水曜日はリモートワークデイ。その理由と、定期リモートワークデイの会社から見たメリット
「今週の水曜日、リモートワークですか?」
神戸ソフトでは、毎週水曜日を全社的なリモートワークデイとしています。これは単なる働き方の選択肢ではなく、組織全体の生産性と従業員の満足度を高めるための戦略的な取り組みです。なぜ、私たちはこのような制度を導入したのか。そして、実際に何が変わったのか。その背景とメリットについてお話しします。
なぜ「水曜日」なのか。導入の背景
定期的なリモートワークデイの導入は、私たちの経営課題から始まりました。
一つは集中力の確保です。オフィスでの業務には、どうしても打ち合わせや雑談、ちょっとした相談など、細かい割り込みが多くなります。特にエンジニアにとって、深い思考を必要とするコーディングやシステム設計は、まとまった集中時間が不可欠です。毎週1日、誰もがリモートで集中できる環境を作ることで、生産性を高めたいという考えがありました。
もう一つはBCP(事業継続計画)対策です。自然災害やパンデミック、その他の予期しない事態が発生したとき、私たちはどうやって事業を続けるのか。定期的にリモートワークを実践することで、緊急時に備えたインフラやプロセスの確認ができます。実際に、この経験が何度も役に立っています。
水曜日を選んだのは、単純で実用的な理由です。週の中盤に設定することで、前半の議論や決定事項を木曜日以降に反映しやすくなります。また、多くの定例会議が月曜日や金曜日に集中しがちなため、その影響を受けにくいタイミングとも言えます。
運用の工夫。セキュリティと管理体制
「毎週やるなら、セキュリティが心配」
こうした懸念は当然です。私たちも、この制度を導入する際に最も気をつけた点の一つが、情報セキュリティと管理体制でした。
セキュリティ面では、以下のような対策を講じています。社内システムへのアクセスはVPNを必須とし、リモートワーク時の端末に対しては定期的なセキュリティアップデートと暗号化の確認を行っています。顧客データを扱う際には、特定の業務に限定した権限設定も実施しており、万が一の端末紛失時にも対応できるようにしています。
管理体制では、オフィスとリモートの間での業務進捗を見える化しました。プロジェクト管理ツールの活用により、チーム内でのタスク状況が共有されるようにしています。また、リモートワークデイにも定例のビデオ会議を開催し、コミュニケーションの分断が起きないようにしています。重要なのは、リモートワークだからこそ、報告・連絡・相談をより丁寧に行う文化を作ることです。
これらの工夫により、セキュリティと生産性のバランスを取ることができています。
社員の反応。集中力と満足度の向上
制度導入から現在まで、社員からの反応は非常にポジティブです。
最も多く聞かれるのが、「通勤時間がなくなる」というメリットです。特に、神戸と東京の両オフィスに勤務する社員にとって、毎週1日の移動時間削減は、心身の負担軽減につながります。浮いた時間を使って、家族と過ごす、あるいは自己学習に充てるなど、ワークライフバランスの向上にもつながっています。
もう一つが、「集中できる環境」です。エンジニアからは、「まとまった時間で難しいコーディングに向き合える」「設計資料の作成に集中できた」といった声が上がっています。オフィスでは避けられない細かい割り込みがないことで、深い思考を必要とする仕事の質が向上したという実感を持つスタッフが多いです。
これらは、単なる「やってよかった」という感想ではなく、実際の生産性指標にも反映されています。プロジェクトの進捗が早まったり、成果物の品質が上がったり、あるいは残業時間が減少したり。数字で見ても、この制度の効果は明らかです。
さらに、満足度調査では、リモートワークデイの導入後、全体的な従業員満足度が上昇しました。これは、単に「自由に働ける」という自由度の問題ではなく、「会社が仕事の質を高めるための環境を整えてくれている」という、組織への信頼感につながっているのだと考えます。
生産性とコストの観点から
経営的な観点では、どのようなメリットがあったのか。
生産性の向上は、前述の通りです。特に、開発案件のスケジュール遵守率が向上し、予定より早く完了するプロジェクトが増えました。これは、顧客満足度にも直結しています。
コスト面では、直接的な削減効果は限定的です。ただし、長期的には、優秀なエンジニアの離職防止、そして採用時の求人競争力向上という、間接的なメリットが大きいと考えています。「働き方を大事にする企業」というブランドイメージは、採用活動において、想像以上に重要な要素です。
また、BCP対策としてのリモートワーク環境整備は、いざというときの事業継続に直結します。これは数字には表れにくいメリットですが、企業のリスク管理という観点では、非常に重要な投資です。
トレンドではなく、実践から学ぶ
「リモートワーク」や「働き方改革」という言葉は、今やどの企業でも聞きます。しかし、実際に組織全体に定着させ、メリットを享受できている企業は、まだ多くはありません。
私たちの「水曜日はリモートワークデイ」は、決して新しい発想ではなく、むしろシンプルな実験です。ただし、その実践を通じて、「生産性と満足度は両立できる」「セキュリティと自由度は共存できる」といった学びを得ました。
大切なのは、トレンドを追うのではなく、自社の課題から出発し、小さく始めて、実際の反応を見ながら改善していくこと。私たちにとって、毎週水曜日は、その試行錯誤の継続なのです。
ライトエンジニア層の皆さんが、神戸ソフトで働くなら、こうした「実践的な働き方の工夫」を、実際に体験できます。集中力が必要な案件に向き合える環境、そしてそれを支える組織的なサポート。そのバランスを大事にする会社として、私たちはこれからも進化していきます。