「育成に力を入れています」と書いてある会社は多い。でも、それが年に数回の研修や表彰イベントで終わっていないか。SES・受託の現場で、エンジニアがそう感じる場面は少なくありません。
ミラスタDS事業部は、育成を「特別なイベント」ではなく「毎月まわる日常の仕組み」として設計してきました。その中身と、回してみて見えてきたことをお話しします。
■ 現場に出ると育成が止まる、という構造
同じ業界の発信を眺めると、打ち手にははっきりした傾向があります。全社イベントで価値観を共有する、社員インタビューでカルチャーを見せる、職種別の市場レポートで相場を出す。どれも意味のある取り組みですが、共通するのは「点」の施策だということです。年に数回のイベントや月1本のレポートは、組織の一体感やブランドは高めても、一人ひとりのエンジニアが「来月、自分は何を伸ばすのか」を描く助けにはなりにくい。
現場に出ると育成が止まる。これはSESの構造的な弱点です。客先常駐で上司が日々の仕事を直接見られず、評価は「なんとなく」で決まり、次のキャリアは案件の巡り合わせに委ねられる。
ミラスタが変えようとしているのは、この「配属したら育成は現場任せ」という前提そのものです。イベントで一体感をつくる前に、毎月・全員・確実にまわる育成のインフラを敷く。それが私たちの立ち位置です。
■ 取り組みの中身
柱は4つあります。
① 毎月の1on1
マネージャーと全メンバーが月に一度、必ず時間を取ります。近況共有で終わらせず、スキルの現在地と次の一歩を言語化する場として運用しています。
② スキルマップ
技術・折衝・マネジメントなどの項目を段階で可視化し、「何ができていて、次に何を伸ばすか」を本人とマネージャーが同じ画面で見ます。評価を「感覚」から「合意できる事実」へ寄せるための土台です。
③ 6つのキャリアパス
エンジニアの進む先を一本道にせず、複線で示します。インフラ設計構築/データ/業務自動化/Webバックエンド/モダンフロント/PMO・PM の6領域を等級ごとに定義し、それぞれで求められる役割を明文化しています。選択肢を先に見せることで、日々の学習が「どこに効くのか」が本人にわかるようにしています。
④ 朝礼と社内ナレッジ運用
日々の気づき・つまずきを記録として残し、個人の経験を組織の資産に変えます。現場での学びが、次の誰かの近道になる仕組みです。
■ 回してみて見えてきたこと
仕組みを回してわかったのは、「育成は熱量ではなく頻度で決まる」ということでした。年1回の面談で人は変わりませんが、毎月の小さな軌道修正は確実に積み上がります。1on1を欠かさないだけで、案件のミスマッチや働き方のつまずきが早い段階で見え、手を打てるようになりました。
同時に、「やらないこと」も輪郭がはっきりしてきました。無断で案件を決めない。評価をブラックボックスにしない。出社頻度の見えない案件を安易に取らない。これらは仕組みを回すなかで、「これをやると育成が壊れる」と現場が教えてくれた境界線です。
■ 中長期で目指す姿
私たちが掲げるのは、一人ひとりが「この事業部で良かった」と言える組織であることです。育成が仕組みとして回り、エンジニアが自分のキャリアを描けるからこそ、事業は伸びる。イベントの熱狂ではなく、毎月の1on1という地味な継続で、その両方を積み上げていきます。
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