SALを“進化”へと導くために、社内に浸透している仕事を進める上での9つの考え方があります。
チームを目的に導く、問題を把握する、実行力、意思決定、優先順位、スケジュール、トラブル対応、意思疎通の促進、チームにレバレッジをかける、という9つのセクションの中に、さらに具体的な項目が設定され、「進化論」というフレームワークとして社員全員に共有されています。
そんな「進化論」は代表の魚住さん自らが発案したということです。その背景や社内での共有の仕方についてもお話を伺いました。
効率化だけではない。「進化論」を導入するメリット
ーー「進化論」とは一体どういった内容のフレームワークなのでしょうか?
魚住:まず、すべての土台となってくる「GPS」は、プロジェクトメンバー間で目的とポイント、目的達成までのステップを明確にするフレームワークです。プロジェクトを開始するときに、このGPSを必ず共有することでいつでも目的を見失わずに確認することができます。
「バリューチェーン(VC)」は、プロジェクトの戦略・設計を立てるためのプロセスを細分化して言語化したもので、「WBC」はプロジェクトを5つのフェーズに分け、作業を細かく構成図にしたものです。
その他にも、「意思決定のプロセス」や「スケジュールづくり」など、プロジェクトが進行していく中での効率的な考え方を具体的な項目ごとに、フレームワークにしたものです。
これらを意識することで、チームで仕事をするときの効率がまったく違ってきます。
例えば、ヒアリングはなんの目的でする?そのためには何をするべきか?と考えると、ただ単に「ヒアリングをするよ」と言われるよりも、その目的や背景が明確になって、何が必要なのか事前に整理をすることができます。
もうひとつのメリットとして、人に仕事を任せるときに理解してもらいやすい、ということもあります。
例えば、プレイヤーとしては営業成績が良かった人も、チームを持たせると全然機能しないということはよくあります。それは、自分がなぜ営業成績をあげるのかが言語化できずに、感覚でやっているからです。
でも、新しい人が入ってきて、「俺の背中を見ろ!」とだけ言われても困りますよね。
現場ではこういうことよくあるんです。バリューチェーンはプロジェクトのプロセスを言語化したものですが、この“言語化”の重要性をわかってもらうのはむずかしいです。
ーーその重要性を理解してもらうために、具体的にどのようなことをされているのでしょう。
魚住:ひとつの例として、ミーティングではホワイトボードを多用しています。口で話しているだけではみんなが同じことを考えていない場合が多いです。なので、見える化することが大事。というのを僕がやって、マネージャーにもやってもらって、それで新しく入ってきた人にも実践してもらう、という流れを上からつくっています。
ーー「意思決定のプロセス」で大事なことはどんなことでしょうか。
魚住:ここでも大事なのは、意思決定をするために何が必要なのかを言語化すること。
上司に判断を任せるときにも、単に「やっていいですか?ダメですか?」と聞くのではなく、YESかNOを決めるために必要な情報を用意することが必要です。
こういうことを積み重ねていくことで結果的には効率化になりますし、ひとりひとりに考える力が育まれます。あと、この意思決定のプロセスはプライベートでも使えます。車を買うときでも転職をするときでも。
ーー仕事という枠を越えてどんなことにでも転用できるんですね。
魚住:このフレームワークの考え方は、どんな場面にも本当に使えます。会社として、他からもってきたフレームワークをちょっと入れてみた、では意味がなくて、会社のトップ層が身を持って実践し、本当にそれが良いと思って使っていることが大事ですね。
社内に徹底的に浸透するための運用
ーーSALで、このフレームワークが社員全員に浸透しているのはなぜなのでしょう?
魚住:「進化論」については、僕が担当する座学があります。でも、座学を一回やったところで全然浸透はしません。なのでそのあとの運用が非常に大事です。
例えば、「GPS」はこのフレームワークの一つ目の項目で、基礎となってくる最も優先度が高い内容です。Gはゴール、Pはそれを達成するためのポイント、Sはステップです。
それぞれの内容をまとめてからプロジェクトや会議を進めます。GPSをまとめるには、事前シートを使っています。なので、「このミーティングは何が目的でしたっけ?」と投げかけることでいつでも目的を共有する地点に戻ることができます。
初めは目的を言葉にすることとか、GPSを整理することに時間がかかってしまう人は多いですが、これをまとめてからでないと、ミーティングを始めない、というふうに徹底しています。メンバーも、GPSについて発言する機会が増えることで、精度はだんだん上がってきます。
ーー「進化論」の発案にはどういった経緯があるのでしょうか。
魚住:社内の共通言語を作りたかったというのが大きいですね。
仕事をスムーズに進めて生産性を上げるには何が必要なのか、ということを言語化して共通の認識を持ち、伝えていきたいという想いがありました。
「効率化」という言葉をひとつとっても、ある人はスカイプを使いまくる、ある人は電話で話したほうが早いと思っているかもしれない。その感覚がバラバラだと、レバレッジが効かなくてチーム力は上がらないんです。
社内の共通言語を浸透させるには、まずその価値がわかっている人をひとりでもつくること。それが第一歩です。そこからまたひとり、またひとりと連鎖していくものです。
「大事だよ!」と言われたから体現できる人なんていません。「進化論」という9つのことを徹底していれば、いつでも全員が同じ場所に戻れる、そういった軸となる共通の認識を作ることが大切です。