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長年の懸案だったインヴァスト証券コーポレイトサイトのサーバー移行。不具合やトラブルがなかったことから7年間使い続けていましたが、お客様とのコミュニケーションやマーケティングをさらに強化するために移行を実施しました。コンテンツをWordPressで管理しているため、ホスティングサービスは『Kinsta』を採用。計画が二転三転するなかでプロジェクトをまとめあげたのは、IT部 SREチームの両角直弥氏です。プロジェクトの苦労やSREチームの仕事などについて聞きました。
IT部 SREチーム
両角 直弥
―今回のサーバー移行プロジェクトの背景や経緯を教えてください。
そもそも2017年以前は、外部データセンターの物理サーバー上でホームページを構築していました。その後、2017年にAWSのクラウド上のサーバーに古いコンテンツも丸ごと移す形で移行。そこからは何もアップデートしていない状態でした。管理していたのは以前のSREチーム(旧SREチームは優れた知見と技術をより広く世の中に提供するために2023年12月に独立・別会社化)です。
手付かずだった理由は、『トライオート』や『マイメイト』などサービスに関わるタスクが多く、相対的にホームページの優先度が低かったから。ログイン画面こそホームページに置いていたものの、サービスとは切り離されていたので情報漏洩の危険などはありません。特に問題もなかったのでマンパワーを割きにくい状況にありました。
とはいえホームページはインヴァスト証券の入口で、マーケティング上はお客様との大切なインターフェイス。万が一落ちてしまったりするとコミュニケーションに支障が出ます。しかるべきメンテナンスをしながら、利用可能な状態を維持する必要があることは課題として認識していました。また、サーバーの構成を維持することにコストがかかっていたこともあり、サーバー移行は長らく「急ぎではないが、近い将来に対応しなくてはいけない課題」となっていました。
そのような状況で2023年4月、ホームページと紐づいているマイページ機能「インヴァストサービス」の大幅な刷新を行いました。このとき、サーバー移行も一緒に実施しようと考えたのですが、当時はまだ移行先も決めていませんでした。両方やると両方とも遅延する恐れがあったのでいったん見送りに。再び移行計画が表に出てきたのは2023年9月です。
―移行計画はずっと続いていたのですね。
はい。旧SREチームは、運用コストや作業負荷の問題から引き続き移行を検討していました。半年後に計画が出てきたのですが、結論から言うと「実行は難しい」というプランでした。その理由はホームページのURL構成が変わってしまうためです。ホームページのコンテンツ管理は『WordPress』を使っているのですが、このWordPressサイトを別のサブドメインに変更しないと移行ができないという内容でした。
当時、私はサービスの開発や運用を管理するシステム管理部にいて、インフラともマーケティングとも直接的には関わらない立場でした。中立的な立ち位置で参考までに説明を受けたのですが、さすがにそれはまずいのではないかと思いました。直感的に検索で引っかからなくなると思ったのです。マーケティングサイドには相談していないとのことで、私がマーケティングに確認。やはりSEO対策上問題があるということで、改めて従来のドメインの配下に収まる構成に直すように依頼しました。
やはり、マーケティングサイドとインフラサイドでは視点が違います。インフラサイドはホームページが公開できていればいい、コンテンツは移行すればいいとシンプルに考えていました。逆にマーケティングサイドはあまりインフラの要件は意識していません。このような経緯で2023年9月も再検討になりました。
―最終的にその問題は解決できましたか。
はい。その後も旧SREチームと検討を重ね、WordPressサイトをそのままの構成で利用できるという条件で選定したのがWordPress専用のホスティングサービス『Kinsta』です。サブドメインを利用しない構成が可能か、旧SREチームがかなり試行錯誤しながら調査・検証したそうで、2024年1月に再び移行プロジェクトが動き出しました。ちょうど旧SREチームが別会社(株式会社Kumori Labo)になり、社内では新しいインフラチームとして新SREチームが始動したタイミングでした。私もシステム管理部から新SREチームに異動することになり、それまでの中立的な立場から当事者になって対応することになりました。
旧SREチームから提案された構成変更したプランは一見よさそうでしたが、始まってみるとかなり処理が複雑で検証が大変でした。WordPressサイトの構成を変更しないという条件は満たしていたのですが、2024年4月にこのままでは移行は難しいと判断し、断念しました。
2023年10月から続く二転三転した計画を解決したのは、やはり旧SREチームの活躍でした。最後にエース級のエンジニアを投入し、彼がKinstaのサポートスタッフの方と議論を重ねて最終的にURLを継続して利用でき、問題なく検証もできるプランが出てきました。早速、GW明けから構築と検証をスタート。並行してホームページのコンテンツの選定作業も進めました。何しろずっと手つかずだったので無駄なコンテンツも相当残っていたのです。こうしてスケジュール通り2024年6月にKinstaへ無事に移行を終えました。
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―サーバーを移行してどのような成果が得られましたか。
移行して運用コストは4分の1に減少し、大きなコストメリットが得られました。また、二転三転して移行費用自体はかさみましたが、日常業務のパフォーマンスが向上しました。
マーケティングサイドが実施するホームページ更新の作業内容は移行前後で変わりませんが、Kinstaの管理画面には様々な分析機能があるので今後は何かと活用できそうです。ページ表示のレスポンス時間、削除されたコンテンツへのアクセス状況、通信エラーの発生状況などをグラフで可視化するダッシュボード機能、もちろんログのデータも取れるので、これらをマーケティングサイドに展開しています。ホームページの構成の問題点や改善点を把握し、施策を考えるきっかけになるはずです。以前のサーバーではこのようなレポートはありませんでした。我々の運用メリットに加えて、マーケティングサイドに付加価値を提供する環境・材料を提供できた点もメリットと捉えています。
―SREチームは2024年1月に新体制になりましたが、その後、進捗などはいかがですか。
今のSREチームは、旧SREチームが別会社化したのを受けて2024年1月にスタートしました。現在は旧SREチームから運用サポートを受けながら、インフラ業務の完全内製化に向けて引継ぎなどを進めているところです。2年以内に完全に内部運用できる体制を構築する予定です。
今のところ運用面はかなり引継ぎが進み、新しいチームのベースができつつあります。新規の環境構築は2年で引き継ぐ範囲に含まれていないのですが、技術レベルを上げるためにも徐々に進めていく方向でいます。私がシステム管理部のときはビジネス側の要件を受け取って開発管理をする立場でした。異動した今でもビジネス側の視点でインフラを考えられるがことが自分の強みになっていると考えています。インフラ面で改善できるポイントもいくつかあるので、今後は踏み込んで変更していきたいです。
現在システムのインフラを担当するSREチームでは、社内作業システムのインフラにはAzure、『トライオート』『マイメイト』などのお客様にご利用いただくサービスのインフラにはAWSを使っています。SREチーム内で両方を取り扱っているので、どちらの担当になっても対応できるように、業務の越境も推奨しながらチームメンバー一人ひとりの技術レベルを上げていこうと考えています。汎用的なAzureと、AWS(とKubernetes)で構築するサービス独自のインフラ。弊社のSREチームでは2つのインフラを経験できる環境となっています。技術面でチャレンジしたい方やサービスのインフラにも携わっていきたい方にぜひ一緒に働くことを検討してもらえるとありがたいです。
ホームページのサーバーを移行はいったん終了しましたが、今の構成にもまだまだ課題があります。SREチームではメンバーからの前向きな改善提案も大歓迎です。裁量も大きいので、自ら課題を見つけてどんどん解決していくような積極的な方にはとてもおもしろい環境だと思います。
―インヴァスト証券のビジネスを支える大事なチームですね。ますますの発展を楽しみにしています。