RITのメンバーを紹介するインタビューシリーズ、今回はエンジニアの三浦航平です。
SIerからキャリアをスタートし、数十のプロジェクトを経験してきた三浦。現在はAIエバンジェリストとして、AIを前提とした開発プロセスの設計や研修を担い、組織の仕事の進め方そのものを変える役割にも挑んでいます。その一方で、将来的には「AI × クリエイティブ × コーチング」を掛け合わせた価値提供にも挑戦したいと語ります。SPG-R開発で体感したAIの進化スピード。ツール開発から仕事の進め方を変える立場へと変化していった背景。そして、これから描く新しい価値のかたちについて話を伺いました。
プロフィール
三浦 航平
大学卒業後、SIerとして官公庁向けシステムの上流工程・運用保守を担当。プログラミングスクールを経て、株式会社RITにエンジニアとして参画。フロントエンドからバックエンドまで幅広い開発経験を積み、自社AIプロダクト「SPG-R」の立ち上げに従事。現在はAIエバンジェリストとして、AIを前提とした開発プロセスの設計や研修プログラムの企画・展開を担う。
ものづくりへの興味からエンジニアへ
ーRITに入社される前はどんな仕事を経験してきましたか?
大学卒業後、新卒でSIerに入社し、官公庁のシステム開発で上流工程やサーバーの運用保守を担当していました。大規模プロジェクトの特定機能を担当することが多く、やりがいはありつつも、全体を俯瞰して見られるエンジニアになりたいという思いが出てきました。もともと小さい頃から絵を描くのが好きで、ものづくりへの興味がずっとありました。デザイナーになりたい気持ちもあったんですが、未経験からいきなりデザイナーで就職するのは厳しそうだと感じて、まずはプログラミングスクールに通い、アジャイルで開発しているRITに入りました。RITでエンジニアとしてやっていく中で、エンジニアリング自体が楽しくなっていきました。今もその延長線上にいます。
全体を俯瞰できる環境を求めて
ーRITを知ったきっかけや、最終的にRITに入社した理由を教えてください
当時RITで働いていたコンサルタントメンバーの紹介です。未経験での採用だったので、福田さんには本当に感謝しています。
当初は、自分の担当範囲にとどまらず、もっと全体を見ながら開発に関わりたいという思いが大きかったんです。SIer時代はウォーターフォールで、関われる範囲が限られていたので、もっと広く見渡せる環境に行きたかった。あとは、優秀な人が集まっている環境で成長したいと思っていました。当時は明確なビジョンがあったわけではないですが、そういう人たちの中に飛び込めば、自分にも何か見えてくるのではないかと思いました。未経験の自分を受け入れてもらえたこと自体ありがたかったですし、決め手はやはり人の良さでした。面接で「意見がぶつかったらどうしますか」と聞いたときに、「それは意見がぶつかっているのではなく、視点が変わることでより良くなる」と言っていただいた。その言葉が印象に残っています。
AIで「仕事の進め方」そのものを変える挑戦
ー現在はどのような役割を担っていますか?
ひとことで言うと、「AIを使って仕事のやり方を変える」役割です。社内ではAIエバンジェリストのような立ち位置になります。もともとはエンジニアとして、自分でコードを書くことが中心でした。ただ、そこから徐々に変わってきています。今はコードを書くというよりも、AIを使って開発の進め方そのものをどう設計するかを考える仕事にシフトしました。これが一番大きな変化ですね。
目指しているのは、AIを前提とした組織に変えていくことです。対象にしているのは開発プロセス全体です。要求事項の整理から要件定義、実装、テスト、運用・保守まで。上流から下流までAIを使う前提で設計しています。単にツールを導入するのではなく、どう組み込めば組織としての生産性が上がるのか。そこを考える役割です。
今やっていることは大きく三つあります。
一つ目は、AIを使った開発プロセスの効率化をR&Dすること。
二つ目は、その知見を研修プログラムにまとめ、自社グループ内外に提供すること。
三つ目は、それらを社内プロジェクトに適用し、成果につなげていくことです。
去年(2025年)は、エンジニアがAIエージェントを本格的に使い始めた年でした。今年はそれが非エンジニアにも広がってきていると感じています。業界全体がそういう流れにある中で、社内でもその変化を進めていきたい。まずは研修プログラムを社内でも実施し、組織全体の底上げにつなげていく。個人のスキル向上にとどまらず、組織の仕事の進め方そのものを少しずつ変えていくこと。それが、今自分が担っている役割だと思っています。
▲サウナとコーヒーのない人生は考えられません。依存症かもしれません。
SPG-R開発で突きつけられた、AIの進化スピード
ー印象に残っているプロジェクトはありますか?
自社のAIプロダクト「SPG-R」の開発です。
SPG-Rは、レガシーシステムの仕様書作成・更新の負担を減らすために開発した、生成AIを活用した自動仕様書作成サービスです。ChatGPTを核に、ソースコードを解析して仕様書を自動で作成・更新できる仕組みになっています。SPG-Rの特徴は、ブラックボックス化していたシステムの中身を素早く可視化できること。仕様が整理されることで、その後の運用や改善も進めやすくなります。30社以上に試していただき、現在は有償で利用してくださっているお客様もいます。
ただ、AIの進化のスピードは本当に速く、半年前に作った機能が半年後にはより良い方法で代替されてしまうこともあります。その中で、プロダクト単体を磨き続けるだけではなく、「ツールそのもの」よりも「AIをどう活用して仕事の進め方そのものを変えるか」が本質的な価値なのではないかと考えるようになりました。
SPG-Rの経験を通じて得たこの気づきが、今の役割につながっていますし、単なるツール提供にとどまらず、AI前提の開発プロセスそのものを設計する方向に仕事が広がっていったと思っています。
変化の最前線にいる面白さと、価値に向き合う難しさ
ー今の仕事で面白いと感じる瞬間や、つらいことはありますか?
変化の真っ只中にいられることですね。今はAIのおかげで仕事のやり方がどんどん変わっている。その中心にいるのは純粋に楽しいです。受け売りも含みますが、電卓が出て暗算の達人は要らなくなったし、インターネットで図書館に行かなくてよくなった。車が出て「足が速い」は実用的には意味がなくなったけど、スポーツとして再定義された。AI でも同じことが起きていて、議事録を取るとか、今まで仕事だったことの形がどんどん変わっていくんだろうなと。その変化に関われるのは面白いです。
逆に大変なことでいえば、クライアントにノーを言わなければいけないときです。本当に価値あるものを作るために、要望をそのまま受けない場面もあります。コミュニケーションがうまく伝わらないときは大変でした。ただ、ピンチのときにはメンバーに助けてもらえるという絶対的な安心感があります。
「腐らないこと」と「目的を考えること」
ーエンジニアとして大切にしてきたことは何ですか?
二つあります。
一つは、腐らないこと。RITには優秀な人が多いので、その中で自分にできることを愚直に続けることを意識してきました。もともとパソコンが好きでエンジニアになったわけではなく、新しいものを学ぶのが好きという好奇心がきっかけでした。なので、自分のやりたいことが見えなかった時期もあります。その中で、自分にできることを探し続ける。それを大事にしてきました。
もう一つは、目的を考えることです。何のためにやるのかを考えると、クライアントが本当にやりたいことの価値に気づける。優先順位もつけやすくなる。これはずっと忘れないように意識しています。
AI × クリエイティブ × コーチングで、新しい価値をつくる
ー今後はどんな仕事に挑戦したいですか?
AI を使った開発プロセスを確立して、組織全体に広げていくことですね。今は AI に作業を丸ごと任せられるツールがどんどん出てきていますが、本番で使うにはセキュリティやコード品質の面でまだ課題がある。そこをどう担保するか、すでに研究を進めていて、ある程度の見通しは立ってきています。社内の様々なプロジェクトで実績を積みながら、RITとしての強みにして、売上に貢献していきたいです。
将来的には、会社としても海外展開を視野に入れているので、個人的にも昔から海外に興味がありますし、その知見を武器に海外へも広げていけたらと思っています。
また、個人的には最終的に、AI × クリエイティブ × コーチングを掛け合わせて価値提供できるようになりたいと思っています。AIの進化によって、以前は自分には無理だと思っていたことが、少しずつ形にできるようになってきました。例えば最近では、AIを使って曲を作り、YouTubeにアップしたりもしています。ものづくりの幅が一気に広がった感覚がありますね。
一方で、昔から悩み相談を受けることが比較的多く、自分自身もキャリアの方向性について悩んだ時期がありました。そのときにコーチングを受けて視界がクリアになった経験がありますし、学生時代から心理学にも興味がありました。だからこそ、AIという技術だけでなく、クリエイティブやコーチングも掛け合わせながら、同じように悩んでいる人に価値を届けられる存在になりたいと考えています。