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大学院博士課程でグラフェンの研究をしていた平原さん。博士課程在籍中にスタートアップへ就職した経緯と、Lightblueで取り組まれている業務・今後の展望についてお話を伺いました。
大学院在学中はグラフェンを研究
どんな研究をしていたんですか?
グラフェンと呼ばれている世界一薄いシートの電気特性を調べていました。鉛筆にも入っているグラファイトと呼ばれる層状の物質があるのですが、この層1枚が剥がれたものがグラフェンとなります。なので、このグラフェンの厚みは原子1つ分となります。
グラフェンの特徴的な点は、電子のエネルギーが運動量(速度)の1乗に比例するということです。通常質量のある物質はエネルギーが運動量の2乗に比例するのですが、グラフェン内部の電子は結晶の原子からの影響で運動量の1乗に比例します。この関係は、質量のない光や素粒子と同じであるということで注目を浴びた物質です。
私の所属していた研究室ではこれを実際に作成して測定していました。作成方法はグラファイトからセロハンテープで剥離するだけです。セロハンテープについたグラファイトをシリコンの基板に押し付けて剥がすと基板にグラフェンが残ります。大きさは数μmから数十μm程度ですが、これをサンプルとして利用していました。
このようにして作成すると1層のみ取れる場合もあれば、数層取れる場合もあります。これを利用して、複数層であればどのような特性を示すのかということを調べていました。計算上は層が増えるごとにグラファイトに近くということがわかっていたのですが、これを実験的に示すための測定を繰り返していました。
経験ゼロの状況からスタートアップに就職した経緯
なぜ、博士課程在籍中での民間就職を考えたんですか?
そのまま研究職へ進む未来が見えなかったからです。最初は研究職への憧れのようなものを持っていて進学をしましたが、教授の方同士の会話を聞く機会などが増えていくにつれて、この世界で生きていけるほどの情熱は持ち合わせてないなと感じるようになり、就職しようとなりました。途中まで行ったのにもったいないという意見も聞くことはありますが、博士の肩書きを使う予定もないからいいかなと思いました。
スタートアップに行こうと考えたのはなぜですか?
そこはあまり考えていなかったです。大企業であれば研修がいろいろあって少しずつ業務を受け持つ形になるだろう、SIerなら即戦力が求められていてそもそも経験者採用で入ったらすぐに激務になるだろう、スタートアップなら全体の業務を把握しながら進められる一方で業務の幅が広く大変だろう、といったような傾向の予測というか偏見はあったのですが、結局のところ何も経験がなく判断材料が明らかにたりてないので何もわからないだろうと思っていました。
経験ゼロの身なので、どこに行ってもプラスになるので特にこだわりはなかったですし、そもそもそんなに希望が通らないだろうというのもありました。ただ普通にプログラムを書くよりはAIなどの分野の方が、大学でしていた勉強と繋がりも多く有利かなというのはあったので、その方面で探していたらスタートアップに行き着いたという形です。
アカデミア→スタートアップという動きは周りでもありましたか?
そういった流れは特になかったです。研究内容にかかわらず、物理科の人は半導体業界の大手に就職する人が多かった印象です。とはいっても私は知り合いがあまり多くなかったので、知り合いに聞いたまた別の知り合いの話を聞いていたりするので、サンプル数や信憑性は少ないですが。
数あるスタートアップの中でLBを選んだのはなぜですか?
直感です。いろいろ募集をみた中であまりイキった感じがしなかったので応募してみました。それがいいとか悪いとかは特にないのですが、個人的に働きやすそうだと感じたので。"東大発ベンチャー"って書いてるけれども?と思うかもしれませんが、これについては、そう書いた方が興味を持ってもらえそうとか優秀な人が集まってくれそうというような意図があるのかなと思っていました。本当のところは知りませんが。
豊富なサポートを受けながら様々なチャレンジができるLightblueの開発環境
入社前の印象と、入社後の変化について教えてください。
入社前は5, 6人くらい会社に人がいてゴリゴリしているのかなと想像していたのですが、入社直後は自分を含めて2, 3人くらいで意外と少ないなと思っていました。今では人数も増えてよかったと思ってます。あとは、分析が主というのは変わらないのですが、フロントエンドの開発を行ったり、エッジデバイスのプログラムをC言語で少し触ったりしていて、想像よりは業務の幅は広かったと今思ってます。フロントエンド開発については知識ゼロだったので最初は不安でしたが、今ではちょっと楽しいです。
どのような業務に携わっていますか?
ある店舗内で、人が席に座っているか、数分前に座っていた人と同じ人か、どのような経路で移動しているか、立ち止まっていないか、密になっていないか、などを分析するシステムを作成してます。まあ、ヒューマンセンシングのモデルを作ったり推論したりといったバックエンドの機能を作成しています。
平原さんだからこそわかる、LBの良さについて教えてください。
サポートを受けられる環境を作っていける部分かなと思います。基本的なことは自分で勉強する必要がありますが、一人では解決できないことがあれば社内の方に助言をいただくことができますし、社内の方で難しければ社外の方に連絡をとって協力を仰いだりといった対応をとることができると思います。特に、社外の方に協力をいただけたりするのは園田さんのおかげだと思います。
アカデミアの経験が活かせている部分はありますか?
数学や分析方法や統計など、物理から物の要素を取り除いた部分の知識は役に立っていると思います。よく理解してなくてもプログラム自体は動いちゃったり、微積などの高校の知識まででも十分な部分も多いですが、行列の固有値計算や数学の記号など知っていると勉強が捗るというのはあるかなと思います。とはいっても、それくらいであれば自分で本を読んで勉強できる気もするので、とても役に立っているかというとそうでもないかもしれないですが。
研究室での経験もある程度活きているかもしれません。研究自体はサンプルを作って測定するというのを繰り返していたのですが、その中でも、いつもひとつずつサンプルを作っているけど、同時に複数個作成しても問題ないのではないかとか、論文でダメ出しを受けるのは定量的な議論ができていないからではないかといったような仮説を意識するようになったかなと思います。今は、仮説を立ててそれが棄却できるかできないかを考えるのはとても重要だと感じています。
今後平原さんがチャレンジしたいことを教えてください。
今、開発している中で思うのは、ちょっとした画面を作成したり、パラメータを設定ファイルに取り出したりといった作業が非常にめんどくさいということです。それに、相対パスや型やタイポなどのちょっとしたミスで動かしてみるとエラーとなったりで意外と時間を食います。これについてはいつか自動化したいと思ってます。チャレンジとはちょっと違うかもしれませんが。
プログラムの実行速度についても重要だと思っていて、エッジデバイスの機能を使い倒したいなと思っています。今、開発で一部使っているのですが、まだブラックボックスなところもあったり、使っていない機能もあったりするので、もっと使いこなせるようになりたいです。
最後に、Lightblueに興味を持った方にメッセージをお願いします!
手を挙げればいろいろチャレンジすることはできますし、業務をしていくだけでも間違いなく勉強になります。納期などもあるので大変な時もありますが、やってみたいことや試してみたい技術などを取り入れながら仕事を進めていくこともできるので、やり方次第でいろいろな勉強ができると思います。実際にやってみながら、これが良さそうとかこういう書き方がいいとか自分の中でより良い開発方法や分析方法を見つけることもできるので、好きであれば楽しく開発できると思います。ぜひ、一緒に開発しましょう!