「ニッチ商材の認知拡大から相談件数が激増」。ヘルメット治療が多くの方に求められるようになったワケ | 株式会社THE MOLTS
「医療✕ものづくり」を強みに、赤ちゃん用の矯正ヘルメットや育児用アプリケーションの開発、運営を手掛ける株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー。アメリカで生まれ、赤ちゃんの頭のゆがみをヘルメットで矯正する「ヘルメット治療...
https://moltsinc.co.jp/media/project-interview/32787/
私はふだんTHE MOTSのコンサルタントとして、主に広告をタッチポイントとするコミュニケーション改善を通じて、クライアントの事業成長を支援しています。
広告運用に携わるようになって丸10年。なかには公開できない事例もありますが、ビジネスに大きく貢献できた実績が着実に増えてきました。
実績の一部:
これまで、日々の業務のなかで実践経験を積むのはもちろんのこと、のべ500冊以上の本を読み、マーケティング理論も必死にインプットしてきました。
そんな私がもっとも印象深く「自分としては一歩ブレイクスルーできたな」と感じれたのは、「広告をハックしよう」という考え方から、「広告でコミュニケーションをとろう」という発想へ転換できたときです。
「ユーザーにとって最高の結果とは?」
SNS中心のプロモーションなのに、リスティング広告が大当たり
ユーザーを自分に憑依させることで見えてくるもの
コミュニケーション設計のレベルを上げるために
広告は “魔法” ではないから
発想が転換できたのは、意外にも “自分でSEO記事を書いたこと” がきっかけでした。
これは数年前、自社のマーケティング活動の一環として、広告運用に関わるSEO記事を書くことになったときの話です。当時SEOライティングの初心者であった私は、社内のプロによる指導のもと記事作成に臨みました。
弊社では本文を執筆する前、情報を整理して記事の方向性を固めるための「記事骨格シート」にて、次のような項目を洗い出します。
↓
ユーザーのニーズを深掘りし、理想的な状態(最高の結果)を言語化。そこへ導くために、上位記事に書かれていることはあえて一切参考にせず、必要な情報をゼロから適切に配置していく。
……コンテンツSEOにおいて当たり前のように重要なこの考え方は、広告運用においてユーザーをコンバージョンへと導くときにも当てはまる。そう気づいたとき、私はハッとしました。
いままで「ユーザー」よりも、「広告媒体のアルゴリズム」や「データ」のほうに向き合ってしまっていた、と。
広告運用にもユーザー視点を意識的に取り入れるようになってからは、ユーザーを自分に憑依させながら「どのようなコミュニケーションだとコンバージョンしたくなるのか」を徹底して考えられるようになりました。
現在は、広告で成果を出すためには配信設定よりも「コミュニケーション設計がすべて」だと考えています。
コミュニケーション設計に重きをおくとどのようにアクションが変わるのか、とある広告運用事例をもとに紹介します。
クライアントから弊社への相談内容は次のとおりでした。
ターゲットが若者であること、インフルエンサーキャンペーンが確定していたことから、クライアントの頭のなかはSNS施策でいっぱいでした。しかしここで私は、クライアントから言われたとおり「SNS広告を運用する」のではなく、まずは「ターゲットユーザーを探る」ことからはじめました。
……というふうに、ユーザーを自分に憑依させながら、どう動いていくのかを考えていきます。
実際に私はこのプロジェクトにおいて、SNS広告だけではなくリスティング広告も提案しました。クライアントには「成果が出なかったらすぐに止めるのでチャンスをください」と申し出て、無事了承を得て、いざ配信。
結果、リスティング広告は大当たりでした。
コンバージョン率は4.08%、とくに指名のキャンペーンは15.30%という数字を叩き出しています。
※クライアントの許可のもと管理画面のスクリーンショットを掲載しています
なかでも、「タレント名 × 商品カテゴリ」のキーワードはクリック率も60%前後と、見たことのない数字に。予想を大きく上回る成果につながりました。
※クライアントの許可のもと管理画面のスクリーンショットを掲載しています
同事例ではほかにも、カート周りのコミュニケーションも大きく見直しました。
運用当初、カゴ落ち率は80%超。原因を調べてみたところ、どうもカート上に「クーポンコード入力欄」があることによって、ユーザーが「クーポン探しの旅」に出てしまい、そのまま離脱してしまっているようでした。しかも残念なことに、システムの仕様上、カートそのものは改修不可。
しかしここで諦めるのではなく、クーポンコードに関する注意書きをLP(カートに遷移する直前のぺージ)に明記してもらうことに。結果、カート通過率は大幅に改善しました。
このように実際に使うユーザーの気持ちを考え抜いて、コミュニケーションを改善することで、当商品は販売終了予定日を大きく前倒しして完売することができました。
コミュニケーション設計を重視するようになったいま、昔と明確に異なるのは “競合分析の深さ” です。以前に比べると、競合他社のページも見て「ユーザーがどう感じるか」を考える時間が圧倒的に増えました。
たとえばリスティング広告の場合、狙っているキーワードで検索すればどの企業と戦うのかがすぐにわかります。自社vs競合A社、自社vs競合B社……というふうに、上位3〜4社と自社を一つひとつ丁寧に比較して「ユーザーとしてどちらを選ぶか」を考える。ここで出てきた決め手こそが、その商品サービスのストロングポイントです。
ときには、ユーザーとしてどちらの商品サービスにも決めきれないケースもあります。そのときは「なにがあれば決められたのか」を考えると、足りないものが見えてきます。
こうした競合分析を徹底することでより客観的なユーザー視点が身につき、既存のLPや広告文に引っ張られることなく、ベストなコミュニケーションをゼロから設計できるようになったと感じています。
もし「広告を出したのに一切売れなかった」なんてことが起きれば、身銭を切っているクライアントからすれば、たまったもんじゃないと思います。
しかしながら、広告は、“魔法” ではありません。
まだ出会えていないターゲットに、お金の力を借りて情報を届ける手段に過ぎないのです。
そのため、ユーザーをただLPに連れてくるだけでは売れません。前提として、いい商品サービスであること。そしてLPをたずねてもらったあとに「ユーザーとどのようにコミュニケーションをとるのか」が重要です。広告主が言いたいことや、商品サービスを魅力的に表現する言葉を一方的に並べるだけでは、コミュニケーションは成立しません。
広告運用者としては、広告の評論家にならず、ユーザーの等身大の気持ちを絶対に忘れないこと。斬新な施策や突飛な訴求に飛びつかず、当たり前にやるべきことに愚直に取り組むこと。それがコミュニケーション設計の基本であり、成果を出すための秘訣でもあると思います。