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大学院博士課程でガイスターという不完全情報ゲームの研究をしていた川上さん。新卒でスタートアップへ就職した経緯と、Lightblueで取り組まれている業務・今後の展望についてお話を伺いました。
ガイスターという2人対戦の不完全情報ゲームを研究
どのような研究をしていたんですか?
ガイスターと呼ばれる2人対戦の不完全情報ゲームについて、どのような相手にも負けない戦略を目指し、研究をしていました。ガイスターは6 × 6のマスを使ったボードゲームで、チェスなどと同様駒を取り合うことで勝利を目指すのですが、駒の種類を表す印が背面についており、これを相手に見せないようにして戦うというのが大きな特徴です。不完全情報ゲームは「区別できない状態では同じ戦略を取るしかない」ことや「今までの手順の違いがヒントに影響する」といった性質上、MinMax法やモンテカルロ法といったゲーム木探索や深層学習をそのまま適用することで戦略を求めることが難しく、一部のゲームでは特有の知識を駆使した強いAIも誕生していますが、まだまだ研究の余地が多く残されています。
私の研究では、「互いに駒が見える状況下での」ガイスターの完全解析データベースを作成し、そのデータベースを利用した評価関数による木探索によって元のガイスターの混合戦略(確率的な行動)を求めるような研究をおこなっていました。通常の木探索では「区別できない状態」や確率的な最適戦略を上手く扱えないため、Counterfactual Regret Minimization (CFR, 反事実的後悔最小化)と呼ばれるポーカーAIなどで人気な木探索を適用しました。結果、同じ深さの単純なCFRと比べ、高い性能を出すことができました。
また、別のアプローチとして「自分にとって最悪の状態」を定義し、完全情報ゲームの木探索を適用した研究もおこなっておりました。こちらは予想以上に成功し、GAT2020のガイスターAI大会で優勝しましたが、これは自分のAIに特別な対策をおこなっていないことが幸いしただけであり、対策をおこなった相手に対しては弱いという結果になりました。誰に対しても強い不完全情報ゲームAIの道はまだ長そうです。
挑戦的というよりおっとりした性格。それでもスピード感あるベンチャーを選択した理由。
なぜスタートアップに行こうと考えたのですか?
私は挑戦的というよりはおっとりした性格なので、優秀かつスピード感のあるベンチャーよりも、大企業の方が合っているのではないかとさえ思っていました。しかし、好きな分野への理解の高さと社風を重視し、会社を探したところ、意外にもスタートアップベンチャーに辿り着いたため、ここで仕事しようと決断しました。まだスピード感についていけないことや、裁量が大きいことによるプレッシャーもありますが、自分の力で考え、手を動かす仕事は楽しく、成長を実感しています。興味深い議論も頻繁に飛び交うので、この判断でよかったと感じています。
アカデミアからスタートアップという動きは周りでもありましたか?
大学院の中ではほとんど無かったように思えます。しかし、趣味の一つである競技プログラミング界隈で流行していた転職サイトでは、比較的ベンチャー企業寄りの企業に関心が高まっている雰囲気はありました。
数あるスタートアップの中でLBを選んだのはなぜですか?
趣味の界隈で流行していた転職サイトの中から興味のある会社を何社か受けていたのですが、その中でも自分の特技をよく理解されている会社と感じたこと、インターンシップでおこなったデータ分析にワクワクしたことが理由で、Lightblueを選びました。
自分の手で開発する楽しさを実感できるLBの環境
入社前の印象と、入社後の変化について教えてください。
理知的な社員が多く、入社前のイメージと比べて、人間関係が落ち着いていると感じました。その一方でプログラミングなど自分の手で開発できる機会が多いので、楽しく仕事ができています。合理的な意思決定に関しては学べる場面が多く、退屈な議論はほとんどないです。周りがとても優秀なこともあり、自分はキャッチアップについていけないのではないかという不安が入社前はありました。しかし分からないところを丁寧に教えてくださる社員もいるため、技術面の課題に関しては予想以上に安心感があります。誰かから細かく仕事を与えられるよりも、自分から方法を考えたり調べていくのが楽しいので、それも社風に合っていたと思います。
どのような業務に携わっていますか?
現在は社内開発や社外開発の補助を幅広くおこなうことで、業務と開発技術の理解に努めております。主には機械学習を用いた画像解析、テーブルデータの分析をおこなっていますが、簡単なフロントエンド開発や映像配信技術にも携わっており、今まで知らなかったことを知ることができる刺激的な毎日です。
川上さんだからこそわかる、LBの良さについて教えて下さい。
ベンチャーならではのフットワークの軽さがあり自由な議論が飛び交う一方で、メンバーが理知的で落ち着いているので、過ごしやすいです。「労災・単純労働を減らして、いきいきと働ける人を増やしたい」というビジョンがしっかり確立されており、個々のプロジェクトでも方向性を見失わずに済みます。技術を学ぶことが好きで、それを活用して周りを効率化したい方には、快適な職場だと感じます。
アカデミアの経験が生かせている部分はありますか?
研究で培った分析技術やドキュメント作成能力がそのまま役に立っています。ゲームの研究でよく書いていたゲーム木探索やアルゴリズム的な計算量削減テクニックは、あまり用いていないのですが、解析結果から仮説を立てる上で、法則や傾向を探る数学的なセンスは役に立っていると感じます。一方で、研究では実社会への影響を明確に捉え切れていなかったこともあり、データから現実で起きている状況を推測するのはまだまだ慣れが必要に感じています。これもできるようになると、心から生かせている状態になるのではと期待しています。
LBに興味を持った方にメッセージをお願いします!
画像解析やデータ分析・数学が好きな方、深層学習などの技術を使って効率的な社会を実現したいという方は是非お話を聞いてみてください!