バディコム-
- 音声・映像・位置情報のリアルタイム共有: Buddycomは音声通話・ビデオ映像配信・GPS位置情報共有を一体化したプラットフォームであり、現場の詳細な状況をリアルタイムに遠隔地の本部へ届けることが可能です[5]。例えばDMAT隊員が負傷者の様子をスマホで撮影しながら本部と会話し、負傷者の位置を地図上で共有するといった使い方ができます。これにより本部の医師が現場の映像を見て指示を出す、指揮官が各チームの現在地を把握して救護エリアを割り振る等、これまで電話や無線では難しかった高度な状況把握と判断が可能になります[5]。情報が視覚と音声で即座に共有されることで患者搬送の優先度判断や物資配分の決定も迅速化され、医療救護活動の精度と効率が大幅に向上します[5]。
- 一斉同報と指示伝達の効率化: Buddycom最大の利点は、ワンプッシュで多数のメンバーに一斉通話できる点です。従来のPHSや電話のように個別に発信・応答を繰り返す必要がなく、現場責任者の指示を全員へ即座にブロードキャストできます[10]。これにより「〇〇先生至急応援お願いします」「△号棟で重症患者受け入れ準備を」といった連絡も一度の発話で確実に周知でき、伝達のタイムラグを解消できます。実際、ある病院では内線電話やPHS中心だった連絡手段をBuddycomに切り替えた結果、従来PHS依存だった内線通話の回数が半減し、スタッフ間の情報共有が格段にスムーズになりました[11]。PHSでは一人ずつしか呼び出せないため発生していた通信のボトルネックや待ち時間が、一斉同報によって解消されるのです[12]。またBuddycomでは通話内容が自動録音され履歴として再生できるため、聞き逃しがあっても後から確認できるうえ[13][14]、非常時の記録としても活用できます。音声のテキスト化(文字起こし)機能も搭載されており、混乱時でも重要情報をテキストで追えます[15]。これらの機能により、災害時でも指揮命令系統の意思疎通を確実にし、医療チーム全体の機動力を高めることが期待できます。
- ハンズフリー通話と操作性: 医療現場では両手が塞がる場面が多く、機器操作の負担を減らすことも重要です。BuddycomはBluetooth対応の専用イヤホンマイク(骨伝導ヘッドセット等)を用いることで、スマホに触れずにハンズフリー通話が可能です[16][17]。例えば手術中の執刀医や看護師も、手を止めずに音声で他部署と連絡を取れます。相澤病院の例では耳を塞がない骨伝導型ヘッドセット「Buddycom Open」を活用し、「周囲の音も聞こえやすくコードによる機器引っ掛かりリスクも解消され、快適に運用できる」との評価を得ています[18]。直感的なアプリ画面と管理コンソールも評価が高く、ITに不慣れなスタッフでも短時間で使いこなせる操作性が確保されています[19][20]。これらは平時の業務効率化はもちろん、非常時にもストレスなくツールを活用できる大事なポイントです。
以上のように、Buddycomは「通信インフラの途絶を補い、現場と指揮系統をつなぐ」信頼性と、「音声・映像・データを統合して即時に共有する」利便性を兼ね備えています。災害対応において必要とされる状況把握のスピードと指示伝達の確実性を飛躍的に向上させるソリューションとして、国内外で注目が高まっています。
病院のBuddycom導入実績:相澤病院のケース
実際にBuddycomは医療現場で続々と導入が進んでいます。その導入企業数は現在1,400社を超えており(病院・介護施設含む)[21]、国内音声コミュニケーションツール市場で5年連続シェアNo.1という実績を誇ります[22]。その中でも、長野県松本市の相澤病院(地域中核の急性期病院)での事例は、「病院DXによる業務革新」の成功例として注目されています。
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院様の導入事例が公開されました | ニュース | Buddycom -バディコム-
相澤病院では年間6,000件以上の手術を行う大規模な手術センターを抱えていますが、以前は院内連絡に主にPHSと内線電話を使用していました[23]。従来の手段では通話中に他から連絡が取りづらい、呼び出されたスタッフが電話を取るため移動しなければならない等の非効率が多く、緊急時や複数部署にまたがる連絡では伝達遅れが顕著でした[24]。これらは医療安全上のリスクや業務効率低下を招くため、同病院は病院DXの一環としてスマートフォンとBuddycomを活用した新たなコミュニケーション体制づくりに踏み切りました[23]。
導入の効果は明確でした。手術センターの医師・看護師・技師ら約30名がBuddycomグループ通話で常時繋がることで、従来PHSで掛けていた内線電話連絡は半減し、リアルタイムの情報共有が可能になりました[11]。具体的な成果として、以下の点が報告されています。
- 手術室と外部部署の円滑な連携: スマホ+イヤホンマイクにより執刀中でもハンズフリーで会話できるようになり、手術室内から手術室外の滅菌室や病棟への指示出しがシームレスに行えるようになりました[25]。これにより「今すぐ〇〇を持ってきて」「次の手術の準備を開始して」といった依頼がタイムリーに伝達され、手術進行における待ち時間ロスが解消されています。
- リアルタイムな院内コーディネーション: Buddycomの一斉通話機能やフロア横断的な音声・画像共有により、患者の搬送要請や機材手配の精度・スピードが飛躍的に向上しました[26]。手術室スタッフが別フロアの放射線技師に画像を送り迅速に診断支援を仰ぐ、といった連携もスムーズになり、必要な処置・段取りの抜け漏れが減少しました。
- スタッフの移動回数・距離の削減: 従来はPHS呼び出しを受けて他室へ駆けつけたり、直接口頭で確認するために部屋を出る必要がありました。しかしBuddycom導入後はその場にいながら用件を伝え合えるため、「ちょっと呼びに行く」「状況を見に行く」ための往来が激減しました[27]。実際、ビーコンを用いた動線調査では手術センター内での職員の移動回数が大幅に減少し、看護師が手術室内に留まる時間が増加したことが確認されています[28]。つまりスタッフは本来業務により集中できるようになったのです。
こうした成果により、相澤病院では手術室のオペレーション効率が格段に改善しました。同院の経営層からは「Buddycom導入によって医療の質と業務効率の向上に貢献できると確信している」との力強いエンドースメントも得られています[29]。スマートフォンを軸にPHSでは実現し得なかったリアルタイム情報共有を実現したこの取組みは、医療現場DXの好例として業界内でも注目を集めています[30]。限られた人員で安全・高品質な医療を提供し続けるためには「業務の効率化」と「情報伝達の高度化」が不可欠ですが、Buddycomはまさにその両輪を支えるソリューションと言えると思います。
おわりに:災害に強い「つながる」病院づくりへ
大規模災害への備えとして、病院経営層に求められるのは非常時でも機能するコミュニケーション基盤の構築と、平時からの業務効率化・DX推進です。Buddycomのようなクラウド型インカムシステムを導入することは、その両面を同時に強化する有力な手段となります。平常時にはスタッフ同士の連携強化や業務迅速化によって患者サービス向上や働き方改革に寄与し、いざ災害時には重要情報を確実に届けて組織対応力を維持する生命線となります。
実際、Buddycomは医療・介護のみならず航空、鉄道、建設、小売、自治体防災など様々な現場で導入が進み、フロントラインのコミュニケーション手段として活用されています[31]。その継続利用率は99%以上と非常に高く[21]、多くの現場が一度使ったら手放せないインフラになっていることを物語っています。病院経営においても、患者の命と安全を預かる現場を「つなぐ」仕組みづくりは最重要課題の一つです。災害に強く日常業務にも資するコミュニケーションDXを、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。信頼性の高い情報共有基盤を備えることが、病院全体のレジリエンスとサービス品質を一段と高める鍵となると思います。
参考文献・資料:内閣府防災情報ページ、大規模地震時医療活動訓練資料、Buddycom公式ニュースリリース・導入事例、プレスリリース等[1][2][6][9][5][11][25]。
[1] 令和6年度 大規模地震時医療活動訓練について
https://www.bousai.go.jp/pdf/240920_kunren.pdf
https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/syuto_wg_siryo02.pdf
[5] [9] 内閣府主催「令和7年度大規模地震時医療活動訓練」における、青森県での「DMAT訓練」にて、災害医療現場の情報共有基盤として、Buddycomの実証試験を実施 | ニュース | Buddycom -バディコム-
https://buddycom.net/news/20250829-aomori_dmat/
[7] [22] [31] スマホで60秒DX!中小特化型インカムアプリ「Buddycom Standard」登場! | 株式会社サイエンスアーツのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000212.000006457.html
[8] [10] サイエンスアーツ、慶應大予防医療センターが「Buddycom」導入 – 医療テックニュース
https://medicaltech-news.com/management/ct/2339/
[11] [12] [13] [14] [15] [16] [19] [20] 社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 | 導入事例 | Buddycom -バディコム-
https://buddycom.net/?post_type=case&p=3541&preview=true
[17] [18] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] 相澤病院、病院DXの一環としてBuddycomを採用~年間6,000件を超える手術室のオペレーション改善に貢献~ | ニュース | Buddycom -バディコム-
https://buddycom.net/news/20250714-aizawa/
[21] Buddycom -バディコム- 次世代トランシーバー・インカムアプリ