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スタッフインタビューvol.27「『めんどくさい』を強みに」

非常勤ファシリテーターのあっちゃん(山路歩)。NPO法人体験学習研究会や株式会社日能研などでさまざまな体験プログラムを提供しています。あっちゃんが体験してきた人と共にいることとは。

PAとの出会い

PA(プロジェクトアドベンチャー)のことは大学生のときに知りました。その後、株式会社日能研に就職し、2004年にAP(アドベンチャープログラミング講習会)を受けました。

APですごく印象に残っているのは、ジャイアントシーソーをやって達成できなくてモヤモヤしていた夜に、あるメンバーが下敷きにコーヒー用のミルクを並べて人に見立てて、成功する方法を試していたんです。そのときに他のメンバーが「問題はそこじゃなくて関係性なんじゃないの?」と言い出し、その夜、紛糾したんです。課題達成を大切にする人と、関係をもっと深めていくっていうことでモヤモヤしている人の間でぶつかったことはすごく記憶に残っています。

それで分かり合えたかというと、分かり合えなくてみんなモヤモヤしたんですけど、それもPAで起こることであり、魅力でもあります。課題のプロセスも、関係も、個人の内側も同時にどんどん動いていきます。

介入する

グループに課題があったときに、僕は踏み込むタイプかもしれません。「それってどうして?」という感じのことをポツポツとグループに渡します。待つことで得られる気づきを待ちきれない自分もいるのかもしれません。だけど、僕は思考のアドベンチャーをくすぐろう、ゆらぎを渡そうみたいな、そういう企みを常に持っているんだと思います。

グループは動くかもしれないし、動かないかもしれない。ただ何かがグループの中にポッと出たときに「それは何を前提にしているの?」という風に言い続ける介入は、アドベンチャーとつながっているのではないかと考えています。

「意図的にいる」ことを大事にしています。それが感覚的な介入であっても、そこで使う言葉には僕の中には絶対に意図があります。「てにをは」や、聞き方、センテンスの長さも含めて、「なぜそのように言ったのか」を言えるようにすることを自分の中で大切にしています。

水面下で起きていることでグループが拾わないことを僕はあえて拾ったりします。それをタイミングを測って一回やるのではなくて、ヒット&アウェイで「言って引く」を何度もやっているんだと思います。

対立をちからに

自分自身の一番の変化は人と喧嘩ができるようになったことですね。ヒエラルキーや年齢で関係が決まっているのではなくて、「僕は僕を大切にしたいからこういうことなんです」とアサーティブに物事を進めていく具体的な行動ができるようになったことが自分の中での変化だと思います。

僕は、年上の人達に囲まれて仕事をしてきました。その中で、真似るということで必死に食らいついていた時期から、やっぱり自分で自分を育てたいと思い始めて、ふと自分にかえって「僕ってなんだろう」「どういう前提があるんだろう」ということを考えたことが大きいかもしれません。

仕事仲間と意見の対立ではなくて、価値観の対立をし続けることで、ぶつかることに慣れたというのもあるかもしれないですね。

大切なのは自分の「すべき」の強さを逃げずに見つめること。自分のイラショナル・ビリーフは何なのかを見つめられること。そして相手はなぜそう言うんだろうということをその場で余裕を持ててちょっと考えられるということですね。

ぶつかって接点が見つからないときも多いんです。そんなとき、もやもやのまま仕事は進んでいきます。お互いにお互いを嫌いではない。意見は違うけれど、めんどくさいし、どう言おうかと悩みます。でもそんな中、僕もこの不安定の中でも進んでいくんだなぁと思うんです。

最近は「僕は納得がいかないけど、そっちに乗ってみます」みたいなこともするようになりました。モヤモヤしたまま不安定と共にいて進んでいくみたいな感じです。それはすごく意味のあることだと思うんです。個人だけでなく集団のみんなが不安定と共にいながら進んでいこうとするのはある意味すごく豊かなことだと思っていて、勝手な言い方ですけど未来につながるあり方なのかなと思います。

「合意形成、納得を作って前に進む」なんてことじゃないんですよ、人と共にいることは。僕はお互いが共にいることを決めて、不安定と共にいられる。ぐじゃぐじゃした中に居続けられることだと考えています。大変ですけどね(笑)

その不安定さは、シーソーみたいにあっちに傾いたり、こっちに傾いたり、ある瞬間安定したりといろいろあります。ずっと大きな不安定さがあるわけではないけれども、人と共にいるというのはやっぱり不安定なものだと思います。

不安定さの中で

不安定な中でもちゃんと「好きだよ」と伝えたりすることと、「でもやっぱり合意はできないんだな」という感じのどちらも大切にしています。

僕は金子みすゞさんの詩が大好きで「みんなちがって、みんないい」をPAプログラムでよく使わせてもらうんですけど、この言葉にはちょっと違和感を持っています。続きの言葉があると思うんです。「みんなちがって、みんないい。けれど、みんな違っていたら、面倒くさいし、大変だ」みたいな感じで。だから「みんなちがって、みんないいけれど、その中であなたはどうするの?みんなはどうするの?」ということを問いかけていきたいです。

PAはそういう部分と豊かに、楽しく出会える機会だなと思えるんです。だから「みんなちがって、みんないい」なんだけど、「だから大変だよね、めんどくさいよね」と思ったり、「それでどうするの?」ということをちょっと試せたり、考えられたりする場作りをしたいです。それぞれの内側にある「人と共にいる」とか、「自分で自分の環境を作る」とか、「自分で自分を育てる」ということはたぶんそういうことなんだろうなと思います。

(20180703)

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