ベンチャーキャピタルと研究の関わりとは? (2019/12/10 18:45〜)
研究とベンチャーキャピタルの関わりは研究に従事している方からはわかりにくいというのが実情ではないでしょうか。 VCの ANRI 宮崎さんがブログを投稿し、それを読んだ研究者の方々からの熱い要望にお答えして開催が決定されました。 ブログ: 研究者の選択肢の1つ ...
https://reprua.connpass.com/event/154477/
※内容は、2019年12月時点のものです。
「研究者が研究に没頭できる世界をつくる」をミッションに研究支援事業を行うInner Resource。第一弾として研究業界に特化したクラウド購買システム「reprua(リプルア)」を提供し、2018年9月の正式サービス開始より利用者数は民間企業約40社、研究機関90ラボに達する等業界から関心を集めている(2019年11月現在)。また東京都が支援するアクセラレータプログラム「Blockbuster TOKYO」に採択された。
私の感想です。一人一人の参加者がとても魅力的で改めて、このような場を用意でき、本当に嬉しかったです。皆さん、個人個人が課題を持って参加されており、お陰様でとても良いディスカッションができました。
参加された皆様のおかげで、あの場がとても良い雰囲気になりました。改めて、
ご参加いただいた皆様本当にありがとうございました!!
2時間という短い間でしたが、講演中、その後のパネルディスカッションまで皆さん質問が途切れることがありませんでした。白熱した質疑応答、新たな論点が見え、また質問が深まるというサイクルが繰り広げられ、あっというまに時間が経ってしまいました。
満員御礼で迎えた、ベンチャーキャピタルと研究の関わりとは?が開催されました!!本日は熱狂で終わったイベントレポートをお送りしたいと思います。
このイベント開催のきっかけになった一つのブログがあります。それはベンチャーキャピタルANRIさんの宮崎さんの「研究者の選択肢の1つ」というブログです。ぜひ、下記のリンクを読んでみてください。
インターネットも科学技術もスタートアップのチャレンジが社会のエンジンとしてアメリカでは認識されています。日本でもこの10年でインターネットの文脈ではスタートアップは普通のものになってきましたが、科学技術の分野では未だ日本発のスタートアップというとペプチドリーム含めて数件であり、代表格は常にペプチドリームという感じがしています。日本の研究者の皆さんの優秀さからして、ここの層がもう少し厚くなっても良いなって思っています。
ただし、良い発見・発明があっても、取得している特許が弱い・事業化する経営者がいない・正しくリスクを取るお金がない等と課題を挙げていくとキリはありません。
(「研究者の選択肢の一つ」より引用)
ブログ執筆者の宮崎さんから下記のようなテーマで話がありました。
アメリカでは博士課程を卒業した方々がどんどん起業する気風があるというお話をご自身がアメリカで働いていた経験を元にお話いただきました。
アメリカでは教授がサバティカル中に起業し、最終的には300億円で売却されたという事例もあったそうです。
「なんと、興味深いキャリア!」
と、会場からは歓声が!
宮崎さんの資料をお借りしました。研究者のキャリアパスには実際に研究者が検討されているよりも多くの選択肢があります。
「こちらの画像写真撮ってもいいですか?」
参加者の方から希望があり、写真に収めておられました。研究者の選択肢を広げたいという宮崎さん想いを参加者の方もビシバシ感じ取っておられました。
ベンチャーキャピタル側のお話のあと、出資を受ける側としてのスタートアップ側のとして「尿検査による『痛みのない高精度ながん早期診断』の実現」を目指す、Icaria株式会社CTO市川さんのお話です。
Icariaの保有するmicroRNAデータベースと機械学習技術を組み合わせることにより、独自のがん診断プログラムの開発を行っている。ナノデバイスにより分離・回収されたmicroRNAのプロファイルをがん診断プログラムにより分析することで、がんの早期・高精度診断を行う。
Icaria(イカリア)CTO市川さんから下記のようなテーマで話がありました。
Icaria(イカリア)CTO市川さんがエクソソームの最新の知見について、熱く語ってくださいました。テーマ自体に強い興味を持ってくださったかたが多く、一方的な事業説明の場ではなく、研究討論会のような雰囲気さえただよう熱い場になりました。
また、市川さん自身が転職のタイミングで宮崎さんに相談し「手伝い」としてはじめたIcariaにフルジョインすることになった経緯についてお話してくれました。参加者に投げた事前アンケートでは、「どうやって仲間を集めたらいいか?」についての質問も多く、市川さんの事例はとても参考になったようです。
途中から、IcariaのCOO水沼さんも参戦!アカデミア、外資系製薬会社、コンサルティングファームそれぞれで働いてきた立場から、Icariaや研究者がスタートアップに参画するとはどういうことか?について話をしてくださいました。
いよいよ、待ちに待った質疑応答の時間です。課題を持っている研究者の方がほとんどで、質問は途切れることがありませんでした。一部だけ、質問を掲載させていただきたいと思います。
VCの方々にとって、投資する際に重要視しているポイントはどこか。
宮崎さん「アメリカの事例が面白いので、アメリカと日本で比較して話してみますね。アメリカでは、技術がどれだけ面白いか、です。サイエンスしかみないです。アメリカではプロ経営者がいるので、CEOは代替可能という考え。でも、日本はその傾向は強くなく、人も良くみて投資します。」
技術の競合優位性は見るのか。例えば、すでに競合がいる場合は投資をしないという判断もあるか。
「技術の競合優位性はもちろん見ます。でも、競合優位性が合ったり、今は優位になくてもCEOやメンバーが魅力的だったり、これから技術力を上げていけば優位に立てる、という場面では積極的に投資検討しますね。たまに、『競合はいますか?』という質問に対して『いない』とおっしゃる方がいます。しかし、私が検索して競合が出てくるとあまりリサーチできていないのかなと思うこともあります。
技術の競合優位性の話が出たのでもう一つ。技術系スタートアップでCEOが自社技術を理解していないことがあります。十分に自社技術について説明できないこともありました。CTOしか技術がわからないのは不安です。CEOも営業には行くでしょうから、そこで自社の強みが説明できないのは問題です。」
仲間集めはVCに相談したほうが良いか。
宮崎さん「まずは自分の周りを巻き込んでみるのはどうか。例えば、研究室の仲間が候補として上げられると思います。同じ研究室にいる分、お互いの特性もわかっている。失敗から学んだり、PDCAを回していくというようなラーニングもお互いを知っている分早いと思います。」
メンバー集めも大変ですが、そもそも今日みたいに自分の課題や興味を話す場所がなかなかありません。バイオスタートアップコミュニティはあるのでしょうか。みなさん、どこで知り合っているのでしょうか。
宮崎さん「あまりないイメージです。我々もBIOJapanなどで少し話をするなどですかね。あとは、イベントなどに参加する、ということになってしまいます。」
水沼さん「これから、Icariaを含め様々なスタートアップを巻き込んで、バイオスタートアップコミュニティを作り活性化させていきたいです。」
お二人の話を聞いていて、スタートアップもやって、論文もたくさん出す、ということにかっこよくて憧れます。
市川さん・水沼さん「笑 ありがとうございます。そのような思いを持っている方にはぜひJoinして欲しいです笑」
水沼さん「そういった思いを持っている方はいるにも関わらず、なかなか私たちも会えないんです。良い研究ができる研究者がなかなかスタートアップ来ないという問題があると思います。なかなか、研究者のキャリアのテーブルにスタートアップに行くという選択肢がないんですよね。
競合がいても競合優位性を伝えれば出資はもらえるのか。
宮崎さん「エビデンスに基づいた根拠があれば良い。ただ、エビデンスが負けていても勝てそうなら出資したいと思う。」
水沼さん「ライフサイエンスは足が長いので、投資判断が正しかったかどうかがわかるのが先ですよね。どれが良い事例だったのかの、ラーニングもなかなか難しいと思います。」
起業することやスタートアップにJoinすることにとても興味があります。一方で、研究者としてのプレゼンスも保ち続けたいと考えています。懸念点はスタートアップにJoinすると研究が止まってしまうのではと感じることです。
市川さん「そんな方ほど、スタートアップに挑戦して欲しいと思います。スターアップはみなさんが思われているほど、実は待遇もそれほど悪くないですし、研究をやりやすい環境を自分で整えていける素地が揃っていると思います。」
水沼さん「スタートアップでどんな役割を担うかは、会社によると思います。もちろん、研究だけを続けて、論文を出し続けてもらうというキャリアも用意できると思います。」
スタートアップの働き方ってどんな感じなのでしょうか。
水沼さん「アカデミアにいた頃やコンサルティングファームの頃と比べたら忙しくはない。自分の働き方を自分で形作ることができると感じています。子育て中で、午後6時に帰る人もいらっしゃいます。」
良いVCを見分ける方法はありますか?
市川さん「千差万別ですし、自分にあったVCを選べるといいと思います。参考までに『どこまで介入してしてくるのか、どういうコミュニケーションをとってくるか』という点は事前把握したいと思っていました。」
途中参加者同士でも議論や質問が交わされる。聞きたいことを自由に聞け、誰かが聞いたことでまた誰かの学びが深まるとても良い空間でした。
質疑応答が終わっても熱気は冷めず、、、立席形式で宮崎さんと市川さん、水沼さんが質問攻めに合っていました。個別で話すことで、さらに気になった点が深掘りしていただけたようです。
参加してくださった研究者の皆様!皆さんのおかげで本当に学びの深い時間になりました!引き続き、研究系スタートアップを盛り上げて参りましょう!ご参加いただき本当にありがとうございました。
皆様の感想をちょっとご紹介させていただきます。