1
/
5

発案からリリースまで2週間、テレワーク支援サービス開発の裏側〜緊急時のリリースに必要なこと〜

通常2ヶ月かかるサービスリリースを、開発からリリースまで2週間でおこないました。

現在ライナフでは、コロナウイルス感染症における緊急事態宣言発令を受け、在宅勤務に切り替えて業務をおこなっています。今回のテレワーク支援サービスは、ほぼSlackのコミュニケーションだけで、開発、営業、CS(カスタマーサクセス)、PR、マーケティング、デザイン、経理、また社外の関係各所を巻き込んで、2週間でリリースしました。

過去、これほどまでにタイトなスケジュールでサービスリリースした例はなく、常識的に考えてもニーズの調査や売り方、関係者への調整を踏まえると2ヶ月はかかるとみるのが妥当です。さらに、対面でのコミュニケーションができない今、これほどのスピード感をもってリリースできたのは、いま求められている課題感の共通認識を持てたことと、それぞれが自立して動けたことが、重要なポイントだったのではと思います。

今回は、この2週間、社内ではどういった動きをしていたのかをお話ししたいと思います。

写真はスタッフの在宅勤務の様子。お子さんも一緒に勉強していてなごみますね〜。ついついほんわかしたい気持ちになりますが、本題に戻ります!

記事に該当するプレスリリースはこちらからご覧ください。

在宅でも物件確認を受電できる「スマート物確」オプションサービス開始 | Linough Inc.
スマートロックと不動産管理サービスを開発する株式会社ライナフ(本社:東京都千代田区/代表取締役:滝沢 潔、以下 ライナフ)は、AIで物件確認を自動化するサービス 「スマート物確」 ...
https://linough.com/press20200409/

始まりはSlackのつぶやき

“どうやったら不動産会社はテレワークを開始できるのか?” これがすべての発想の起点でした。

中国武漢で原因不明のウイルスが発見されたのが2019年12月、のちにコロナウイルス感染症(COVID-19)と呼ばれ、瞬く間に世界中に広がりますが、年をまたいだ1月末にはWHO(世界保健機関)が「国際的に懸念される衛生上の緊急事態」を宣言、3月には「パンデミック」相当と表明されるまでになりました。日本でも一気に感染が拡大してしまい、特に東京では1日に100名以上の感染者を連日出すなど、事態の収束が見えない状況でした。ついには緊急事態宣言が発令され、その対象である13都道府県が「特定警戒都道府県」に指定されました。本当に一瞬で状況が変わってしまったのです。

こうした中、各企業では速やかに在宅勤務へと移行していく中、遅れをとっていたうちの1つが不動産業界です。書面でのやり取りやFAX、電話対応など、属人的な業務が多々発生する性質上、どうしても出社をゼロにするのが困難な状況でした。営業時間を短縮したり、交代制を取り入れたりすることで、少しでも出社人数を減らす策を講じていました。

こうした状況を不動産業界の傍らでみていて、テレワーク環境をつくれないかと考えたのが、今回リリースした「スマート物確・リモートワークオプション」です。

街の不動産屋さんに足を運んだことがある方はイメージしやすいですが、お部屋探しをするときに、「部屋が空いているかどうか確認しますね」と、素早い動きで物件オーナーに電話をかけていく姿を見たことありませんか? これを、不動産業界用語では「物確(ぶっかく)」といい、街の不動産(不動産仲介会社)が顧客に物件を紹介する際に、物件の空室状況や紹介可否を、物件オーナー(不動産管理会社)に確認するのです。この物確にかかる業務を自動化するのが「スマート物確」です。

「スマート物確」は、AIで物件確認を自動化する不動産管理会社向けのサービスで、24時間365日、AIが物確電話に応答します。間取り図のFAX請求やLINE連携もでき、物確にかかる業務を大幅に効率化できます。人の代わりにAIが自動応答するのですが、一次対応は自動化できても、中には自動応答では対応できない問い合わせもあるので、そこはオフィスにいる担当者につなげたり、指定する携帯端末に届く仕様になっています。

通常であればこれで十分な業務効率を図れるのですが、在宅勤務を前提としたサービス設計ではなかったこともあり、別途考えたほうがいいよね、ということで、パソコンのブラウザ上で電話を受信するアイデアが生まれました。これまでは1つしか転送先を指定できませんでしたが、最大10名まで、パソコンがあれば場所を問わずどこでも遠隔で電話を受け取れるようになります。このアイデアがSlackに投げかけられると一気に好意的なスタンプが押され、プロジェクトが動き出しました。

この日、11時47分に投稿されてから、方向性がまとまるまでに費やしたのは約3時間。それぞれのメンバーが遠隔でアイデアを出し合い、おおよそ20件の投稿で決まりました。Slackだと、過去をさかのぼってみる際にも可視化しやすく、改めて便利なツールだなと思いました。


4日が経過して再度Slackが動き出します。大きく4つに分かれて動きました。

・開発側で、先んじて機能の開発と最短でできる大まかな仕様の策定

・セールス・マーケ側で、告知やお客さまへのフォロー準備とパートナー企業への働きかけ

・CS側で、カスタマーセンターの対応準備

・PR側で、プレスリリース文面と素材の用意

すでに在宅勤務に切り替える動きが加速していた中、最短でサービスリリースすることを最優先事項に進めました。開発サイドでは、最も重要な機能を優先的に開発し、追加機能を順次リリースしていく形に。セールス・マーケ側では強力なパートナー企業と連携することで、最短で販売先の間口を広げる動きを準備。さらに、今回のリモートワークオプションの申し込みだけでなく、在宅勤務に切り替えるための相談窓口を設けることで、不動産会社の在宅勤務を支援する動きをおこないました。CS側ではカスタマーセンターの用意を進め、PR側では各企業の在宅勤務の動向をみつつ、セールス・マーケ側が動きやすくなるよう、リリースを早く出す方向で調整に入りました。

通常業務に加えてこのリモートワークオプションの作業が追加された形でしたが、これらを5営業日でおこないました。ちなみに、Slackのやりとりは100件を超えており、後半誰が100投稿目のキリ番(キリのよい番号)を踏んでくれるのかワクワクしていました笑。

緊急時のリリースに必要なこと

コロナウイルスの感染拡大のように、いつまた非常事態が起こるかは誰も予測できません。2008年にはリーマンショックがありましたし、2011年には東日本大震災が起きました。今後もどうなるかはわかりません。そうした緊急時のときでもピンチをチャンスにできる発想の豊かさと、それを広げ、自立し協力し合いながら推し進められるメンバーが揃っていることが、緊急時のサービスリリースには必要なことであるように思います。

ありがたいことに、ライナフにはそうしたメンバーが揃っているので、圧倒的に早く物事を進められました。時にはおっとっと!笑 というものもありますが、本人の自発性を大切にしながらよりよいものにしていく柔軟さをあわせもつので、そのあたりはベンチャースピリットが溢れているなと思います。

さて、リリースを終えて一段落ではありますが、連日開催するリモートワークに関するセミナーは盛況です。不動産会社向けで70名を超す方々に参加いただくなど、それだけ各不動産会社さんの情報感度が高まっているようにみえます。

緊急時こそ、ピンチをチャンスに!

★2020年5月14日追記...
このWantedlyの記事を公開してすぐ、スマート物確の電話機能を裏側で支えるクラウドAPIサービス「Twilio」を提供するKDDIウェブコミュニケーションズさんにお声がけいただき、代表の滝沢とエンジニアの土屋がインタビューを受けました!得にAPI周りの話をしています。ご興味ある方は、ぜひこちらもあわせてご覧ください!

たった2週間でリリースしたBCP対策としてのTwilio活用事例 | Twilio - KDDI Web Communications
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、その名の通り自然災害や緊急事態時に事業を継続、あるいは早期に回復させるための方法をまとめた計画です。東日本大震災でも注目を集めたため、大企業を中心にBCP対策を策定したところが多いようです。 ...
https://cloudapi.kddi-web.com/magazine/6590/
株式会社ライナフ's job postings
3 Likes
3 Likes

Weekly ranking

Show other rankings