「20社ほど見て、ビジネスモデルとして勝ち筋が完璧に見えたのはここだけだったんです」
そう淡々と、しかし確かな自信を込めて語るのは、株式会社Oh my teeth(以下、Oh my teeth)でコーポレートマネージャーを務める笹谷真弘(ささたに・まさひろ)さん。
金沢大学薬学部卒業後、大手ドラッグストアでの最年少課長、ヘルスケア特化型PEファンドでの投資責任者(3年で売上ゼロから150億円規模へ拡大)、大手ドラッグストアの執行役員 医療関連本部長を歴任。ファンドとして約90億円を投じ、20件以上のM&Aと経営統合(PMI)を現場でやり切ってきた、まさに百戦錬磨の"買収屋"。
数多の巨大ビジネスを動かしてきた笹谷さん。なぜ今、その安定したポジションを降り、Oh my teethへ参画したのか。
その裏にあるのは、20代の頃に触れた1冊の本から始まった「参謀」への情熱と、冷徹なまでにロジカルな「事業成長の方程式」。
笹谷 真弘/株式会社Oh my teeth コーポレートマネージャー
富山県出身。金沢大学薬学部卒業。薬剤師免許を取得後、株式会社クスリのアオキに入社。在職中に中小企業診断士を取得し、東証二部・一部上場を経て最年少で課長に昇格、急成長期を牽引した。その後、中小の調剤チェーンを経て、ヘルスケア特化型PEファンドの立ち上げ初期メンバー(2人目の社員)として参画。M&A・投資責任者として約20件の買収とPMIを担当し、3年で売上高150億円規模への拡大に貢献。前職のドラッグストアにて執行役員 医療関連本部長(売上約280億円)を務めた後、2026年にOh my teethに入社。コーポレートマネージャーとしてバックオフィス統括全般を牽引する。
衝撃を受けた『企業参謀』。「No.2としてビジネスの構造を動かしたい」
── 金沢大学の薬学部をご卒業されていますが、もともと医療の道を目指されていたのでしょうか?
笹谷さん: 実は、薬剤師という資格の詳しい仕事内容もよく知らずに入学したんです。実家は富山。兄2人が遠くへ進学したこともあり、親から「お前だけは地元の近くにいてくれ」と言われて選択肢は限定的。理系で一番偏差値の高かった医学部には届かず、金沢大学の薬学部へ進学しました。
大学では周りのほとんどが製薬メーカーの研究職や病院の薬剤師を目指す中、私は迷いなく事業会社を選択。今思えば、ここが今のキャリアに繋がる重要な分岐点でした。
── 現場の医療職ではなく、ビジネス・経営の世界にのめり込んだきっかけは?
笹谷さん:元々、ビジネスへの憧れは強かったのですが、より強くなったのは社会人になって数年目。25歳頃に読んだ大前研一さんの『企業参謀』。これが決定打でした。大前さんがマッキンゼーに入社したのは29歳、この本を書いたのは32歳のとき。「30代そこそこでこれを書いた人間が、世の中にいるのか」という強烈な衝撃。
中身は当時の私には難解すぎて完全に理解できたわけではありませんでしたが、「企業の参謀になりたい」、それが強く自分の中に残っていました。
カリスマ社長としてゼロから何かを作りあげるのではなく、理論と構造化で経営者を支え、組織を裏から成長させていくNo.2の立ち位置。これこそ自分に合っているスタイルだと確信し、27歳で中小企業診断士に挑戦。働きながら勉強を続け、資格を取得。本格的に経営の道へ踏み出した瞬間です。
上場前のベンチャーから、3年で150億円の「買収屋」へ
── 1社目のキャリアとして選ばれたドラッグストアでも、圧倒的な実績ですね。
笹谷さん: 1社目の「クスリのアオキ」は、入社当時まだ上場前の小さな地方ドラッグストア。しかし、代表が「絶対に業界ナンバーワンになる」という熱い野心の持ち主でした。
そこで必死に働き、最年少で課長に昇格。東証二部・一部への上場を経験、地方の一企業が1,600億円規模の業界トップクラスへ駆け上がっていくプロセスを、当事者として走り抜けました。毎月前年を超える数字を叩き出し、組織が爆速で大きくなっていく興奮と達成感。それまでの人生で味わったことのない高揚感。この強烈な体験が私の原点となりました。
── その後、ヘルスケア特化型PEファンドではまさに"買収屋"として大きなスケールを動かされたと。
笹谷さん: 中小の調剤チェーンを経て、ファンド立ち上げ2人目の社員として参画しました。「これから薬局を買収していく」というお題と、潤沢な資金を持つスタートアップです。
投資責任者として、約90億円を使って20件ほどの買収を実行。買収して終わりではなく、買収した子会社の取締役も兼任し、現場に入り込んで経営統合(PMI)を泥臭く完遂しました。結果、ゼロからわずか3年で150店舗超・売上高150億円規模、全国20位以内の調剤チェーンへ急成長。グループ従業員は約1,000名にまで拡大しました。
その後、前職の上場企業ドラッグストアでも執行役員・調剤事業のトップとして、売上約280億円・201店舗の事業本部を率いました。
20社を比較して確信した「爆速成長の方程式」
── 数々の修羅場をくぐり抜けてきた笹谷さんが考える「勝てる事業の条件」とは?
笹谷さん: 「トップの規格外な野心」×「ビジネスモデル」×「適切な成長投資」です。
どれだけ優れたモデルがあっても、トップに野心がなければ成長は止まります。逆に野心があっても、利益が出ない構造や資金力がなければ途中で失速する。ファンド時代に売上ゼロから150億円のスケールを自ら動かしたこと、大手企業の安定した場を経験したこと。この両方から、「適切なトップが、正しい構造のビジネスを牽引し、正しいタイミングで資本を投入すれば、事業は爆速で伸びる」という方程式が確信に変わりました。
── なぜ執行役員のポジションを降りてまでOh my teethを選んだのですか?
笹谷さん: 転職にあたって、スタートアップやファンドなど20社ほどの話を聞きました。その中で、私の方程式に完璧にハマったのが唯一、Oh my teethだったからです。
まず、ビジネスモデルの圧倒的な美しさ。歯科医療は本来、労働集約的なビジネスです。しかしOh my teethは、テクノロジーで業務をDXすることでコスト構造を最適化。従来の矯正治療とは異なる価格帯を実現しながら、ToC領域全体で見れば高単価ポジションを確立。単なる安売りではなく「良いものを、適正な価格で」を突き詰める企業姿勢。高い利益率を誇り、正しく運用すれば確実に利益を生むビジネス構造。さらに、統一規格で蓄積されるユーザーデータは、今後の事業展開において巨大な参入障壁へと進化できる可能性。
聞けば聞くほど、惚れていきました。
── 代表の西野さんとの面談エピソードも教えていただけますか?
笹谷さん: 面談で無邪気に「本気でAppleを目指す」「矯正にとどまらず、世界中のインフラになる」と真っ直ぐ語る姿。口だけで「1000億目指します」と言う経営者は山ほど見てきましたが、西野さんの言葉には確かな実体がありました。
さらに感動したのは、権限委譲の美しさ。全て自分で抱え込むカリスマ型ではなく、CXO陣に現場を任せ、自分は顧客体験やプロダクトの仕組み化、ビジョン発信に特化している。
「この野心的なトップのもとで、自分が資金調達やバックオフィスの仕組み化を固めれば、またあの爆速成長を起こせる」。そう確信しました。
2030年、10都市100店舗へ。参謀として仕掛ける次の挑戦
── 現在、Oh my teethでどのような役割を担い、どんな未来を描いていますか?
笹谷さん: 現在はコーポレートマネージャーとして、経理財務・労務・法務・総務・経営企画に加え、資金調達や薬事対応、海外展開の設計まで担っています。会社が安全に最高速度で走るための基盤づくりですね。カオスな状態からルールを設計していくプロセスは、"買収屋"時代に散々やってきた得意分野です。
そして、その先に私たちが目指しているのは、
2030年までに世界10都市100店舗の展開。
一見すると壮大です。しかし、バックキャストして分解すれば必ず到達できるロードマップだと考えています。
誰かが作った過去の貯金で生きるのではなく、いくつになってもヒリヒリする成長の最前線に身を置きたい。西野さんというビジョナリーなトップの"参謀"として、これまで培った知見のすべてを注ぎ込み、Oh my teethを世界へ誇るグローバルカンパニーへと押し上げていきます。
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ゼロから150億円の事業を立ち上げてきた"買収屋"が、次の勝ち筋として選んだ場所。
冷徹なロジックでビジネスモデルを見定める眼光の奥に宿るのは、「もう一度、あの爆速成長の興奮を再現したい」という無邪気なまでの熱量。
勝てる構造と、それを証明する参謀。Oh my teethがこれから巻き起こす大きなウェーブが楽しみです。
あなたは今、自分の限界を超えるような挑戦ができていますか?