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単月売上26万円からスタートしたナンバーナインのサービスを3年半で単月売上1億円に成長させた経営戦略について

こんにちは!ナンバーナイン・採用担当の西村です。

今回は弊社代表の小林のnoteを共有させていただきます。弊社の核であるデジタル配信サービス「ナンバーナイン」がどのように生まれて、どのように成長したのか、単月売上26万円から始まったサービスがどうして1億円を超すまでになったのか…読んでいただければ、その成長の理由がわかる内容になっています。

少しでも弊社に興味をお持ちいただけた方は、ぜひご一読ください。

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はじめましての人もそうでない人もこんにちは!
仕事大好きっ子37歳。ナンバーナインの小林です。

普段サウナや漫画、WEBTOONの話ばっかりしているのでご存知ない方も多いかと思いますが、僕の本職は会社経営になります。

少しだけ自分語りをさせて頂くと、僕は23歳でイラストに特化した制作代理店である株式会社サーチフィールドを創業し、現在の株式会社ナンバーナインまで14年近くずっと会社経営を行っています。

社会人経験が今年で15年目なので、14 / 15 で社長をやっています。
社会人になってからの93%が社長という生え抜きの経営者です。

37歳の経営者は特に珍しくもありませんが、37歳で14年間の会社経営の経験がある経営者は少ないと自負しています。

また、何をもって成功というかは人それぞれですが、僕が創業したサーチフィールド、ナンバーナイン共に50名以上の雇用を生み出すことができたことも密かな誇りです。(企業の社会的責任は雇用を生み出すことだと考えています。)

※東京メンバーと宮崎メンバー、そしてインターンや業務委託のメンバーも含めると、ナンバーナインは総勢54名の組織になりました。(2022年3月時点)

普段はコンテンツプロデューサーとして現場に出ることも多々ありますが、僕の一番大切な仕事は会社経営になります。

今回のnoteでは僕の経営方法と経営戦略について、実際の数字と共にお話したいと思います。

経営はギャンブルではなく、確実に勝つための戦略を考えること

資金調達しているスタートアップやベンチャーは時にJカーブでの成長を求められます。ホームランか三振か、大成功か大失敗が美徳とされている狂った世界です。

また、エンターテインメント業界において、ヒット作を出せるかどうかは宝くじに例えられることもあります。100 / 100 の確率で確実にヒット作を出せる編集者・出版社はありません。(日本一の漫画雑誌である『週刊少年ジャンプ』ですら打ち切り作品はありますから。)

そのため、どれだけ多く打席に立てるかが大事であり、どれだけ毎回フルスイングできるかという意味で、エンターテインメント業界の経営はギャンブルに似ていると言われることがあります。

スタートアップやベンチャーの経営にそういった側面があることは事実ですが、僕は経営の本質はギャンブルとは真逆にあると考えています。

いかに負けない戦いをするか? をとことん突き詰め、確実に勝つための戦略を考え、成功する可能性を1%でも高くする。それが僕が考える会社経営です。

それを踏まえた上で、デジタル配信サービス「ナンバーナイン」の経営戦略をお話します。

初月売上26万円という確かな手応え

元々ナンバーナインはマンガトリガーという漫画アプリを運営する会社として創業しましたが、ピッコマさんをはじめとした漫画アプリ戦国時代においてサービスの優位性を生み出すことができず、創業2年目には事業のピボットを行います。

「ピボット」(pivot)とは、本来「回転軸」を意味する英語で、転じて近年は企業経営における「方向転換」や「路線変更」を表す用語としてもよく使われます。とりわけスタートアップ企業が当初の事業戦略に行き詰まって、大きな軌道修正を余儀なくされたり、まったく別のアイデアに取り組んだりすること、またそうした経営判断そのものを「ピボット」と呼んでいます。

日本の人事部 より引用

ピボット案を検討していた半年間は本当に大変でした。なんせ売上はほぼ0に近い数字なのにも関わらず、毎月何百万円というお金が無くなっていったのですから。マジ震えます。

ピボット案の中には実際に少なくないお金を払って、簡単なプロダクト(モックアップ)を作ったこともありました。(Tinderの漫画版みたいなサービスや漫画好きを集めたインフルエンサーサービスなど)

最終的には僕のアイデアをベースとした現在のデジタル配信サービスのテストを行うことで着地します。

そして2ヶ月間の泥臭い宣伝活動(テストマーケティング)が始まりました。

※はじめてコミティアに参加した時の写真。みんな若いw

マンガトリガーのクローズ対応を行うCOOの荒井くんやエンジニアさんを除いた社長の僕とCXOの小禄さん、そして当時インターンとして働いていた現執行役員の工藤くんと共に3人で毎日漫画家さんに自社のサービスを説明する日々。

初月の売上は26万円でした。

※2018年5月の実際の数字になります。
※上記の金額はストア売上(販売価格の総額)になります。

この結果がでた時、COOの荒井くんは深刻な表情で僕にこう言いました。

「コバさん、このサービスは無理ですよ、上手くいきません。コバさん、コロさん、工藤の3人がかりで月26万円しか稼げないサービスじゃスケールしません。人件費すら稼げてないじゃないっすか・・・」

しかし僕は荒井くんとは真逆に確かな手応えを感じていました。

これをあと100回繰り返せば、確実に勝てると。これは負けない戦いだと。

根っこにあるのは新卒で入社した株式会社USEN

僕のキャリアのスタートは株式会社USENです。新卒で入社したUSENで朝から晩までドブ板営業を行っていました。この頃の営業経験がいまの僕の原点です。

余談ですが、サーチフィールドの創業メンバー5人の内2人はUSEN時代の同期です。カネもコネも実績も何もない状態で一緒に戦ってくれた同志です。

※15年前に一緒の会社(USEN)に新卒として入った3人。それから一緒に起業して10年。今は3人とも別々の会社で頑張ってます。エモい!

USEN では月額4,500円〜6,000円(税別)程度の店舗用音楽配信サービスを販売していました。

当時のUSENでは一般的な営業メンバーで月8〜12件、エース級でも月16〜24件くらいの契約獲得でした。そして新卒メンバーは月2〜3件とかもザラにありました。

月に2〜3件の獲得だとすると、単価5,000円だとしても月に10,000円〜15,000円の売上にしかなりません。

エース級の先輩でも新卒の人件費も稼げていない状況です。当時の僕はなぜUSENが儲かっているのか分かりませんでした。

しかしすべての答えがここにあります。

USENのビジネスモデルはストック型ビジネスモデルだったんです。

音楽や動画の配信サービスは、サブスクリプション型モデルを取り入れ、毎月定額を支払うことで聴き放題・見放題になるサービスへと、ビジネスモデルを転換する傾向が高まっています。こうしたビジネスモデルは、ストック型ビジネスと言われています。

ストック型ビジネスとフロー型ビジネスの違いとは?実例とともに分かりやすく解説 より引用

いまでこそサブスクリプション型モデルといえばNetflixを代表に、成功するビジネスの代名詞になっています。

売り切り型のビジネスモデルであるフロー型とは違い、利用者の増加に伴い確実に売上がストックされていくのが最大の特徴であり魅力になります。

収益を上げるまでに時間がかかるという大きなデメリットがありますが、一度購入・契約されると毎月継続的に売上が上がるため、安定的な収益を見込めます。

最近流行りのSaaSビジネスなども基本的にはストック型のビジネスモデルです。ARR(年間経常収益)とかMRR(月次経常収益)とか難しい言葉がでてきますが、考え方は基本一緒です。たぶん。

デジタル配信サービスの戦略について

漫画業界で新しくビジネスを行う場合、下記5つの領域のどれかに関連するサービスを展開することが多いです。

① 漫画家向けサービス(投稿プラットフォームなど)
② ディベロッパー(編集プロダクションや制作スタジオなど)
③ パブリッシャー(出版社)
④ 流通系サービス(取次など)
⑤ 読者向けサービス(電子書籍ストアなど)

一番最後の読者向けサービス(電子書籍ストア)である漫画アプリで失敗した僕は、事業をピボットしてナンバーナインを成功させるために以下の戦略を立てました。

・漫画家向けサービスを作る
・他社の決断などの外的要因に左右されにくいサービスにする
・ストック型ビジネスモデルにする
・初期費用をできる限り抑えられるサービスにする

たったこれだけです。

デジタル配信サービスは ① 漫画家向けサービス(投稿プラットフォーム)です。

商業誌で連載する人も同人誌で活躍する人も、SNS上で活躍する人も、漫画家さんである以上は必ず漫画を制作します。

そこで生まれた漫画が、もし余計な手間なく、費用も一切かからず、預けるだけで日本中の電子書籍ストアに配信することができるとしたら?

それが実現できたら、漫画家さんのパソコンや押入れに眠らせてしまっている過去の作品を、日本中の漫画好きに届けられるのではないか? デジタル配信サービス誕生のきっかけは、そんな小さな思いからでした。

このサービスであれば、 ①「漫画家向けサービス」と ④「流通系サービス」の2つの領域をいっぺんに対応できる画期的なアイデア(サービス)になるんじゃないかという仮説もありました。これは任天堂の伝説的なゲームプロデューサー、宮本茂さんからのインスパイアです。

「アイデアというのは複数の問題をいっぺんに解決することだ」
※任天堂のゲームプロデューサー、宮本茂さんの名言より引用

そして漫画家さんが僕らのサービスを使って作品の配信を続けてくれる限り、作品によって売上は変動しますが、配信する作品数はストックされ続けます。つまりこれは、変則的なストック型ビジネスモデルになるのだと考えました。

どの領域のビジネスを行うか?
その決断をすることが「経営戦略」だと僕は考えています。

デジタル配信サービスの初月売上が26万円だった時、僕はこの初月の動きをあと100回繰り返せば(100ヶ月後には)勝てるだろうと確信しました。ストック型のビジネスモデルは損益分岐点までが長いですが、損益分岐点を超えた瞬間絶対に負けない戦いに変わるからです。

僕は営業が得意なので「攻めの経営」が得意だと思われていますが、資金調達なしの自己資金だけで10年間会社を経営した経験から、実際に得意なのは「守りの経営」なんです。つまり自分の強みを活かせる。あとは成功する可能性を1%でも高くするだけです。

「戦略」の次のフェーズ、「作戦」の出番です。

デジタル配信サービスの作戦について

確実に勝つための戦略が決まった後にやるべきことは、作戦を決めることです。

どうしたら漫画家さんに自分たちのサービスを使って貰うことができるのか?

そのために立てた作戦は以下の通りです。

・漫画家さんにとにかく支持されるサービスにする
・どんな小さい売上でも構わないから配信できるすべてのストアに作品を届ける
・売上が安定するまではとにかく固定費を減らす

これ以上ないくらいわかりやすい作戦ですね(笑)
でもこれを本当に徹底したことで、いまの成功があります。

とにかく漫画家さんにとって便利なサービスにする。そして、どんなストアさんに対しても窓口を広げる。売り場の最大化を目指すことで売上の最大化を目指す。

電子書籍ストアを運営していたからこそ、ストア側の気持ちは痛いほど理解していましたし、そこに活路があると考えました。

問題はひとつだけ。

売上増加のペースが26万円のままでは近い未来に会社のキャッシュが底をつき、倒産するという問題です(笑)。

ストック型ビジネスモデルの最大の弱点は、損益分岐点まで赤字を垂れ流すこと。でもここで僕の大好きな『ジョジョの奇妙な冒険』の名言が頭に浮かびました。

逆に考えるんだ
赤字を出してもいいさ」と考えるんだ

先に書いたとおり、ストック型ビジネスモデルの最大の弱点は損益分岐点まで赤字を垂れ流すことです。赤字を垂れ流す・・・!?

逆にこれが参入障壁になるんじゃないかと考えました。

ありがとう!ジョージ・ジョースターⅠ世。

幸いなことに、当時のナンバーナインはシリーズAの資金調達をしたばかりであり、マンガトリガーにその半分ほどの資金を投下していたとはいえ、1億円以上の現金が残っていたのです。

普通のスタートアップであれば、第三者割当増資であるエクイティファイナンスで調達した資金はサービスの急成長に役立てます。

エクイティファイナンスとは、企業が新株を発行して、事業のために資金を調達することを意味します。「エクイティ」(株式資本、自己資本)を増加させる資金調達方法のため、このような呼び名になっています。エクイティファイナンスで資金を調達することで、貸借対照表の資本が増加します。

エクイティファイナンスとは?資金調達のためのメリット・デメリットを解説 より引用

しかし、僕が取った作戦は「急成長」ではなく「時間稼ぎ」でした。
「攻めの経営」ではなく、「守りの経営」です。

100回やれば確実に勝てると確信していたからこそ、100回やるための体力にお金を使う。成功する可能性を1%でも高くするために、とことん経費を抑え、その分営業メンバーを増やしました。

※デジタル配信サービスの一周年記念イベントでの集合写真。みんな爽やかに笑っていますが、この頃はゴリゴリに赤字でした。

2年間で2億円の大赤字を出しましたが、地道な宣伝活動の結果、いまでは単月でストアの売上が1億円を超えるサービスに成長してくれました。

ナンバーナインの成長はJカーブではなく、NIKEカーブなんです。

※エクイティファイナンスだけでは当然資金が足りなかったので、黒字化するまでに2回ほどデットファイナンスも行っています。赤字を垂れ流し続けている時のデットファイナンスほど怖いものはないですね。

企業が資金調達する方法には、金融機関などから資金を借り入れるデットファイナンスという方法もあります。デットファイナンスはエクイティファイナンスとは異なり、いわゆる借金です。そのため、返済義務と返済期限があり、借入金額に応じて利息も必要になります。エクイティファイナンスで資金を調達すると会社の資本が増加するのに対して、デットファイナンスで資金を調達すると会社の負債が増加するといった違いがあります。

エクイティファイナンスとは?資金調達のためのメリット・デメリットを解説 より引用

そんなこんなで作戦が決まった後、やるべきことはひとつです。

そう、「戦術」のフェーズです。正直「戦術」までくると大きい施策から小さい施策まで本当に色々やっているので、その中でも一番インパクトが大きかった戦術を紹介します。

デジタル配信サービスの戦術について

戦略・作戦が決まったら、次にやることは具体的な戦術を考えることです。

とにかく漫画家さんにとって便利なサービスにする。

そのために必要な戦術とは何か?

社内でも議論を重ねた結果が、デジタル配信サービス「ナンバーナイン」最大の特徴である作家さんへの印税80%戻しです。

※ナンバーナインに入金される金額の最大80%を作家さんに還元しています。

紙の単行本の印税とデジタル配信サービスの印税を比べるのはナンセンスですが、この最大印税80%という謳い文句は漫画家さんに分かりやすく響きました。

※紙の単行本はそもそも出版社から作家さんに原稿料が発生していますし、印刷や流通・書店の取り分なども含まれているため、どうしても印税が低くなってしまうのは仕方ないですし、デジタル配信サービスは原稿料をお支払いしないため、その分多くの印税を作家さんに戻せる形になっています。

問題はひとつだけ。

売上の80%を作家さんに還元していたら、全然利益がでないという問題です(笑)

でも大丈夫。僕らにはジョージ・ジョースターⅠ世がついています。

逆に考えるんだ
赤字を出してもいいさ」と考えるんだ

僕は目の前の利益ではなく、100回やった後(100ヶ月後)の未来を選択しました。なぜならば、100回やれば必ず勝てると確信していたからです。

大切なことは、この決断は未来に賭けたギャンブルではないということです。確実に勝てる戦略を貫き通しただけなんです。時間は必要ですが、絶対に負けない経営戦略だったのです。

単月売上1億円のその先へ

※2022年2月の実際の数字になります。
※上記の金額はストア売上(販売価格の総額)になります。

たった26万円の売上からスタートしたデジタル配信サービス「ナンバーナイン」は、100回やれば勝てる(100ヶ月後には勝てる)という当初の思惑を大幅に前倒しし、サービス開始から3年半(正確にいうと45ヶ月)で単月売上が1億円を超えました。

単月売上1億円という数字が漫画業界的に大きいか小さいかは分かりませんが、単月売上26万円からスタートした僕らにとってはとても誇らしい数字です。やったぜ!!

でも、ここがゴールではありません。

ナンバーナインのミッションは「すべての漫画を、すべての人に。」です。

そのためにナンバーナインは次のステージに進むことを決めました。


すべての漫画を、すべての人に届けるために、ナンバーナインが次に取り組む領域は ②「ディベロッパー(編集プロダクションや制作スタジオなど)」と ③「パブリッシャー(出版社)」です。

①「漫画家向けサービス」と ④「流通系サービス」の2つの領域をいっぺんに対応できるデジタル配信サービスが軌道に乗ったからこそ、次の一手は勿論その間になります。なんなら ②「ディベロッパー(編集プロダクションや制作スタジオなど)」と ③「パブリッシャー(出版社)」の2つの領域をいっぺんに対応できる事業がベストです。

つまりWEBTOONへのフルコミットです。

①「漫画家向けサービス(投稿プラットフォーム)」を活かして、②「ディベロッパー(編集プロダクションや制作スタジオなど)」と ③「パブリッシャー(出版社)」を行い、④「流通系サービス」に繋げる。

これ以上ないくらいわかりやすい戦略ですね。

ナンバーナインは会社のミッションである「すべての漫画を、すべての人に。」を実現するために漫画の総合商社を目指しています。

まだまだやりたいことの20%もできていません。つまりこれからが本当の戦いです。俺たちの戦いはこれからだッ!

僕らと漫画業界のミライを一緒に創っていきませんか?

大変だけど、楽しいよ!

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