東京都

#5 動画業界の未来を占う。“情報疲れ”によるメディア時代の再来

Takako Honda, Kai Tokoyoda and 1 others

PR Director, Director/manager

Takako Honda

ワンメディア株式会社 / PR Director

Kai Tokoyoda

Director/manager

Gakuto Akashi

Director/manager

on 2023-12-22

公式ポッドキャスト

パーソナリティ

・明石ガクト
代表取締役CEO
1982年生まれ。静岡市出身。上智大学在学中に動画制作を始める。 2014年6月に新しい動画表現を追求するべくONE MEDIA を創業。トヨタ自動車やソフトバンクなど、ナショナルクライアント向けにYouTube やTikTok などのSNS プラットフォーム向けの動画コンテンツを企画制作し、マーケティング活用する事業や、SNS クリエイターの業務支援を行っている。2018年に『動画2.0 VISUAL STORYTELLING 』（幻冬舎）を上梓。最新の著書『動画大全』（SBクリエイティブ）は韓国・台湾でも出版決定。YouTube Works Awards 2022 クリエイターコラボレーション部門代表審査員、TikTok クリエイティブアワード 2023 代表審査員を歴任。好きな監督は、スパイク・ジョーンズとミシェル・ゴンドリー。

・常世田介
Studio Dept. クリエイティブディレクター
上智大学在学中から映像製作に携わり、卒業後フリーランスとして主にモーショングラフィックスを活用した動画製作に取り組む。ONE MEDIAの創業年2014年11月に参画。現在はクリエイティブディレクターとして企画・開発から配信設計領域まで携わる。ACC 賞フィルム部門ファイナリスト。ミーハーなため新しい技術はとりあえず自分で触ってみる派。制作したTikTok エフェクトはすべてUGC 1,000件を超える、トップクラスのエフェクトクリエイター。最近は三次元復元や生成AI などに着手中。

明石：みなさんこんにちは、こんばんは。ポッドキャスト『ONE CAST 』へようこそ。ONE MEDIA CEO の明石ガクトです。どうぞよろしく。このポッドキャストは、役に立つ人には役に立つSNS や動画の最新情報、そしてONE MEDIA について色々ゆる〜く発信していく予定です。そして、一緒にお届けする私の相方は...？

常世田：こんにちは。桃鉄ワールドがやりたすぎる、ONE MEDIA でクリエイティブディレクターをしています、常世田介です。

明石：まさかね、ワールド版が出るとは...もはや鉄道とは、みたいなね。

常世田：ほんとですよ！10年前は予想もしてませんでしたけど、やっぱり桃鉄ワールドはみんなの夢ですよね！

明石：夢だったの！？（笑）

常世田：え？やったこと...ありますか？

明石：桃鉄？そらあるよ。

常世田：全然乗り気じゃないですけど（笑）やりたくないですか？桃鉄ワールド。

明石：やっぱり現実世界で社長なんで、桃鉄の中でまで負債とかと向き合いたくないっていうか（笑）

常世田：あー、すいませんでした。何か。

明石：浅はかな考えでしたね、カイさん。

常世田：確かになってちょっと思っちゃいましたね（笑）じゃあ、桃鉄やる時はガクト社長でやるわけですよね？桃鉄。

明石：そうです、ガクト社長です。

常世田：10兆円くらい赤字出たりしますからね！

明石：ちょっとやめてくださいよ！！

常世田：というわけで！今年も残すところあとわずかですけれども。ガクトさん、年末のご予定いかがでしょう？

明石：僕、1年間の中で1番好きなのが年末年始なんですよ。

常世田：というと？

明石：誰からも連絡が来ないじゃないですか！

常世田：社長あるある系だ。

明石：社長ってマジでずっと連絡来るんで、気が休まないんですよ。休みの日でも普通に連絡来るから。まぁ、見なきゃいいんだけどさ、癖で見ちゃうじゃん？で、見なかったら見なかったで、連絡来てんだろうなって思ってしまうというか。年末年始だけがピュアにマジで仕事の連絡が来ない！

常世田：それは間違いない。

明石：もうね解放感がえぐい！だから、その時期の東京が僕、1番好きで。何のプレッシャーも感じないで六本木や原宿を歩いてる時に10代の頃に戻ったような解放感を味わってます。

常世田：凄い今、優しそうな顔してますね。

明石：年末年始を思ったら、今年もあとちょっとだから乗り切れると思ってる（笑）

常世田：仏のような顔になってますけども（笑）さあ、前回まで2014年から2023年までのSNS 動画10年史を振り返ってきましたけれども、長いようで短いような密度の濃い10年でしたね！

明石：ただただ濃さだけが残ったねえ。もうあまりここの話はしたくないなと思いつつ…え？今日もこの話すんの？

常世田：今回は、SNS 動画10年史のまとめ回として感想を話しつつ、ガクトさんから総括してもらいたいなと。やっぱ話っぱ、振り返りっぱではどうしようもないので。なおかつ、2024年以降の未来を予測していきたい！

明石：いいですねぇ。総括を早々に終わらせて、さっさと未来予測をしていきたい！

常世田：そうですね（笑）やっぱり動画業界の教祖こと明石ガクトの十八番ですよね、その辺は！ではやっていきましょう！まずONE MEDIA のやってきた事という目線で

改めて流れをおさらい

常世田：ガクトさん、改めてこの10年いかがですか？

明石：マジで...色々やってるね。

常世田：多岐！

明石：色々やることって良いことだなって思いましたね。よく、「TikTok で人気になりたいです！」っていう若者が相談してくるんですけど、僕もどうしたら人気になるのかわかんないから、色々なTikTok クリエイターさんに聞くんですよ、マツダ家の日常の関ミナティさんとか修一郎くんとかね。そういう超有名TikToker に聞くと、全員「当たるまでスタイルを変え続けろ」って言うんですよ。1発目のTikTok の動画フォーマットで、そのまま人気が出るTikToker なんて居ないんだと。大体、平均4パターン以上はみんな試した上で今のスタイルに落ち着いてるらしい！

常世田：確かにコンテンツ見てると、今出たお2人も色々やられてるイメージですね。

明石：最初の頃の動画と違うもんね。って考えると、僕らがこの10年で色々やり方を変えてるっていうのも当然のことだなと！やり方を変えない会社は多分ね、倒産してるから（笑）でも、色々変わってきたんだけど、根本変わってないなっていう点があると思ってて。その変わってない部分をね、今回はカイさんと話していきたい！

常世田：めちゃくちゃ良いですね！

明石：じゃあ、まず！色々やってきたが、ブレずに変えてない部分があるんですよ。それって何だと思う？カイさん。

常世田：これミスったらやばそうな感じがしますけど...。

明石：ミスったら社員No.4は剥奪だね。No.40にするわ。

常世田：エグ！社員40人もいないのに...。じゃあちょっと、僕の思うところですけど！根本変わってないのは...ヴィジュアル一発で心を動かすっていう部分かなと思っていて。僕、ガクトさんを学生の頃から知ってますけど、映像・動画っていうもので、見た瞬間に人々の心が動くみたいなところにかなり意識を持っているのかなっていうのは思ったんですけど...

明石：半分正解で半分そうじゃないな（笑）

常世田：中途半端

明石：確かにそうだったんだよ、ヴィジュアルというものをすごい練り込んで作って、それによって人の気持ちとか感情が変化することに対して、喜びを感じるんだが...特大ヒントは、

ONE MEDIA っていうさ、社名ですよ。

常世田：ほう！？

明石：やっぱり…メディアをやりたいんだよね。最初、YouTube という新しいメディアを使って、人の気持ちを変えるようなものを作りたいなと思って取り組んだが、なかなかうまくいかず。そん中で2014年から2016年ぐらいまでドキュメンタリーにしようとか、インフォグラフィックスにしようとか、色々とやり方を工夫したじゃない？で、いわゆる縦型動画がInstagram とかで出来るようになり、2017年・2018年とやってきたんだが。やっぱメディア（事業）って、大変だからさ！

常世田：会社とビジネスにするにはなかなか…

明石：で、2019年以降から広告コミュニケーションにシフトしていくんだけど。根本、そういう風になってもすごい意識してる事は、メディアって人の気持ちや意識を変容させる、まぁ、媒体っていう風に和訳されるじゃないですか。で、メディアの語源って、メディウムっていうんですけど、メディウムって触媒っていう意味なんですよけど、そういうものを作りたい。それは、ヴィジュアルじゃなきゃいけないのかっていうと、近年そうでもないかなっていう風に思うわけですよね。

常世田：なるほどなるほど！

明石：要はさ、エフェクトを作りますと。あれってさ、ヴィジュアルを作ってるわけじゃなくて、ヴィジュアルを発生させる装置を作ってるわけ！このポッドキャストもそうだし、作業用BGM用動画とか音楽や音声だって人の気持ちを変容させる、そういうメディアになりえるじゃないですか。だから常に受け取った

人の変化を及ぼす＝触媒を作りたいという部分は変わってない

常世田：動画はあくまでもその触媒の1つってことですね！

明石：で、触媒にはエフェクトとか音声とか色んな形があり得る。今ってほんと変わってきてるじゃん？ちょっと軽い未来予測になるけど、さっさと過去の振り返りに決別して、未来予測に行きたいという強い僕の意思を感じてほしいんですが、ええ！

明石：2023年は生成AI がめっちゃ進化して、クリエイティブの作り方がすごい変わったじゃないすか。

常世田：従来、我々がやっていたようなことのほとんどをAI がやるようになるんだなぁと危機感を覚えましたね

明石：来年、割と早めに発売するのかな『Apple Vision Pro』。ああいうの出たらさ、

もっとメディアの形が変わってくるじゃん？

Apple Vision Proが登場 - Appleが開発した初の空間コンピュータ

Appleは本日、デジタルコンテンツを現実の世界とシームレスに融合する、革命的な空間コンピュータ、Apple Vision Proを発表しました。

https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/

常世田：変わりますね、たしかに

明石：だから、動画っていう手段に限定してちゃダメで。まぁ、動画限らず音声っていう手段に限定してもダメだし、AI も手段だから、それに限定してはだめで。そういうものを使って、メディアと向き合っていくってことがすごい大事なんじゃないかなと思ってるんだよね。

常世田：まさに、我々が10年間続けてきたこの形を変えながら、揺らぎながら変わってきた姿が、そもそもニーズそのものだったりとか、社会の変遷の形に合わせて、生まれてきた触媒を常に作ってきたと！

明石：まさにそういうことです！でも、まだ作りきれてるとも思えてなくて。僕、藤原ヒロシさんをリスペクトしてるんですけど、彼が“情報と人の間にメディアがある” っていう風に言うんですよ。

常世田：あー！確かに、そうですね！

明石：世の中に色んな情報があるじゃん？この情報というものを、個人でも発信しやすくなってきてるってのがこので10年間で起こった事なのかなって。逆に言えば、その10年以上前もそうだな。個人ブログなんかは、メディアというより個人情報なんですよね。

常世田：剥き出しの情報の塊っ！

明石：Instagramの投稿、X のつぶやきとかも情報。その情報と人の間に、メディアという要素、まさに触媒が挟まることによって、マクルーハン的なね？

常世田：でたな、マーシャル・マクルーハン！

ハーバート・マーシャル・マクルーハン（1911年7月21日 - 1980年12月31日）カナダ出身の英文学者、文明批評家。「メディアはメッセージである」という言葉を残し、「メディア論」という研究領域を拓いた先達。

明石：久々にこの言葉を発しましたけど！マクルーハン的なメディアになるわけじゃないですか。で、そうなると、かつては見えなかったメディアを構成するめっちゃ主要な要素が浮き彫りになってくるっていうかね。これ、なんだと思います？

常世田：でたよ、難しい問い

明石：（笑）ヒントを言うと、情報・メディア・人という風な関係があったときに、何がメディアをたらしめるのかって話。

常世田：ヒントっていうか、もう答え教えてくださいよ（笑）

明石：だよね（笑）僕もクイズ出しながら、「こいつわかんねえだろうな」と思ったわ。

常世田：はよ！答えを！ください！！

明石：

これね、コミュニティだと思うんですよ。

例えば、音楽メディアがあったとするじゃない？音楽メディアってのは、色々な音楽を取り上げるメディアなわけでしょ？当然、その手前の情報部分にはバンドが新曲を出しましたとか、アーティストがこんなすげぇライブをしましたって情報がなきゃいけないじゃん。と同時に、それを受け取る人ってなんなんだっていうと…

常世田：音楽愛好家とか、ファンの人たち。

明石：そう。で、ファンの人たちは、当然ライブに行ったりCD をゲットしてたりとかするわけじゃない。その情報の一部に、人が大きく関わっていて、その受け取り側も人なんですよ。つまり、まず音楽コミュニティというものがあり、その中にメディアができているんだと思うわけ。

常世田：理解してきた。

明石：ここ数年間で言うと、クリエイターやインフルエンサーさんの影響力というものがすごい大きくて、クリエイターやインフルエンサーさんという情報そのものに人が集まって、コミュニティが出来ている。逆に言うと、メディアが不在な状態だった思うんだよね。近年のアメリカの流れを見てるとYouTuber の人がPodcaster とか、逆に言うともっと包括的なクリエイターになって、かつ、同じようなジャンルの仲間と一緒にコンテンツを作ったりとか。ジャンル化というか、コミュニティー化してってる。

常世田：なるほどなるほど。

明石：で、この流れは日本にも来るんじゃないか、と踏んでいるわけですよ、僕は！

常世田：なんだってぇ！？

明石：要は、情報を情報のまま受け取ることに、みんな疲れ始めてるような気がするんだよね。

常世田：確かに、新しい技術とか、新しいSNS とかが登場したところに、我々がコンテンツをどんどん作って流し込むみたいなことしようとしてきましたけど、ちょっと逆だったのかなというか。

明石：おお！

常世田：コミュニティがあるところに、メディアが生まれるっていうところで言うと、それを予測し、そこに張っていくことが、今後重要になってくると。

明石：そうなんですよね！情報の流通の仕方とか、表現の仕方とかそういうものをメディアに変えるようなテクノロジーってのは、たくさん新しいものが生まれてくるんだが！結局、火のないところに煙は立たないように、コミュニティーがないところに無理やりコンテンツ作ってもメディアにならないんですよね、誰もそれを求めていない=そこに人がいないから。人がいることがめっちゃ大事で。

常世田：

まず人の集合があって、それをメディアに変える技術があって、そこに最適なコンテンツを我々は作り続ける。

明石：めちゃくちゃいい言葉にまとめましたね。

常世田：ちょっと書いとかないとダメでした。メモメモおおお！

明石：今の言葉出ただけで、3時間収録してきたかいがありましたよ！

常世田：お疲れ様っした！というわけで、我々がやっていくことは結構明確になったのかなと思っていますけれども。そんな我々の未来に向けて、改めてONE MEDIA っていうのは、これから具体的にどの部分にチャレンジしていくんでしょうか？

明石：我々がやることは、そこに最適なコンテンツを作り続ける事。要するに、人の集合ってさ、別に僕たちが作れるわけじゃない。みんな好きなものがあってさ、そこに集まってるワケ。

常世田：にんげんだもの

明石：唐突な相田みつを。で、それをメディアに変える技術も我々が作ってるわけじゃない。

常世田：そこを担うのはApple とかOpenAI ですもんね。

明石：僕らができるのは、そこに最適なコンテンツを作り続ける事。コンテンツが集合してメディアになっていくんだけど、技術によってメディア足り得るものが生まれても、そこにコンテンツが入っていかないとメディアになんないからさ。やっぱそこにフォーカスしていくべきなんだと思うんだよね。

常世田：僕らの使命は…

明石：人の集合と技術を適切に結びつけて、コンテンツを作るってこと！で、そうなると、元になる原液はどう作って、それをどう薄めるかみたいな話だと思う。

常世田：…原液？

明石：ウイスキーで例えるとするよ？人々の集まるところにウイスキーがある。でもウイスキーはそのままだとめっちゃ刺激が強くて、マジでコアなコミュニティーの人しか楽しめないんです。でもそれをいろんな技術で薄めてハイボールとか水割りにしたりするとみんなが楽しめるようになって、コミュニティが広がるんですよね。それがメディアなんだと思う。コンテンツ=ウイスキーを美味しく割るってことなんだと思うんだよ。

常世田：ああ！なるなるほど！！！！！

明石：その時に、炭酸水というテクノロジーがあれば、ハイボールが作れるんですよ。もともと水しかなくて、水割りしか作れなかった。これは新聞とかテレビとかしかなかった的なことだよね。そこに炭酸水というテクノロジーが生まれ、ハイボールが誕生した。ハイボールは言わばこう、YouTube とかそういうことですよ、ポップで若者が好むようなものに変化しする感じ。

常世田：わっかりやすい！

明石：逆に今までウイスキーをグラスで飲んでいたが、あえて、おちょこで飲んでみると。でも器を変えることによって量が少なくなるじゃないですか？これがいわゆるショート動画ですと。