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「現場」と「IT」の世界で働いた私が考える現場の未来

※執筆者:代表取締役社長CEO 下岡純一郎※

「Figmaって簡単にデザインが作れて、チームでリアルタイムに同時編集できるなんて、超便利なツールじゃん!入社したばかりの新人デザイナーがすぐにデザインチームに馴染み、1人前の仕事ができている。便利な世の中になったもんだ!」

私がそう思ったのは、私が建設業や製造業の現場で働いていた経験があったからかもしれません。

私はクアンドというスタートアップで製造業、建設業、設備管理業などの現場に特化した遠隔支援コミュニケーションツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を開発しています。

施工管理をリモートでできるビデオ通話ツール|SynQ Remote(シンクリモート)
SynQRemote(シンクリモート)は建築やハウスメーカーなどの現場に特化したビデオ通話アプリです。現場と遠隔地にいる人のパソコンやスマートフォンをリアルタイムで接続し、遠隔地からでも、的確な指示・確認ができます。お持ちのパソコンやスマートフォンに専用アプリをダウンロードするだけでご利用いただけます。
https://www.synq-platform.com/


このnoteでは、なぜクアンドという会社を創業したのか、なぜ現場向けのプロダクトを開発しているのか、どういう世界を実現したいのか、について書いています。

目次

  1. 家業とP&Gの「現場」で感じた課題
  2. 現場は人や情報から分断されたDisconnectedな世界
  3. インターネットは人や情報がつながったConnectedな世界
  4. 時間、空間、言語を超えて、現場の知を価値に変える
  5. 目指すは、テクノロジーで地域産業・レガシー産業がアップデートされた世界

家業とP&Gの「現場」で感じた課題

実家は福岡県北九州市で建設設備業を営んでおり、小さなころから倉庫にあるショベルカーやトラックが遊び場でした。大学卒業後は、グローバルな環境で働いてみたいと思いP&Gに入社。1年目はおむつ工場の生産管理マネージャーとして、製造現場の改善や現場のノウハウをアジアの各工場へ展開する仕事をしていました。2年目からがグローバルプロジェクトでイタリアの地方都市での製造ラインの開発・立ち上げに従事し、世界各国から集まったメンバーと協力して、日本人のオペレーターが持つ現場のノウハウを製造ラインの設計や機能にフィードバックする仕事をしていました。

ものづくりを支える製造現場の技術者と一緒に働く機会も多く、その仕事ぶりや姿勢を身近で感じることができました。また、イタリアでのグローバルプロジェクトでの経験を通して、日本の現場力、技術者の実力が世界でもトップレベルであることを知り、ものづくりという世界における日本の立ち位置を知ることができました。一方、現場には沢山の課題が存在し、解決されず放置されたままであることにも気づきました。

現場は人や情報から分断されたDisconnectedな世界

現場はどこも人手不足ですが、特に現場の課題を解決できる高度技術者は不足しています。また、非効率で属人的な業務も多く、過重労働や技術承継も深刻な課題です。このように現場には様々な課題が多く存在しますが、その根本にある原因は「現場が人や情報から分断されている」ことだと私は思っています。

例えば、現場で新人がトラブルに遭遇した時、調べようにもGoogleにその解決策はありません。また、誰かに聞こうにも、現場が離れていると状況がうまく伝わらず、解決することができません。

このように、人と人、人と情報がつながっていない分断された現場では、技術者が持つ経験や知識は属人的になり、新人が一人前になるのに十年以上かかってしまいます。また、業務がアナログであるため、作業や情報共有は非効率であり、組織でのコラボレーションも生まれにくく、データとしても残らないため、その知見を将来に活かすことも難しいのです。

このように現場や人が情報から分断されたDisconnectedな状況は、製造業、建設業、設備管理業など「現場」を抱える全ての業界の共通課題だと思っています。

インターネットは人や情報がつながったConnectedな世界

一方、インターネットの世界は人と人、人と情報がシームレスにつながったConnectedな世界です。例えば、Figmaというデザインコラボレーションツールでは、オンライン上で複数人のWEBデザイナーが同じデザインを同時編集できます。これは、遠く離れた場所にいてそれぞれスキルも経験も違うデザイナーが、知識やタスクを共有しながらコラボレーションすることで1つの成果物を生み出せるということを意味しています。また、この成果物はデジタルデータとして残るため、その後に活用することも容易です。

私が特に素晴らしいと感じたことは、この業務効率化やコラボレーションの効果もさることながら、新人の成長が圧倒的に早いこと。自分ひとりでは解決できない問題に直面した時、すぐにベテランデザイナーにSlackで連絡し、Zoomを繋ぎながら、Figmaでベテランに教えを受けていました。つまりこのベテランデザイナーと新人デザイナーは遠く離れていても、その知識を共有し、個人やチームの能力を拡張して、アウトプットを最大化していたのです。だからこそ、WEB業界では比較的早く人材を育てることができ、未経験者でも新しい仕事にチャレンジできているのではないかと思っています。

このインターネット的な世界を現場仕事でも実現したい!そういう想いで生まれたのが「SynQ(シンク)」というプロダクトです。

時間、空間、言語を超えて、現場の知を価値に変える

現場で働く新人が遠隔にいるベテラン技術者とつながり、自分の知識や能力を拡張させ、1日目からベテランのように働くことができる!そんな想いで最初のプロダクト名を「Day One」と名付けました。しかし、Rubyの父、まつもとひろゆき氏から「Day Oneという有名な日記アプリがあるから名前は変えた方がいいよ」とアドバイスをもらい、それならばと遠く離れた現場と現場、人と人、アナログとデジタルを同期する(Synchronize)ということでSynQ(シンク)と名付けました。(九州では九州のことをQで表すことがあります)

インターネットを経由して現場の労働力を提供できれば、どんな世界が待っているでしょうか?日本のプログラマー、デザイナー、クリエイターが日本にいながらその価値を海外に向けて提供しているように、日本のプラントエンジニアがアジア諸国の電力プラントの現場管理ができたら?日本の建築の現場監督がヨーロッパの建築現場を管理できたら?そんな世界を本気で想像しています。

日本の現場力を世界に輸出することができれば、日本のモノづくりの力はまた違う形で世界を席巻できると思っています。時間、空間、言語を超えて、日本の現場の「知」を価値に変える。それがSynQで実現したいことです。


目指すは、テクノロジーで地域産業・レガシー産業がアップデートされた世界

私が起業を考え始めたとき、金融やゲームなどのデジタル完結型の領域ではなく、製造業や建設業や電力インフラなどリアルでアナログな業界に対してアクションを起こしたいと心に決めていました。それは、そのような業界こそが地方の経済や雇用を作っており、世の中の労働者のマジョリティであるにもかかわらず、多くの課題が放置されたままであると感じたからです。そして、そのような産業が次の時代に適合した形でアップデートされ、新たな雇用を作っていくことこそが、地域に雇用を作り、そこに住む人々を幸せにする方法であり、その連続が世界全体の繁栄につながっていくことだと思っています。
クアンドが描く「地域産業・レガシー産業のアップデート」は、大きく、実現するには時間もかかるかもしれませんが、そんな未来をともに描き、ともに歩んでくれる仲間を待っています。


会社のことをもっと知りたい方はこちらをご覧ください

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