阪口 将 | エムスリー株式会社 プロダクトマネージャー チームリーダー
エムスリーにおけるプロダクトマネージャーは、「プロダクトを通じた事業成果の最大化」を追求し、自らの意思決定によってその未来を実現していく存在です。事業を前進させるために必要であれば、市場開拓やマネタイズ設計、法的なスキーム構築から現場のオペレーション改善にも、深く踏み込みます。求められるのはアウトプットではなく、アウトカム。「成果の最大化」に向けて貪欲に思考のアップデートを続け、正解のない中で仮説を立て、疑い、決断し続けること。そのプロセスそのものが、私たちの価値になります。
SIerで大規模開発に携わっていた阪口は、「どう作るか」ではなく「勝てるのか」に向き合うためエムスリーへ参画。 担当したプロダクトでは、既存事業の常識を疑い、戦略から見直すことで売上を数倍にまで成長させました。 いかにして意思決定の質を高め、事業を突き動かしてきたのか。そのリアルな軌跡と、エムスリーで得られる圧倒的な成長について話を聞きました。
市場で勝つプロダクトには、理由がある。その答えを求めてエムスリーへ
これまでのキャリアと印象に残っている経験について教えてください
現在は、日本国内の医師の9割以上が利用するプラットフォーム「m3.com」のアンケートデータや、電子カルテをはじめとするリアルワールドデータを活用し、ヘルスケア企業の意思決定を支援するプロダクトのマネジメントを担っています。
私がプロダクト開発の面白さに目覚めた原点は、1社目で経験したインターネットバンキング事業にあります。数百万人が利用する大規模プロダクトにおいて、1,000画面を超えるUI刷新プロジェクトをリードしました。
何より心に響いたのは、家族や友人がそのサービスを使い「本当に便利になった」と喜んでくれた姿です。自分たちの手で作り上げたプロダクトが、誰かの日常を確かに支えている。その手応えとチームで分かち合った達成感が、今の私の原動力となっています。
なぜエムスリーを選んだのですか
前職では、評価の主眼が「納期・品質・コスト」といったプロジェクト管理の側面にありました。 もちろん、これらはプロダクト開発において不可欠な要素です。しかし、「このやり方で、市場を勝ち抜くプロダクトを創り続けられるのか?」と違和感を覚える自分がいました。
世の中にある素晴らしいプロダクトを主導するプロダクトマネージャーは、一体どのような思考やプロセスでプロダクト開発に向き合っているのか。その答えを外部から推測するだけでは限界があります。「超一流のプロダクトマネージャーが集まる環境に入り、学びたい」という想いが日を追うごとに、強くなっていきました。
数ある組織の中でも、エムスリーは古くからプロダクトマネージャーは利益と事業成長に責任を負うべきであると一貫して発信し続けてきた組織です。ここでは「どう作るか」という管理に終始せず、「どう勝つか」という事業的インパクトを愚直に追求する文化が徹底されています。この妥協のない環境こそが、本質的なプロダクト開発を追求できる場所だと確信し、入社を決めました。
「計画通り」という安心を捨て、事業ポテンシャルを最大化させる。プロダクトマネージャーが担う意思決定の責任
入社後に感じたギャップは何でしたか
一番大きかったのは、「正しさ」の基準が変わったことです。
前職では、仕様を決めて、それをスケジュール通りに問題なくリリースすることが“正しい”とされていました。早い段階でスコープを固めて、確実にやり切ることに価値がある。自分自身もその前提で仕事をしてきました。
しかし、エムスリーでは、プロダクトが売れなければ、その正しさには意味がありません。どんなに計画通りでも、売れなければ意味がない。売れないのであれば、途中で作り方を変えていいし、そもそも作ること自体をやめてもいい。逆に、売れる確信があるのであれば、多少荒削りなままでも前に進める。この基準の違いはかなり大きかったです。
難しかったのは、頭では理解できても実際の仕事になると、どうしても一度決めたものを守りたくなることでした。開発が進むほどその方向性を信じたくなるし、途中で変えることには怖さもある。でも本当に問うべきなのは、計画通り進んでいるかではなく、それが売れるのか、勝てるのかなんですよね。
プロダクト開発は「計画通り進めるもの」ではなく、「作りながら何度でも疑い、最適化し続けるもの」だということです。この思考に切り替えるのが、入社後にぶつかった最初の大きな壁でした。
プロダクトマネージャーの役割をどう捉えていますか
「事業のポテンシャルはプロダクトで決まる」という考え方が一番しっくりきています。
例えば営業組織が優秀でも、プロダクトが市場から受け入れられてなければ、その努力を最大化することはできません。逆に、プロダクトが圧倒的に強力であれば、営業の提案は加速し、事業は飛躍的に成長します。つまり、事業の成長可能性そのものを設計し、拡張していくのがプロダクトマネージャーの役割だと考えてます。
その前提に立つと、プロダクトマネージャーの仕事は単に機能を良くすることではありません。「なぜそれが売れるのか」を説明できる状態をつくることが重要であり、「市場・顧客・競合」の状況を踏まえて、その意思決定がどれだけ合理的かを考え抜く必要があります。
さらに言うと、「どこまで高い目標を描くか」もプロダクトマネージャーの意思決定にかかっています。年商10億を目指すのか、100億を見据えるのかによって、打つべき手は180度変わるからです。プロダクトの限界は最初から決まっているのではなく、私たちの意思決定によって規定されていくものだと考えています。
エムスリー流「ホームランの打ち方」を自らの打席で実践
印象に残っているプロダクトの成果について教えてください
医師向けのアンケート調査をセルフサービスで行うプロダクトでの経験が、印象に残っています。
当時、社内では「医療調査は専門性が高く複雑なため、ユーザーが自ら作成するニーズはない」という慎重な見方もありました。しかし、私はそこに強い違和感を抱きました。他業界では、これとは真逆の状況が常識となっているからです。
たとえばエンジニアの世界では、かつて専門職の領域だったインフラ構築が、クラウドの登場によりクリック一つで完結し、それが爆発的な開発スピードを生むスタンダードへと変わりました。医療領域だけが、その例外であるはずがないと考えたのです。
そこで一度ドメインの固定観念を排し、顧客の声を聴きにいくと、やはりセルフサービスならではの圧倒的なスピードに唯一無二の価値を感じているお客様が数多く存在していました。日本の医師の9割以上が利用する圧倒的なプラットフォームを持つエムスリーだからこそ、この速さを研ぎ澄ませば、他社には真似できない武器になると確信しました。
そこからは、速さという価値をより多くの調査に適用できるよう、ユーザーが自由に調査を設計できる方向へとプロダクトを拡張しました。結果、利用者は急増し、売上は数倍へと成長。今なお拡大を続けています。
実は、この「他業界の知識から違和感を察知する」ことや「顧客の声から希望の光を見つける」という思考プロセスは、エムスリーのプロダクトマネージャー勉強会で日常的に語られているエッセンスそのものです。
学んだことを、自分に回ってきた打席で実践し、確かな手応えとともに成果へ繋げることができた。初めて「ホームランの打ち方」というコツを掴み、自身の成長を実感できた瞬間でもありました。
全員が当事者として意思決定に深く関与する、エムスリーのチーム体制
エムスリーの特徴と、向いている人について教えてください
エムスリーの特徴は、徹底したスモールチーム体制にあります。あえてチームを小さく保つことで、メンバー一人ひとりが常に意思決定の当事者であり続ける環境を構築しています。
また特筆すべきは、エンジニアやデザイナーの事業に対する理解度の深さです。戦略の目線合わせさえできれば、プロトタイプからMVPの構築までを阿吽の呼吸で、一気に駆け抜けるスピード感があります。
圧倒的な数の意思決定の局面に立つことができ、優秀なクリエイターたちとプロダクトの核心を熱く議論できること。これは、プロダクトマネージャーにとってこの上なくエキサイティングな環境だと思います。
エムスリーに向いているのは、プロダクトを愛し、より良い形を求めて考え続けることを苦にしない人です。逆に、早く結論を出して安心したい人には厳しい環境だと思います。エムスリーでは「決め切ること」よりも「考え続けること」の方が求められるので、そのプロセス自体を楽しめるかどうかが重要だと思います。
今後の展望とメッセージをお願いします
今担当している事業を通じて複数のプロダクトを立ち上げ、医療データプロダクトの領域で「世の中に最も価値を生み出している」事業へと成長させたいと考えています。
医療のあり方そのものを変えるような勝てるプロダクトを、連続的に生み出していきたい。エムスリーは海外にも強固な医師ネットワークを持っています。日本国内に留まらず、世界でNo.1を獲れるプロダクトへと育て上げることも、私の大きな野望です。
そのためには、勝てるプロダクトを作れる人をもっと増やしていかなければなりません。強いプロダクトを継続的に生み出し続けられる最強のチームを作ること。それが、私にとっての次の大きなテーマです。
プロダクトの力で事業を圧倒的に伸ばす。そのために、思考を尽くし、勇気を持って意思決定を下す。このプロセスを本気で楽しめる人にとって、エムスリーははこれ以上ない素晴らしい環境だと思います。
正解がない中で問い続けたい人、プロダクトの力で市場を勝ちにいきたい人、そして何よりプロダクト作りを愛してやまない人と、ぜひ一緒に挑戦していきたいですね。
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