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スタッフインタビューvol. 51 「人のエネルギーに触れる」

非常勤ファシリテーターのハヤト(稲田勇人)は、群馬県みなかみ町でカフェレストラン亜詩麻を経営しながら、野外教育事業に関わっています。ラフティング世界大会に出場した経験を持つハヤトが考えるチームとパフォーマンスとは。


PA(プロジェクトアドベンチャー)との出会い

PAとの出会いは、みなかみ町でアウトドアの仕事をしている仲間に誘われて体験会に参加したことがきっかけでした。その頃、僕の子どもが小学校5年生くらい。これから子どもが大きくなっていく中で、僕の価値観や何十年も前の僕の体験しかないよりは、多くの子どもと接することが子育ての助けになる気がしたんです。

今まで野球やサッカー、ラフティングと、複数の人数でやっていく競技をやってきました。どれも個人の力が必要ですが、関わりやチーム力も必要になってきます。これはPAも同じですね。競技の世界でやっていたことは、まさにPAだなと思ったんです。今までは自己流だったり、現場で体感をもとに試行錯誤してきたものが、PAと出会ってロジックとして裏付けができて、つながった感じです。

パフォーマンスにつなげる

日本は全体的に、調和力に長けている分、個が弱い。そういう文化なので自分を出すとぶつかります。ぶつかるのが嫌だから自分を出さないというのが染みついている気がします。でもPAのプログラムをやることで、安全な場をつくったり、チャレンジバイチョイスの考え方に支えられることによって、出てもぶつからないで、共有、調和していけます。僕の中のPAはいま現在、そんな感じです。

僕は競技でパフォーマンスが求められるところでやってきました。メンバーとぶつかることも多かったし、誰かが我慢するみたいなこともあったと思います。

PAをやることによって、誰かが我慢するのではなくて、自分たちの持ち味を伸ばしていく、自分たちを生かしてパフォーマンスにつなげていくことができると思います。それが個人の充実感や成長にもつながっていくことがPAを通して描けたんです。

僕はエネルギーがある場が大好きなんです。ぶつかるのもエネルギーですからね。エネルギーが真っ直ぐ合わさるとぶつかってしまうけれど、角度を変えてうまく絡めればお互いのエネルギーを生かすことができます。PAはそういうことのヒントになるちからがあります。

エネルギーが最高の形でうまく絡めば、すごくいい感じになる経験をスポーツや競技の中で何回も経験してきました。

いい感じにさせるファシリテーター

自分がどんなファシリテーターなのかは自分でも知りたいですね(笑)。僕はエネルギーがある人たちを、ぶつからないでスッと調整させるのは得意です。でもやる気がない人のいいところを探したり、うまく待つのはちょっと苦手です。実際グループにそういう人がいたとき、「やる気がないというよりは、今はそういうタイミングなのかな」と思います。そこでがんばろうと促したり、何かしようということはあまりないですね。

僕はすごく論理的なわけでも、すごく待っていられるわけでもないけれど、チームをいい感じ、心地よい感じにさせるのは得意です。

お互いのよさが絡みあう

競技の世界にいろいろな人がいると思いますが、多くは一番を取りたいって思ってやっています。僕は勝負のときに自分のベスト以上のものは出ないと思っているので、そこに行くまでにトレーニングをして、パイ(実力)を広げておきます。でもその実力が出るときもあれば出ないこともあります。勝負しているときに、ずーっとハイパフォーマンスを続けられることはなくて、勝負どころは1回か2回しかないんです。そのときにいかに集中していけるか、勝負どころに持っていくまでいかに6分、7分のちからでつないでいって、勝負に持っていけるかが鍵ですね。だから狙っていくのはそこですが、まずは結果ありきではなくて、普段のトレーニングで、その実力や持ち幅を広げておきます。

それはPAでみんなでいい感じでやっているところから、すごく集中して、みんながいい形で絡んで、自分らしさを出しながらも、他の人の違うよさとうまく絡み合う、自分を高めながら、自分のよさを伸ばしながらも、絡むことによって自分のよさが生きていくことと似ていると思います。自分のよさと相手のよさが絡み合ったら充実するでしょう?

自分らしく生きながら、それが絡むことによって、みんなが生き生きして、それが最終的には結果にもつながるし、それが誰かへの貢献になります。自分のためになっていることが、たぶん人生の充実感につながっているんじゃないかな。PAはそれを体感できるものだと思います。

よいエネルギーが伝染する

PAの場にはエネルギーがあるんだと思います。PAをつくった人のことはよく知らないけれど、PAがいいと思って日本に持ってきた人がいて、こういうのがあるよと伝えた人がいて、それいいねとやってみた人がいて…。そういうエネルギーがいろいろなところに伝わっていきます。

知識とか技術みたいな目に見えるものは実はあまり重要ではなくて、そういうエネルギーが大切なんです。人と人の間を伝染していって、気持ちを掘り起こしたり、感動させたり、ちょっとわくわくしたり、アドベンチャーな気持ちにつながるんじゃないかなと思います。

僕はPAJでは2018年からファシリテーターをしています。もちろんプログラム自体の魅力ももあるけれど、一番はスタッフやファシリテーターがみんな、すごく心地よく、すごくいいエネルギーを持っているのが一番の理由なんです。みんながいいエネルギーを持っていて、そのそばにいると人は影響を受けるから、自分もいいエネルギーになり、自分もいいエネルギーとして貢献することによってお互いによくなっていきます。

人の思いがエネルギーとなって、誰かがそのエネルギーに触れて、また多くの人に伝わっていっているんじゃないかなと思います。

                                         (20190110)

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