透析液濃度管理、検体検査装置、病理・細胞診検査など、多様な医療機器を世に送り出している常光。機器開発の要となるのが、医療機器メーカー事業です。
医療機器開発部長の千葉は「技術者でも開発“以外”のスキルが身に付き、お客様を身近に感じられるのが常光の魅力です」と話します。
今回は、千葉に医療機器開発部の業務内容や魅力を聞きました。
▼略歴
医療機器メーカー事業開発部門 部長 千葉
地元北海道の工業大学にて電子工学を専攻。大学院修了後に常光へ新卒入社し、開発部に配属される。以降、開発一筋で開発部長に就任した現在も医療機器の開発に向き合っている。
※本記事に記載の所属・内容については公開時点のものです。
失敗も多かった。周囲に教わり、実践しながら開発に向き合ってきた
ーー本日はよろしくお願いします。千葉さんは大学院卒業後、新卒で常光に入社されたんですよね。入社後はどのようなお仕事をされてきたのでしょうか?
私が入社した当時は、ちょうど新規のプロジェクトが動き出したタイミングだったこともあり、入社早々に専門分野であるハードウェアの設計に加えて、ソフトウェア設計にも関わらせてもらいました。
実務経験がない中では、試行錯誤の連続でしたが、諸先輩方に教わりながら仕事を覚えていきました。その後は、国立研究開発法人へ出向。約2年間の共同研究に携わりました。
共同研究を終えた後は、再び常光の技術研究所に戻り、開発プロジェクトのリーダーに就任。開発作業を進める上での計画や設計、マネジメントを並行して行いました。
共同研究から戻った直後に、突然のプロジェクトリーダー職だったので、開発の全体像を理解するところから始め、ここでも上司や先輩に教えを乞いながら前に進むといった状況でしたね。
今思えば、その時々で自分の実力より少し上のレベルの業務を任せてもらい、学びながら仕事を進めてきたように感じます。
ーーそういったご経験を経て、医療機器開発部長に就任されたんですね。今までさまざまなプロジェクトに携わってこられて、大変だったことも多かったんじゃないでしょうか?
日々、大変なことはあるのですが、今日までにさまざまな失敗をしてきたなと思います。
新規開発をしていても製品化に至らないこともありました。先述した国立研究開発法人との共同研究もそうでしたね。「研究成果をもって、製品化したい」という会社の期待を背負っていましたが、なかなかうまくいきませんでした。
入社3年目で経験も浅く「何をどうしたらいいんだろう」と悩んだことも。研究を進めていく中で「製品に結びつくかわからない」という状況と会社からの期待のギャップをどう埋めるべきなのか考えさせられました。
当時は非常に大変でしたが、キャリアの早い段階で苦しい経験ができたので、自分の中では大きな成長につながったとも感じています。研究・開発における期待値の調整は今でも難しいテーマだと思っているので、そこに向き合う胆力をつけてくれたプロジェクトでした。
他社にはない幅広い業務で、スキルの幅が広がっていく
ーー医療機器開発部の特徴を教えてください。
私たち医療機器開発部では、主力製品の電解質分析装置や赤血球沈降速度測定装置、病理検査機器の開発をメインに、他企業から依頼された製品の開発請負や医薬品医療機器総合機構(PMDA)の申請代行の業務を行っています。
組織編成としては、私を含めて15名。開発する製品群ごとに概ね「電解質分析装置や赤血球沈降速度測定装置などの生化学系の機器を開発する」開発1課と「病理・細胞診検査の機器を開発する」開発2課に分かれています。
加えて、開発部員たちは各々専門分野を持っており、電子設計、機械設計、化学設計、ソフトウェア設計と4つのグループのいずれかに配属されているんです。
また、完全に自社組織のみで開発するスタイルの他、外部の企業と協業して開発することも増えてきました。外部の協力会社とも連携することで、対応できるプロジェクト数も増え、互いの専門性を共有する利点があると考えています。
ーー必要に応じて、内製で進めるか、他社と協業するかも決めているんですね。開発プロジェクトがスタートした後は、どのように進行していくのでしょうか?
まずは、計画を立てて、開発をするために必要な項目や人員の洗い出しをするところから始まります。そして、プロジェクトの規模に応じた人員が、各専門分野のグループからアサインされて、プロジェクトが進んでいくんです。
開発に関わるのは開発部員だけでなく、営業部門とも連携し「どのような開発をするのか」という仕様を検討する段階からすり合わせを行います。
設計が進み、大枠の方向性や形態が定まった段階で実施されるのがデザインレビュー。営業部門や製造部門から設計内容に対するフィードバックをもらいます。
たとえば、営業部門であれば「メンテナンスのしやすさ」や「使いやすさ」の視点を持っていますし、製造部門であれば「組み立て方はどうなるのか」「特殊な部品を使っていないか」といった要望を出してくれるんです。製造部門は「機器を量産する」という役割を担っているので、より量産のしやすさを考え、部品が一般的に手に入りやすいものかなどの視点を持っています。
このように、他の部門と連携して開発を進めていき、おおよそ2〜3年をかけて、製品を販売開始まで漕ぎ着けるんです。
販売開始後も予期せぬ不具合や営業部門や製造部門、お客様からの問い合わせ対応のフォローがありますので、プロジェクト自体は継続的に続いていきます。
ーー常光で医療機器を開発する「やりがい」を教えてください。
他の部門にも言えることかもしれませんが、幅広い業務に関わる機会があり、あらゆるスキルが磨かれるので、得られるものが多いです。
先ほどお伝えした通り、技術者には電子設計、機械設計、化学設計、ソフトウェア設計といった専門があります。実は、それ以外にも開発業務に紐づいて、やるべきことは多岐にわたるんです。
たとえば「何を作るか」という開発企画の段階で、営業担当者とお客様のところに出向いてヒアリングを実施することもありますし、製品完成後は組み立て方法や手順、検査内容を記載した書面を作成して製造部に共有します。
また、製品について一番知っているのは開発部ですから、製品カタログなどの制作も行ったりするんです。開発技術とは全く異なるスキルですが、表現方法や見せ方なども勉強したり、お客様先で技術的な観点での勉強会の講師をしたり。他社の開発部門では、こういったプレゼンテーション能力やカタログ等の制作スキルが身に付く経験はなかなかできないのではないかと思います。
ヒアリングや勉強会などでお客様と接する機会があるということは、自分が開発した製品が「実際にどのように使われているか」を知ることができるということです。
営業担当者から間接的に聞くのではなく、お客様から直接フィードバックがあるのは大きなやりがいにつながると思います。
「これをやりたい!」という積極的な姿勢を歓迎します
ーーあえて、現在の組織課題をあげるならどのようなものがあるでしょうか?
やはり、一番は「もっと人手がほしい」というところですね。
私たち常光の強みは、営業部門を筆頭にお客様と密なコミュニケーションを取り「お客様の生の声」を拾って、それを製品に反映できるというところ。
とはいえ、開発部員も限られており「全部引き受けて、開発しましょう!」というわけにはいかないのが歯痒いところです。どうしても「市場の大きさや緊急度に応じて、順番に…」と進まざるを得ません。やりたいことに対して、まだまだリソースが足りていない部分が多いので、ぜひ力を貸してくれる方を募集しているところです。
また、永遠のテーマとも言えるのが「品質」ですね。品質向上の取り組みに終わりはありません。「どうすれば、もっと製品の品質を高められるのか」を常に考え、品質向上につながるような業務効率化なども検討していかねばと思っています。
ーー医療機器開発部の今後の目標を教えてください。
先ほどもお伝えした通り、やりたいことはたくさんあります。
中でもビジネス領域について考えると、現状は「BtoB」ビジネスに注力していますが、将来的には「BtoC」の領域にも挑戦していきたいです。いわゆる一般の方向けのヘルスケア製品を開発・販売して、より多くの方の健康に寄与できると面白いのではないかと考えています。
ーー最後に、採用メッセージをお願いします!
これまでお伝えしてきたことと重複しますが、常光では技術者として稀有なスキルを身につけられるほど、さまざまな挑戦ができる環境です。それゆえに「これをやりたい」と手を挙げてくだされば、自由に提案をしてもらえる職場だとも自負しています。
そのため、自ら能動的にさまざまなことを経験したいという活発な方とは相性の良い会社です。入社前から高い専門性や技術スキルを持っている必要はありません。
私自身「入社してもらってから、一から教えられればいいな」というスタンスを持っていますので、興味があって挑戦してみたいという気持ちだけでも、ぜひ応募いただければと思います。