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新規事業のためのプロフェッショナルネットワーク"quantum collective"、始まります。 [interview with quantum collective#1 高橋雄介さん]

スタートアップ・スタジオquantumは、「なめらかにスタートアップできる社会へ」というビジョンを掲げ、あらゆる才能を重ね合わせ、まだ世界に存在しないプロダクトを生み出すべく日々活動しています。

quantumには様々な専門性を持ったメンバーが在籍していますが、新規事業を生み出すために重ね合わせるべき才能は社内に常駐するメンバーだけとは限りません。ということで、quantumはこのほど推進する新規事業開発に対して、プロジェクトベースでプロフェッショナルに参画頂く“quantum collective”というネットワークを立ち上げました。

パートナー企業との共同事業や新規事業開発支援、0→1でのベンチャークリエーションなどに、個人事業主の方はもちろん、副業的に関わっていただく方まで高い専門性を持つ方々に参加いただくことで、より一層なめらかに新規事業を生み出すことができるようになると考えています。

今回はこの動きにいち早く賛同し、quantum collectiveとしてすでに活動を支えてくださっている高橋雄介氏にインタビューを実施。quantumとの出会いから、現在の関わり方、今後のquantumやquantum collectiveに対する期待などについて語っていただきました。

高橋さんのこれまでのご経歴と、専門領域について教えてください。

僕の最初のキャリアはコンピュータサイエンティストでした。PhDを取得した後に研究職で働きました。そのうち論文を書く、教育をするといった中長期の社会貢献よりもう少し短期的な貢献、自分の作ったものが目の前の誰かの役に立つような仕事をしたいと思うようになり、教員の仕事を辞して、会社を始めました。

1社目を日本で、2社目はアメリカで創業しました。ちょうどiPhoneアプリを一般デベロッパーも開発できるようになった時期だったこともあり、開発者が最も多く、一次情報があるサンフランシスコで仕事しようと、アイディアの検証に行き、作りたい商品の話をするうちに、出資したいと言ってくれる投資家の方が見つかり、シリコンバレーで起業をするチャンスを得た、という経緯です。

現在は、東京でトルフテクノロジーズという会社の代表をしています。
僕の専門分野は、データ工学、データモデリングやデータベース、今でいう人工知能に関連する領域ですので、いわゆるリアルワールドとサイバースペースの間を”通訳”するような立ち位置にいます。だから、潜在的なお客様を見つけて、リサーチに行って、インプットして、たくさんの学びを得ながら、プロダクトに落としこむ時に何をどう作って課題解決するか、というところにフォーカスするのが今の僕の専門分野だと考えています。「プロダクトの専門家」というのが自分を説明する時にしっくりくる言葉です。シリコンバレーでは、誇りを持ってそういう言い方をする人が多いです。

今回、そうしたプロダクトの専門家として、quantumの“会社としてグロースハックをしていこう”というプロジェクトからquantum collectiveという立場で関わらせていただいています。


quantumとの最初の接点、そして、今回collectiveとして関わるようになったきっかけは?

2013年頃、日経BP社のカリスマ編集者の方から及部さんを紹介していただいたのが最初です。アメリカでもベータワークスやサイエンスといったスタートアップ・スタジオに訪問したこともあって知っていたので、日本でもそういった流れを作られているのだなという印象を受けました。世界的な潮流になっていた“リーンスタートアップを大企業でどう実践するのか”ということを本にした親友のトレヴァー(オーエンス)が来日した時には、及部さんにご紹介したりもしました。(注:quantumが訳・監修して日本でも『リーン・スタートアップを駆使する企業』(日経BP社)として発売)。

とはいえ、当時は、密にディスカッションしたり、お仕事でご一緒させていただくことはなかったのですが、及部さんも僕もスポーツが大好きで、スポーツのSNSで繋がっていて、そうしたご縁からお誘いいただき、ハワイの自転車のレースに一緒に行きました。そこでいろいろと積もる話をさせていただく中で、及部さんの構想にお役に立てることがないかとお話しさせていただいたのがquantum collectiveへの参加につながっています。

僕からquantumという組織の全体が見えてるわけではないですが、会社の決定として何かを決めてやるぞ、と言ったときのスピード感がある組織だと感じますね。

quantum collectiveというquantumとの関わり方についてどう思われますか?

まず、僕のように外部からquantum collectiveに参加させていただく側にとっては、通常アクセスしづらい、あるいは違うコミュニティにあるベンチャー企業や大企業の新規事業をお手伝いさせていただくことで、様々な学びを得ることができるという点で、とても価値があるのではないかと思っています。

他方quantumにとっても、社内にいらっしゃる皆さんとは異なる領域に経験や、知見、強みを持つ人が協働することで、何か違った刺激などを得られるとしたら、それは大きな意味を持つことなのではないでしょうか。

シリコンバレーのカルチャーでは、オープンにしながら、お互いに助け合うことを大切にします。相談されたり、誰かを紹介したり、エンジェル投資するとか、アドバイザリー的に支援するとか。例えば、アイディアは隠さずに、どんどん周りに話していきます。そうして、競合が先に成長して次のフェーズに行ったら「マーケットの水かさが上がった」ってみんな喜んだりします。短期的に顧客数や市場シェアで負けていたとしても、競合が自分たちのマーケットを証明してくれた、と考えたりするんです。こういう考え方には良し悪しもあるとは思いますが、少なくとも、オープンで救け合うカルチャーが、大きな成長だったり、劇的なスピードを産んでいるのは間違いないと思います。quantum collectiveの目指すところは、そういうカルチャーを伝えていく場所でもあるのかなと思っています。

新規事業開発の前線で一緒に働きながら、価値や知見を企業の垣根を超えて、コミュニティとしてシェアしあうことがもっと当たり前になれば、新規事業開発の基本的な走力、スピード感が日本の社会全体でも上がってくる。そうなれば、quantumの掲げる「なめらかに起業できる社会」の実現にもつながっていくのではないかと思います。

この先のquantumはどんな風に成長していくのか?

名のあるスタートアップを生み出す、短期的な利益などの結果が全てみたいな話は正直あるのだとは思うのですが、新規事業やスタートアップをスピードを上げてより回転させていくことが、quantumにとってプラスになるのではないかと考えています。開発も、撤退も、投資も、ここというタイミングでできる。リスクをチャンスと考える。失敗を経験ととらえる。スピードこそが大事で、失敗の回数が増えると、より多くを学ぶことができる。こういった考え方を持って、高速なサイクルを創っていく先に、自ずと大きな成功事例が生み出されていくのではないかと思います。

最近、quantumのビジネスサイト <https://www.ask.quantum.ne.jp/> を作りました。従来のサイトがquantumのブランドをお伝えするものだとしたら、quantumというお店の売り物、サービスの紹介が並ぶ店頭、つまりお客様に期待するアクションをしていただく場所を想定したウェブサイトです。

ビジネスをクリエイティブするquantum|新規事業開発・スタートアップスタジオ
quantum はクリエイティビティを軸とした事業開発によって、新しいプロダクトやサービスを創り出すスタートアップスタジオです。新規事業開発と社内起業プログラムは、クオンタムにおまかせください。 venture ...
https://www.ask.quantum.ne.jp/

このウェブサイトを通じて、お客様になるような方や、一緒に働くことになるような皆さんと、quantumのグロースに資するようなことを、小さな高速回転のサイクルで、様々にやっていこうと考えています。無償のイベントやスクールで将来の採用候補、お客様候補、既存のパートナーさんが近くで関わり合えるような場を作ろうとか、スタートアップをする時、新規事業をする時に使ってもらえるようなツールを作ってコミュニティに貢献したいとか、すでにいくつかの構想が動き始めています。

僕自身は、プロダクトの専門家としてCTOもしくはCPO的に技術やプロダクトの観点で経営判断をするお手伝いをさせていただければと思っています。そのような判断の中で、今回のサイトも、運用コストやリリースのスピードを考慮して、ノーコードツールで作ろうと提案させていただきました。つまり、ウェブサイトの構築に際して、ブランドサイトとビジネスサイトで優先度が異なるため、ウェブデザイナーとウェブエンジニアを不要にして、経営者とセールス、プロダクトマネージャーの皆さんが、直接ウェブサイトを高速で改善できるようにしました。

すでにあるウェブサイトが非常によくブランドを伝えているので、ビジネスサイトでは、営業やクレデンシャルの現場にすぐにアジャストして最大活用できることを、コスト感覚も含めて判断しつつ、進めさせていただいています。

まだ、ビジネスサイトができたという結果(output)は出ましたが、それがquantum社のグロースについてどのように貢献できるかといった成果(outcome)は未知の状態です。それでも、こういった様々な角度から共通の目的のために協働できるのもcollectiveがあるからだと思いますので、様々な専門領域を持った人たちがこれからもっと参加してくれたら、日本における唯一無二のスタートアップ・スタジオとして成長していけるんじゃないかなと思います。こういう場所に興味がある方がいたら、ぜひ、collectiveでご一緒したいです。日本語の言語バリアも取っ払って、シリコンバレーを含む世界中にいる僕の友人たちも、たくさん巻き込んで行けたら良いと思っています。

今年開催されたUTMF2023を完走した直後の高橋さん。

高橋 雄介 氏
●たかはし・ゆうすけ Truffle Technologies株式会社 代表取締役。1980年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2008年同大学院後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。 2013年米国カリフォルニア州マウンテンビューにてAppSocially Inc.を創業、CEOに就任。サンフランシスコ、東京、ハノイのメンバーとともにChatCenter Aiを開発し、企業とそのお客様のコンバージョンに関連した会話の効率化と自動化を支援した。2020年4月東京都渋谷区にてTruffle Technologies株式会社を創業し、代表取締役に就任し現在に至る。専門は、データベース、知識ベース、マルチメディアデータベースとその応用、カスタマーデベロップメント、グロースハック、プロダクト・デザイン。

TechCrunch Japan、GrowthHacker.jp、日経BP、清水弘文堂等でグロース・ハックやモバイル、シリコンバレーのカルチャー等についての記事を執筆。

『Hooked ハマるしかけ』(翔泳社)を監訳。『Lean UX』(オライリージャパン)の日本語化のレビューも担当した。シリコンバレーでの起業経験から、テクノロジー企業に特有の高速製品開発、顧客開発、事業推進、資金調達、組織カルチャー等に詳しく、大手企業の役員講習等での講演も多数(リクルートホールデングス様、楽天様、Yahoo! Japan様等)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。

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Interview and text / Masako Sato・Aki Ogata・Shunsuke Kimura
Edit / Shunsuke Kimura
Banner design / Tomomi Koseki


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