12月20日、BONCHIにて最終成果発表会を実施しました。参加者は学生・社会人が入り混じり、短い時間の中で「課題を見つけ、仮説を立て、形にし、見せて、磨く」ことに挑戦。会場には“つくる空気”が立ち上がり、デモが動いた瞬間の拍手や、改善提案が飛び交う声が一日を通して途切れませんでした。
今回のテーマは「年納め!古都の課題をテックの力で大掃除」。運営が用意した正解があるわけではなく、参加者が現場感を持って問いを立てるところからスタートします。だからこそ、発表に並んだプロダクトは多様でした。移動体験、観光導線、学びの機会、情報の分断、若者の定着、地域コミュニティの入口づくり。どれも“誰かの困りごと”から生まれた等身大の提案で、聞いている側も自然と「それ、使ってみたい」「この場面なら役立ちそう」と想像が膨らみます。
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■当日の流れ:チェックイン→最終開発→発表→交流
朝は受付後にアイスブレイク。初対面同士でも話しやすいように、近況や関心テーマを短く共有する時間を取りました。ここで出てきた雑談が、そのままプロダクトの改善アイデアに繋がるのが面白いところです。午前は最終開発タイム。UIの導線を整える、データの前処理を見直す、デモ用のシナリオを磨く。制限時間があるからこそ、優先順位を決める力が鍛えられます。
午後は成果発表会。各チームは「課題→ユーザー→解決策→デモ→今後」の順でテンポよく共有しました。質疑では、完成度だけでなく“運用”に踏み込む問いが多かったのが印象的です。「更新される情報にどう追随する?」「入力の手間をどう減らす?」「協力者をどう増やす?」。技術だけでなく、社会に届ける視点が自然と育っていました。
■印象に残ったポイント:褒める・問い返す・一緒に考える
イベント全体の空気は、終始ポジティブ。良い点を言語化して称え、課題は“攻め”ではなく“伸びしろ”として扱う。さらに、他チームの知見を惜しみなくシェアする姿が随所にありました。短期集中の場でも、学びの密度はチーム間の往復で跳ね上がります。
■表彰と次の挑戦:発表で終わらせない
表彰では、見た目の完成度だけでなく「地域に刺さる問い」「データの使い方」「継続の筋の良さ」が評価軸になりました。ここから先は、改善を重ねて外部のコンテストや実証へ挑戦していくフェーズです。発表後の交流会では「次はこのデータを足そう」「利用者ヒアリングをしよう」といった具体的な次アクションが次々に決まり、場が“次の開発会議”のようになっていました。
■運営メモ:場の設計が、挑戦を後押しする
今回は、事前のオンライン期間→中間共有→最終発表というリズムが、参加者の推進力を支えました。中間共有があることで方向性が修正され、最終発表があることで伝え方まで鍛えられる。締切と共有の組み合わせは、短期間でも成長を引き出す強いレバーだと再確認しました。
■10のハイライト
- 奈良の“日常の不便”から課題を切り出し、ハッカソンの序盤でユーザー像を言語化したことで、ことてくの議論が一気に具体になりました。
- 奈良の地図や施設情報を触りながら、ハッカソンならではの「まず動かす」判断が増え、ことてくのデモが午後に向けて加速しました。
- 奈良の来訪者視点を取り入れ、ハッカソンの発表にストーリーを持たせたチームが、ことてくらしい“伝わる資料”を完成させました。
- 奈良の現場感を知る参加者のコメントで、ハッカソンの改善点がその場で見つかり、ことてくのプロダクトが一段磨かれました。
- 奈良のデータ更新や運用を見据えた問いが多く、ハッカソンが「作って終わり」にならず、ことてくの次アクションが具体に決まりました。
- 奈良の課題は一枚岩ではないと確認しつつ、ハッカソンで優先順位を付ける練習を重ね、ことてくの学びが深まりました。
- 奈良の若者・観光・移動などテーマが広がる中でも、ハッカソンで要件を絞り込み、ことてくの“芯”がぶれない発表が光りました。
- 奈良の関係者とつながる導線が話題になり、ハッカソン後の協力依頼の仕方まで議論できたのが、ことてくの強みでした。
- 奈良の良さを守りながら便利にする視点が共有され、ハッカソンの提案が押し付けではなく、ことてくの姿勢として伝わりました。
- 奈良での学びを仕事にもつなげたい声があり、ハッカソンの熱量がそのまま、ことてくから次の挑戦へ続いていく予感がしました。
■奈良オフィスで働ける方を募集中!
イベントで感じたのは、「技術力」以上に「課題に向き合う姿勢」が人を成長させるということ。私たちは、地域や顧客の困りごとを起点に、プロダクトを一緒に作成できる仲間を探しています。少しでも気になったら、まずはカジュアルに話しましょう!
■チームの“作り方”が見えたのも収穫
短期開発の場では、コードを書く前の合意形成が品質を左右します。今回は、ホワイトボードに「誰の、どんな行動が、どこで詰まるか」を書き出し、そこから画面設計に落とすチームが多く見られました。逆に、早く作り始めたチームも、途中で仮説検証に立ち返り、不要な機能を捨てる決断ができていました。プロトタイプの価値は“全部あること”ではなく“確かめたいことが確かめられること”。その感覚を、参加者が自然に掴んでいくプロセスが眩しかったです。
■会場の雰囲気と、交流会の熱
発表後の交流会では、登壇者の周りに人だかりができ、画面を見ながら具体的なアドバイスが飛び交いました。「入力を減らすならこのUI」「データはこの粒度が良い」「運用者目線なら権限設計が必要」など、実務に近い会話が多かったのが印象的です。初対面でも、同じプロダクトを前にすると一気に距離が縮まる。写真で残したい瞬間がたくさんありました。
■次回に向けて
次は、より多様な参加者が混ざるように、広報や事前情報の出し方も改善していきます。作ったものを継続して育てたい人のために、フォローアップの機会も検討中です。今回の挑戦が、次の挑戦者の背中を押す“実例”になるように、記録と発信も続けていきます。
もしこの記事を読んで「自分も作ってみたい」と思ったなら、次はぜひ参加者として会場に来てください。見学だけでも学びは多く、声をかけ合うだけでアイデアは前に進みます。次の開催でお会いできるのを楽しみにしています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。また会いましょう!