24時間365日システムを安定稼働させるために欠かせない運用保守業務。
その中でも、障害発生時の対応スピードは重要なポイントです。
そんな中で注目されているのが、インシデント対応自動化ツール「PagerDuty」です。
今回は、実際にPagerDutyを導入して運用保守業務に組み込んでみた体験談を交えつつ、メリット・デメリット、導入時の注意点などを紹介します。
目次
PagerDutyとは?
実際に運用に組み込んでみた結果
✅ メリット1. 通知の自動化が便利すぎる
✅ メリット2. オンコールスケジュール管理が超便利
✅ メリット3. インシデント対応の見える化が進んだ
✅ メリット4. 関係者の巻き込みがスムーズ
⚠️ デメリット1. 英語表記が多く、最初はとっつきにくい
⚠️ デメリット2. コストが高め
⚠️ デメリット3. 最初の設定が複雑
⚠️ デメリット4. アラートが多すぎると逆に疲れる
PagerDutyの運用保守で気をつけたポイント
まとめ:PagerDutyは運用保守の味方か?
PagerDutyとは?
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PagerDutyは、インシデントの通知、対応フローの自動化、エスカレーション、関係者への連絡などを一元的に管理できるクラウドサービスです。運営会社は、2010年に設立されました。
PagerDutyは、リアルタイムのアラート管理、通知、障害のトラブルシューティングを通じて、運用チームが問題に迅速に対応できるようサポートしています。
また、ZabbixやDatadogなどの監視ツールと連携することで、アラートを自動でPagerDutyに取り込み、関係者へ通知することで、対応フローをトリガーします。
システムの運用監視業務に興味がある方は、こちらをご覧ください。
実際に運用に組み込んでみた結果
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ここからは、実際にPagerDutyを使って運用保守した感想をメリット・デメリットにわけて紹介します
✅ メリット1. 通知の自動化が便利すぎる
アラートが発生すると、PagerDutyが即座にユーザーへ通知します。
インシデント情報は、メールや電話、SMS、モバイルアプリなどさまざまなチャネルを通じて届けられます。
通知の自動化により、オンコール担当者に確実に通知が届き、通知漏れのリスクを大幅に軽減できるでしょう。
✅ メリット2. オンコールスケジュール管理が超便利
PagerDutyのシフト機能は、当番制のスケジュール管理を自動化し、通知を適切な担当者に送る仕組みです。
あらかじめシフトを設定しておくことで、当番の担当者のみに通知が届くようになります。
そのため、休日や深夜の対応が特定の人に偏ることなく、チーム全体で平等に対応できるようになるでしょう。
✅ メリット3. インシデント対応の見える化が進んだ
PagerDutyのタイムライン機能は、インシデント対応の経過を自動で時系列に記録する機能です。
対応の履歴やタイムラインは、自動で記録されます。
そのため、後からの振り返りがしやすくなります。
また、ポストモーテム(事後検証)にも活用できることで、ナレッジも蓄積できるでしょう。
✅ メリット4. 関係者の巻き込みがスムーズ
PagerDutyを利用すると、インシデントが発生した際には、関係者をすぐに招集(エスカレーション)できます。
また、SlackやTeamsなどのオンラインツールを連携することによって、連絡体制もスムーズかつ効率的に整います。
⚠️ デメリット1. 英語表記が多く、最初はとっつきにくい
UIやドキュメントは、基本的に英語で提供されています。
日本人のユーザーもいますが、日本語でのサポートが少ないため、初めて使う人にとっては戸惑うこともあります。
しかし、翻訳ツールを併用したり、慣れたりしてしまえば大きな問題はありません。
⚠️ デメリット2. コストが高め
PagerDutyの主要なプランと料金(月払い)は、以下の通りです。
- Free:無料
- Professional:$25
- Business:$49
- Digital Operations:応相談
プロフェッショナルプラン以上は月額費用が比較的高く、小規模なチームやスタートアップにとってはコストが負担になります。
⚠️ デメリット3. 最初の設定が複雑
PagerDutyを使い始めるためには、監視ツールとの連携やロール設定、スケジュール管理といった初期設定が必要です。
PagerDutyの初期設定を進めるためには、ある程度の工数がかかります。
そのため、導入時に運用ルールを明確にしておかないと、運用が混乱しやすくなります。
⚠️ デメリット4. アラートが多すぎると逆に疲れる
監視設定が不十分だと、深夜でも些細なアラートが大量に届くことがあるでしょう。
そのため、終日アラートが頻発すると、対応する側が疲弊してしまいます。
通知量を抑制するためには、アラートのしきい値や通知ルールを適切に最適化する必要があります。
PagerDutyの運用保守で気をつけたポイント
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PagerDutyの運用保守では、以下の3つを意識しました。
- オンコールルールを文書化:誰がいつ対応するのか、一次対応フロー、エスカレーションの基準などを明確にする。
- 不要アラートの抑制:監視ツール側でアラートの重要度を見直し、PagerDutyに連携させるのは本当に対応が必要なものだけに絞る。
- 振り返り文化の定着:インシデント対応後は、PagerDutyの履歴をもとにポストモーテムを行い、再発防止と改善に役立てる。
PagerDutyを利用しようとしている方は、検討してみてください。
まとめ:PagerDutyは運用保守の味方か?
答えはYES。ただし、設計と運用ルールが重要!
PagerDutyは、運用保守の「対応スピード」と「対応品質」を向上させる強力なツールです。
ただし、
- アラート設計
- オンコール体制の整備
- チームでのルール共有
ができていないと、むしろ通知疲れや混乱を招く恐れがあります。
ツールに使われるのではなく、ツールを使いこなす意識が大事です。
導入を検討している方は、まず無料トライアルで試してみて、自社の運用スタイルに合うかどうかを見極めてください!
PagerDutyを上手に活用して、「スマートな運用保守」 を目指しましょう!
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