2026年4月に株式会社NEXAを立ち上げてから、半年が経ちました。
会社を作り、サービスをローンチして、営業をして、展示会に出て、採用を始めて、お客様への導入支援をする。
文字にしてしまえば数行ですが、振り返ってみると、本当に密度の高い半年だったと思います。
一言で表現するなら、「がむしゃらにもがき続けた半年」でした。
もちろん、事業に対する手応えはあります。
一方で、売上を含め、今の状況に満足しているかと聞かれれば、まったくそんなことはありません。
今回は、NEXAを創業して最初の半年で何があったのか。そして、残り半年をどう走っていくのか。
少し立ち止まって振り返ってみたいと思います。
営業だけをしていればよかった環境から、すべて自分たちでやる環境へ
半年前まで、私はキーエンスで営業をしていました。
当時は、とにかく営業に集中できる環境でした。
電話をして、商談をして、お客様に提案する。
営業として成果を出すことに集中していたという意味では、非常に恵まれた環境だったと思いますし、自分自身も営業のプロフェッショナルになるために多くの時間を使ってきました。
ただ、会社を作ると当然それだけでは済みません。
採用、マーケティング、展示会運営、経理、税務、社会保険、法務、契約書。
これまでほとんど触れたことのなかった仕事が、一気に自分事になりました。
税務や社会保険については税理士や社労士の方々にサポートしていただいていますが、それでも打ち合わせでは聞いたことのない言葉が次々に出てきます。
契約周りも同じでした。
利用規約やプライバシーポリシーを整備し、お客様によっては個別契約にも対応する。先方から契約内容について要望をいただけば、弁護士に確認しながら案を考え、また先方と調整する。
前職では、それぞれの専門部署が担ってくれていた仕事です。
今は商談をした直後に契約書を確認し、その後に採用候補者と話し、さらに展示会の準備をする、といったことも珍しくありません。
単純に仕事量が増えたというより、頭を何度も切り替えながら会社全体を前に進めなければいけない。
ここは、起業して初めて知った難しさでした。
一方で、この半年で一番成長した部分でもあると思っています。
「採用ってこういう仕組みなんだ」
「展示会ってこうやって作られているんだ」
「会社ではこういうお金や契約が動いているんだ」
これまで見えていなかった世界が、少しずつ見えるようになりました。
「展示会に出れば売れる」と思っていた
この半年を振り返って、特に泥臭かったのが展示会です。
前職でも展示会から獲得したリードに営業をすることはありました。
ただ、そのときは当然、誰かが展示会に出展し、来場者と接点を作り、リード情報を集めてくれていました。
起業すると、それも自分たちでやります。
NEXAは私と菊池の2人です。
展示会当日は、2人でブースに立ち、パンフレットを持って来場者に声をかけ続けます。
最初は正直、もう少し簡単に人が集まり、もう少し簡単にアポイントが取れると思っていました。
実際には、そもそもブースの前で立ち止まってもらうこと自体が難しい。
大きな装飾に予算をかけているわけでもなければ、ノベルティやコンパニオンの方がいるわけでもありません。
だから、自分たちで声を出すしかありませんでした。
「キーエンス出身者が開発した営業AIです」
何度も何度も声をかけました。
おそらく周囲のブースと比べても、かなり声を出していたと思います。
華やかに見える展示会ですが、私たちにとってはかなり泥臭い営業活動でした。
最初の展示会では、大きく失敗した
初めて本格的に出展したのは6月でした。
そこでいくつか大きな反省がありました。
まず、展示会の会期中に商談を入れてしまったことです。
私と菊池しかいないため、一人が商談に入れば、その間ブースに立てる人間は一人になります。
その一人がお客様への説明に入れば、今度は新しく声をかける人がいなくなる。
限られた人数で展示会に出る以上、これは大きな機会損失でした。
もう一つが、アポイントの取り方です。
最初の頃は、ブースで話した方に
「また後日お打ち合わせさせてください」
「いいですよ」
というところまで話して、それで十分だと思っていました。
しかし会期が終わって連絡すると、思っていたほどアポイントにつながりませんでした。
考えてみれば当然です。
展示会に来ている方は、一日に何十ものブースを回っています。
私たちと話したこと自体を覚えていないこともあります。
そこで次の展示会からは、その場で日程まで決め切ることにしました。
説明時間もなるべくコンパクトにする。
そして、常に私か菊池のどちらか一人は、ブース前を歩いている方に声をかけられる状態を作る。
少しずつですが、自分たちなりの展示会での「型」が見えてきました。
それでも、6月頃まではほとんど売れていなかった
事業についても、最初から順調だったわけではありません。
6月頃までは、正直なところ、まだほとんど売れていませんでした。
本当にこのサービスは売れるのか。
どうやって商談を増やせばいいのか。
どのようにデモを見せれば価値が伝わるのか。
菊池とも何度も議論しました。
ただ、展示会に継続的に出るようになってから、少しずつ状況が変わってきました。
具体的な案件相談が増え、展示会から1〜2ヶ月後に受注する案件も出始めました。
その頃から初めて、
「これは、いけるかもしれない」
という感覚を持てるようになりました。
また、良い意味で予想と違ったこともあります。
当初想定していたより、高い単価でご契約いただけるケースも出てきました。
サービスそのものに対して価値を感じていただける手応えは、少しずつ強くなっています。
サービスだけ良くても、選ばれるわけではない
一方で、創業半年だからこその壁にもぶつかりました。
それは「会社としての信頼」です。
サービス自体を評価していただいていても、最終的に大手企業と比較されると、
「実績のある会社の方が安心だから」
という理由で選ばれないことがあります。
創業当初は、サービスが良ければ会社の規模はそこまで関係ないのではないか、と考えていました。
でも実際には、最後の意思決定で効いてくる。
これは想像以上でした。
ただ、この問題に近道はありません。
導入いただいた企業様のロゴを掲載する。
実際に利用していただいたお客様の声を出す。
導入事例を一つずつ増やす。
地道ですが、実績を積み重ねていくしかないと思っています。
最近では少しずつ導入事例や評価コメントも公開できるようになりました。
半年後、1年後には、それがさらに大きな信頼につながっていればと思っています。
売って終わりではないからこそ、難しい
もう一つ、事業を始めて難しいと感じているのが、導入後の支援です。
私たちの提供する「ジシュトレAI」は、営業ロープレをAIで行うサービスです。
名刺管理ツールやSFAとは少し性質が違います。
そうしたサービスは、一度業務に組み込まれれば「なくなると仕事が回らない」状態になりやすい。
一方で、営業ロープレは違います。
極端に言えば、やらなくても日々の業務自体は回ってしまいます。
だからこそ、お客様の中に「ロープレをする文化」を根付かせる必要があります。
導入して終わりではありません。
どれだけ使っていただけるか。
使うことで、本当に営業スキルが向上していると感じていただけるか。
ここまで支援して初めて、サービスとしての価値が出ると考えています。
下期もハイタッチな支援は続けながら、管理者が利用状況をマネジメントしやすくする機能や、利用者本人がより成長を感じられる機能も強化していきたいと思っています。
「使う前より、自分の営業の引き出しが増えた」
そう言っていただける状態を増やしていくことが、一つの成果だと考えています。
採用も、想像以上に難しかった
6月から採用活動も始めました。
ただ、現時点ではまだ採用には至っていません。
面談や面接で興味を持ってくださる方はいます。
一方で、NEXAは創業半年、メンバーは私と菊池の2人。
現在は住居兼オフィスで働いています。
「裁量が大きい」
「創業メンバーとして働ける」
という言葉は魅力的にも聞こえます。
でも裏を返せば、決まっていないことが多く、自分たちで決めなければいけないということです。
整った制度も、綺麗なオフィスも、完成した組織もありません。
「ベンチャー志向」という言葉がありますが、100名規模のベンチャー企業と、2人しかいない会社では、まったく環境が違います。
だからこそ今は、NEXAに合う人も少しずつ見えてきました。
営業経験が豊富である必要は、それほどないと思っています。
むしろ求めているのは、元気で、バイタリティがあって、上昇志向がある人です。
営業力は鍛えられます。
何なら私たちは営業ロープレのプロダクトを持っているので、いくらでも練習できます。
それ以上に、何も決まっていない状況を楽しめるか。
自分で仕事を作れるか。
会社が成長する過程そのものを楽しめるか。
将来的に起業したい人にとっても、今のNEXAはかなり面白い環境だと思っています。
会社を作ると、実際に何をしなければいけないのか。
営業だけでなく、採用、マーケティング、契約、組織づくりまで、かなり近い距離で経験できます。
「キラキラしたスタートアップで働きたい」という方には、正直まだ合わないかもしれません。
でも、ゼロから会社を作るとはどういうことなのかを知りたい。
圧倒的な裁量を持って仕事がしたい。
営業のプロフェッショナルになりながら、事業づくりにも関わりたい。
そんな方には、かなり面白い環境だと思っています。
前半は走り方を覚えた。後半はアクセルを踏む
残り半年の課題は明確です。
「人」と「アポ」です。
人を増やせば、当然できることは増えます。
ただし、アポイント自体が少なければ、人だけ増やしても意味がありません。
アポイントを増やし、それを適切な人数で分担しながら事業を伸ばしていく。
その仕組みを作る必要があります。
展示会には引き続き出展します。
ただ、展示会だけに頼るつもりもありません。
共催セミナーやWebマーケティングなど、新しいチャネルにも挑戦し、継続的にお客様との接点が生まれる仕組みを作っていきます。
そして、年度初めに掲げた売上目標にも、もちろん最後までこだわります。
売上だけが会社の価値ではありません。
それでも、人が増えたか、導入企業が増えたか、サービスが評価されたか。そうした要素が最終的に集約される一つの指標が、売上だと思っています。
2027年3月。
人が増えている。
売上目標を達成している。
今ご利用いただいているお客様から、
「導入して良かったです。来年もお願いします」
と言っていただけている。
そして、今の住居兼オフィスを卒業して、もう少し快適なオフィスでみんなで仕事をしている。
そんな状態になっていれば、この1年は良い1年だったと言えると思います。
創業からの前半半年は、フォームすらわからない状態で、とにかくがむしゃらに走り続けた半年でした。
まだ、自分たちの勝ち筋が完全に確立したとは思っていません。
それでも、半年前と比べれば、だいぶ走り方はわかってきました。
だからこそ、ここからの半年はさらにスピードを上げます。
もっと試して、もっと失敗して、もっと大胆に意思決定する。
アクセル全開で、また突っ走っていきたいと思います。