NewsPicks CTOの杉浦です。NewsPicks Advent Calendar 2018 の4日目の記事です。
NewsPicksは、2018年7月にアメリカの経済メディアQuartzを買収し本格的にグローバル展開を進めています。この記事では、NewsPicksを世界に広めるため考えている3つのことをシェアしたいと思います。
0. 原体験 - なぜNewsPicksを世界に広めたいのか
1. 世界で勝つ自分を作る
2. 世界で勝つチームを作る
3. 世界で勝つプロダクトを作る
0. 原体験 - なぜNewsPicksを世界に広めたいのか
あくまで私、個人の思いですが、経済情報の格差によって経済的損失を受ける人を少なくしたいというのがその理由です。
私はもともと(2005年〜2013年) 金融取引システム、主に為替証拠金取引システム(FX)のシステム開発運用を行っていました。その際に起こった忘れられないできごとが、リーマンショック(2008)、ギリシャショック(2009)といった金融危機です。金融危機が起こると為替レートは急変します。為替レートの急変によって多くの個人投資家がロスカット(保有ポジションが強制的に売買され損失が確定すること)され、数千万円、場合によっては億単位の負債を作る状況を目の当たりにしました。
為替取引は通貨の両替なので短期的にはゼロサムゲーム(勝者と同じだけ敗者がいる)です。金融危機の時、勝者と敗者の両側を見て知った事実は、情報を多く持っている機関投資家が勝ち、情報をあまり持たない個人投資家が負けているということです。そこには歴然とした情報格差があり、正しい情報を持たざる者は経済的に取り返しのつかないダメージを受けていました。これを見て、この世界は何かがおかしい。経済情報を知らないことは人生に大きく影響を及ぼす、なのに知らない人、リーチできない人が多すぎる。経済情報はもっとフェアに正しく広くシェアされるべきではないか。と考えたのが、NewsPicksにJoinした大きなきっかけになっています。
NewsPicksのミッションは「経済情報で世界を変える」です。そしてNewsPicksの特長は、経済ニュースと併せて専門家のコメントを見ることができ、実務家による本質的な情報を得られることです。このNewsPicksの仕組みが広がれば、実務家/専門家しか知りえない情報をより多くの人に届けることができるのではないか。
私はNewsPicksを世界に広めることで、経済情報の格差によって経済的損失を受ける人を限りなく少なくしたいと思っています。
1. 世界で勝つ自分を作る
残念なことに私は英語が得意ではありませんでした。
英語がしゃべれないのに、世界で勝ちたいといっても全く説得力ありません (笑
世界で勝つためにまずは自分の英語力をアップデートする必要がありました。 会社としても、ちょうどタイミングよくPROGRIT という英語コンサルティングサービスを受けられる取り組みを開始したこともあり、早速このPROGRIT に申し込みをしました。
「英語学習コンサルティング「PROGRIT(プログリット)」が株式会社ユーザベースにサービス提供開始。グローバル展開を支援」
PROGRITは簡単にいえばダイエットで有名なライザップの英語版のようなサービスです。英会話スクールではなく、英語学習の仕方をコンサルティングするのが特徴です。私のような非体育会系の根性無し人間にはとても適したサービスで、
・合理的、論理的に必要な英語学習方法を提案してもらえる
・ほぼ強制的に英語学習の時間を確保される
・日々、英語学習時間を報告する必要がある
といった特色があります。
PROGRITでは1日3時間を英語学習に充てられるように、コンサルタントの方と日々の生活を見直すことになります。私の生活も見直され、
・通勤電車の中で少年ジャンプを読む時間は、英単語を覚える時間に変わり
・帰宅後にスプラトゥーンで遊ぶ時間は、英作文をする時間に変わり
・暇な時間に見るYoutubeは、ヒカキンからバイリンガールに変わりました
今は日常に常に英語がある状態になっています。コンサルタントの方の献身的なアドバイスのおかげで、9月に開始して以降、1日も欠かさず英語の勉強を継続することができ、自分でも(まだまだ努力を要するものの)英語力の向上を実感できるようになりました。
また、英語学習はプログラミングにも良い影響を及ぼしました。
・英語の技術ドキュメントを読むことが苦ではなくなった。
・プログラミングする際にクラス名、メソッド名、変数名を考える時間が短くなり、かつ分かりやすい命名ができるようになった
英語を勉強する習慣は今後も維持し、世界で勝てる英語力を身に着けたいと考えています。
2. 世界で勝つチームを作る
世界で勝つプロダクトチームを作るにはどうすればよいか。
一言でいえば我々が大切にしている価値観である「7つのルール 」を突き詰めていくことだと考えています。
例えば、NewsPicksはプロジェクトごとにタスクフォースで小さいサイズ(5-10人)の開発チームを作っています。これは7つのルールのうち「自由主義」に基づいた考え方です。
小さいチームに分割し、自由(裁量と責任)をチームに持たせることが目的です。小さいチームには次のようなメリットがあると感じています。
・意思決定を速くする
・チームメンバーのアイディアを引き出しやすくする
・チームメンバー全員で1つの目標に向かって全力疾走できる
もちろん「小さいチーム」にはメリットだけでなくデメリットも多くあります。実際に感じているデメリットは、
・チーム間の情報共有が難しい。ピラミッド型であれば上意下達に伝えられる情報を伝えられない
・だんだんチーム間の交流がなくなって、チームの掛け合わせ(コラボレーション)がなくなる
というものです。このデメリットを克服するために、月に1回に全員で交流する月次ミーティングを行ってチームをまたいだコラボレーションや情報共有が行われるようにしたり、4半期に1回フィードバック・目標設定を行いメンバーの目線がぶれないような工夫をしています。
また、新たなエンジニアを採用する際は何かしらの「異能」を持っていることを重視しています。
これは7つのルールの「異能は才能」に基づいています。
異能の集まりには、何が飛び出すかわからないパワーがあると信じています。私自身、得意な分野と苦手な分野がはっきりしているタイプです。
・得意なのは、プログラミング、論理的思考、物事を俯瞰して見ること、ルーチンワーク
・苦手なのは、人とのコミュニケーション、空気を読むこと、営業、突然発生する仕事への対応
普通の人が普通にわかること(主に空気)がわからないことで、今までの人生とても苦労した気がします。一方、他の人にわからないことを理解できることがあり、そのおかげでうまくいったことも多くあります。
NewsPicksで働いていて強く感じることは、1人では何も成果を上げることができないということです。異能が集まり、苦手分野をお互いに補い、得意分野を発揮することでこそ、世界で勝てるチームを作れると信じています。
3. 世界で勝つプロダクトを作る
「Think big, Start small, Scale fast」
大きく考え、小さく打ち出し、ここだと思えば一気に拡大する。以前こちらの記事でも書きましたが、この3つは世界で戦う上でも重要だと考えています。
実際に海外展開を始めて、
・USAと日本でエンジニアのレベルは変わらない
・日本で成功したビジネスモデルは海外でも通用する
というのが肌感覚としてわかってきました。であれば、あとはこの3つをいかに速く確実に実行できるかが勝負の分かれ目になると考えています。
まず「Think big」大きく考えることが強いプロダクトを作る第1歩です。
世の中を良くしたいという志が、強いプロダクトを作ります。志が無ければ一緒に働くメンバーもついてきてくれません。最も重視していることが「自分の作るプロダクトが世直しになっているか」という点です。世直しさえ考えていれば、その後の成長はうまくいく。海外で Fake News の問題が取り上げられる度に、これは我々にもチャンスがある! 世界中が感じている課題を世直しできればエンジニア冥利に尽きると考えています。
次は「Start small」です。
「Think big」で大きな構想はできました。しかし、大きな構想はその大きさゆえに全て実現しようとすると何年もかかってしまいます。立ち上げ期は小さく始めないといけない。
ただ、Start small で陥りがちな罠は、本当に小さく始めることです。
小さく始めるのではなく、尖らせて始める。単純に小さく始めると、ただの小さいサービスになってしまいます。ただの小さいサービスをスタートしても世の中は何も変わりません。これには、気をつけないといけません。
「If you change one person's life, you change the world. (1人の生活を変えられたら、世界は変わる)」というものがあります。プロダクト作りにおいては、とにかく1人の生活を変えることを意識しています。1人でも熱狂してくれる人がいればそれは強いプロダクトになっているはずです。
最後は「Scale Fast」です。一気に拡大する。
NewsPicksは海外展開によってまさに「Scale Fast」している最中です。
大企業なら110%成長でも大きな成長かもしれません。しかし、スタートアップの110%成長は死を意味します。スタートアップには、スタートアップが目指すべき成長速度があります。僕らが目標にするのは今の延長線ではありません。「Think big」した構想、つまり「経済情報で世界を変える」というミッションをどうすれば実現できるかゴールから逆算して実施していくことが大切です。現状にとらわれない戦略を行う、これが「Scale fast」するときに重要なことだと思っています。
経済情報で世界を変える志を持ち、日本でスタートしたサービスを、海外に展開する。NewsPicksのユーザのみなさまのおかげでこのようなチャレンジが行えていることを感謝しています。
引き続き、正しい情報を届けられるよう努力して参りますので応援いただけると幸いです。
最後に
NewsPicksは5年後、世界で最も影響力のある経済メディアになるという目標を実現するための仲間を募集しています。NewsPicksの事業領域、社風、カルチャーなどに興味をお持ちいただいた方はぜひご連絡ください。
AdventCalendarの明日(12/5)の担当はNewsPicks アカデミアプロダクトオーナーの大日田さんです。プロダクトマネジメントの話を書いてくれる予定です。お楽しみに!