【2018年9月】
「インターンシップでその会社に対する適性なんてわかりっこないだろう」
私が当時抱いていたインターンシップに対する印象です。そう思う理由は、限られた社員としかコミュニケーションを取らない上、任される業務内容も会社の売上とは関係ない、インタ―ン生用に切り離されたものに過ぎないだろう、と考えていたためです。友人からの話も、「バイトと変わらない」、「ただの説明会だった」という声ばかりが耳に入り、懐疑心は増す一方でした。
そんな私が、たまたま参加したインターンシップ募集イベントで手のひらを返し、パーツワンでお世話になり始めてから半年が過ぎました。ここでのインターンは、その選考時点から学びの連続です。
本記事では、その一例をご紹介します。
【どんな人になりたい?】
これは私がインターンの選考を受けたとき、長倉社長から投げかけられた問の1つです。私と共に選考を受けた人は「頼れる人」と答えましたが、長倉社長は「頼れる人とはどんな人?」と重ねて問いました。
この瞬間私はドキッとしました。どんな人になりたいか、その問いに『頼れる人』と答える人は無数にいるでしょう。しかし、その定義となれば似通うことはあれども、十人十色の答えがあるはずです。先ほどのドキッという鼓動は、私の答えが曖昧であるために、虚を突かれた焦りと同時に、「解ったつもりになっている言葉がどれだけ多いことか!」と気づいた興奮によるものだったのです。
その後、社員の方々の働きぶりや会話を経て、長倉社長をはじめパーツワンのメンバーは『格好良い』、漠然とそう思うようになりました。
【自分本位な仕事をするな】
めでたく選考に合格した私がパーツワンで仕事を始めて業務中にしばしば受ける指摘です。
私は、「課された仕事は自力でこなすべき」、「言われたことを言われた通りの手順で行うことが重要である」と、そう考えて仕事をしていました。
そんなある日のことです。
納品書(:お客様への感謝、手配する品物の情報、納期が記された書類)を作成する仕事を請け負っていた私は、その締切りに間に合わない件数を抱えていました。しかし、それを周りに相談することなく続行します。
しばらくして、私の上司に「今どんな状況?時間内に終わるの?」と尋ねられます。そこで初めて、状況を打ち明けました。「君1人でやらざるを得ない状況ならともかく、分担した方が全体の生産性が高いなら、そういう選択も場合によってはあり得るんじゃない?」尤もな指摘です。
以前の私は、仕事が時間内に完了しないことは、私の能力不足が問題であり、どうすれば1時間かかる業務を20分短縮できるか、というようなことを考えることが最優先でした。しかし先ほどの指摘は、会社全体でベストパフォーマンスをするために私が取るべき行動は他にあるのではないか、という私の視野を広げるための指摘だったのだと思います。
【パーツワンの文化】
そもそも会社には部長、課長など会社をあるべき方向に導き、事業や人をマネジメントする役職があります。各役職で果たすべきミッションは異なるため、普段考える業務や仕事の広さ・深さも変わります。それは4つの段階、上から理念・戦略・戦術・実行に分けられるのです。
例えば、理念に関わるのは経営者や幹部クラスです。会社がどのように社会問題に向き合い、社会に貢献するのか、いかにして従業員を幸せにするかなどを考えます。また、戦略・戦術に関わるのは事業責任者やマネージャークラスです。どうすれば売上や生産性を向上できるのか、サービスのマーケットシェアを拡大できるかなどを考えます。そして、以上に基づく実行へと落とし込まれます。
パーツワンのメンバーは、必ず以上4つの段階に沿ったアウトプットを求められるのです。
すなわち、社内全体がどういう動きをしているのか?という広い視点から自分の行動方針を立てることで、実行レベルにとどまらず、より上のレベルで仕事ができるのだとようやくわかってきました。先述の私の行動がいかに低レベルの仕事であるかがお分かりいただけると思います。
【格好良い人とは?】
こうして、半年間働かせていただき、私の中にある定義が生まれました。それは、インターンの選考時に漠然としていた『格好良い人』の定義です。
それは一言でいうならば『叱れる人』を指します。『叱る』とは相手の成長を信じ、導く意思のある者が、とれる行動だと私は考えています。
実行レベルの視点でしか仕事をできない人が、その仕事の意義を順序立てて、他人に説明できる程の理解力を持つでしょうか?他人に説明できるということは、見聞きした物事をそのままではなく、自分の言葉に変換し、口に出すシミュレーションを行っているのだと思います。このような人は変換の過程を通じて、無駄なく効率的な作業がどうすればいいのか気づきます。同様に、他人のアウトプットから問題点を見抜き、正しく指摘できる観察眼が養われているはずです。
『叱れる人』とは、仕事ができる上で人を導くだけの業務理解と課題意識を持っていなければならないのです。
特に私の上司は25歳の方々です。25歳で世間一般的に組織の中でどんなポジションを持って仕事をしているのでしょうか。
私の上司は先ほどの階層4つを理解しながら実行しており、業務やインターン生の教育に応用しています。
パーツワンがどのようなフィロソフィーを持って仕事しているのか、どのようなビジョンを会社が目指しているかを理解しているから個人で最適な行動をとれるのだと思います。
ただ、私利私欲ではなく、利他主義で人のために気遣える『叱れる人』が格好良いと考えます。
【叱る人は相手の目線で話せる】
叱れる人にはもう1つ優れた面があります。それは言葉選びです。
「叱られるのは嫌だ」と思う人は私と一部の思考が似ています。「今時の若者は怒られることに慣れていない」などとしばしば耳にしますが、それは怒られることに限らず、あらゆる負荷にさらされる機会が少なく育った人の特性でしょう。私を含むそういう人は、叱る側が敬意と期待を込めて言葉を発しているにも関わらず、それを『怒られた』としか受け止められず、思考停止してしまうのです。これでは、『叱る』ではありません。
叱られる側がその敬意と期待を理解し、叱ってくれる人の言葉を素直に受け止められることは理想ですが、私を例に現実そうもいかないことが多々あります。そこで、相手に伝わりやすい言葉の選び方をできることが、『叱れる人』なのです。
私は適切な言葉で叱ってくれる大人がいたからこそ、業務中いただく数々の指摘を素直に受け止め、なぜ指摘されたのか、問題点は何か、どうすべきだったかを冷静に考えることができるようになってきました。
パーツワンのメンバーはディスカッションやミーティングを通して、会社の理念に基づく行動指針を共有しています。
それはインターン生であろうと変わりません。だからこそ、社員だけでなく他のインターン生さえ叱る立場にいる場合もあります。
【ライター紹介】
富田 晟央 1997年生まれ、神奈川県出身。東京理科大学工学部情報工学科在学中、2018年9月に株式会社パーツワンの長期インターンへ参加。経理に在籍し、日次から月次までの業務やデータ分析を行っている。趣味はダンス。