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「日本の産業を盛り上げたい」その答えは人工知能・機械学習の「教育」でした。
はじめに
最近はインターン生から社員になってくれた正社員第1号の今西くんと話す機会が多く、「なぜこういう風に考えたんですか?」「どんな学生時代だったんですか?」と聞かれることが多く、自分のルーツについて考えることがよくあります。
今回は、弊社のひとつの柱である「教育」になぜ注目をしたのか、そしてどのようなこだわりをもって教育に携わっているかについて綴ります。
自分でも軽く書くつもりでしたが、思った以上に熱が入ってしまいました。かなり長文です。
それぐらい気合いを入れて日本の産業を盛り上げたいと思っているので、みなさま、読んでいただけると幸いです。
そして、「この若者は熱い!」と思っていただけた方は、FacebookやTwitterで一推しのコメントと共にシェアしていただけると感激です。
株式会社キカガクとは?
まずは弊社の名前を初めて聞かれる方も多数いらっしゃると思いますので、簡単に紹介させてください。
キカガクは、「教育(キ)」、「課題設定(カ):コンサルティング」、「学習モデル構築(ガ):データ解析」、「組み込み(ク)」までの人工知能・機械学習技術の導入を最終目標としていますが、現在はその発端である「教育」へ主に専念している状況です。
起業して早9ヶ月以上経ち、弊社でのセミナー動員人数は1000人を超えました。
これはオンラインではなく、オフラインでセミナーへいらしていただいた人数です。
とても嬉しいです。みなさま、本当に有難うございます。
弊社での教育活動以外にも、
- 日本Microsoft社、Preferred Networks社の公認データサイエンス人材養成トレーニング企業
- SOMPOホールディングス・G's Academy主催 Data Science BOOTCAMPのメンター
- G's Academy 公式メンター
- Build INSIDER コラム執筆
- Think IT コラム執筆
- Udemy 講師
と各所の大手企業や大手メディアでのAI技術を盛り上げる企画に参画させていただけるようになりました(※準備中も含む)。
人工知能・機械学習の「教育」をはじめよう
教育を最初からやりたかったわけではなかった。
教育に着目した理由は、「スキル面」と「事業面」の2つの観点がありました。
起業するからといって、自分のやりたいことだけを推進できるかというと、もちろんNoであり、ビジネスとして成立することを選択しなければいけません。
そこで、実現可能性(スキル面)が高く、かつ事業面(重要性)も高いことを選択しようと決めていました。
学生時代に機械学習の研究を行い、日本や国際学会での受賞歴、社会人になった後も大きなイベントでの登壇歴など、私自身にはスキル面ではこの分野でやっていける基準は満たされているなと感じていました。
そうなるとこのスキルを活かして、どのような事業を展開するかでした。
AIって人間よりもすごいんだよね?
最近でこそありふれてきていますがAIを活用したサービスを作るのもあり、事業会社の中に入ってコスト削減のためのプロジェクトへ参加するのもありでした。
サービスを作るにしても、コンサルティング依頼を受けるにしても現場の意見を元に作り上げていくのがベストと感じ、各社にご意見伺いに行くと、
「AIって囲碁で人間に勝ったんだよね?もう人間よりすごいなら、うちの会社でも人間を代替できるシステムを作りたいから手を貸してよ」
といったように、世の中のAIに対する認識に齟齬が生じていることを一次情報として感じました。
日本は少子高齢化社会となっており、これから人口の減少がほぼ確実な中、AIが減少する労働力を補うために非常に重要な役割を担うことに間違いはありません。
そんな中、日本ではAIの技術を導入することはおろか、AIの技術に対してここまで理解がないのかと落胆する日々が続きました。
これは、認識の齟齬が生じていた人が悪いわけではありません。
「基本なくして応用なし」
そんな当たり前で誰でも知っている言葉がまさにAI業界にぴったりだなと。
単純に「教育」が足りていないだけなのです。
さらに「教育」といえど、初等教育に組み込むものではなく、現ビジネスパーソンに対する教育です。
資格を取るような教育ではありません。
導入して運用してもらうために必要な教育です。
日本の人工知能・機械学習の教育はどうなっているのだろう?
そこで、日本における人工知能・機械学習の教育がどの程度のものかを調べ始めました。
余談ですが、この頃から「AIに対する勉強不足だ」とTwitter上で愚痴とそれに対する解決策を言う人はたくさんいましたが、それに対して実行に移す人はほとんどいませんでした。
私の知る限り、この時点でビジネスとして教育を提供されていたのはUEIの清水さんだけでした。
現在その清水さんとDeep Learning Labという形で関わらせていただけて本当に光栄です。
また、学生時代に「人工知能はこれからの日本の一大産業になる」と力強く日本中へ教えてくださっていた元Google US副社長・Google JP社長の村上さんにも大きく影響を受けていました。
先日、村上さんと恵比寿で食事をご一緒できた際に、「この業界を本気で大きくしていくために、まず教育から始めました」とお伝えし、「素晴らしい」と励ましのお言葉をいただけて非常に光栄でした。
話は逸れましたが、有識者がアクションを起こさなければ何も変わらない。
当たり前の話ですが、誰も行動を起こさないのです。
なぜでしょうか。
なんで誰もアクションを起こさないの?
よく考えてみると当たり前でした。
現在、AI開発を含めたデータ解析ができる人材は引っ張りだこであり、そのスキルを持った人はトッププレーヤーとして活躍しており、個人として(キャリアや収入面)最適化するならば、このトッププレーヤーになる選択がベストだからです。
個人としての観点で見たときにはそうかも知れませんが、日本の産業として大きく見たときにはどうなのでしょうか。
コーチという仕事はプロだけでなく、小学生にも必要
例えば、小学校・中学校と私が青春を捧げた野球で考えてみましょう。
一流の野球選手が輩出されている裏側には、小学生時代のコーチ、中学生時代のコーチ、高校生時代のコーチ、プロ野球チームの監督と、その選手を支えてきた人たちが存在するはずです。
それが今のAI業界ではどうでしょうか。
大学の先生方は間違いなくプロ野球チームの監督であり、小学生のコーチや中学生のコーチがいるでしょうか。
いまプロ野球選手として活躍している人たちでも、小学生時代からプロ野球チームの監督の指導方法だと挫折してしまうに違いありません。
これが今のAI業界の実態です。
プロ野球選手(トッププレイヤー)とプロの監督(大学の先生)しかいない現状では、この分野を大学時代に専攻していないと、後々学ぶことは難しいといえます。
もちろん、一部、参考書などを独学で進めて身につけられたよという方もいらっしゃると思いますが、全体として見ると、そういった方はごく少数と言えます。
これが私が見つけた当たり前のようで誰もアクションを起こしていない1つ目の問題でした。
「AI業界にとっての小学生のコーチになる」
これは私自身や社員には何度も何度も言い聞かせているセリフです。
受講生ファーストのカリキュラムを作るために
ここで、事業面として、初学者向けに人工知能という技術を正しく理解していただけるようなサービスを展開しようと決め、次にどのような手段で普及していこうかと考えました。
私自身、プログラミングをドットインストールで学び、このスタイルが非常に素晴らしかったため、書籍だけではなく動画による教育スタイルもありだと感じていました。
また、ドットインストールでは動画でのプログラミング学習サービスとして着目されがちですが、個人的には、ひとりの先生が統一して教え続けるスタイルに魅力を感じていました。
こういった技術は、それぞれのスキルを点として、その点を線へと繋げた時に納得のいく理解が得られます。
各技術を点としてそれぞれの先生に習っても線へと繋げることは難しく、これをひとりの先生に連続して教えてもらえると、いとも簡単に線へと繋ぐ事ができます。
これを自分の中で実現してくれたサービスがドットインストールであり、とても感謝しています。
そう考えると、この人工知能や機械学習といった分野はまさに同じであり、「微分積分」「線形代数」「確率統計」といった基礎数学から始まり、「線形モデリング」「非線形モデリング」「最適化」「ベイズ統計」といった応用数学、「画像処理」「音声処理」「自然言語処理」といったデータ特性込みのモデリング、「Python」「クラウド」「並列化」「GPU」「Web API」といたコンピュータサイエンスやデータエンジニアリングといった要素まで横断的に知っておく必要があります。
これをそれぞれで学ぼうとすると膨大な時間がかかり、おそらく習得して職に活かすことができる人はほんの一握りになってしまいます。
そこで、この横断的に理解できないと活かすことができない分野を効率よく習得できるオリジナルのカリキュラムを作ろうと決め、ドットインストールで得たヒントもあり、私自身一人でカリキュラムを作りきることを徹底しました。
ビジネスパーソンに教えるためのカリキュラムは、絶対に中途半端な理解の人が作ってはいけません。
なぜならば、全てを知っているからこそ「必要最小限」でお伝えすることができ、忙しいビジネスパーソンに必要な要素は、この「必要最小限」だからです。
私自身もこの分野に腰を据えてかなり勉強してきましたが、カリキュラムを作るために少なくともこの分野の専門書をさらに100冊以上は読み直し、今でも徹底して新しく出版された本はほぼ全てチェックしています(一部の人からは人工知能・機械学習の参考書ソムリエと呼ばれることも、、、笑)。
これにより、今までになかった機械学習を習得して実運用していくために必要最小限で学べるカリキュラムが完成しました。
キカガクでのセミナーに参加していただけた方はかなり多くの方がリピーターとして別のセミナーも受講していただけるのですが、理由を聞いてみると、
「キカガクほど費用対効果の高いセミナーは過去に見たことがない」
「間違いなくこの業界で日本一質の良いセミナーです」
と、皆さんに嬉しいお言葉をいただき、自分のこだわった点が、受講生のみなさんにとって良いカリキュラムとなっているようで非常に嬉しいです。
「大人」に教えるには一筋縄ではいかない
「受講生の対象レベル」、そして「カリキュラム」の方向性を決め、「この授業をどのようにして展開していくか」が最後のお題でした。
最近流行っているスタイルであれば、動画配信やWebアプリケーションといった形式で一度作り上げてしまえば、あとは何人でも受講できる形式が事業のスケールを考えると望ましく、正直一番儲かるだろうと思いました。
しかし、ここで1つ懸念点がありました。
これまで過去に大人向けにスライドを使用して数式も含めたプレゼンテーションを何度か行ったことがありますが、そのメモを取っている人は毎回稀であり、多くの人が聞いて終わりでした。
しかも書かない人に限って、プレゼン後に話しかけてきて、「今日のスライドを配布してほしい」と言われることがあり、「本当に必要ならメモを取れば良いのでは・・・?」と、いつも疑問でした。
その経験も踏まえ、私の浅はかな社会人経験で得られた教訓として、大人は思っている以上に聞き流すことに慣れているといったことでした。
なんでこんなに大人は聞き流すのだろう?
大学院卒業後に新卒で入った事業会社では結構な数のミーティングがありました。おそらくどの会社でもほぼ同様でしょう。
そして、自分自身が入るべきかは不明ですが、「共有の手間が省ける」といった理由で、ミーティングへの参加が強制されます。
結局、その場で自分自身が情報を全て受け取る必要がないため、誰かがプレゼンしている様子をなんとなく見物しておき、必要な箇所のみを適当にメモを取っておけばOKなのです。
そういったことがおそらく当たり前のように繰り返されている社会人では、必要な箇所以外を聞き流すといったスキルが発達していきます。
その結果、手書きという手段から次第に離れていきます。
そして、話は紆余曲折しますが、一番勉強して定着したと感じている時期の勉強スタイルはいかがだったでしょうか。
ただただ流れるスライドを眺めていた時期か、先生が黒板に書いていく内容を一緒にノートへ書き写していた時期かどちらでしょうか。
ほとんどの方が後者を選ばれるのではないでしょうか。
勉強を教えるには自分が一番勉強していた頃を思い出すだけで良かった
新しいことを覚えるには内容をさらっと見るだけでは難しく、手でゆっくりと書きながら、それでも完璧な理解までは到達できず、自分の中で手書きでコメントを書いたり、途中式を追ってみたりして、初めて納得できるのではないでしょうか。
こう考えると、「手書き」が重要なことは言うまでもありません。
しかし、事業として成立させるにはまだ考える必要があり、「どのように大人に手書きをさせるか?」でした。
そして、これは難しいことではなく、講師自身が手書きで教えると、
「あ、この授業はノートに書かないといけない」
といった雰囲気が生まれ、まったく抵抗なく手書きをはじめてくださるのです。
こんな簡単な解決策ではあるのですが、弊社のセミナーが講師の質やカリキュラム以外に提供していて他とは全く異なるものとして、
「手書きで学べる雰囲気の場所」
なのです。
教育というとカリキュラムや講師の質に注目されがちですが、腰を据えて勉強できる雰囲気を整える環境も習熟度を大きく左右する要因です。講師、カリキュラム、そして環境。
これが「大人」に勉強を教えるために忘れられがちですが、大事な要素でした。
受講生と楽しく過ごす
今でも定期的に行っている活動としてワイワイ盛り上がれる懇親会を開催することです。
お越しいただく以上は京都出身である私にとっては最高のおもてなし!と気合を入れてお酒や飲み物を準備していると、いつも赤字(笑)。
それでも、この写真がこの場の大切さを物語っているのではないでしょうか。
キカガクOBのみなさま、毎回お忙しい中、駆けつけていただき、ありがとうございます。
おわりに
書き終えてみると、「誰に向けて書いたのだろう?」とライターたるものペルソナ設定が甘い内容となって猛省しておりますが、それでも
「この分野にこんなに情熱を捧げている人がいる」
と思ってもらえれば非常に嬉しい(自己満足な)記事を書くことができました。
課題を見つけて指摘することは簡単ですが、それに対処し改善していくことは簡単ではありません。
AIの分野は、まさにこの状態にあり、このままでは日本のAIへの期待値バブルが弾けてしまうことは近い将来間違いなく起きることでしょう。
それをバブルが弾けてから嘆くか、「ほら見たものか」とまた指摘するだけで終わるか、それとも、大変ですが粘り強く対処することで明るい日本の産業へと導くか、このどのポジションを取るかで日本の将来は変わってきます。
ぜひ、弊社で(いえ、この際、弊社で無くても構いません)、AIに関する技術を少しずつではありますが普及していき、少子高齢化が進み、労働力不足が嘆かれる日本に、明るい一手を打てる人材となりませんか。
一緒に日本の産業を盛り上げましょう!
では、最後に大事なことなので、もう1回言わせてください。
「この若者は熱い!」と思っていただけた方は、FacebookやTwitterで一推しのコメントと共にシェアしていただけると感激です。
長文をお読みいただき、誠にありがとうございました。
株式会社キカガク
代表取締役社長 吉崎 亮介
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著者紹介
代表取締役社長 吉崎 亮介
現在、株式会社キカガクの代表取締役を務めており、人工知能・機械学習といった素晴らしい技術を多くの方にお伝えするために、教育から始まり、コンサルティング、データ解析、アプリケーションへの組み込みまで担当。
日本の産業を盛り上げたいという想いから会社を設立し、創業から半年で大手企業のデータサイエンスに関する取り組みに多数参画。
難しいことを噛み砕くことが得意であり、この特技を生かして、世の中に学ぶことが難しいと思われている人工知能・機械学習に関する技術をいかに分かりやすく伝え、適切に導入してもらえるかが私自身の役割だと感じています。
経歴
2017年1月 株式会社キカガクを創業
2017年4月 Sompoホールディングス・G's Academy主催のData Science BOOTCAMPの講師に任命
2017年6月 Microsoft・Preferred Networksのデータサイエンス人材育成の公認トレーナーに任命