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会社の存在意義を問い示せば、採用が変わる。Forbes CAREER編集長の信念

2019年3月、Forbes JAPANから新サービスがローンチされた。その名もForbes CAREER。平たく言えば、転職・求人情報サイトのカテゴリに入るサービスだろうが、そうではないという決意を表明するように、自らを「日本の未来を担うスタートアップ、隠れた名企業との出会いの場です」と自己定義している。

実際に、サイトに並ぶストーリーからは、「初めて知るすごい会社の存在」や「名前は知っていた会社の意外な一面」を知ることになる。

Forbes CAREERのローンチに携わり、コンテンツだけではなく事業全体の責任を持つ編集長後藤亮輔は、「僕がつくりたいのはメディアじゃなくて、サービス。Forbes CAREERは、応募者数=内定者数のサービスにできる」と断言する。その信念はどこからくるのか。

いいアウトプットができたからよかったとは思わない、いい成果を求めたい

後藤は、大学卒業後、都内にある小さな広告制作会社に就職した。出版や制作業界に就職するだけあって、「考えて形にすることが好きだから」が理由だった。現職に就くまでは、コピーライターにオウンドメディアの責任者など、複数の会社で「書くこと」にまつわる複数の仕事を経験してきたが、ひとつの問題意識が芽生える。

それは、売上という指標によって、営業や企画といったビジネスサイドの働きを重視する一方で、書き手をはじめとしたクリエイティブサイドに対しての評価は低いということ。顧客の課題解決のための、言葉やデザインというソリューションがあるからこそ、売上は作られるにもかかわらず、だ。

一方で、「いいアウトプットを出せばそれでいい」とだけ思っているわけではないのが、後藤だ。以前からずっと「いい成果」を求める性分だった。あくまでもビジネス。クライアントの課題解決を担うのだから、制作だけで満足するなんてことはあり得ない。後藤は、書き・編集することだけに意識が集中しがちな、クリエイティブサイドの姿勢に対しても、不満が募ることが多くなった。

この考えは固く、どこの会社に所属しても、営業や企画といったビジネスサイドからも、クリエイティブサイドからも、「異端」と見られるようになった。

クリエイティブとビジネスは本来分断されるものではない。つまり「編集×ビジネス」は実現できると確信していた後藤はその後、書くことのクオリティにもビジネスとしての成果にも自身で責任を追求できる、オウンドメディアの領域に進出する。

メディア立ち上げから組織作りに事業の売却まで、3年間の間に事業責任者としての一連の経験をする中で高まった気持ちは、「編集スキルを汎用的に活かせないか」というものだった。

編集長とはプロジェクトマネジャーであり事業責任者。しかし一般的には、専門職という印象を持たれることが多い。ビジネス的なインパクトを出せる編集者としての可能性を模索している中で、Forbes CAREER立ち上げの話が舞い込む。


中小企業の息子だから響いた、「中小企業の支援」というミッション

Forbes CAREER立ち上げ責任者への打診から5日後には、仕事をはじめていたというエピソードが、Forbes CAREERと後藤との縁の深さを物語るように、このサービスが目指す、中小企業の支援というミッションは、後藤に深く響いた。

それは、後藤の実家は宮崎県で70年以上事業を営んでおり、まさにForbes CAREERの対象となる中小企業が抱える悩みを、家族としてずっと目の当たりにしてきたからだった。

求職者が仕事を求める上で重視するのは、待遇面であり、会社の風土や仕事の内容といった条件は二の次になる。これは、地方企業や十分な知名度を持たない企業における、一般的な転職事情と言っても過言ではないだろう。

後藤自身も「採用する側にも、もちろん問題はある」とした上で、待遇だけ重視する求職者と、自社が伝えたい情報を伝えきれない企業側とのミスマッチにより、人の出入りが続く様子を、悔しい思いで見守ってきた。

すべての会社にとって、「なんのためにこの会社は存在しているのか」というメッセージは重要であり、そのメッセージをきちんと伝えることができれば、入社段階でのミスマッチは防ぐことができる。そう思っていた。


     Forbes JAPANの象徴、「紙」。会社がもつあらゆるアセットを活用し、らしさを出す


Forbesだから出来ることを提供する、それだけ

では、Forbes CAREERと、数多くある転職情報サイトとは、一体何が違うのだろうか。すると後藤は、こう即答した。「そもそも、僕は採用サイトとは捉えていない」。さらには「メディアをつくりたいとも思っていなくて、やりたいのはサービス。サービス化を進めている」とも言った。

Forbes JAPANの読者は、ビジネスリテラシーが高い有望なビジネスパーソンが多いからこそ、Forbes CAREERの対象としては申し分ない。後はどれだけ企業側とのマッチングを精度高く成立させられるか。「応募者数=内定数のサービスにできる」という思いは揺るぎない。

読者や求職者、取材対象者に失礼になるから、「華美な化粧、つまり“盛る”つもりはない」という、後藤の徹底したポリシーの下、ローンチ早々に、企業・ヒトに潜む、情熱的かつドラマティックなストーリーを届ける体制は盤石になった。それを表すように、クライアントからこんな言葉が寄せられる。「世間には知られていない取締役の魅力を、引き出していただけて嬉しい」「社内のメンバーにこそ知ってもらいたいストーリーです」。

定性だけではなく、定量でも結果を出した。ローンチ僅か2ヶ月で、ある企業に1名の採用と1名のビジネスマッチングを叶えたのだ。

一方で、サービスのアップデートにも余念がない。Forbes CAREERのコンテンツを自社サイトへ転載することをOKとしたり、新卒セミナーなどで配布資料とできるよう、紙媒体でのサービス提供も準備したりと、紙・ウェブ両方でのメディア運営をしている会社の強みを生かした展開を次々と打ち出している。「大事なのはForbesだからできることをする、それだけ。我々のアセットを最大限生かし、サービスを育てていければと」


急がば回れ。「普通」を大事にした先にきっと、サービスは生まれる

ローンチから4ヶ月(2019年7月現在)。「ある程度順調な滑り出しでは」という問いかけには、「全然」と首を振る。Forbes CAREERはあくまでも社内スタートアップであり、後藤はイントレプレナー。スピード勝負だという思いが強い。「今はまだ、採用のためのペイドメディアであり、採用ブランディングメディアでしかない」という危機感は募るばかりだ。

ただし、「急がば回れ」だとも思っている。サービス化に向けてスピードアップすることは絶対だが、大事なことをないがしろにしてはいけないという意味だ。それは、取材対象者に対してインタビューや原稿を通じて、自社や自身の魅力を再発見してもらう。つまり、インタビューを受けることによって、価値を再提示するというスタンス。もちろん、読者に対しては、フラットな立場で情報を伝える関係であることを忘れないという意味でもある。

「自分がされて嫌なことは絶対しない。事業責任者としては、メディアではなくサービスを作るという揺るぎない旗印の下、すべての意思決定を行う」とした上で、「言葉にするとあまりにも普通のことですが、大事にしたい」と言った。

「異端」後藤が、「普通」を貫いた先に、新しいサービスが誕生する日はそう遠くないだろう。


文・伊勢真穂 写真・小田駿一

Forbes CAREERサイト:https://forbesjapan-career.com/

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