名古屋発の不動産業界の風雲児、不動産SHOPナカジツの実態に迫る連続インタビュー。第一弾の社長インタビュー、第二弾の社長室長インタビューに次ぐ第三弾は、リフォーム・リノベーション事業の本部長を務める杉江純人さんにお話を伺いました。
インタビューを通して感じた杉江さんの印象は「とにかくよく話す、底抜けに明るい方」といった感じで非常に魅力的でした。そんな杉江さんの生い立ちから現在まで、伺ってきましたので是非ご覧ください。
岡崎生まれ、岡崎育ち。祖父の時代から続く建築事務所。
ーー本日はよろしくお願いします!まずは簡単に杉江さんの自己紹介からお願いします。
杉江:
ありがとうございます。不動産SHOPナカジツには2012年7月に中途で入社をしまして、今はリフォーム・リノベーション事業の本部長を務めています。兼任で宴会事業部の部長、ナカジツの部活動活性化プロジェクトの責任者や、昨年流行った社員全員で踊る「恋ダンス」の動画作成プロジェクトのリーダーもやりました。建築系3割、お祭り系7割が僕の仕事です(笑)
第1弾の社長インタビューに出てきた『見た目はラオウ、中身はルフィ』が羨ましくて、西村さんの先輩である引地さんに、僕にもそういったものはないか聞いたんですよ。
すると、『見た目はウソップ、中身もウソップ』って言われました。ひどくないですか?(笑)しかし、反論できず妙にしっくりきた自分がいました…。そんな僕の生い立ちは岡崎生まれ、岡崎育ちの会社ですが、僕も同じく岡崎生まれ、岡崎育ちなんです。父は1級建築士で祖父の代から”杉江建築設計事務所”という一級建築事務所を営んでおり、元々建築には非常に近い環境で生活をしておりました。父親は2代目として後を継いでいて、僕も3代目として「やれ」と言われていました。
教師だった母の影響もあり、最低限の勉強をし、高校は地元の公立高校に進みましたが、この時点でも別に実家を継ごうとか、建築業界に行こうというのはまったく定まっておりませんでした。そんな状態で「なんとなく」選んだのが、その時の自分の学力で落ちることはないだろう、という理由で地元の私立大学の土木科に進学しました。
「出世させてあげるかわりに東北に行け」と言われて
ーー東証一部の上場企業で超安定企業だと思うのですが、何がきっかけで転職を考え始めたんですか?
杉江:
ちょうど入社6年目を迎え、現場監督としての仕事も板についてきた頃、「東北で現場をやってみないか?その代わり出世できるぞ」と言われたんです。いわゆる転勤辞令ですね。
ところが、ちょうどその頃は自分も結婚をして、第一子が生まれたばかりであることに加え、母親が病気になって入院してしまい、長男としてサポートしないといけない状況でした。
そういう状況では、岡崎を離れて県外で働くというのは物理的に難しいですし、ましてや東北となるとどうしようもありません。大手企業において、全国転勤というのは決して珍しくはないし当たり前だとは思ってはいますが、当時の僕にとっては難しい選択肢でした。これが外部環境的な転職理由です。
もうひとつの退職理由はこちらの方が本質的には大きいのですが、前職の職場環境の価値観と、僕自身の価値観の間にズレがあった、ということでした。大手企業だとどこもそうかもしれませんが、やはり年功序列で若手のうちはなかなか大きな仕事を任せてもらえず、社内政治も多く、上に行けば行くほどしがらみばかりが増えていく。派閥なんかもありました。
そういう社内を5年以上見てきて、「自分が50歳になった時、自分もこういうことをやっているんだろうか」と思うとそこに全然ワクワクできなくて。なので、前職では「仕事できるなぁ」という先輩はたくさんいましたが、「こうなりたい!」と思えるような憧れの人、ロールモデルのような人はいませんでしたね。
ーーそもそも、なんで新卒ではその会社に就職されたのですか?
杉江:
お恥ずかしい話ですが、これも「なんとなく」です。先程お話した通り、建築・不動産業界に就職するということだけは決めていたのですが、その中でどの会社が自分にあっているか?までは全然考えきれておらず、会社概要を見て安定していそうな会社にしようと思い、東証一部上場企業の前職に入社を決めました。
「上場企業」というと、周りも喜んでくれるし誰も反対しないんですよね。ただ、今になって思えば、この選択が間違っていたと思っています。
「上場企業」という、「会社概要」に書かれているような会社のスペックで決めるのではなく、実際に社員の方々と会い、自分の直感に従って決める。東証一部の上場企業から、名も知れぬベンチャー企業への転職だったので、妻の両親からはだいぶ反対はされました。妻の両親を説得するために、ナカジツに対し内定承諾をした後に、全国規模でやっている有名ハウスメーカー2社と工務店1社の内定を取り付け、妻の両親に「僕は自分の意思でナカジツに行くんだ!!」とプレゼンをしにいきましたね(笑)やっと今では義父からも転職して良かったな、と言ってもらえるようになりました。
同じ失敗を繰り返したくないので、次に転職する会社は「会社概要のスペック」ではなく、感覚的なものを大事にして決めよう、と思いました。明確な根拠はないのですが、今までの人生で自分が感覚的に「いいな」と思ったものは当たってきたという自負があったので、今回は「感覚」で選ぼうと決めました。
ーー「感覚」で決める、というと具体的には?
杉江:
「人」ですね。この人と一緒に働きたい!この人のためなら働ける!と思える人がいらっしゃるかどうか。なので、転職活動の際は「何回でも面接したい、とにかく色んな人と話したいです」とお願いして、とにかくなるべくたくさんの社員の方とお会いさせていただくようお願いしていました。
そんな中、当時転職活動をサポートしてくれていたリクルートエージェントの方に「君みたいにベラベラしゃべる子に向いてる仕事があるよ!!」と紹介されたのがナカジツでした(笑)自分と同じく岡崎出身の会社ですし、何より社長含めみんなが楽しそう。直感的に「ここだ!」と思いました。
一次面接から鳥居社長が出てきたのですが、面接の間、僕が一生懸命に話しているのにずっとニヤニヤしてたんですよ(笑)。なんか変な人、怪しい人だなと思っていたのですが、それが途中から興味に変わって。
そしたら、「お前と一緒に飯食いたいと思ったんで合格にするわ。二次試験はお前の部署の責任者と一日同行してくれ」って言われて。今で言うところのインターンシップ、仕事体験みたいなイメージですかね。
一日現場の社員の働き方に密着してもらって、うちで働くかどうかを決めてくれ、ということだったのですが、後日実際に一日朝から晩まで同行させてもらって、最後面談に出てきたのが今僕の上司の取締役をやっている、僕と同じくゼネコン出身の山口という人なのですが、とにかく圧倒されたんですよね。「この人には勝てない」と。前職では見たこともないようなオーラがあって、純粋にリスペクトしましたし、この人達と一緒に働きたい!と思い、入社を決めました。
「会社概要」に書かれているような会社のスペックで決めるのではなく、実際に社員の方々と会い、自分の直感に従って決める。東証一部の上場企業から、名も知れぬベンチャー企業への転職だったので、妻からはだいぶ反対はされましたが(笑)
ナカジツの社員のスピード感に驚く。内容聞かずにまずは「やります」
ーーナカジツに転職してからは、同じように現場監督の仕事を?
杉江:
いえ、ナカジツではどんな職種にも必ず「営業研修」を行うのです。実際にエンドユーザーであるお客様と接客して、契約を取るところまでがゴールなのですが、「1ヶ月で契約とってこい!」って言われて。
もちろん、営業の経験なんて全然ないので、当時はものすごく嫌でした。チラシのポスティングとかも「これ意味あるのか?」と思いながらやっていましたし。
でも、元が楽観的なので「じゃあ1ヶ月で契約取ってきます」というノリで宣言したところもあります。性格診断でも、ナカジツの中でも全社トップクラスに楽観的なんですよ(笑)
研修期間終了後は、現在も担当しているリフォーム事業のショップの方に配属されたのですが、上司の山口から「こんな案件あるんだけど…」と言われたら内容もロクに聞かずにとにかくまずは「やります」って手を上げていました。
「やります」って言った後に、後で内容を聞いてギョッとすることももちろんたくさんありました。でも、当時の僕はとにかく一刻も早くこの人達に追いつきたい!という思いだったので、どんな仕事でも絶対断らずに山口に「やります!」って言ってましたね。
ナカジツはとにかく若い会社で、周りは自分よりも年下の社員ばっかりだったのですが、それでも経験や実力は彼らのほうが上で。しかもナカジツの社員はとにかくみんな行動が早く、考えるよりも先に行動する人ばかりだったので、いちいちやるかどうかを考えてから行動していたら一生追いつけない!という危機感から、四の五の言わずに全部やる!という発想でしたね。
「若いうちから活躍できる会社」は単なる謳い文句じゃない
ーー現在はどんな仕事を担当されているんですか?
杉江:
僕らリフォーム・リノベーション事業の場合は、住宅販売をしておしまい、ではなくリフォームにまつわる全てがミッションです。営業、提案、施工など全部自分たちでやっていますね。お客様と出会ってから、リフォーム・リノベーション後の物件をお渡しするその日まで。
前職の仕事と違っていいなと思うのは、前職は効率性重視で分業されているので、自分の仕事が最終的にどんなお客様をどんな風に喜ばせているのかをなかなか感じることが難しいのですが、ナカジツの場合は分業ではなくすべての工程を自分が担当するので、やりがいもめちゃくちゃ大きいんです。その分、やることも多いので大変ですけど(笑)
大手企業だと、新卒1年目とか若手のうちは先輩の手伝いや雑用からスタートして、歳を重ねて安定してきたタイミングでようやく少しずつ裁量が与えられる、という働き方がほとんどですが、ナカジツでは新卒入社1年目からガンガン客先に立たせてもらえるし、どんどん打席に立たせてもらえる。
その結果、若手だろうとベテランだろうと、実力さえあれば年次に関係なく評価がされますし、入社2年目の若手社員が営業でMVPを取る、みたいなこともよくあります。その度に先輩社員の心が引き締まって「俺もあいつに負けずに頑張ろう」っていう気持ちになるんですよね。すごい良い緊張感だと思います。
ーーそれだけ実力主義だと、ノルマとかも大変なんじゃないですか?
杉江:
あ、実はナカジツは「目標」はありますが「ノルマ」はないんですよ。ノルマと目標の違いは、ノルマは目標数値に達していなかったら「なんで達成しないの?」と問われてしまう”やらなければならないモノ”なのですが、”目標”はノルマとは異なり”目指すもの”なんです。
なので、設定した目標数値に対して未達だったときに「なんで達成しないの?」ではなく「なんでできなかったのかを考えよう」っていうスタンスになって、自分もチームも見直して襟を正してやることになるんです。自然と目標達成している人に対して「どうやってやったんですか?」って話しかけるようになるんですよ。
その他、リフォーム・リノベーション事業で独自に取り組んでいることもあります。それが最近導入した「建築ディレクター」という制度です。
これまで、各店舗では店長の下はみんな同じ”スタッフ”だったんですが、それに”建築プロデューサー”や”建築ディレクター”という名前を付けたり。今までは店長3人だけで、一人の店長の下に9人以上のスタッフがつく、という形だったところから、”プロデューサー”や”ディレクター”を店長の下に配置することで、残りの27人を埋もれないようにしたり、「ディレクターからプロデューサーへのステップアップを目指して次はこんなことに挑戦してみよう」と、段階的に明確な目標を設定することが出来るようになりました。
ーー今、世の中では「働き方改革」がホットな話題ですが、このあたりについてはいかがですか?
杉江:
長時間労働の防止に36協定の遵守。これは経営者としては守るのが当たり前なんですが、気持ちとしては「これから建築でやっていくぞ!」っていう志高い人が集まったにも関わらず、「もっとたくさん働きたいのに働けない」と、ネガティブに捉えている人もきっと多いと思って。
休みなく働いたらその分自分の為にもなるので、そういう意味では残業時間の上限の月45時間に近づいてきたので帰りましょうと帰らされている人はかわいそうだなとも思うんです。僕が若手の頃は無制限に働きたいだけ働く、ということが許されていたので。
だけど、だからといって長時間労働が許されるか、というと僕はNGだと思っています。隠れてやるのは絶対にダメなんで、それに代わるような短い時間で成長を促せるようなことをやっていかないと多分この先持たないんだろうなって思っています。
夢は「32歳からのジャニーズ?」
ーー最後に、杉江さんご自身の今後の希望やビジョンなどあれば教えてください!
杉江:
僕の嫁さんが無類のV6好きなんで、いつか肩を並べたいんですよね・・・
というのはさすがに冗談なのですが、正直に言うと先のビジョンのことはあまり考えないようにしてます。そもそも3年前や5年前の自分が、今のこの環境を想像できていたかというと、全くできていませんでした。現在の自分で推し量れる未来なんかより、このナカジツで実現する未来のほうが100倍楽しそうなので、その為には自分がやれること全部やってやる!!って言った方が正しいですかね。
だから「将来これをやるぞ!」みたいな壮大なビジョンはないのですが、「自分が今想像している環境にいないこと」をしていたい、という軸はあります。今の自分では到底想像もつかないようなところに、1年後、3年後、5年後の自分がいられているかどうか。
でも僕は本当にナカジツという会社が大好きです。異常なスピードで成長し続け、売り上げは100億を超え(※2016年度は125億円)、今は2030年に売上1000億円を目指してます。
同業者からは無謀と言われてますが、僕はこのメンバーなら本気でできると思ってるんです。今までは「なんとなく」進む道を選択してきた自分が、初めて自分がこうしたい、と思えて行動で来ているので、とても毎日が充実しています。
社長が掲げた目標をみんなで楽しく全力で追いかけたい。これが必ず成し遂げたいことです。例えば今、「東北へ行ってくれ」って言われたら喜んでいきますよ。それくらい、ナカジツで働けるのならば、その内容はなんでも良いと思っています。まぁ東北に行く前に、奥様と家族会議は開かれると思いますが(笑)
「何をやるか」よりも「誰とやるか」
よく聞く言葉ですよね。でも僕は本当にこの言葉の通りだと思うんです。自分は「一緒に飯を食いたい」という理由で社長に採用して頂きましたし、僕も採用面接などで見るポイントは「その方と気持ちよく働けるかどうか」だけです。堅苦しい志望動機とか自己紹介はあんまり興味ないですね。そんなことよりの方が「偽りのない、その方の人間性」が大事。例えば、どんな時嬉しくて、悲しいかとか、そんなことをよく知りたいですね。夢なんかなくてもコンプレックスがあっても全然いいと思います。僕もそうでしたし。仕事ってそういう人間とやったほうが楽しいじゃないですか(笑)
そんな採用基準で採用されてるから当たり前なのですが、ナカジツの仲間は本当に前向きで、一緒に働いていて気持ちの良い人間ばかりです。そんな仲間とどこまで「予想不可能」な仕事ができるのか、僕も今から楽しみで仕方がありません。