集客やプロモーションをいくら突き詰めても、事業成長にはいつか限界がくる──。
最前線を走るマーケターほど直面しやすいこの“壁”に、心当たりはありませんか?今回お話を伺った伊藤 佑介さんも、かつて同じ壁にぶつかった一人です。
学生時代のインターン時代にマーケティングに出会い、その奥深さにのめり込んでいきました。
「事業を動かすために必要なことができる人材になりたい」。ブレないその目標を胸に、スタートアップや上場企業でキャリアを重ねてきましたが、目標に近づくほど、大きな壁が見えてきたといいます。
彼はその壁を、どう乗り越えようとしているのか。新たな挑戦の舞台にラクスルを選んだ理由、そしてマーケティングに魅了され続ける理由に迫ります。
目次
働くことに興味がなかった学生が、スタートアップでマーケターになるまで
── ラクスルに入社する前のキャリアについて教えてください。学生時代からマーケティングに興味を持っていたんですか?
伊藤:大学時代はそもそも働くことにあまり興味がなかったんです。「モラトリアムを満喫しよう」と、古本屋を巡り、授業中も本を読み耽る毎日でした。当然、就職活動でも話せるエピソードもありません。一応大手企業から内定はいただいたものの、就活中に「自分自身に価値がないと、人生のオーナーシップが取れないな」と強い危機感を覚えました。
このまま社会に出るのはまずいと思い、卒業までの時間で自分を鍛え直すために、スタートアップでインターンを始めたのですが、そこが結果的に1社目になりました。
── インターンではどんな仕事を?そこからそのまま入社を決意された理由も気になります。
伊藤:テレアポや電話のリスト作り、データ整理など、本当に色々な業務をやっていました。ただ、就活中はまったく視野になかったスタートアップという環境が、実際にやってみると意外と面白かったんです。意思決定が常に現場で動いている感覚があり、「こういう環境で働くのは楽しそうだな」と。それで、いただいていた内定を辞退してそのままこのスタートアップに正社員として入社しました。
── 正社員になってからは、具体的にどのような業務を担当されたのですか?
伊藤:インターン時代から様々な社内ミーティングに参加させてもらっていたのですが、マーケティングの会議を聞きながら「自分だったらこう考えるのに」と思うことが多く、正式に入社するタイミングで「マーケティング領域をやらせてほしい」と直訴したんです。
当時は正社員が10〜20名規模で、案件の取り方も社長の人脈や営業経由が中心でした。そこで「いかにインバウンドでお客様が勝手に来る仕組みを作るか」を考え、広告アカウントの運用やSEO、ホワイトペーパーの作成など、手探りで立ち上げていきました。
試行錯誤するうちに上手くいく型が見え、インバウンドから案件を受注していく仕組みをつくることができました。1年目の秋にはマネージャーを任せていただき、組織づくりや、インサイドセールスと連携した商談獲得フローの構築などを担いました。次々と降ってくる課題に考え、立ち向かっていくプロセス自体が面白く、やりがいを持って働いていました。
「プロモーション」を極めるだけでは、事業の成長に限界がある
── そこから、なぜ転職を考えたのでしょうか?
伊藤:1年ほどで成果が出て売上も伸びたのですが、その後、事業の成長が少し停滞していくような感覚がありました。
当時の私が自信を持って動かせたのは、「お客様に価値を伝える」プロモーションというレバーだけ。でも、伝え方をいくら磨いても、それだけで事業が無限に伸びるわけではありません。マーケティングにはProduct(製品・サービス)、Price(価格)、Place(流通・場所)、Promotion(販促)の4Pがあると言われますが、私が動かせていたのはPromotionのみでした。「どの市場を狙うのか」「どんな価値を提供するのか」──プロモーション以外の変数を動かす必要があると気づいてはいたものの、具体的にどう動かせばいいのか、当時の自分には見当がつかなかったんです。大胆に挑戦の機会を与えてくれた会社には申し訳ない思いを抱きつつ、環境を変えることで突破口が開けないかと考えるようになりました。
── それで、2社目へ転職されたのですね。
伊藤:はい。事業を伸ばすための変数をもっと探りたいと思いました。2社目となる会社は私が入社した頃にはすでに上場しており、1社目のスタートアップというフェーズは乗り越えた会社でした。また、BtoBtoCという複雑なビジネスモデルということもあり、会社のフェーズやビジネスモデルを変えることで、自分の壁を破れるのではないかと期待しました。
── 実際に環境を変えてみて、壁は突破できましたか?
伊藤:振り返ると、そこでも結局、同じ壁にぶつかってしまったと感じています。
入社当初は、インバウンドのマーケティングの仕組みを改善し、短期的には売上を伸ばすことができました。その後「ここからどう打ち手を広げるか」を考え、開発チームに加わってプロダクト改善に関わったほか、データ戦略チームへ兼務で参画し、自らコードを書いてダッシュボードを構築するなど、領域を広げていきました。
スキルも知見も確かに広がりました。しかし、いずれも兼務の立場で関わる形だったため、「複数の領域に断片的に関与しているにすぎない」という感覚が拭えませんでした。事業全体を動かすのではなく、部分的な貢献にとどまっている。そこに大きなジレンマを抱えていました。
目的は「事業を伸ばすこと」。手法に縛られないラクスルのマーケティング
── ラクスルへの入社の決め手は何だったのでしょうか?
伊藤:新卒のころから抱えていた「事業を動かすために必要なことができる人材になりたい」という目標と、ラクスルで求められる役割がマッチしていたからです。
組織を役割によって細分化することで、守らなければならない仕事が発生し、「この領域は〇〇さんの担当という分担が生まれます。これは仕事の取りこぼしが発生しにくくなる反面、各人がより成果に繋がるアクションにリソースを集中させることが難しくなります。マーケティングチームで言えば、役割がプロモーションのKPI達成に閉じてしまう。これは私が経験した会社に限った話ではなく、同じ葛藤を抱えているマーケターは少なくないのではないでしょうか。
一方ラクスルは、マーケティングのスキルは前提としつつも、「目的は事業を伸ばすこと。そのためにどんな手法を取るかは問わない」という本質的な目線を求めている。面接やワークサンプルを通じて、そう感じました。一人ひとりがその前提を当たり前に持ち、事業開発に向き合っている環境に惹かれたんです。
── 所属されている印刷事業部では、どのような役割を担っているのでしょうか。
伊藤:マーケティングを起点に、事業をどう伸ばすかを考えるのがミッションです。SEOやWeb広告の投資強化といった集客に始まり、プロダクトの体験改善、新商品の企画、価格戦略にまで取り組んでいます。まさに4Pのうち、プロモーション以外の領域にも深く入り込めている実感がありますね。
💡 ラクスルのマーケティング組織について
伊藤さんが所属する「事業に紐づく縦の組織」に対し、ラクスルには全社のマーケティング戦略を担う「横串の組織」も存在します。それぞれの役割については、伊藤さんの上長である中嶋のインタビュー記事もご覧ください。
▶︎ 参考記事:ラクスルのマーケティング組織について(中嶋岬)
── 実際に入社してみて、外から見ていた印象とのギャップはありましたか?
伊藤:期待とのギャップはありませんでした。ただ、最初の数ヶ月はキャッチアップが大変でしたね。ビジネスモデルも追いかけるKPIも複雑ですし、祖業として10年以上の歴史がある事業なので、ナレッジも厚く積み上がっています。
一方で、ラクスルは非連続な成長を繰り返してきた会社なので、外から見える規模感に対して、仕組みが追いついていなかったり、個人の力に依存していたりする部分もありました。入社して間もなく、急遽、印刷事業領域のマーケティング全体を見ることになったのですが、キャッチアップも追いつかないなかで事業を動かす「レバー」を探そうにも、仕組み化されていないカオスに埋もれていて、なかなか見つからない(笑)。でも、だからこそ自分たちの手で整えていく面白さがあり、やれることもたくさんあると感じました。
── 前職で感じていた壁は、ラクスルで超えられた実感はありますか?
伊藤:はい。以前は、「顧客価値を磨くこと」と「顧客価値を届けること」を両輪で回さなければ事業は伸びないと頭ではわかっていても、実感を伴う経験値がありませんでした。
ラクスルでは、広告投資を強めると同時に、商品の価格設定やサイトの案内を事業部と一緒に改善していくことで、目に見える大きな成果につながる体験ができました。「マーケティングで成果を出す」ことから、「マーケティングを使って事業を伸ばす」ことへ。その転換が、少しずつできてきたと感じています。
もちろん、常に順風満帆なわけではありません。半年注力してもまったく伸びない商品もあります。成果が出ないと焦りが生まれ、「とりあえず値下げするか」「キャンペーンを打つか」と、目先の場当たり的な発想に走りそうになる。そんな時こそ、市場の把握と顧客目線という本質に立ち返り、諦めずに課題と向き合い続けることが大切だと学びました。
そして、ラクスルに来て本当に良かったと思うのは、それぞれの視点で事業や顧客を深く見ている上司や同僚に囲まれていることです。行き詰まった時に相談すれば、自分ひとりでは辿り着けない角度からフィードバックがもらえる。周りの視座の高さに引っ張られて、自分の思考の枠が一段と広がっている実感があります。
「答えのない問い」に向き合い、仮説を検証しきる面白さ
── 仕事をしていて、一番楽しいと感じるのはどんな時ですか?
伊藤:成果が出た瞬間はもちろんですが、それ以上にその「プロセス」自体が面白いと感じます。考え方が広がり、本質的な課題に気づく。それに取り組むことで成果が出て、さらに視野が広がっていく。この思考と検証のループを回している時が一番楽しいです。もちろん事業成果を出すことは前提ですが、個人的にはそのプロセスを突き詰めること自体に大きな面白さを感じています。
── 課題に対して仮説を立てて、検証していくプロセスが好きなんですね。
伊藤:そうですね。大学で哲学を学んだのも、昔から「答えのない本質的な問い」を考えることが好きだったからです。マーケティングも、根っこの部分ではそこにつながっているのかもしれません。
マーケターの役割が細分化された組織では、「自分が立てた仮説を最後まで検証しきれない」というジレンマを、誰もが抱えがちです。でもラクスルでは、役割や立場に縛られず、投資を起案実行できる機会があります。仮説を検証しきって事業を前に進められることが、大きなやりがいになっています。
── 最後に、これからどんな人と一緒に働きたいか、候補者へのメッセージをお願いします。
伊藤:日本のマーケティング組織は、プロモーションに特化しがちだと言われます。かつての私もそうでしたが、そこから自分の枠を広げて、もっと大きく事業に貢献できる人材になりたいと思っている方は、きっと多いはずです。そういう志向を持つ方に、ラクスルはとてもマッチする環境だと思います。
ラクスルの強みは、「目的が分断されない」組織カルチャーです。会社の規模が大きくなっても部分最適に陥りにくく、「事業のために何をすべきか」という本質的な意思決定がなされています。
だからこそ、自分の仕事に境界線を引かず、「事業を伸ばすこと」を純粋な目的に置ける人にとっては、最高の環境です。これまでのWebマーケティングなどのご経験は、ラクスルでも即戦力として活かせる強い武器になります。そこを起点に、事業を動かすさまざまなレバーを引いて、キャリアを広げていきたい。そんな方と、ぜひ一緒に働きたいですね。
編集後記
手持ちの武器だけで戦うことに限界を感じ、葛藤を重ねてきた伊藤さん。彼がラクスルで見つけたのは、「目的が分断されない環境」で、事業を動かすレバーを自らの手で増やしていくリアルな手応えでした。
組織が大きくなっても部分最適に陥らず、「事業を伸ばすこと」に真っ直ぐ向き合える文化があるからこそ、マーケターは“プロモーションの担当者”から“事業を牽引するリーダー”へと飛躍できます。機能や役割の枠を飛び越え、マーケティング4Pのすべてを動かしながら事業と顧客に向き合いたい──。そんな熱い想いを抱くマーケターにとって、ラクスルは最高の挑戦の場です。
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