産業廃棄物処理とウェブマーケティング。一見、接点のない2つの業界が出会ったとき、どのような化学反応が生まれるのでしょうか。
宮崎を拠点とする「Life Style Innovation」は、竹下産業の広告戦略を支える重要なパートナーとして、長年にわたり伴走してくださっているウェブマーケティング企業。2社の関係の背景には、既成概念に囚われない経営哲学や、互いの事業への深い理解があります。
今回の対談では、竹下産業株式会社 代表取締役の私、竹下敏史とLife Style Innovation代表の石川知佳氏に、2社の出会いから現在までの歩みについて、宮崎の地で語ってもらいました。
最初は手探りだった関係性が、信頼へと変わるまで
——まずはお二人の出会いから教えてください。
竹下:出会いのきっかけは、7〜8年ほど前に開催された足立区の経営者勉強会でしたよね。
そこで共通の知人である、足立区で刺繍メーカー・マツブンを経営している松本照人さんに紹介してもらいました。
石川氏:松本さんとは、10年以上仕事での付き合いがある方で、信頼関係もある方です。
初めて会った日は、竹下さんとはサラッと自己紹介と名刺交換をしたくらいでしたが、勉強会で積極的に質問されている姿が印象的で、「すごくモチベーション高い人だな」と思っていました。
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竹下:私は正直、石川さんに対して特別な印象はありませんでした。
勉強会には多くの人が参加していましたし、当時はまだ仕事につながるような具体的な話をしたわけでもなかったので…。
また、石川さんの手がける「ウェブマーケティング支援」という仕事が、どこまで実務的な支援につながるのか、うまくイメージが湧きづらい部分がありました。
というのも、ちょうどその頃自分自身で広告運用に挑戦していたこともあり、産業廃棄物処理という専門性の高い分野において、外部の方がどのように関わり、どんな成果につなげられるのか、その実感がまだ持てていなかったのだと思います。
石川氏:そうだったんですね。確かに「広告運用」と一言でいっても各社で手掛ける範囲が異なりますし、一見何をやっているのか伝わりづらい部分はあるかもしれません。
竹下:それに広告運用の業界に対して「一定以上の予算がないと相手にしてもらえないのではないか」という先入観もありました。
しかし、そこから2〜3ヶ月後には仕事をお願いする関係性になり、かれこれ7年以上。
当時は宮崎に来るなんて全く想像できませんでした(笑)
自ら挑戦したウェブマーケティングへの道
——当時、同業他社がほとんど手をつけていなかったという広告運用に挑戦した背景は何だったのでしょう。
竹下:以前は父の代から続いていた既存の取引先とのつながりや紹介がメインで、お客様の成長と共に自社の仕事も増えていくという流れでした。
ただ当時は売上の4割を1社に依存しており、危機感を抱いていました。そこで依存体質から脱却するため、自ら新規のお客様を獲得する仕組みを作ろうと考えたのです。
スーツを着て営業に行ったこともありましたが、効率を考えると限界があると判断し、ホームページを作り、ウェブ広告の運用を始めました。
石川氏:既存の枠にとらわれず、新しい手法でお客様にアプローチしようと考えたわけですね。
竹下:そうです。
でも、当時は当然ウェブマーケティングのノウハウなんて持っていないので、すべてが手探りの状態で、見よう見まねでやっていました。ただ、自分の中で一つひとつ仮説を立てては実践していました。
例えば、広告の出し方について。
一般的な廃棄物処理の問い合わせは総務担当者が多いためYahoo!に広告を出稿し、PCの処分は情報システム担当が検索するだろうと仮定し、Googleに広告を出稿する、といった具合です。
お客様に自分の言葉で伝えたいという思いから、専門的な知識がないなりにできる限りターゲットを意識した運用を心がけていました。
石川氏:それにしても経営の傍ら、独学で自ら広告運用をしていたというエピソードからも竹下さんの行動力と探究心が伺えますね。
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——そんな竹下さんが石川さんとの協業を決めた理由は何だったのでしょう。
竹下:事業が拡大していく中で自ら広告運用をする限界を感じ始めていました。
より成果を出すためには、専門的な知見や経験を持つ人の力を借りた方がいいのではないか、と。
とはいえ、どこに依頼すればよいか分からなかったですし、目に見えない施策に対価を払うのは不安もありました。そのタイミングで、出会ったのが石川さんでした。
石川さん自身については、正直まだよく知らなかったのですが、「松本さんが信頼している人」だということは分かっていた。
だから、石川さんを信用するという判断プロセスを省略できたのです。
現在記事制作のサポートをお願いしている会社は、石川さんから紹介していただきましたし、まさに縁が縁を呼んでいると感じますね。
石川氏:紹介してくださった松本さんの人柄や実績があったからこそ、「この人なら信頼できる」と思っていただき、今の取引につながったのだと感じます。
逆に、自分が誰かを紹介するときも、その責任を強く意識するようになりました。
信頼の循環を大切にすることが、良いビジネス関係を築く上で欠かせないと改めて実感しています。
竹下産業が積極的にアウトソースする理由
——竹下さんは広告運用以外にも、パートナーを組んでいる企業に依頼している業務が多くありますが、外注にこだわる理由は何なのでしょう。
竹下:社員に業務を依存しすぎると、その人が辞めたときに仕事が止まってしまいます。
そうした理由から、当社ではなるべく自社に仕事が残らないようにしています。
石川氏:確かに理にかなっていますよね。
その一方で、一経営者としてすごく思い切りのある行動だと感じます。一般的には内部にノウハウを残そうとしますし、何よりアウトソースにはコストもかかる。
しかし外注を活用できるほどの収益を確保し、その分経営者が本来の経営業務に専念するという選択をしたことが、現在の成長につながっていると考えると納得感があります。
竹下:確かにコストはかかりますが、外部の優秀な方々の能力を活用できると思うと、むしろ費用対効果が良いように感じるんです。
加えて、これまで自分で時間をかけて行っていた広告運用を任せることで、より重要な業務や新たな挑戦に取り組めるようになったのは大きなメリットでした。
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石川氏:なるほど。
合理的かつ柔軟な竹下さんならでは考え方だと感じます。
外部委託をはじめ、これまでアナログだった業務プロセスをデジタル化するなど、様々な改革を行われていますが、産業廃棄物処理業界内ではかなり先進的な取り組みですよね。
竹下さんの経営哲学の根源には業界の枠を超えた視点があるように感じます。
竹下:確かにこの業界では珍しいかもしれませんが、他の業界では当たり前のことも多いです。
なので、新しいことを始めているというよりも、「他の業界の当たり前を自社に持ってきている」という考え方の方が近い。
ただ、誰にでもできることを誰にもできないぐらい長く継続してきたとは思います。
それが結果として独自性に繋がっているのかもしれません。
また後継者についてはまだ決まっていませんが、誰が後を継いでも現在の従業員を含めて皆が安定して生活していけるように、しっかりとした経営基盤を残しておきたいという思いもあります。
3代目社長と創業者の互いへの思い
——長年の協業を続けてきたお二人ですが、お互いの事業に対する思いを聞かせてください。
竹下:私は親が築いた会社を基に、「1→2」にしただけだと思っています。
だからこそ、規模や結果はどうであれ創業者の人を尊敬していますし、ゼロから事業を立ち上げた石川さんは本当にすごいと感じているんです。
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石川氏:そう言っていただけて嬉しいですね。
ただ個人的には、そこまで「0→1」の意識はないんです。色々な企業の成長を見守れるのがこの仕事の醍醐味でありますが、自社のプロダクトを持っていないため、「自分たちのマーケティングが本当に機能しているのか」を実証できない側面もある。
これまで多くの企業を支援してきましたが、「自社の施策がどれほど効果を発揮したのか」を明確に示すのは難しい側面もあります。
なので、「自社でプロダクトを開発し、それをマーケティングの力で成長させる」ことで、実績の裏付けをより強固にしたいと考えています。
竹下:なるほど。
当社とLife Style Innovationさんが協力して、産業廃棄物業界向けに「竹下産業が実践してきたウェブマーケティングのノウハウ」を発信するのも面白いかもしれませんね。
従来の慣習やアナログな業務プロセスが未だ多い産業廃棄物業界にデジタルの力を取り入れるなど、当社は業界の新しいスタンダードを確立する挑戦を続けています。
そして、そんな竹下産業の先進的な取り組みを、マーケティングの力で支えるLife Style Innovation。
2社の協業はどのような未来を築いていくのか、挑戦は今後も続きます。
後編では、Life Style Innovationとの協業で当社がどのようにウェブマーケティングを進めてきたのか、その具体的な取り組みや、長年ウェブマーケティングに携わる石川さんの仕事への思いに迫ります。