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いまこそ漫画の販促にマーケティング戦略が必要な理由【令和の漫画の広げ方】

ナンバーナインが取り組む漫画マーケティングについて紹介する短期集中連載。「漫画とマーケティング」「漫画とメディアとSNS」「ナンバーナイン流漫画マーケティング」の3つの切り口について、出版・漫画業界の状況やナンバーナインの最新の取り組みについても触れながら考えます。

語っていただくのは、マーケティング局局長の大貫剛寛さん。ぜひ最後までお読みいただき、皆さんで漫画×マーケティングについて考えていけたら嬉しいです。

ナンバーナインが考える、漫画のマーケティングとは

こんにちは。ナンバーナインでマーケティングの責任者を務める大貫です。

ここから3回にわたって「漫画のマーケティング」をテーマにお話しをしていきたいのですが、本題に入る前にそもそもなぜこんな連載を始めようと思ったのかをお話しします。

今、ナンバーナインでは”漫画のマーケティングを科学しよう”と日々奮闘しています。さまざまなコンテンツが世の中に溢れる今、マーケティング、つまり(製品・サービスなどを通じて)価値を創り、浸透させることはとても重要。でも、読者のニーズはかなり多様化しています。マーケティングには絶対解がないためとても難しいんですが、だからこそやりがいも大きい領域だと思っています。

この連載を通じて伝えたいことはただ一つ、「漫画×マーケティングの面白さ」です。

連載は全3回を予定していますが、今の自分たちなりの「漫画とマーケティング」の考えをオープンにすることにチャレンジします。このnoteが、さまざまな業界で活躍するマーケターの皆さんにも漫画のマーケティングのリアルについてお伝えするとともに、webtoon、漫画業界を盛り上げていく一助になれば嬉しいです。

漫画は「マーケティング」によって成長してきた

そもそも「漫画」と「マーケティング」という言葉が並んでいると、違和感を覚える人もいるかもしれません。それは「マーケティング」という言葉がプロモーション、宣伝広告、代理店のイメージが強く、「面白い作品をつくる」ことを重視する出版社にとっては馴染みが薄いからではないでしょうか。

本質的に「マーケティング」とは人の感情を掴むこと、売れる仕組みを作ることです。であれば、漫画が作品として面白ければ十分だと考える人もいるはず。しかし、振り返ってみれば「漫画」と「マーケティング」は決して新しい組み合わせではなく、むしろマーケティングによって漫画の市場は成長してきたといっても過言ではありません。

例えば、作家に担当編集がついて二人三脚になって漫画を作るという行為も、捉えようによってはマーケティングの一つとも言えるでしょう。漫画創作の過程で「編集者」という読者視点を持った人が介入することによって、作品の面白さが磨かれていくからです。また、雑誌でよく見られる「読者アンケート」も立派なマーケティングです。読者の感想やどの作品にどれぐらいの関心があるのかを把握することができますからね。

僕が思うもっとも代表的でわかりやすい漫画のマーケティングの例は、「週刊連載」の仕組みです。紙市場が好調だった頃は「週刊連載」というフォーマットそのものが毎週必ず最新話が読める状況を生み出し、大きな意味で「漫画を読者に届ける≒広げる」仕組みに当てはまっていたためです。

なぜ今、漫画のマーケティングをやっていくべきなのか

しかし、インターネット・SNSの普及により、出版市場を取り巻く状況は一変。これまでTVや雑誌、新聞といったオールドメディアは作り手と読み手の立場が明確に分かれて一方通行のやり取りだったものが、双方向型になってきました。つまり、インターネット・SNSが普及した今、私たちは誰もが個人として生きることができ、発信する側になることもできます。

インターネット・SNSの普及がもたらしたものはそれだけではありません。

YouTubeやTikTok、Instagramなどの登場で誰もが発信者になれるようになったことで、さまざまなコンテンツが誕生しました。さらに、Netflixなどの動画配信プラットフォームも盛り上がりを見せ、娯楽コンテンツは増加の一途をたどるばかりです。

しかしながら、私たちの生活は変わらず1日24時間。コンテンツを享受するデバイスもスマホに集約されつつあるなかで、もはや今は「漫画」のライバルは「漫画」だけではないのです。もちろん漫画であることは大前提ですが、それ以上に漫画以外のコンテンツが漫画の「ライバル」になっていると思います。

メディアミックスなどの戦略により、漫画とその他のエンタメコンテンツが共存する道の論調も存在していますし、同意します。ですが、それは一定のヒット作に限る、という前提が必要になります。

最近はショートドラマ(1~3分ほどの短い尺の実写ドラマ)なんかも熱いですよね。どんどん可処分時間の奪い合いが熾烈になってきています。そしてコンテンツを作り届ける者としてはいろんな感情があるのですが、決しておもしろいからといって売れるわけではなくなってきていると思います。

どちらかというと、ちょっと時間を潰すことができたり、集中しなくても楽しめたりするような体験=「ながら見」の需要が高まってきているのではないでしょうか。

一方の漫画は「ながら見」ができません。だからこそ、マーケティングが必要になってくると強く思っています。

そんなインターネットが躍進を遂げつつある2010年代半ばに創業したのが、ナンバーナインです。2016年11月に創業したナンバーナインは創業当初からとして漫画×デジタルの領域で様々な事業を展開してきました。

現在では、デジタル配信サービス「ナンバーナイン」でお預かりする作品数も5000冊を超え、自社オリジナル漫画(webtoon含む)の刊行点数も増えてきているため、上述の通り「漫画×マーケティング」の重要性をひしひしと感じています。

今年からは正式にマーケティング局を設立し、これまでのナンバーナインの得意領域であるSNSを起点としたマーケティング戦略(私は「ソーシャル・ブリッジ・マーケティング」と命名しています)を実践しているところです。

ソーシャル・ブリッジ・マーケティングとは、読者に各SNSと電子書籍ストアをうまく回遊させながら作品とのタッチポイントを増やし、購入を促す顧客体験のことです。

具体的には、XやInstagram、TikTokといったSNSでの投稿頻度を工夫してタッチポイントを増やしたり、作品に関する投稿をバズらせたりすることで、読者が漫画と頻繁に、かつ安心して接触できるようにします。こうすることで、読者がその漫画を読みたくなり、自分が利用する電子書籍ストアで購入するまでのエンゲージメントを高めることができるのです。

また、各電子書籍ストアでの企画(施策?)を同時に展開し露出の強化と購入のしやすさを強化することで、多くの方々がどこでも漫画に触れることができる環境を作りだせます。

「ソーシャル・ブリッジ・マーケティング」という言葉自体を考えたのはわりと最近なのですが、このようにSNSを駆使したプロモーションは創業当初からナンバーナインの強みでした。「ナンバーナイン公式漫画紹介者あくせるちゃん」や「創作BL大豊作まつり」がその代表例です。以前のnoteでも紹介しましたが、「あくせるちゃん」に投稿したことで、売上が3日で4万%UPした作品もあります。

次回は「漫画とメディアとSNS」について

ここまで漫画とマーケティングの関係性について語ってきましたが、今回はここまで。残り2本の記事でも、今回取り上げた漫画とマーケティングを前提にしつつ、より深いところまで突っ込んでお話ししていきたいと思います。

次回は後半でも取り上げた「SNS」にフォーカスしながら、漫画とメディアとSNSの関係性について深掘ります!

私たちと一緒に「漫画を広げる」の最前線を考えませんか?

ナンバーナインでは、一緒にはたらくメンバーを募集しています! 特に、本連載にも登場している大貫が所属しているマーケティング局では、一緒に漫画を「広げる」仕掛けなど、コンテンツマーケティングや広報の業務に取り組んでくれるメンバーを求めています。こちらもぜひ、よろしくお願いします。

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