元「晋遊舎」編集長 浅沼は、面白く、かつ役に立つコンテンツを作り続けてきた。その浅沼に「コンテンツ作りのノウハウ」や、人気雑誌編集長という輝かしいキャリアから「マイベストに転職した理由」をインタビューしました。
プロフィール
1990年生まれ。 2012年に晋遊舎に入社。2019年にテストするモノ批評誌『MONOQLO』編集長、2020年に『家電批評』編集長に就任。 「本当に役に立つモノ、良いモノを知りたい」をモットーに、旅行サービスやガジェットからマネー情報、部屋づくりアイテムまでオールジャンルで編集・テストを行ってきた。過去にライザップ覆面調査や1軒家貸し切りWi-Fiルーターテストなども企画。 2021年5月より株式会社マイベストに入社し、現在に至る。
コンテンツ作りに必要なのは、ミクロとマクロの視点を持つこと。
——編集者としてのキャリアをお伺いさせてください。
編集者として行ってきたのは、とにかく「役立つ、そして面白いことを検証する」ということです。新卒で「晋遊舎」という出版社に入社し、すぐに「MONOQLO」という”モノを比較する雑誌”に配属されました。その中で、ひたすらさまざまなモノを比較してきました。
完全覆面取材でRIZAPに飛び込み本気でダイエットをしてみたり、KALDIの食品を4日間で400食食べてみたり、航空会社の比較をしてみたり、これまでに比較してきたモノを数え出したらキリがないほど。そもそも僕が出版社に入った当初、消費者目線で商品の比較をする雑誌は、「MONOQLO」以外には長いこと存在していませんでした。それはすなわち、多くの商品の「比較検証の方法」が存在していなかったということです。
実際に完全覆面取材をした際の当時の誌面
そのうえ、雑誌を売るためにはエンタメ性も必要だったので、とにかく体当たりで商品を購入し、「どうすれば面白いコンテンツを作れるのか」と「どうやって比較検証すればいいのか」という観点で、検証方法を模索し続けていました。
——コンテンツ制作をする中で、大切にしていたことは何ですか?
「ミクロとマクロの視点を持つこと」を大切にしています。ミクロの観点というのは、徹底的に消費者(読み手)のことを考えるということ。消費者はどのような観点で商品を使って、何を商品に求めているのか。そういった消費者の気持ちを常に考え続けることが重要です。
例えば見出しをとって考えてみても、世の中に「万人に受ける面白い見出し」なんてものは存在しません。万人の最大公約数の目に引っかかる見出しこそが「面白い見出し」と評されます。そのためにはとにかくコンテンツを届けたいターゲットを明確にし、ひたすらターゲットのことを考え抜くことが求められます。その最大公約数にターゲットを絞ることで、初めて面白く役に立つコンテンツを作ることができます。
対になるのがマクロの視点で、これは社会や経済のトレンドをキャッチし、時代性を汲むことを指します。「今何が流行っていて、人々はこれからどんなことを求めるようになるのか」を知るということです。人がコンテンツを「面白い」「役に立つ」と感じるのは、自分が意識していた外側の情報を得られる瞬間です。
だからこそ、テレビやニュースサイト、店頭などをひたすら追い続け、時代に取り残されないようにしなければなりません。時代性を把握し、次に来るものを的確に捉えることが求められます。
——編集者としてのキャリアの1番の学びはなんでしたか?
1番は入社当初の編集長から学んだ「消費者は何を考えているのか」を考えるノウハウです。ノウハウを獲得できたのは自分に課したルールがあったからだと考えています。それは「毎月1人先輩を決め、真似をし続ける」というものです。
当然ですが、先輩は僕よりも秀でたものをたくさん持っています。そんな人たちがしていることを毎月1つでも習得していけば、とてつもないスピードで成長できると考えていました。
そんなことを実践し続けた結果、29歳で「MONOQLO」の編集長になることができました。ファーストキャリアとして成長の機会を提供してくれた晋遊舎には心から感謝しています。
編集長として雑誌を作ってきた僕が感じた、マイベストの凄さ。
——編集長という輝かしいキャリアから、転職に至った背景をお伺いさせてください。
編集者としてさまざまなコンテンツを生み出し、編集長として「MONOQLO」や「家電批評」をポジティブにすることもでき、「雑誌という紙媒体に一区切りつけたい」という自分がいました。
有難いことに、転職活動を始めると複数の会社からお声がけをいただき、その中の1社がマイベスト。これが最初の出会いですね。
ただ正直に言うと、複数社の中でマイベストに転職する選択肢だけはなかったんですよ(笑)。これまでに晋遊舎でやってきたことと、同じことを事業として展開しているように思っていたので。そうは言うものの、熱烈なオファーをいただいていたので、話だけならと思い、代表の吉川さんに面談していただきました。
吉川さんにお話しいただいたマイベストが描くビジョンや、検証する人を最優先に考えた設備を見て、素直に「すごい」と感じてしまいまして(笑)。
後日、吉川さんがマネージャー陣と話す機会を設けてくれて。まだ外部の人間である僕に、今後目指す方向や課題を赤裸々に打ち明けてました。
「今の自分なら、これまでの経験をマイベストで活かせるかもしれない」と感じました。
そんなことがあり、マイベストに気持ちが傾きつつあった中、吉川さんから直接気持ちのこもったオファーメッセージをいただきまして。マイベストへの転職を決意しました。
——マイベストへ入社してみて、感じたことはありますか?
入社して日は浅いのですが、想像の何倍以上も”面白い”と感じています。晋遊舎では、編集者 / 編集長として、コンテンツを制作する全ての工程に携わっていました。しかしマイベストでは、ひたすら「役立つ・面白いコンテンツを作る」という部分にリソースを割くことができるんです。目の前にあるコンテンツを、どうすればブラッシュアップできるのかだけを考え続けられるのは、本当に面白いですね。
また、これまでに僕がやってきたものとは、一味違ったコンテンツ作りも学ぶことができています。僕が晋遊舎で取り組んできたのは、消費者が何を求めているのかをひたすら考え抜く、いわば「文系脳」的な発想が全てでした。しかし、ここではデータに基づいて「消費者が求めていること」を読み解こうとする「理系脳」も求められます。どちらが正解だということはないのですが、全く新しい発想に触れることができるのも、マイベストで働いて面白いと感じる部分です。
他にも、「コンテンツ作りのサイクルの早さ」も面白いです。そして、雑誌だと1位を紹介するにとどまっていたところを、マイベストではその人に合わせた1位をマッチングさせるサービスを目指している点も画期的だと感じています。思っていた以上に面白い環境に身を置くことができたと感じる日々です。
僕にできるのは、考え方とノウハウを伝え続けること。それがマイベストの成長に繋がる。
——これまで「雑誌」を生み出してきた中で、mybestというサービスはどのように映っていますか?
このサイクルでコンテンツ制作に力を入れていけば、間違いなくNo.1のサービスになるはずです。No.1になることが目的ではないですが。
サービスが拡大すれば、消費者のためになる役立つ・面白いコンテンツを作ることができるようになるでしょう。
世の中には「よりよい選択体験をしたい」という想いが間違いなく存在しています。ジャンルが多様化していく現代において、ユーザーからの「mybestから選んで大正解だったよね」を積み重ねていけば、伸びるサービスだと断言できます。
——最後に、今後の構想を教えてください
僕がマイベストでやりたいことでもあり、同時にミッションであると感じているのが、「コンテンツを作るための考え方やノウハウを会社に伝え、より面白い発想が生まれる環境を作ること」です。前述したように、ユーザーについて深く考えることも、新しい面白いコンテンツを考えることも、全ては「ノウハウ」や「引き出しの多さ」にかかっています。
これまでの経験から自分が伝えられることをしっかりと伝え、その後自分がどんなことができるのかを見出していきたいです。そのためにも、まずはmybestというサービスをスケールさせるために、コンテンツ作りに必要なノウハウを投下していきたいと思います。