今回は、『CPA』の意味や計算方法について解説いたします。

本記事の監修は、イングリウッドでマーケティングを行なうチームをまとめる、シニアマネージャー 「渋沢亮太」さんに行なっていただきました。

CPAの意味とは

CPAとは、Cost per Acquisitionの略語で、『顧客獲得単価』という意味の言葉です。

つまり、新規の顧客1人（CV※）を獲得するのに、いくらの費用がかかったのかを示すのがCPAということ。 例えば、サイトやアプリの登録者数を増やすために1000万円の広告費をかけ宣伝し、10万人の人が実際に登録したとする。

この場合、1人あたり100円の費用（CPA）がかかったことになります。

※CVとは…conversion（コンバージョン）の略語。マーケティング用語としては、Webサイト上で得られる最終的な成果を意味する言葉。

CPAの計算方法

CPAは、下記の式を用いて計算します。

【CPA＝COST（費用）÷CV（成果・獲得数）】

この計算式はマーケティングの基礎としておさえておきたい知識の一つ。CPAを算出して数値を追っていくことは、事業社側にとっても広告運用者にとっても非常に重要です。

また、広告アカウントの構築や運用を考える指標としては、

【CPA＝CPC （クリック単価）÷CVR（顧客転換率）】

という式も成立します。

※CVRとは…Conversion Rate（コンバージョンレート）の略語。Webサイトへのアクセス数の中で、CVに至った割合を示す言葉です。

CPAの重要性とは

CPAの重要性は、事業者と広告運用者で違った意味を持ちます。

事業者にとっての「CPA」の重要性

事業者にとって、CPAは事業の成功の鍵を握るKPI（重要業績評価指標）となります。

製品やサービスの販売計画を練る段階で、あらかじめ広告コストを織り込んで収益性をシミュレーション。そのときに設定するCPA（広告費）は、あくまで予測や目標の域を出ないため、我々（IGのマーケティングチーム）の場合、目標CPAと限界CPAの2軸でシミュレーションを立てるようにしています。

※目標CPAとは…事業を展開する上で実現できる可能性の高いCPA。過去の実績や市場感などから算出し、このCPAで顧客をCVさせることで、事業がどのくらいまで成長できそうかをシミュレーションする際に使用します。

※限界CPAとは…事業を展開する上で赤字に陥らないギリギリのCPA。この指標を知らずに広告費を投下し続けたら、赤字を放置することになりかねません。ここで設定したCPAを厳守する、それができて初めて事業が安全に運営できます。また、限界CPAと、実際に広告運用して成果として出たCPAの差分がそのまま粗利に直結するため、予め数字として理解しておくことが必要です。

広告運用者にとっての「CPA」の重要性

一方で広告運用者にとってのCPAは、クライアント側と広告運用者の間で守るべき数値であり、広告予算と並んで非常に重要な指標です。

例えば広告予算が100万円で、10件のCVが付くのと、同じく広告予算100万円で15件のCVが付くのでは、広告の価値がまったく異なることはお分かり頂けると思います。

広告運用者は、このCPAを下回って運用できるようにチューニングし、クライアントの信頼を得て、広告予算の増額を勝ち取ることが、使命ともいえるのです。

CPAを低く抑えるためには、製品と相性の良い広告配信媒体の選定、配信ターゲットの設定を細かく管理するなど様々な手法があります。ですが、ただCPAを抑えられるだけ抑えればいいという訳ではありません。

CPAを抑えるために広告費を減らしたため、本来得られるはずだった成果（CV）が得られず、想定した利益が出せなくなってしまうこともあるでしょう。 そのため、CPAの重要性をしっかりと理解し、許容範囲を予め定めておくことが大切です。

CPAを指標にする際の注意点

CPAを指標にする際には、そのビジネスに関わる人の認識を合わせておかなければいけません。

例えば、広告主がCPAを「新規顧客の購入」と考えているのに対して、広告代理店が「すべての顧客の購入」と認識していた場合。CPAを導き出す計算式の数値自体が異なってしまいます。

CPAを求める方法は簡単でも、こうした前提を共通でしっかりと認識できていないと、求める利益を出すことはできないでしょう。

CPAを下げるためのベストな方法とは

CPAを下げれば利益が増えるとお伝えしましたが、ではどのようにしてCPAを下げればいいのでしょうか。 一般的には、CVを増やす施策を行なうことがベストだとされています。

広告グループやキャンペーン、キーワードなどの要素をCVの多い順に並べ、インパクトの多いものから改善し、CPAを下げていきましょう。

【「CPAとは」本記事監修：渋沢亮太】

株式会社イングリウッド データテクノロジー事業本部シニアマネージャー

生活雑貨業界大手メーカーでEコマース部署の立ち上げから、サイト制作、仕入、物流、分析、ファイナンス、楽天市場・Amazon・Yahooのモール展開など、Eコマースに関わるあらゆる業務を実務レベルで習得。イングリウッドでは商品開発・サイト制作・広告宣伝・物流・CSなど、ワンストップで1クライアントの業務を請け負い、1年で年商30億規模に成長させただけではなく、さらに拡大させ続けている。