創業2年で利用企業数2,500社超 急成長中のプラットフォーム誕生の背景と今後の成長戦略をプロダクトフォース代表・浜岡が語る
ダイレクトリサーチサービス『ユニーリサーチ』を運営する株式会社プロダクトフォースは現在、幅広い職種でのチーム体制強化に注力しています。
プロダクトフォースではどのような想いを持ち、日々プロダクト作りに当たっているのかをお伝えするため、創業者であり代表の浜岡にインタビューを実施。数々の失敗から生まれたユニーリサーチ誕生の背景や、現在に至るまでのエピソード、今後の成長戦略を聞きました。
「かばんもち」経験で痛感した己の未熟さ 新規事業への挑戦を決意
ーはじめに、これまでの経歴を教えてください
2014年に筑波大学を卒業後、新卒で株式会社LIFULL(当時ネクスト)に入社しました。
最初の4年間は営業職として、『LIFULL HOME'S』のポータルサイトを活用した効率的な集客提案を、不動産会社様向けに行っていました。個人経営の会社から大手企業まで、幅広い顧客に対応しながら、東京や大阪の拠点を移りつつ、リーダーとしてマネジメント業務も経験しました。
その後、社内制度である「かばんもち」に挑戦しました。代表の井上さんが、LIFULLにとって本当に重要な事業課題に集中できるよう、社長補佐としてさまざまなサポートを行うのが「かばんもち」の役割です。具体的には社内外の会議に同席したり、タスクの進捗管理を行ったり、人を引き合わせたり、自分自身がプロジェクト推進をしたりと、幅広いプロジェクトマネジメントをしていました。
LIFULLでの最後の3年間は、社内の新規事業提案制度「SWITCH」に挑戦し、『ユニーリサーチ』のプロダクト開発に取り組みました。多くの失敗を重ねる中で、「これは本気で人生を賭けるべきだ」と確信し、独立を意識し始めました。そして、ユニーリサーチを一緒に立ち上げた小賀野(現CTO)とともに、2023年4月にLIFULL社からスピンアウトをして現在に至ります。
一緒に事業を立ち上げた共同創業者CTOの小賀野と2名で独立
ー新卒入社でLIFULLを選んだ理由を教えてください。
就職活動の軸は2つありました。
1つ目は「ひと」。きっかけとなったのは、大学時代に主将を務めたトライアスロン部での経験です。トライアスロンは個人競技ですが、学生大会ではチームのトップ3の合計成績で競うため、団体競技としての側面があります。同じ目標に向かって努力し、ハードな練習を乗り越える中、チームの仲間が大好きになりました。信頼し合える仲間と一つの目標を目指して頑張ることの楽しさを知り、社会人になっても「一緒に働く人」を重視したいと考えるようになりました。
2つ目は「世のため人のためになることをしたい」ということ。就職活動当初は、「幸せな瞬間」を直感的に感じやすいホテル業界や結婚式場なども視野に入れていました。しかし、より多くの人を幸せにするためには、「仕組みをつくる」というアプローチもあると考え、その中でインパクトを残すにはITが重要になるのではと考えました。
LIFULLは「みんなを幸せにしたい」という想いをビジョンで語っていたのが印象的でした。面接もすごく親身で、「この会社の人と、一緒に働きたい」と強く思えたことが、入社を決めた大きな理由です。
ーLIFULLでの「かばんもち」はユニークな制度ですよね。どのような経験を得られましたか?
上場企業の経営陣がどのように意思決定をしているのか、会社という組織がどのように動いているのかを実感を持って知ることができたのは、非常に貴重な経験でした。また、自分の「小ささ」も痛感しました。井上さんを通じて出会った社外の方々は、若手スタートアップの代表や、大手企業の経営者といった実力を持つ方々でした。それに比べて、自分は何も成し遂げていないという現実を突きつけられました。社内では「できているつもり」になっていただけだったと気づかされ、この経験が新規事業への挑戦を決意させるきっかけとなりました。
「かばんもち」をしていなければ、新規事業にここまで情熱を注ぐことも、プロダクトフォースを立ち上げることもなかったかもしれません。
LIFULLでの新規事業が「ユニーリサーチ」の原型に 4度のピボットを経て誕生
ーユニーリサーチ誕生の背景について具体的に教えてください。
『ユニーリサーチ』はLIFULLでの新規事業提案に挑戦する中、4度のピボットを経て生まれました。
最初の起案は教育事業。しかし、顧客インタビューも行わずにアイディア勝負に出た結果、まさに"絵に書いたモチ"で終わってしまいました。
この経験を機に、新規事業に関する書籍を10冊以上読み漁り、「新規事業の成功にはユーザー理解が不可欠であり、そのためにはインタビューが必要だ」と気づきました。顧客が本当に困っていて、お金を払ってでも解決したい課題を見つけることが事業成功の鍵だと、何度も失敗を繰り返す中で学びます。
また、「ユーザー理解の不足」による失敗パターンは自分だけでなく他の事業オーナーにも共通していました。一時的に売上が上がっても、顧客ニーズを捉えられていない事業は長続きしない。そうした構造的な課題があることを痛感し、同時に「調査会社は高額で手が届かない」という市場の課題も見えてきました。
そこで、「誰でも手軽に顧客インタビューを実施できる環境」を提供するため、サービスの試作を始めました。まずは、プロダクトは作らずに人力でサービスを提供してみました。営業資料を200社に送付したところ、なんと大手企業5社から受注を獲得。知人に協力を仰ぎながら、対象者をなんとかリクルーティングして...とすごくアナログなサービスでした。しかし、「ここを改善すればもっと良くなる」といった解像度はどんどん上がっていき、サービスを磨き上げる中で「ユニーリサーチ」が誕生しました。
当時の営業資料。プロダクトが無い中で、ニーズの検証を行っていた。サービス名も違った。
自分たちにしかできないことが見つかり、スタートアップとして人生を賭ける覚悟を決めた
ーLIFULLから独立し、プロダクトフォースを創業した理由を教えてください。
一言で言うなら、自分の人生をかけて解決したい課題を見つけることができたからです。
LIFULLは、新規事業開発に非常に理解がある会社で、大きな権限を任せてもらえる恵まれた環境でした。
しかし、リサーチ業界に初めて足を踏み入れ、色々なことを学んでいく中で、この業界が抱える課題やDX化が進まない理由が見えてきました。リサーチ業界は伝統的な手法が確立されていることもあり、変化が起きにくい領域です。だからこそ、ここには大きな可能性があり、テクノロジードリブンで挑戦する僕らしかやれないことがあると思いました。
その時に「人生を賭けて取り組みたい」と心から思いました。会社とは、僕らにとって「人生そのもの」といえる存在。本気で業界に変革を起こすためには、スタートアップとして挑戦するべきだ、と決意しました。
その想いをLIFULLの経営陣の方々にお伝えし、最終的にご理解をいただき背中を押していただけたことは大変感謝をしています。この挑戦への覚悟をさらに強くする出来事でした。
ープロダクトフォースが掲げる、ビジョンとミッションについて教えてください。
プロダクトフォースのビジョンは、「プロダクトの力で、社会を変える」です。事業開発の難しさを痛感する中で、プロダクトづくりの環境を整えることができれば、社会全体をもっと良くできると確信しました。目指しているのは、「プロダクトづくりのインフラ」になること。ビジョンの主語は「プロダクト」であり、これが私たちの原点です。
一方、ミッションは直近数年での達成を目指す具体目標として、「ユーザー中心のプロダクトづくりを、当たり前に」を掲げています。プロダクト開発を成功させるには、ユーザーの声をしっかり捉え、プロダクトに反映させることが重要。でも実際には、さまざまなハードルがあるので、まずはリサーチ分野からその「差分」を埋めることがミッションの核となっています。
3期目を前に利用企業数は2,500社超 「使いやすさ」を徹底的に追求したプロダクトが評価されている
ー現時点での導入実績やその成長スピードについて教えてください。
「ユニーリサーチ」は、累計マッチング数が5万件を突破し、利用企業は2,500社に達しました(2024年12月時点)。
2023年4月には利用企業数900社だったので、2年間で約3倍の成長です。流通総額も同じ期間で数倍に伸びていて、事業規模は急速に拡大しています。大企業からスタートアップまで幅広く、業種や規模を問わずご利用いただいており、BtoB、BtoCリサーチ双方の場面で活用されています。
ー成長要因は、どこにあると考えていますか?
「いいプロダクトを作れている」という点に尽きると思います。
「本当に使いやすいものを作りたい」というこだわりは、メンバー全員が持っています。ユーザー体験(UX)を徹底的に重視し、言葉のわかりやすさやUIの細かな調整まで、利用者目線で細部まで使いやすさを追求しています。実際にお客様から「使いやすい」と言っていただけることも多く、私たちの大きなモチベーションとなっています。
また、「PLG(Product-Led Growth)」モデルがうまくいっている点も大きな要因です。営業メンバーが販売するのではなく、プロダクトそのものが新たなお客様を生み出し、売上を生む仕組みを構築できています。実際に、お客様の8〜9割はオーガニック(自然流入)やリファラル(紹介)を通じて導入されています。
ユニーリサーチは「手軽に始められる」「価格が手頃」「募集したら集まる」と、初めてのリサーチでも利用しやすい環境を提供しています。その結果、営業リソースを割かなくても、お客様自身がプロダクトを見つけ、さらに新たなお客様にも紹介をしてくださるという好循環が生まれています。国内のBtoB企業で「PLG」モデルがここまで機能しているケースはまだ少ないと思います。これは私たちが誇れる強みだと考えています。
大企業からスタートアップ、コンサルティング会社や広告代理店まで幅広い顧客をかかえる
「プロダクトづくりのインフラ」に向けて2025年はマルチプロダクト戦略を推し進める
ー今後の成長戦略について教えてください。
短中期は、リサーチドメインに注力していきます。コストや時間、リテラシーの壁を取り払い、誰もが簡単にリサーチを行える「リサーチの民主化」を目指します。これまでリサーチは、専門的なスキルを持つリサーチャーが行うのが常識でした。しかし今では、あらゆる場面で顧客理解の重要性が高まり、専門家に任せきりでよかった状況は変わってきています。プロダクトマネージャーやエンジニア、営業職など、リサーチ経験のない人も当たり前のように顧客を理解し、「ユーザー中心のプロダクトづくり」を進められる環境を作ることが目標です。
長期的にはリサーチ領域を超えて、プロダクトづくり全体に貢献するインフラ構築を目指します。プロダクト開発における課題は、リサーチ以外にもマーケットや人材採用・育成など様々です。それらの課題を解決するためのソリューション開発を推進します。AI活用で、プロダクト開発の在り方はゼロベースで変わるかもしれません。現在の事業に捉われずに、抽象的なレイヤーで今後の方向性を考えていきます。
ー「プロダクトづくりのインフラ」となるために、具体的に計画していることはありますか?
マルチプロダクト戦略を着実に進めていきます。3期目を迎えた2025年、AI技術を絡めながら少なくとも2つの新プロダクトを立ち上げたいですね。
また、現在好調な「PLG」モデルを維持しながら、「SLG(Sales-Led Growth)」の強化にも取り組みます。セールスマーケティングの仕組みを整え、「PLG」と「SLG」をうまく掛け合わせることによる相乗効果を狙います。プラットフォームを成長させるための基盤整備、ビジネス組織の拡充を進めていきます。
今はプロダクトの成長を「手触り感」を持って実感できる貴重な瞬間 「自分ごと」で取り組める仲間の参画を求めている
ー急拡大する事業を支えているメンバーを紹介してください!
現在の役員・正社員は3名です。
共同創業者である小賀野は、「ユニーリサーチ」のフロントエンド、バックエンド、デザインをゼロから立ち上げました。エンジニアリングを「お客様の幸せを実現するための手段」として捉えるタイプのCTOで、プロダクトの根幹を支えています。
(CTO小賀野の記事はこちら)
デザイナーの對馬も、LIFULL在籍時に事業立ち上げや子会社の代表を務めた経験を持つメンバーです。ビジネスと顧客体験の双方を重視したデザインを考える力が強みです。当初は業務委託としての参加でしたが、その初日から「ユニーリサーチ」の改善案を提案してもらって。実際、その案通りのフルリニューアルを成功させました。
(デザイナー對馬の記事はこちら)
さらに、約25~26名の業務委託メンバーが参画しており、その約7割がプロダクト領域を担当しています。少数精鋭の正社員チームと外部のプロフェッショナルが一体となり、急拡大する事業を力強く支えています。
ー今のプロダクトフォースにジョインすると、どんな経験を得られますか?
現在のプロダクトフォースは、プラットフォームを成長させる初期フェーズの真っ只中にあります。この段階では、プロダクトやビジネスの成長を実感しながら、ゼロから仕組みを作り上げる楽しさを存分に味わうことができます。プロダクトの成長を「手触り感」を持って実感できるのは、まさに今この瞬間だと思います。
特にビジネスサイドでは、セールスマーケティングの仕組みづくりがこれから本格化します。第一号メンバーとしてこのプロセスに関わる経験は、得難いものとなるはずです。セールス、事業開発、プロダクトマネージャーの方にとっては、特に面白い経験となると思います。
私たちのプロダクトは、すでに多くのお客様から圧倒的な支持を得ています。「良いプロダクトをさらに広げていくこと」「新しいプロダクトを作っていくこと」にモチベーションを持って仕事ができる方には、相性のよい環境だと思います。
ー最後に、プロダクトフォースへの参加を考えてくれる方へのメッセージをお願いします!
プロダクトフォースでは、開発、ビジネス、コーポレートなどすべてのメンバーがプロダクトに向き合っています。「自分ごと」としてプロダクトに関わりたい方、ぜひ私たちのチームに加わってください!
一緒に挑戦してくれる方には、しっかりと報いたいと考えています。収益を上げられる体制はすでに整っており、ストックオプションも準備しています。一緒に成長を目指し、成果を分かち合える方を心から歓迎します。ぜひ一丸となって、大きな挑戦をしていきましょう!