ログライン※1を「日常に温度を。世界に熱狂を。時代に灯火を。」に一新した株式会社Plott。
今回は、その変更の背景や想いのほか、ログライン実現のためにどのような事業や組織の成長を見据えているのか、Plott代表取締役の奥野翔太にインタビューを行いました。
ぜひご覧ください。
※1 ログライン:アニメや映画などの脚本の要点や見どころを一言で表す文章を意味します。Plottでは、ログラインを企業としての存在理由として定め、表現しています。
代表取締役 奥野翔太
1995年生まれ。筑波大学情報科学類卒業。 大学在学中に起業し、ゲーム・ドラマ・VTuberなど複数コンテンツを企画・プロデュース。 2019年より「テイコウペンギン」を立ち上げ、その後複数のSNSアニメをリリース。
「青い灯火」でコトに向かう組織文化をつくる
ーー今回のログライン変更の背景には、どのような背景があったのでしょうか?
組織の方向性をアップデートするため、この度、ログラインを一新することにしました。これまでは「本気のアソビで世界をアッと言わせよう」というログラインを掲げていました。自分たち自身も最高に「オモシロイ」状態で居たい人たちの集まりでありたい、そして「誰かの心を動かしたい」という気持ちを表現しています。ただ、定めたときから2年以上が経過し、その間に環境や市況も大きく変化したことでアップデートが必要と判断しました。
ーー具体的にはどのような課題があったんですか?
「アソビ」という言葉が先行しすぎてしまい、その解釈が社員によってさまざまだったんです。作品をつくる際に、遊び心を大切にするという文化を育む土台になった一方、業務範囲を各自がやりたいことに絞ってしまうなど、全体最適よりも個別最適が目立つ結果となりました。当時、ちょうどフルリモートでの働き方も相まって、コトに向かうというよりは人に向かっている、どこか緩い組織が出来上がっていたんです。スタートアップとしては、楽しいだけじゃなくて、楽しいけれど成果もしっかり出す強い会社を目指してきたので、このタイミングでログラインを一新することを決めました。
ーーそこから変更を経て、新ログラインをどのように捉えていますか?
時代に火を灯すような作品をつくり、育てるというところが一番気に入っています。つまりは、その時代を象徴し、後世の人たちが影響を受けるような作品をつくるということです。ただ、日常のなかでこの目線を保ち続けることは難しいと思います。だからこそ、目の前の業務とログラインとの接続も大事にしています。目の前の仕事を楽しみ、働きがいを感じること、「日常」から「世界」そして「時代」にまで目を向けられるように言葉を選びました。
ーー他社ではあまり見かけないユニークな表現ですね。
ログラインを考えていく際に「No.1エンタメ企業」や「大ヒットコンテンツをつくる」といった言葉もたくさん候補としては挙がりましたが、Plottらしさやユニークさを表現しきれていませんでした。そこで、一つのモチーフをつくることが、その表現につながるんじゃないかと考えたんです。そうした議論のなかで、時代を象徴する作品をつくり、世界中の人に日常から楽しみ、深く愛してもらいたいといった気持ちを表現するアイデンティティとして、「青い灯火」が生まれました。
ーーモチーフが一つあるとイメージの助けになりますね。この「青い灯火」にはどのような意味があるんでしょうか?
青は知性や理性、信頼、平和の色として、火は感性や揺らぎ、情熱、衝動のモチーフとしています。そして、青い火には、赤い火より熱く、より思考することを込めています。これまでは海や空などのイメージでしたが、スタートアップとしての泥臭さや、理性と感性が混ざったような場所を表現しました。
▲オフィスにある青い灯火の壁画。社員が自ら色を塗りました。
ーーこちらには、ビジョン「Next Creative Studio」も記載されていますが、こちらの詳細も教えてください。
「Next Creative Studio」には大きく二つの意味があります。一つ目は、次世代の任天堂やディズニーのような新時代を代表するエンタメ企業という意味です。もう一つは、半歩攻めたクリエイティブを出していく会社でありたいという願いがあります。ちゃんと自分たちなりに社会の文脈やコンテキストを理解して、そこの延長線上にはこういうものがあるんじゃないか、みたいな提案をしていくような会社でありたいなと。人気作品をつくるだけじゃなくて、「こういう作品を出してくるんだ」、「攻めた作品だな」って言われるようになると嬉しいですね。もちろん売れ線も意識しているため、そういう意味合いを含めて「半歩攻める」という言葉を使っています。
ーーこのログラインとビジョンには、どのようなつながりがあるんでしょうか?
目指す場所を具体的に語ることで、全社員がより一緒の方向を向けるように、今回新たにビジョンも掲げました。社内では、ビジョンを超長期的な目標として説明しており、ビジョンがあることによって、目的であるログラインと現在の地点とがより接続されやすくなると思っています。また、全く新しいものを掲げたという感覚はなく、これまでにさまざまなところで挙がっていた話を改めて具体的な言葉にまとめたという感覚に近いですね。
自社内でのメディアミックスを実現し、バリューチェーンを押さえる
ーー目指す世界観をお話いただきましたが、Plottとしては長期的にはどのような会社になっていきたいと考えていますか?
会社像としては、エンタメ領域の事業が複数あり、事業責任者・プロデューサー・クリエイターが多数いて、それぞれがシナジーを生みながら大きく成長していくような会社をイメージしています。そのようなコンテンツの会社ってあまりないと思っていまして、日本のコンテンツ業界は非常に分断されている印象があります。マンガといえばA社、アニメといえばB社といったように。それらを一つの会社で完結し、今までにないメディアミックスを大規模にできたら、多くの方々に楽しんでいただけるんじゃないかなって考えています。
ーー現時点では、そこに向けてどのような事業をされているんでしょうか?
YouTubeアニメの会社からIPの会社に軸足を移しつつあります。事業としては、SNSアニメ事業、Webtoon事業、IPビジネス展開事業の三つがあります。
ーーどうして事業領域を拡大したんですか?
IP産業には、マンガができて、そのマンガがアニメ化され、それがグッズやゲームになっていくというバリューチェーンがあると思います。この一連のバリューチェーンを押さえることで相乗効果を生み、大ヒットをつくることが目的です。
ーーSNSアニメ事業は今後どのようなことを計画されていますか?
SNSアニメに関しては、メインのキャラクターを育て、さまざまな挑戦をしてきた結果、マネタイズもできてきました。今後はそれをより太く大きくしていくことにチャレンジしたいなと思っています。また、他社との共同IP開発にも注力していく方針です。
ーーWebtoonについてはいかがでしょうか?
Webtoonについてはまだチャレンジ中ですが、まずは看板作品をつくっていきたいなと思っています。最終的には、Webtoonで生まれた作品がSNSアニメに展開され、そこで人気になった作品からグッズ、ゲーム、キャラクターソングなどが生まれる、みたいなことができていくと凄く綺麗ですね。今の時代はメディアミックスが大事で、メディアミックスができることでより大きな作品が育つと思っています。
ーー続いて、IPビジネス展開事業についてはいかがでしょうか?
これまで取り組んできた広告やライセンスアウトを拡大させながら、ゲームや音楽などの新規領域によりチャレンジしていきます。自社IPだけでなく、他社IPも扱って、事業を拡大していく予定です。
ーーメディアミックスの範囲がどんどん広がっていくということでしょうか?
そうですね。複数の領域で事業をつくること自体がやはりスタートアップとしては超チャレンジングですし、それをIPという軸で押さえている会社って非常に少ないと思います。でも、時代の灯火となるような作品をつくるという目線からすると、メディアミックスは凄く大事なことだと考えています。そういう意味では、オフライン、オンラインのチャネルの制限はかけずに、新しい領域にも挑戦していきたいです。例えば、遊園地のようなオフラインでの接点を持つ場所や、メタバースなど成長著しい領域での挑戦などを通して、さらにIPを人気にしていきたいですね。
ーービジネスの起点となるIPを保有していることも大きな強みですね。
はい、やはりIPを保有していることは凄く大きいです。ソーシャルゲームも近年は人気IPのタイトルばかりが人気を集め、どこのゲーム企業もIP創出に取り組んでいます。今後も様々な媒体からIPを生み続け、人気IPをいくつも持っている会社にしていきたいと思っています。
挑戦を積み重ね、全員でPlottをつくる
ーー組織面ではどのような方を採用したいと考えていますか?
「いい人」、「おもしろい人」を採用することを大事にしています。そして、その方々が新たな「いい人」、「おもしろい人」を採用する。そうした人材がガンガン育っていく場としての組織をデザインしていくつもりです。
ーー人材が育つ組織デザインとしては具体的にどのようなものをイメージされていますか?
集まった方々には成長の機会を提供していきたいと考えています。実際に、研修・課題図書・勉強会・tips共有などさまざまな施策を行っています。そのなかで結果を出していった方には、どんどん抜擢をしていきます。それに加えて、一人ひとりにちゃんと重い、ストレッチなボールを渡す会社でありたいと思っています。そうして抜擢によってチャレンジが加速していく文化を育てていきたいですね。
ーー抜擢はスタートアップの特徴的な文化ですね。
それらを実現するためにも、横のメンバー同士で切磋琢磨することが大事になります。いつも隣で頑張っている人がいるから頑張ろうと思えますし、自分ひとりで頑張れる強い方は多くないと思います。助け合い、励まし合うメンバーなんですが、時にはぶつかり合い、競争し合う、そのような意識を大切にしていきたいです。
ーーそのなかでも特に大切にしたいことは何かありますか?
切磋琢磨をするんですが、競争して勝ち負けを決めるのは少し違うと思っていまして、何か政治があるような会社にはしたくないですし、チームPlottとして、全員でPlottをつくるという意識を凄く大事にしたいです。
ーー実際、社内にはどういった方が多いのでしょうか?
やはりエンタメ好きなメンバーが非常に多いです。それはクリエイティブな面でも良いことだと思っています。みんなでマンガやアニメや映画など、そういう話をしながらご飯を食べたり、お酒を飲むのは楽しいですし、ふとした会話から新たな作品が生まれるような会社にしていきたいですね。
ーーどのような方がPlottに向いていると思いますか?
まずはエンタメコンテンツ(小説、マンガ、アニメ、映画、ドラマ、お笑いなど)を幅広く好きな方はPlottに向いていると思います。やはり引き出しが多くある方がジャンルを超えてアイデアを思いつきますし、プロデューサーであれば企画職としてのポテンシャルを秘めていると思います。また、Plottはどちらかというと総合力が必要とされる会社です。クリエイティブ、ビジネスコミュニケーション、事業計画、外部とのアライアンスなど、すべてコンテンツをつくるためには必要で、最終的にはそれらすべてのコントロールが必要だと思っています。また、育ちたいという方よりは何か腕試しがしたい方に来てほしいですね。スタートアップですので、ありきたりな言葉にはなりますが、圧倒的に成長したい方、責任持って何か結果を出したい方には向いていると思います。
ーー企画から制作の先まで携わるがゆえの総合力ですね。最後に記事をお読みの方にメッセージをお願いいたします。
今のPlottは、少しずつ人に見てもらえて、応援してもらえる作品がつくれるようになりました。ここからはドンドン飛距離を長くしていって、ホームランになるような作品をつくっていきます。今の時代を作れるのは、今を生きている人間だけ。次の大ヒット作品も、今これを読んでいるアナタから生まれるかもしれません。人生を賭けてそのお題にチャレンジしたい人たちは、是非Plottの門を叩きに来てください!