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2016年にデジタルマーケティングエージェンシー「MOLTS」を立ち上げてから、早くも4年半。
運用型広告、コンテンツマーケティング、アクセス解析、データ活用、インサイドセールス等、デジタルマーケティングの各領域に精通するスペシャリスト達が活躍するこの企業で、僕は立ち上げ以降もっぱら、オウンドメディアの可能性を追いかけ続けている。
今日は、今まで7年間この分野と向き合ってきた僕自身の経験を踏まえた、オウンドメディアの醍醐味について話をしたいと思う。
初めてのオウンドメディアは、2年で会社の形すら変えていく体感を得た
僕がいわゆるオウンドメディアの領域に足を踏み入れたのは、7年ほど前。
株式会社LIGへ入社して、当時話題となっていた「LIGブログ」を運営するメディア事業部の配属になった、2013年頃だった。
もともとLIGブログは、LIGの主力事業であるWeb制作のお問合せ獲得の役割を担っていたのだが、僕が入社したタイミングから、そのブログからマネタイズさせようという取り組みが始まった。
そんなこんなでオウンドメディアに関わることになったのだが、僕には編集者の才能がない。ライターとしての才能も、ない。むしろそこらへんに関しては他のメンバーが良い意味でぶっ飛び過ぎていたこともあり、僕は早々にマネジメントポジションへ異動となった。
入社した当時、企業サイズはわずか30名ほど。そのうち、メディア事業部は5名。そこから収益化を行い、2年ほどで15〜20名近くのメンバーがメディア事業部に集まった。
本来のメディアの役割であったお問合せ獲得はマストで行いつつも、収益規模は他の主力事業に並ぶまでに成長。そして、常に計画を上回った利益の一部分を投資に当てさせてもらい、さらなるLIGブログの拡大と収益化を行なっていった。
これは主体者としてはもちろん、客観的に見てもとても面白かった。
収益化が機能し始めると、人を増やすことができ、新しい表現やアプローチができ、そしてさらにLIGブログは成長し影響範囲は広がり、お問合せ数も収益もさらに加速して増えていく。収益がある一定ラインを超えた時から、経営に少しずつインパクトを与えるようになり、新しい事業が生まれ、また人が増え、お問合せ先が増えていく。
当時の経営陣、一人一人のメンバーの力があったからこそなのは間違いないが、間違いなくLIGブログが起点となって、LIGという企業を大きくしていくのを目に見えて体感させられた。
また、何の予告もなく家を砂浜にされたり、部下が売上を使って勝手にハワイへ行ったりと、様々な「なんでなん」ということが起き、無駄に強靭なメンタルが育まれた。
マーケティングを、売上を、組織を、カルチャーを、株価を変えていくのがオウンドメディア
独立してからも、僕はオウンドメディアのインハウス化支援、アドバイザリー、運用代行等を中心として、オウンドメディアに関わり続けている。もう、7年以上の月日で、かれこれ50以上のオウンドメディアに関わっていることになる。
年間運用コストが億を超えるようなサイズはほとんどなく、どちらかといえば素人が0から立ち上げたり、運用しているがうまくいっていないところとかに関わって、成果を最大化させ、ジャイアントキリングし続けていくことが多かった。
「素人が始めたんだから、そこそこのラインでいいだろう」
そんな思いは毛頭なく、やるからにはできる限りの可能性を追い求めた。
例えば、僕が実際に体験したオウンドメディアの可能性は以下だ。
・運用開始3年で対法人向けのリード数が年1万を超え、数千人規模のテレアポ文化企業が徐々にインバウンドカルチャーに切り替わっていく
・0から立ち上げ3年で自社事業への還元とマネタイズをバランスよく行い、メディア事業だけで四半期利益1億円を突破して株価にも影響を及ぼしていく
・大手企業の中で1年で数万単位の会員獲得数を増やすことに成功し評価され、一つの事業部が、複数の事業部を統括するように組織再編が行われ、3年で初期メンバーの役職が全てあがり、一大組織となって数十億円以上の全社の売上に貢献する
などなど、これら以外にも様々な体験をさせてもらった。
オウンドメディアの成果ではなく、オウンドメディアが起点となってもたらした結果。しかもこれらは決してプロじゃなく、素人が集まって一つ一つ積み重ねた上に生じた事柄だったりする。
中長期的な視点で見ていくオウンドメディアだからこそ、成果と結果を積み重ね続けていけば、マーケティングも、売上も、利益も、組織も、カルチャーも、株価も、何でも変えていける可能性を持っている。
可能性を広げるために大切なことは、「成果」と「結果」の違いを理解すること。「成果」は、良い結果のことを指し、「結果」は、ある物事・行為から生じた状態を指す。
リードが0から100件集まる成果を得た。その結果、担当者の役職が変わり、メンバーと予算が増え、新しい体制を元に成長させていく体制ができた。みたいな使いわけを、僕はよく行う。
オウンドメディアだからこそ獲得できる「成果」と、その成果を得た際に生じる「結果」を元に、常にどこを目指すのかを考え、最適化し突き進み、次の成果と結果を手にして、これからも続くことを前提としてさらに伸ばしていく。
そして、結果は常に学びをくれる。
僕はLIG時代に、マネタイズをしてメディア事業部が計画以上のお金を稼ぐようになった結果、企業が大きくなっていくことを体感した。
それと同じように、独立してから関わったオウンドメディアの結果から、想像もしていなかった様々な可能性を生み出し続けていおり、学び続けられている。
数千人規模の会社のカルチャーが変わっていくことや、株価にも影響がでること、数年で数十億円単位で年商を増やすことができること、企業の事業数や人数が倍々で増えていくことなどが、オウンドメディアを起点として行なえるなんて、僕は独立した当初知らなかったわけだ。
そういう結果を、外部パートナーとして関わっているとはいえ主体となって味わってしまうと、次の可能性を追い求めたくなるものだ。
一つとして同じオウンドメディアの設計はない
成果を得るための選択肢の多さもまた、オウンドメディアが面白い理由の一つだ。
「オウンドメディアはこうあるべき論」の「こうあるべき」は、あくまで100あるフレームのうちの1つに過ぎない。それくらい、オウンドメディアは全く違う設計ができてしまう。
なぜなら、目的の違いから始まり、業種業態、ターゲット、体制、予算、事業内容、またはカルチャーによっても、最短で成果を最大化させるために走るべき道が常に変わるからだ。
例えば、良質なコンテンツを作る場合、同じユーザーへ発信するとしても、タッチポイントの違いで「良質」の意味合いは変わってくる。というか、そもそもの作り方自体も変わる。これは、ソーシャル向けのコンテンツなのか、検索向けのコンテンツなのか、リファラー向けのコンテンツなのかを想像してもらえるとわかると思う。
またもう少し踏み込むと、経営者が情報発信の重要性を理解している場合と、そうでない場合で、中小企業などは特に企業におけるオウンドメディアの位置付けが変わる。経営者に理解を得られた方が人や予算の投資度合いが変わる場合、話をして納得してもらった方が良い経営者なのか、あるいは論より証拠を見せた方が良い経営者なのかを判断する。どちらが良い悪いと言いたいわけではなく、単純に経営者のタイプに合わせて、オウンドメディア戦略の設計が変わってくるからだ。
さらに、同じ「0から1年で月100リード」の成果獲得だったとしても、設計の仕方によって結果は大いに変わるものだ。例えば、「年間30件が限界ですがやってみましょう」と言って100件を指標にするのか、「1年で100件は余裕ですよ!むしろ200件いきましょう!」と高みを目指すのかで、1年後に同じ100リードを獲得したとしても、成果は同じでも結果は違うのは理解できるかと思われる。
そういった中長期的な視点で見るべきオウンドメディアだからこそ、設計する内容が様々な要因を持って組み替えなければならない。一つとして、同じ運用がない。
そういい切れるのが、オウンドメディアが難しくもあり、面白くもあるポイントの一つでもある。
オウンドメディアに飽きたといった君へ
つらつらと書いてきたが、この記事を書こうと思ったキッカケは、同業者の後輩からのこの一言だった。
「最近、オウンドメディアに飽きてきたんですよね。」
確かに毎回同じフレームワークで、成果だけを追い求め、手段をいかに各企業に合わせてカスタマイズして展開していくのかみたいなことばかりやっていると、正直飽きてしまうのも無理はない。
テクニックやあるべき論が固定になってしまうこともまた、飽きる要因になると思う。
しかしながら、オウンドメディアにおけるプロジェクトの醍醐味は「成果を出すことによって、想像すらしていなかった結果が生み出せる」ことにあり、その結果を元にさらに新しい成果を生み出されていき、土壌がどんどん広がっていくことにあると僕は思っている。
手段を売りにしないこと。
そして、数字には見えない結果を元に喜んだり、次につなげていくこと。
オウンドメディアが起点となって、様々なポジティブな反応が生まれ続け、その反応が広がっていく。これを一度でも体感できたのなら、そう簡単に飽きを感じることなく、もはや一種の中毒性をもって必ず新たな挑戦を求めるようになるはずだ。
だから、オウンドメディアに飽きたなどと言わず、視点を変えて成果を追い求め続け、この無限に広がる可能性を楽しんでもらいたい。僕もまだまだその可能性の先が見えず、挑戦者として楽しんでいるのでと。そんなことを思った次第。
そしてこの話もまた、一つの個人的な話なので、鵜呑みにはせずにいただきたい。オウンドメディアの可能性は、凄まじく広いので。
※注:本記事にて前職先のことを記載していますが、LIG代表取締役の吉原ゴウ様の許可は得ています
社長のゴウさんがとにかくイケメン。見た目だけでなく性格も