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ディーリングとは「自己売買」のことで、証券会社が自社の資金で為替や株式、債券などの売買を行うことです。一般的な証券会社は、お客様の取引(株式や債券など)を仲介して手数料を得るブローカー業務を営みながら、自社の資金で取引を行うディーリング業務でも利益を上げるという事業構造になっています。
一方、インヴァスト証券の場合は少々異なります。インヴァスト証券はオンライン専業の証券会社で、主にFX、CFD(Contract for Difference、差金決済)といった店頭デリバティブ取引を取り扱っています(一部、取引所FXも取り扱っています)。FXとは「Foreign Exchange=外国為替」の略。外国為替証拠金取引という種類のデリバティブ取引で、通貨を売ったり買ったりする際に発生する為替レートの差分で利益を狙う金融取引のことです。店頭取引とは、取引所を通さず、証券会社と直接、相対で行う取引を指します。
FXでは、お客様がインヴァスト証券を相手に通貨を売ったり、買ったりという為替取引を行います。するとインヴァスト証券は、お客様が注文した内容の為替変動リスクをヘッジするために、それと同じ内容の取引か近い内容の取引を、為替取引を取り扱う金融機関(外資系銀行など)を相手に行います。これをカバー取引といいます。インヴァスト証券におけるディーリング業務とは、このカバー取引のことを指しています。
今回の記事では、以下のトピックに沿って、インヴァスト証券におけるディーリング業務と、ディーリングに関連の深い周辺業務を紹介します。
◆カバー取引の仕組み
◆カバー取引の戦略
◆取引価格配信業務とは
◆ディーリングの周辺業務(ポジション管理、資金繰り、市場分析)
◆ディーリング業務にチャレンジしよう
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◆カバー取引の仕組み
カバー取引について、もう少し詳しく説明しましょう。
例えば、FXでお客様が米ドルを買うと、インヴァスト証券はお客様に米ドルを売ることになります。ドルが値上がりしたら、お客様は利益が出ますが、売っているインヴァスト証券は損をすることになります。このリスクを避けるために、インヴァスト証券はお客様に米ドルを売った後に、銀行を相手にした取引で米ドルを買い戻しておきます。これがカバー取引の基本的な仕組みです。
一方で、同時に同じ内容の取引をすると、リスクはゼロですが収益も増えません(お客様との取引価格と、銀行間の取引価格には若干の差があるので、損益は発生します)。もし、自分たちが売った値段より安く買い戻せれば、収益が出ます。ということは、お客様から来た注文をすぐにはカバーせず、為替変動リスクを抑えつつ、利益が出るタイミングでカバーできるかどうかが、カバー取引で収益を上げるポイントとなります。
この分析とタイミングの見極めがディーリングの技量であり、インヴァスト証券では、これまでの膨大な取引データを基にプログラムを組み、システムで、自動的に行えるようにしています。
◆カバー取引の戦略
このように、すぐにカバーをせずに、少しの間、自社のポジションとして管理しておき、適切なタイミングでカバーすることが、カバー取引の基本戦略となります。この「少しの間」が、各社の戦略に基づくもので、長いほど為替変動リスクは高くなります。インヴァスト証券の場合は、リスク管理を重要視し手堅く収益を上げる方針で取引を行っています。
また、長いといっても、いつまでもポジションを持つことはなく、定期的にすべてカバーをおこない、リスクをゼロにしています。
例えばお客様Aがドルを売り・お客様Bが同じ額のドルを買うという場合は、両者との取引で相殺できるため、インヴァスト証券のポジションは発生しなくなり、カバー取引の必要はなくなります。多数の取引が発生するなかで相殺しつつ、ポジションに応じてカバー取引をすることになります。
インヴァスト証券では、カバー取引を原則としてシステムで自動的に行っています。プログラムは毎日見直しています。その日のマーケットの状況を織り込み、最適なプログラムを組み、取引のシステムに適用します。よく例えに挙げるのが、飛行機の操縦です。ジェット機は複雑なコンピューターで制御されており、平常運行時は自動操縦で飛行します。何かしらのトラブルがあったときだけ、マニュアルに切り替え、機長が操縦します。インヴァスト証券のディーリングも同じです。平常時はシステムに任せ、緊急時や非常時は手動に切り替え、為替ディーラーが対応します。市場は、頻繁に荒れ模様になるわけではありませんが、直近ではウクライナ情勢などもあり、油断はできません。システムに任せながらもしっかりとモニタリングし、定期的にプログラムも見直すことが不可欠です。
◆取引価格配信業務とは
ディーリング業務と関係の深い業務に、お客様への取引価格配信業務があります。これは、インヴァスト証券の「店頭」で、お客様に取引価格を提示することを指します。皆さんは海外旅行の際に空港の両替所で、通貨の交換レートを示した電光掲示板を目にすることがあるでしょう。まさにあれと同じです。お客様との取引価格を決めることは、ディーリング業務と裏表の関係になる非常に重要な業務です。
カバー取引の価格は、同じドルでも、外資A銀行、国内B銀行など相手先によって提示される価格が異なります。お客様との取引価格は、銀行間取引のレートを比較し、適切なレートを選別してインヴァスト証券としてのレートを決め、配信しています。
お客様向けの取引価格と、カバー取引先との取引価格との差は収益に直結するので、適正な取引価格を決めて提示することは、非常に重要な業務となります。銀行間の取引レートは刻々と変わるので、それに応じてお客様に提示する取引価格も変動します。これもプログラムを組んでシステムで算出し、24時間、お客様に配信し続けます。
銀行間取引のレートも、「あの会社は米ドルに強い」「新興国通貨に強い」といった、会社ごとの特色があり、適切な取引先銀行を揃え、良好な関係を維持することも大事です。
市場が荒れているときは銀行間取引のレートもバラつきが大きくなり、適正な価格がわからなくなります。このような場合は、市場に何か異変が起きていないか、絶えずモニタリングしながら、場合によってはシステムから手動に切り替える措置も必要となります。
◆ディーリングの周辺業務(ポジション管理、資金決済、市場分析)
≪ポジション管理≫
インヴァスト証券の場合は、お客様の注文があってはじめてディーリング業務が発生します。手元に来た売り注文、買い注文をポジションと呼びます。これを、同一通貨の売りと買いの取引は相殺した上で、差分を、カバー取引を行うことで消していきます。ポジションが積み上がると、為替変動による利益・損失リスクも大きくなるので、適正に保つことが重要です。これをポジション管理といいます。
社内のルールでポジションの上限は決まっており、それに従う形で、基本的にはシステムによる自動取引で管理していきす。
≪資金決済≫
お客様との店頭取引、および銀行間のカバー取引に伴い、利益の支払や受取が発生します。お客様が利益を得たらインヴァスト証券がお金を支払うのと同様に、カバー取引で利益が出たら、インヴァスト証券がカバー取引先からお金を受け取ります。損が出た場合も同様に、受取や支払が発生します。取引価格が丸々動くわけではなく、利益と損失を相殺し、差額分の金額が実際に口座間を移動します。銀行口座にプールしてあるお金で、これらの金額の確認やお金の出し入れを行います。
この銀行口座の残高や受取、支払の管理を、ディーリングにおける資金決済といいます。今日だけでなく、明日と明後日までを見通して資金が滞らないように、経理部と連携して管理していきます。実際の送金手続きを行うのは経理部ですが、指示を出すのはディーリング部の役目です。銀行ともこまめに残高の状況を確認しながら、資金管理を行っています。資金がなければカバー取引ができないため、重要な業務となります。
≪市場分析≫
カバー取引はシステムによる自動で行いますが、その設定は、マーケットの状況に応じて毎日変わっています。プログラムが適正かどうか判断するには、取引の分析はもちろん、国内外の経済情勢や社会情勢といったマーケットに影響する様々な情報を収集し、分析する必要があります。この市場分析業務も、ディーリング業務の一環として非常に重要です。
時差もあることから、24時間休みなく、世界中で様々な情報が発信されています。例えば、半日近い時差があるアメリカであれば、経済指標の発表、政府機関からの発信は、日本時間の真夜中に行われます。これらの情報がマーケットにも影響を与えるので、24時間を通して注視しておく必要があります。
ディーリング業務においては、かつてはブルームバーグやロイター通信といった専門の金融情報サービス会社が有料で発信するニュースが主な情報源でした。しかし今はTwitterなども有力な情報収集ツールとなっています。ディーリングや取引価格配信の状況をモニタリングする傍ら、これらの情報収集も行っています。
◆ディーリング業務にチャレンジしよう
転職市場においては、未経験からチャレンジするのが難しいディーリング業務ですが、インヴァスト証券では、未経験で入社し、活躍しているメンバーも珍しくありません。マーケットに興味があり、好奇心旺盛、あらゆる情報を収集し、マーケットへの影響を探るような探究心のある人であれば、活躍できる可能性は充分にあります。部が一丸となって目標達成するチームプレーのスタイルで、教え合う雰囲気もあるので、初めての人でも馴染みやすいでしょう。向上心を持って働ける人であれば、ぜひチャレンジしてください。