【類設計室】「豊中市立庄内さくら学園・豊中市庄内コラボセンター」 グッドデザイン賞を受賞 ~インクルーシブ教育の先進地に市立小中一貫校と地域拠点施設が一体整備された点が評価されました~
株式会社類設計室(本社:大阪市淀川区、社長:阿部紘)の設計事業部が設計した「豊中市立庄内さくら学園・豊中市庄内コラボセンター」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2023年度グッドデザイン賞を受賞したことをお知らせいたします。
子供から大人まで幅広い関係の中で、子供たちの成長を促進し、子育てや地域活動を支援
「豊中市立庄内さくら学園・豊中市庄内コラボセンター」は、豊中市内に位置する小中一貫校と地域拠点施設を同敷地に一体で計画し、子供から大人まで幅広い関係の中で、子供たちの成長を促進し、子育てや地域活動を支援する施設です。両施設の間には誰もが通行できる「あいさつロード」を、2階には相互に行き来できる連絡橋を設け、地域とともに関わる領域を創出しました。
「あいさつロード」
設計の背景と趣旨
現代は共働き世帯が増え、子育てや高齢者の世話を家庭だけで担うには負担が大きくなっているという課題があります。豊中市の南部地域でいえば、立地特性や歴史的な経緯などから生活や学習に課題を抱える家庭が多く、子供たちへの支援の期待が大きくなっていました。
一方で、本地域は、歴史が古く、地域のお祭りには多くの住民が参加し、各小学校区には公民分館が置かれ、地域活動が根付いています。戦後の復興期に人口が急増、急激に都市化したものの、下町の気質が残り、住民同士のつながりが残っています。有志の住民やNPOなどにより、地域の子供たちに対する見守り活動やこども食堂などが、他の地域に比べて盛んなことも特徴です。
施設内の様子
このような地域特性と本計画の施設機能を踏まえ、未就学児も含めて地域ぐるみで子供たちを育てる活動を広げる施設とするため、構想段階から住民参加で施設の在り方を一緒に考えました。そして、小中学校と地域拠点施設を隣接させ、一体的に計画することとなりました。
設計においては、屋外空間においても住民と子供たちの交流活動があふれていくように、外観デザインは南部地域の街がもつ界隈性が感じられる景観を形成し、住民に親しまれる施設としました。また、地域住民の日常動線となっていた「あいさつロード」を両施設の間に設け、これにそれぞれの入口を対面させ、自然に交流が生まれるように工夫しました。2階は連絡橋でつなぎ、学校の図書室と地域拠点の図書館との連携や相互利用がしやすい計画としました。
今後、施設の連携や交流が盛んになり、住民のつながりと、子育てによる子どもたちの成長が育まれることを願っています。
2023年グッドデザイン賞審査員評価コメント
住宅・高速道路・鉄道がひしめく豊中市に、パッと開いた広場やテラスは、地域の人々が待ち焦がれていたことだろう。豊中市は古くからインクルーシブ教育の先進地として著名であり、市立小中一貫校と地域拠点施設が一体整備されたことは大変意義深い。その計画・設計のプロセスの困難さは想像を絶する。地域で教育に取り組む先進地として、さらなる進化に期待したい。
「豊中市立庄内さくら学園・豊中市庄内コラボセンター」掲載のご紹介
新建築10月号(10月1日発売)で「豊中市立庄内さくら学園・豊中市庄内コラボセンター」が紹介されました。
グッドデザイン賞とは
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。